- 1. ミュータンス菌の正体:いつ、どこから赤ちゃんの口に入るのか?
- 1.1. 生後約19ヶ月~31ヶ月(1歳7ヶ月~2歳7ヶ月)
- 1.2. ミュータンス菌を全く持っていない大人はいるのか?
- 2. ミュータンス菌の感染予防:出産1年前から始めるべき対策とは?
- 2.1. 出産1年前から生後2歳7ヶ月
- 3. 母から子へミュータンス菌の感染を防ぐ方法:箸やスプーンの共有を避ける理由
- 3.1. 「箸やスプーンの共有」「噛み与え(口移し)」禁止
- 3.2. キシリトールガム100%
- 3.3. フッ素入り歯磨き粉
- 3.4. ポイックウォーターでうがい
- 3.5. 母親の砂糖摂取制限
- 3.6. 赤ちゃんの砂糖摂取制限
- 3.7. 頻繁の授乳を止める
- 4. ミュータンス菌が無い子供の割合
- 4.1. ミュータンス菌がいない子供の割合は4歳で約15%
- 5. 帝王切開と自然分娩:ミュータンス菌の定着時期に違いがある理由とは?
- 6. 江戸川区篠崎でミュータンス菌を子供に感染させたくない方は当院へ
- 7. 【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法
- 8. 筆者・院長
虫歯菌の代表であるミュータンス菌を赤ちゃんに移さないためには感染経路を断つことが重要です。しかし現実的には、ほぼ不可能に近いです。
ここでは、母親の虫歯菌を減らすことで、赤ちゃんへ移さないようにする方法を解説します。
江戸川区篠崎駅前の歯医者・ふかさわ歯科クリニック篠崎では、母親のミュータンス菌を減らし赤ちゃんに移さないようにするためにPMTC、エアフローなど機械的方法と次亜塩素酸水、歯科3DSなど化学的方法を用いています。
子供の虫歯予防でお悩みの方はぜひ、当院に遠慮なくご相談ください。
ミュータンス菌の正体:いつ、どこから赤ちゃんの口に入るのか?
生後約19ヶ月~31ヶ月(1歳7ヶ月~2歳7ヶ月)
「感染の窓」の時期に保護者(母親)から移ります
口腔内細菌の中でも最も強力に酸を作り、歯を脱灰(虫歯を作る)する力を持った細菌がミュータンス菌です。
ミュータンス菌はうつっただけでは虫歯として発症することはなく、口腔内にしっかりと定着することが条件となります。
ミュータンス菌は生後約19ヶ月~31ヶ月(1歳7ヶ月~2歳7ヶ月)の「感染の窓」と言われる時期に、赤ちゃんと接触頻度が高い保護者(主に母親)から赤ちゃんへ感染して、定着しやすいと言われています。※1993年 Caufield 他
しかし、近年の研究では、歯が生える生後6ヶ月以前からミュータンス菌が赤ちゃんの口腔内に定着しているとの報告があります。また、ミュータンス菌の感染は、一生に渡って起こります。
ミュータンス菌を全く持っていない大人はいるのか?
日本人でミュータンス菌を持っていない大人は10%以下と言われています。しかし、臨床的にはもっと少ないのではという印象です。(論文が見当たらないので断定は出来ません。)
ただし、今後、様々なことを駆使してミュータンス菌を持たない大人が増え、10%以上になるとは十分可能であると考えます。
ミュータンス菌の感染予防:出産1年前から始めるべき対策とは?
出産1年前から生後2歳7ヶ月
期間
ミュータンス菌の感染防止対策はいつからいつまで?
母親はミュータンス菌の赤ちゃんへの感染防止はいつからいつまで行えば良いのでしょうか?
その期間は、出産1年前から生後2歳7ヶ月の間です。
理由
ミュータンス菌のうつりやすさは家族(主に母親)の口腔内に存在しているミュータンス菌の量に比例します。従って、赤ちゃんが生まれる最低1年前から母親の口腔内のミュータンス菌の数を減らす努力が必要となります。
さらに、赤ちゃんへうつる時期が遅れれば遅れるほど、その後の虫歯になるリスクが低下するので、母親や家族が頑張る目安は概ね生後2歳7ヶ月までです。
その後、3歳以降でもミュータンス菌がうつる事は起こりえますが、虫歯になったとしても軽症で済みます。
母から子へミュータンス菌の感染を防ぐ方法:箸やスプーンの共有を避ける理由
「箸やスプーンの共有」「噛み与え(口移し)」禁止
方法
母親から赤ちゃんへ感染経路遮断は困難
ミュータンス菌は、唾液による接触感染のため感染経路を断ってしまえば良いということになります。
妊娠期にミュータンス菌の感染について保健指導を受けますが、これを実行するのはかなり困難です。さすがに噛み与え(口移し)を行う保護者は、少なくなりましたが、「箸やスプーンの共有」についてはダメな事は分かっていても出来ないのが現状です。
仲井雪絵らの調査によると、「箸やスプーンの共有」をしていると答えた母親は80%以上に及んでいます。
その他、感染経路として「同じ食べ物の共有」「母親と赤ちゃんのキス」「熱いものをフーフーして与える」などが挙げられます。
神経質になりすぎない
ミュータンス菌がうつらないに越したことはありませんが、余り神経質になりすぎないことも重要です。赤ちゃんとの接触を完璧に断つことは不可能だからです。
ミュータンス菌の感染は接触頻度や母親の菌量に比例するため他の方法で対処するという柔軟な考え方を持つことも重要です。
キシリトールガム100%
方法
キシリトールガム100%でミュータンス菌を減らす
赤ちゃんへミュータンス菌(虫歯菌)をうつさないようにするには両親(母親)のミュータンス菌を減らすことが最も効果が高いと言えます。
ミュータンス菌の数を減らす方法で最も効果があるのは、キシリトールガム100%を噛むことです。
噛み方
1日につき4~5粒を一粒ずつ約5時間間隔で食べます。
いつからいつまで食べれば良いの?
