フィステルの治療

  • 歯茎の白いぷっくりしたニキビの様なものから膿が出ます。これをフィステルと言い、自分で潰し膿を出しても水ぶくれの様な腫れは繰り返すだけで治りません。
  • 市販薬を塗っても自然治癒しません。
  • 治療法は根管治療を行ないますが、歯根嚢胞が大きい場合は歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術が必要です。

痛みが無いのに歯茎にぷくっとした腫れが出来れば、このまま放置しても治るのか、或いは歯医者に行かなければいけないのか悩みますよね。

ここでは、フィステルを治すために歯科で行う膿の出し方、根管治療、歯根嚢胞摘出術、歯根端切除術などを解説します。

 フィステルが出来てから半年以上放置

歯の治療が怖いのでフィステルが出来てから半年以上放置しています。膿が出てかなりの悪臭を放っていないか心配です。どのようにして治すのでしょうか?

針で潰すのは危険!フィステルの正しい対処法

江戸川区篠崎駅前の歯医者・ふかさわ歯科クリニック篠崎では出来るだけ削らない・痛くない虫歯治療にこだわっています。歯茎にニキビの様な腫れが出来てお悩みの方はぜひ、当院に遠慮なくご相談ください。

フィステルを針で潰し膿を出すのはNG

自分でフィステルを針で潰す

自分でフィステルを針で潰す

自分で歯茎の腫れを針で潰す

自分で歯茎に出来た白くぶよぶよとした腫れ(フィステル)を針の様なもので潰し、膿を押し出す行為はNGです。

全く意味がないばかりか、感染のリスクを高めるだけです。

フィステルを放置しても治りませんが、自分で治すことは不可能です。

市販薬でフィステルは自然治癒しない

市販薬でフィステルは自然治癒しない

市販薬でフィステルは自然治癒しない

市販薬をフィステルに塗る

市販薬を塗ったり、飲んでもフィステルは自然治癒しません。また、フィステルを一生懸命歯磨きをしても、消えることはありません。

フィステルは繰り返す

フィステルが作られるのは歯根嚢胞が原因なので、体調が良くなるとフィステルが消えることがあります。

フィステルが消えたからといって治ったわけではありません。体調不良になると再び歯茎の水ぶくれを繰り返します。

フィステルを放置

フィステルが作られる根尖性歯周組織炎(歯根嚢胞)は良性疾患なので、放置しても癌化することはありません。

フィステルは抗生物質では治らない

抗生物質

抗生物質

抗生物質は歯根嚢胞まで届かない

抗生物質は血流に乗って患部に届き、一定以上の濃度が保たれて初めて効果が出ます。1日に3回飲むのは血中濃度を一定に保つためです。(例外としてジスロマックは1日1回で3日間飲めば効く )

歯根嚢胞内には血管が入り込んでいません。そのため、歯根嚢胞内まで抗生物質が届かないのです。これが抗生物質では歯根嚢胞が治らない理由です。

当然フィステルを治すことは出来ません。

ただし、急性症状が起こった場合に抗生物質を投与する目的は、顎骨に広範囲に炎症が広がるのを防止するためです。

フィステルが作られるのは根管が細菌感染するからで、治療は根管治療を行ないます。歯根嚢胞が小さければ根管治療だけで治癒しますが、大き過ぎる場合、歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術が必要になります。

また、歯根嚢胞が急性化すると歯茎が大きく腫れ、激痛が起こるので切開して膿を出す必要があります。

歯根嚢胞が急性化

歯茎の切開排膿

歯茎の切開排膿

歯茎の切開排膿

フィステルが出来るまでの急性期は、歯茎全体がぶよぶよと大きく腫れ、強い痛みを伴うことがあります。

上下の歯が触れただけでも飛び上がるような痛みです。そんな時は腫れた周囲に浸潤麻酔をかけて歯茎を切開します。

切開すると黄色っぽい大量の膿が出てきます。それにより内圧が下がり痛みは消失します。同時に痛み止めや抗生物質の投与も行います。

そして、症状が安定してから根管治療を行います。

根管治療の流れ

STEP

01

レントゲン撮影

フィステルがあると必ず歯根嚢胞が出来ています。レントゲン撮影で歯根嚢胞の大きさを確認します。

歯根嚢胞が大きすぎると根管治療だけでは治癒出来ないケースがあるからです。

ただし、根管内が感染していても急性期には歯根嚢胞の形成が不十分で、レントゲン撮影しても歯根嚢胞が写らないことがあります。

この症例は根管治療だけで治癒できました。

レントゲン撮影

STEP

02

根管治療

ファイルと呼ばれる針のような器具を使い、感染した根管壁を削り取り、消毒を繰り返します。これを根管治療といいます。
急性症状がある時、根管治療すると根管内から大量の膿がどくどくと出ることがあります。膿が排泄されると同時に痛みが消失します。

