「保険で白いブリッジはできますか?」
そんなご質問にお応えする治療法のひとつが、高強度硬質レジンブリッジです。

従来は保険診療でのブリッジといえば銀歯が一般的でしたが、2018年から条件付きでこの白くて審美性の高いブリッジが保険で使えるようになりました。

ただし、適用される症例は限られており、決められた条件をすべて満たす必要があります。
この記事では、高強度硬質レジンブリッジの特徴やメリット・デメリット、保険が使える条件や費用の目安まで、患者さんが知りたい情報をわかりやすくまとめています。

📌 どんな素材?

高強度硬質レジンとは

高強度硬質レジンは、歯科用プラスチックの一種で、従来の「硬質レジン」に比べて耐久性を高めた素材です。通常のレジンにフィラー(ガラスやセラミック微粒子)を混ぜて強化しており、ある程度の強度を確保しつつ、見た目の自然さや加工のしやすさを両立させています。

高強度硬質レジンブリッジ
高強度硬質レジンブリッジ

通常の硬質レジンとの違い

一般的な硬質レジンは強度が低く、噛む力が強くかかる奥歯では破損リスクが高いため、保険適用内のブリッジには使えませんでした。高強度硬質レジンは、これに比べて「割れにくく」「すり減りにくい」特徴があり、2018年の保険制度改定によって一定条件下での使用が認められるようになりました。

ビッカース硬さによる比較

素材の強度を示す「ビッカース硬さ」で見ても、高強度硬質レジンは一般的なレジンより優れていますが、天然歯の表面であるエナメル質(270~366)やジルコニア(1300)には及びません。

素材ビッカース硬さ
エナメル質270~366
銀歯(金属)227
高強度硬質レジン88
CAD/CAM冠(保険)55
セラミック400〜485
ジルコニア1300

高強度硬質レジンは中程度の強度を持ち、審美性と加工性のバランスがとれた「保険で白い歯を実現できる素材」として注目されています。

⚙️ ブリッジとは?

歯を失った場合、そのまま放置すると隣の歯が傾いたり、噛み合わせが悪くなったりするため、早めの補綴(ほてつ:補う治療)が必要です。ブリッジはその治療法の一つで、失った歯の両隣の歯を削って土台にし、連結した人工歯(ポンティック)を「橋渡し」のように装着します。

特に高強度硬質レジンブリッジは、金属を使わず白い歯で補えるため、審美性を重視する方に適した選択肢となります。ただし、使用できる部位や条件が限られるため、保険適用には一定の基準を満たす必要があります(後述)。

👄 金属不使用で見た目が自然

高強度硬質レジンブリッジは「金属を使わない白いブリッジ」として、特に審美性を重視する患者さんに人気の治療法です。
従来の保険ブリッジでは銀歯(金銀パラジウム合金)が使われることが一般的で、笑ったときや口を開けたときに金属が目立ってしまうのがネックでした。

一方、高強度硬質レジンは歯の色に近い自然な白さを再現できるため、前歯から奥歯まで、まるで自分の歯のように仕上がります。また金属アレルギーの心配もなく、身体に優しい治療法としても注目されています。

審美歯科ではセラミックやジルコニアを使ったブリッジもありますが、これらはすべて自費治療となるため費用が高額になりがちです。その点、高強度硬質レジンブリッジは一定の条件下であれば保険適用が可能であり、費用面でも患者負担を抑えることができます。

💰 保険が使える“白いブリッジ”

2018年の診療報酬改定により、高強度硬質レジンブリッジは一部条件を満たす場合に限り保険での使用が認められるようになりました。これにより「保険で白い歯を入れたい」という多くの患者さんのニーズに応えられるようになったのです。

ただし、すべてのケースで保険が適用されるわけではなく、歯の部位・咬み合わせ・支台歯の状態など厳密な基準が設けられています(次項で詳述)。

とはいえ、条件に該当すれば3割負担で約22,000円前後と、審美ブリッジの中では非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。

また、金属アレルギーを診断された方については、適用範囲が広がる特例もあるため、「自費では難しいが白い歯を入れたい」という方にとって心強い制度です。

高強度硬質レジンブリッジは、見た目が自然で保険適用が可能な点が魅力ですが、誰にでも使えるわけではありません。保険での使用には、国が定めた3つの厳しい条件をすべて満たす必要があります。

✅ 適用3条件の詳細

① 第二小臼歯(5番)の欠損であること

対象となるのは、第二小臼歯(5番)が1本だけ欠損しているケースに限られます。それ以外の歯(前歯や奥歯、複数歯欠損など)は、基本的に保険適用外です。

第二小臼歯(5番)欠損
第二小臼歯(5番)が欠損

② 上下左右の第二大臼歯(7番)が機能している

7番(第二大臼歯)が上下左右すべて存在し、かつ咬合(噛み合わせ)にしっかり関与していることが条件となります。1本でも欠けていると、噛み合わせのバランスが崩れる恐れがあるため、適用対象外となります。