赤ちゃんへのミュータンス菌感染を防止出来るレベルまで母親のミュータンス菌量を減らすには、出産1年前から生後2歳7ヶ月の間です。
最大の効果を期待する場合には、妊娠の約1年前からキシリトールガムを噛み始める必要があります。また、赤ちゃんが3歳になるまで噛み続けることで、赤ちゃんへの感染を防げます。
フッ素入り歯磨き粉
方法
フッ素入り歯磨き粉でミュータンス菌を減らす
フッ素の水溶液は、ミュータンス菌(虫歯菌)に対する抗菌作用を有しています。
フッ素入り歯磨き粉でブラッシングする事でミュータンス菌の活動が抑制されます。
また、フッ素入り歯磨き粉よりフッ素の効果を高めた場合には、フッ素洗口剤ミラノール顆粒の使用が有効です。
ポイックウォーターでうがい
方法
次亜塩素酸水のポイックウォーター
ポイックウォーターの主成分である次亜塩素酸水の力でミュータンス菌を除菌し、その数を減らします。
in vitroの実験では、細菌に対して高い殺菌力を有していますが、口腔内に使った時に、殺菌効果がどの程度あるのかの十分なエビデンスはありません。
母親の砂糖摂取制限
方法
母親の砂糖(ショ糖)入りおやつは1日1回まで
ショ糖(砂糖)はミュータンス菌の餌となります。従って、ショ糖(砂糖)入りのおやつを食べるとミュータンス菌の量を減らしにくくなります。
甘いものの間食は、1日1回以下にして下さい。
また、ショ糖(砂糖)を頻回に摂取すると歯の脱灰が起こり、お母さんに虫歯が発生してしまいます。
料理にもショ糖(砂糖)は控えた方が無難です。代わりに、オリゴ糖やハチミツで代用出来ます。
赤ちゃんの砂糖摂取制限
方法
赤ちゃんの砂糖入りおやつの摂取制限持続は困難
ショ糖(砂糖)の入ったジュースや清涼飲料水、クッキー、アメ、ケーキといった食べ物を子供(赤ちゃん)が大量に摂取するとミュータンス菌は効率よく定着します。
しかし、感染経路の遮断と同様、ショ糖(砂糖)の摂取を制限することはかなり困難なようです。
仲井雪絵らの調査によると、80%以上の母親が砂糖(ショ糖)入りの食べ物を与えていると回答したと報告しています。知識はあってもなかなか実践出来ない、或は長期間持続出来ないというのが現状ではないでしょうか。
従って、砂糖(ショ糖)の摂取制限が不可能というのであれば、母親、父親、おじいちゃん、おばあちゃんなど家族全員でキシリトールやフッ素を使って口腔内のミュータンス菌(虫歯菌)を減らし、善玉菌優位にするというのが現実的ではないでしょうか。
頻繁の授乳を止める
方法
頻繁の授乳でミュータンス菌が定着
赤ちゃんが「母乳を欲しがるたびに与える」「夜間の授乳」など、おっぱいを頻繁に与えることでミュータンス菌(虫歯菌)がうつりやすくなり、定着が促進されます。
しかし、おっぱいを与えないと泣いてなかなか寝てくれないなど問題があります。
従って、頻繁の授乳は虫歯のリスクがあることは分かっていてもなかなか止められないのが現状でしょう。
ミュータンス菌が無い子供の割合
ミュータンス菌がいない子供の割合は4歳で約15%
生まれたての0歳児の赤ちゃんにはミュータンス菌(虫歯菌)は全く存在していません。
1歳頃になるとミュータンス菌(虫歯菌)を持った子供の割合は約8%くらいになり、2歳児で約52%、3歳児で約72%、4歳児で約85%の子供にミュータンス菌が感染し定着する様になります。
出典 Li, et, al 2005年
帝王切開と自然分娩:ミュータンス菌の定着時期に違いがある理由とは?
帝王切開と自然分娩で異なるミュータンス菌の定着
自然分娩で生まれた子供より帝王切開で生まれた子供の方がミュータンス菌の定着が11ヶ月程早かったという研究結果の報告があります。
これについては予防することは出来ませんが、帝王切開で生まれ子供はミュータンス菌の定着が起こりやすいのだという視点で見ることが出来、リスク管理に役立ちます。
Li Y,Caufield 2005年
江戸川区篠崎でミュータンス菌を子供に感染させたくない方は当院へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、天然歯の保存にこだわります。まずは虫歯を自然治癒させることを目標とし、極力抜かない・削らない・痛みの少ない低侵襲な虫歯治療が基本です。
患者様一人ひとりの虫歯の進行程度をしっかり診査・診断し、症状にあった適切な治療法をご提案いたします。江戸川区篠崎でミュータンス菌を子供に感染させたくない方はぜひ、お気軽に当院までご相談下さい。
【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
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メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。