下顎神経(下歯槽神経)とは

  • 三叉神経の第3枝が下顎孔から入り下顎神経となって下顎管の中を走り、小臼歯の位置でオトガイ孔から皮膚側に出てオトガイ神経となり下唇に分布します。
  • 親知らずの抜歯やインプラントの埋入で下顎神経を損傷しないように十分注意が必要です。
  • 神経麻痺対策にはビタミンB12製剤が有効です。

下顎神経の解剖学的走行とその役割を理解する

下顎神経

下顎管を走る下顎神経 (白:神経 赤:動脈 青:静脈) とオトガイ孔
下顎管を走る下顎神経 (白:神経 赤:動脈 青:静脈) とオトガイ孔

下顎管を走る下顎神経 (白:神経  赤:動脈 青:静脈)

下顎骨の中の太い下顎管という管があります。その中を太い神経である下顎神経が走ります。下顎神経は3本ある三叉神経のうちの一本の第3枝で、下顎孔の手前で頬粘膜に分布する頬神経、舌に分布する舌神経、下顎骨の中を走行する下歯槽神経に枝分かれします。

また、下顎管の中には静脈や動脈も走っています。そして各歯や歯茎などの粘膜に分布して知覚をつかさどり、栄養を送っています。

親知らずの抜歯で下顎神経の麻痺リスク

親知らずと下顎神経の位置関係
親知らずと下顎神経の位置関係

親知らずと下顎神経の位置関係に注意

真横に埋まっている親知らずを抜歯する時に下歯槽神経(下顎神経)との距離が非常に重要です。

上記レントゲン写真のように下顎神経と親知らずの歯根との距離がわずかでも離れていれば抜歯時に下歯槽神経を損傷することはありませんが、歯根が下歯槽神経に接触していたり、まれに、下歯槽神経を抱きかかえている場合もあります。

このような親知らずを抜歯をすると下歯槽神経麻痺が起こってしまいます。その為、パノラマレントゲン写真だけでは診断が 難しいケースでは、CT撮影が必要となることもあります。

インプラント埋入で下顎神経の麻痺リスク

インプラントと下顎神経の位置関係
インプラントと下顎神経の位置関係

インプラントと下顎神経の位置関係に注意

インプラントを下顎の小臼歯から大臼歯部に埋入する時には下歯槽神経(下顎神経)との距離が非常に重要です。

骨の高さが十分になければインプラントを埋入出来ないこともあります。

下顎小臼歯近くに下歯槽神経が下顎骨から唇側に出る穴「オトガイ孔」があります。ここも傷つけないように十分な注意が必要な場所です。

2mm以上の距離がないと下歯槽神経を損傷するリスクが高まります。インプラントの手術においては正確な位置関係を把握するためにパノラマレントゲン写真だけではなくて CT 撮影も同時に行います。

下顎神経麻痺の治療法

ビタミンB12製剤のメチコバール
ビタミンB12製剤のメチコバール

ビタミンB12製剤のメチコバール投与

軽度の知覚麻痺や痺れであれば自然治癒しますが、重症の場合は、神経の修復再生を促進するビタミン B12を主要成分とするメチコバール錠500μg(一般名:メコバラミン錠)の投与が行われます。

星状神経ブロック

星状神経ブロックとは、一部の神経を一時的に遮断して、血流量を増やして神経を修復する効果を期待する処置です。

再縫合や移植術

下歯槽神経が完全に切断された場合には、神経の再縫合手術や移植手術が行われる場合もあります。

当院では歯科口腔外科分野の処置を、適切な検査・診断の元に実施しております。できる限り痛みやリスクを抑えた施術を心がけ、術後のケアまでしっかり実施致します。江戸川区篠崎にて、下顎神経麻痺の治療をご希望の方は、ふかさわ歯科クリニック篠崎までお気軽にご相談ください。

【動画】横向きに埋没した親知らずの抜き方

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

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メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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