第二大臼歯(7番)が存在し咬合に関与
第二大臼歯(7番)が存在し咬合に関与

③ 支台歯(4番・6番)の神経が除去されていること

ブリッジの土台となる**第一小臼歯(4番)と第一大臼歯(6番)**の両方が、**根管治療済み(神経が除去されている)**である必要があります。これは高強度硬質レジンが他の素材に比べてやや脆いため、支台歯に強い負担がかかるのを避ける目的があります。

第一小臼歯(4番)と第一大臼歯(6番)の神経が無い
第一小臼歯(4番)と第一大臼歯(6番)の神経が無い

これら3つの条件をすべて満たして初めて保険適用となるため、かなり限定的な症例に限られるのが現状です。

💡 金属アレルギーの場合の例外

ただし、金属アレルギーの診断を受けた方には、特例が設けられています。

具体的には、医科(皮膚科や内科など)で金属アレルギーと診断され、その診断書を歯科に提出した場合、条件が緩和され、臼歯部の1歯欠損に対して高強度硬質レジンブリッジが保険適用になるケースがあります。

この制度により、金属によるアレルギー反応に悩んでいる患者さんにも、安全かつ審美的な補綴治療が選択できるようになりました。

高強度硬質レジンブリッジは、審美性と保険適用というメリットがある一方で、いくつかの制限や注意点があります。使用を検討する際には、これらのデメリットを理解しておくことが重要です。

🪓 強度の限界と破損リスク

高強度とはいえ、レジン素材の硬さはエナメル質の約1/4程度しかありません。天然の歯やセラミック、ジルコニアと比べると強度は劣るため、強い力が加わると破損する可能性があります

素材ビッカース硬さ(目安)
エナメル質270〜366
セラミック400〜485
ジルコニア1300
高強度硬質レジン約88

奥歯のように噛みしめる力が強くかかる部位では、長期的な使用に不安が残るのが現実です。破折のリスクを少しでも下げるため、設計段階から厚みや形状に工夫が必要になります。

🪥 歯の削除量が多い

高強度硬質レジンは強度を確保するために、ある程度の厚みが必要です。そのため、支台となる歯(4番・6番)を大きく削らなければならないという欠点があります。

この削合により、支台歯の高さが低くなるとブリッジの保持力が低下し、外れやすくなるリスクが出てきます。とくに天然歯を大きく削ることには慎重になるべきで、健康な歯質をできるだけ温存したい方には不向きなケースもあります。

❌ 割れてもすぐ再作成できない

万が一、高強度硬質レジンブリッジが割れてしまった場合でも、**保険では「2年間は再作成できない」**というルールがあります。

この「再製不可期間」は、健康保険制度上、同じ部位に対する同じ治療材料の再使用が原則2年間認められないという取り決めによるものです。割れた場合の応急処置や仮歯の対応が必要になるため、リスクと対策を事前に把握しておくことが大切です。

高強度硬質レジンブリッジは、条件を満たせば保険適用される治療法のため、審美性の高い白いブリッジとしては比較的安価に受けることができます。

📊 保険適用時の費用目安

保険診療で高強度硬質レジンブリッジを作製する場合、費用の目安は以下の通りです。

  • 1歯欠損(3本連結のブリッジ)
    約7,300点(診療報酬点数)
    → 3割負担の場合、自己負担はおおよそ22,000円前後

※これはあくまで一例であり、実際の費用は患者さんの口腔状態や治療内容により上下します。

また、ブリッジの費用以外にも、以下のような追加費用がかかることがあります:

  • 初診料・再診料
  • レントゲン撮影費用
  • 歯周病の検査や治療費
  • 根管治療(神経を取る処置)の費用
  • 衛生指導や管理料 など

保険制度は細かく点数で管理されているため、同じ治療でも金額に幅が出ることを理解しておきましょう。

🛠 作製までの流れ

高強度硬質レジンブリッジが完成するまでには、以下のようなステップを経ます:

  1. 初診・カウンセリング
     欠損部位や支台歯の状態をチェックし、保険適用条件を満たしているか確認します。
  2. レントゲン・歯周病・根管治療
     支台歯が神経を除去済みであるか、周囲の歯や骨に問題がないかを精密に確認します。
  3. 型取り・噛み合わせの記録
     患者さんの歯列や噛み合わせの情報を採取し、技工所での作製に必要なデータを収集します。
  4. 技工所でのブリッジ作製
     数日〜1週間ほどかけて、精密なブリッジを製作します。
  5. ブリッジの装着と調整
     完成したブリッジをお口に装着し、噛み合わせや見た目を調整します。