根管治療を行う歯は神経が死んでいるので歯を削ったり、ファイルを差し込んでも痛みは起こりません。
また、歯髄炎が起きた時に神経を抜く治療の事を抜髄と呼びます。抜髄も根管治療も行う行為は同じです。

根管治療

STEP

03

根充

根管内が無菌的な状態になったら最終的な薬のガッタパーチャーポイントで根管内を密閉します。これを根充といます。

根充を成功させるには、歯根の長さを正確に測るためにファイルを入れたままでレントゲンを撮ります。これを根管長測定といい、電気的な根管長測定器も併用します。

根充

STEP

04

治癒

根充までの一連の治療が成功し、数ヶ月後には歯根嚢胞は消えました。膿が溜まっていた袋は次第に骨に置き換わっていきます。以後フィステルは出来ません。

レントゲン写真はファイバーコアをセットした時のものです。

歯根嚢胞が大き過ぎる

歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術

歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術

歯根嚢胞摘出術+歯根端切除術

歯根嚢胞を放置し、親指の大きさよりも大きくなった場合には根管治療での治癒が望めない時があります。

その時は歯根嚢胞摘出術及び歯根端切除術により歯根嚢胞を摘出し、歯根の先端部も切除します。

乳歯の虫歯

乳歯の虫歯

乳歯の虫歯

乳歯の虫歯の特徴

乳歯の虫歯は急速に進行しますが、痛みが起きにくい特徴があり、相当程度に進行しないと症状を訴えません。

この様に殆ど歯根が残っていない状態で感染根管になると根管治療をしてもなかなか治りません。乳歯の下から永久歯の頭が近くまで登ってきていれば抜歯が妥当です。

乳歯の虫歯のレントゲン

乳歯の虫歯のレントゲン

乳歯の虫歯のレントゲン

レントゲン写真の2本の矢印は乳歯です。虫歯が大きいですが、歯根吸収も進み、下から永久歯が萌出しようとしています。

乳歯は永久歯と交換する準備として歯根先端が徐々に吸収されます。そんな時に歯髄まで達する虫歯のレントゲンを撮ると広範囲に渡って歯根周辺に黒い影が見られます。

乳歯のフィステルの治療

ビタペックスを注入

ビタペックスを注入

乳歯のフィステル

乳歯に虫歯が出来て、細菌が神経まで到達すると、永久歯同様、フィステルが形成されます。

子供の歯茎に出来るフィステルの直径は5ミリを超えることもあり、永久歯よりも大きくなるのが特徴です。

治療法

治療法は根管内を消毒し、水酸化カルシウム製剤のビタペックスをフィステルから押し出す様にします。

間もなく永久歯が生えてくるような時期は、歯根の吸収が進み、根管治療が上手くいかないことがあります。そのような時は抜歯しても問題ありません。

フィステルや根管治療の治療費

保険治療

保険適用です。

内容保険点数
感染根管治療感染根管を綺麗にし、消毒する。根管が1本から3本以上で治療費が異なる1根管:150点
2根管:300点
3根管以上:438点
根管貼薬処置1歯1回につき1根管:38点
2根管:34点
3根管以上:46点
根管充填(加圧根充)加圧根充を行った時の点数1根管:276点
2根管:340点
3根管以上:414点
※ 根管治療が完了するまでの総保険点数は、大臼歯を例にすると(治療が最短で終わった場合)898点なので、一部負担金が3割とすれば2,694円となります。これに、初診料、再診料、処方箋料、レントゲン料、電気的根管長測定、冠やポストを除去した場合には除去費用などがかかります。薬は投薬内容により費用が異なりますが、薬局に支払う必要があります。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、天然歯の保存にこだわります。まずは虫歯を自然治癒させることを目標とし、極力抜かない・削らない・痛みの少ない低侵襲な虫歯治療が基本です。

患者様一人ひとりの虫歯の進行程度をしっかり診査・診断し、症状にあった適切な治療法をご提案いたします。江戸川区篠崎でフィステルや根管治療をご希望の方はぜひ、お気軽に当院までご相談下さい。

【動画】歯茎の出来物、フィステル、口内炎、口腔癌の見分け方

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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