エプーリス
エプーリスとは
歯肉の腫瘍類似疾患
エプーリスは歯茎に出来る腫れもので、真の腫瘍ではないため腫瘍類似疾患という分類になっています。写真は下顎1番を原因歯としたエプーリスです。
形はキノコの様に柄があり、歯根膜・骨膜・歯槽骨などから発生します。表面は少し凸凹して色はやや赤みを帯びることもありますが周りの歯肉とほぼ同じです。
硬さは毛細血管やコラーゲンの量により様々です。
好発部位は上顎前歯部の歯間乳頭部(歯と歯の間の歯肉)です。
症状
エプーリスは、通常は痛みを伴わず、成長が遅いですが、見た目が気になることや、歯茎の他の部分に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
原因
一般的に局所への慢性的な刺激や細菌感染や外傷による炎症に対する組織反応や歯周病、またはホルモンの変化が原因と考えられています。
種類
1. 線維性エプーリス (Fibrous Epulis)
線維性エプーリスは、繊維性結合組織から成る腫瘍で、硬く、成長が遅いのが特徴です。このタイプは、歯周病や歯石などの慢性的な刺激が原因となることが多く、外科的な切除が一般的な治療法です。
2. 血管性エプーリス (Vascular Epulis)
血管性エプーリスは、血管が豊富に含まれるため、赤みがかかっていて柔らかい腫瘍です。このタイプは比較的出血しやすく、妊娠中にホルモンの影響で発生しやすいことがあります。治療としては、外科的な切除が行われることが多いです。
女性の方が男性の2倍多いことから女性ホルモンが影響すると考えられています。妊娠により増加する女性ホルモンが誘因となり発生し、出産と共に消失または縮小するものを特に妊娠性エプーリスと呼んでいます。
3. 巨細胞性エプーリス (Giant Cell Epulis)
巨細胞性エプーリスは、骨や結合組織から発生し、しばしば歯間乳頭にできることが多い腫瘍です。通常は青紫色をしており、他のエプーリスに比べて成長が速い傾向があります。このタイプも外科的な切除が推奨されます。
4. 化膿性肉芽腫 (Pyogenic Granuloma)
化膿性肉芽腫は、急性の炎症反応により発生するエプーリスの一種で、歯肉や歯間乳頭に生じることが多いです。この腫瘍は赤く、柔らかく、出血しやすい特徴があります。治療には外科的な切除が必要で、炎症の原因を取り除くことも重要です。
5. 先天性エプーリス(Congenital Epulis)
稀に、新生児や乳児に見られるものを先天性エプーリスとして分類しています。慢性刺激とは関係なく、自然治癒します。先天性エプーリスは歯槽頂部に発生し、発育期の奇形的なものと考えられています。
治療
発生場所の組織(歯根膜・歯槽骨・骨膜)を含めて切除術が必要となります。歯根膜から発生している場合には原因歯の抜歯が必要になります。発生部位を含めずに切除すると再発します。エプーリスが疑われる場合は、早めに歯科医院を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることをおすすめします。
エプーリスの切除手術費用
保険診療
保険適用です。
手術名 | 内容 | 保険点数 |
---|---|---|
線維性エプーリス除去手術 | 軟組織に限局するもの | 600点 |
線維性エプーリス除去手術 | 硬組織に及ぶもの | 1,300点 |
※ さらに、初診料、再診料、指導料などがかかる場合があります。※保険点数は改定で変更になる場合があります。
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筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。