🔁 治療期間は通常、数日〜2週間程度ですが、歯周病や根の治療が必要な場合はさらに期間が延びることもあります。

高強度硬質レジンブリッジは、保険診療で白い歯を実現できる点が魅力ですが、他の補綴素材と比較したときにどのような位置づけになるのかを知っておくことは、素材選びの判断材料になります。

📐 強度(ビッカース硬さ)で見る比較表

素材名ビッカース硬さ特徴
エナメル質270~366天然歯の表面で最も硬い組織
銀歯(メタル)227保険適用の金属製ブリッジに使用
CAD/CAM冠(保険)55保険で作れる白い被せ物
セラミック(自費)400~485高い審美性と耐久性、費用は高め
ジルコニア(自費)1300最高強度を誇るセラミック素材
高強度硬質レジン88保険適用の白いブリッジ、適用範囲に制限あり

エナメル質

270~366

銀歯

227

CAD/CAM冠(保険適用)

55

セラミック

400~485

ジルコニア

1300

高強度硬質レジン

88

📊 比較から見えるポイント

  • 強度に関してはジルコニアやセラミックが圧倒的に優れています。
    これらは自費治療となるため費用は高額ですが、破折リスクが少なく、長期使用にも耐えられる素材です。
  • 一方で高強度硬質レジンは強度が低め(88)で、破損リスクがゼロではありません。
    それでも、保険で白いブリッジが作れる唯一の選択肢という点で価値があります。
  • 銀歯(メタル)と比べると審美性に大きな差があり、見た目を気にする方には高強度硬質レジンの方が圧倒的に有利です。
  • CAD/CAM冠は同じく保険適用の白い歯ですが、**単独の被せ物用であり、ブリッジには使えません。**ブリッジとして保険で白くできるのは、高強度硬質レジンブリッジのみです。

Q. 割れたらどうすればいいの?

A.
高強度硬質レジンは従来のレジンより強度が高いとはいえ、強い力が加わると割れる可能性があります。もし割れてしまった場合は、すぐに歯科医院を受診してください。

ただし、保険診療では同じ部位に同じ素材を使った再作製は2年間できないというルールがあります。そのため、割れた際は以下のような対応になることがあります:

  • 応急処置として仮歯を装着
  • 自費での再作製(セラミックなど)をご提案
  • 条件により別の素材や設計に変更

破折のリスクを下げるためにも、硬いものの咀嚼は控える、歯ぎしり防止のマウスピースを装着するなどの対策が効果的です。

Q. 適用されない部位ではどう治療するの?

A.
高強度硬質レジンブリッジは、保険での使用に厳しい条件があります。条件に当てはまらない部位(たとえば前歯や複数歯欠損)には、保険では適用されません。

このような場合は、以下のような治療法が検討されます:

  • 自費のセラミックブリッジやジルコニアブリッジ
  • インプラント治療
  • 入れ歯(部分義歯)

見た目や予算、将来のメンテナンスまで考慮して、患者さんの希望に沿った治療計画をご提案しますので、ご安心ください。

Q. 金属アレルギーがあると伝えるには?

A.
高強度硬質レジンブリッジは、金属アレルギーがある方に対して保険適用の範囲が広がる特例があります。

この特例を受けるには、以下の手順が必要です:

  1. 内科や皮膚科などの医療機関で「金属アレルギー」と診断を受ける
  2. 診断書(診療情報提供書)を歯科医院へ提出する
  3. 歯科側が保険適用条件を再確認し、保険請求を行う

当院では、金属アレルギー対応の相談にも丁寧に対応しております。金属アレルギーが疑われる方は、事前にお知らせいただければスムーズです。

高強度硬質レジンブリッジは、保険診療で“白い歯”を実現できる貴重な治療法です。金属を使わず、自然な見た目を保ちながら、治療費も抑えられる点が大きな魅力です。

ただし、保険での適用には厳しい条件があり、限られた症例にしか使えないのが現実です。しかし、金属アレルギーの診断があれば、保険適用の範囲が広がるケースもあります。

「見た目も大事だけど費用も気になる」「できるだけ白い歯を入れたいけど自費は難しい」——そんな方には、高強度硬質レジンブリッジが最適な選択肢となる可能性があります。

まずは現在のお口の状態やご希望を丁寧に伺い、保険が使えるかどうかも含めてご提案いたします。気になる方は、お気軽にご相談ください。

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当院では、**金属を使わず自然な見た目に仕上がる「高強度硬質レジンブリッジ」**に対応しています。

「できるだけ見た目の良い歯を入れたい」「金属アレルギーが心配」「費用を抑えつつ機能的な治療を受けたい」といったご要望に応じて、保険適用の可能性を丁寧に診断し、患者さまに最適な治療プランをご提案いたします。

金属を使用しないブリッジは審美性に優れるだけでなく、身体への負担も少ない選択肢です。
治療の流れや費用面、保険が使えるかどうかなど、少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

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