目次

上唇小帯とは?

上唇小帯の基本的な構造

どこにあるのか?

上唇小帯(じょうしんしょうたい)とは、上唇と歯ぐき(歯槽骨)をつなぐ薄い筋(ひだ)のことです。上唇をめくると、前歯の中央付近から上唇に向かって伸びるスジ状の組織が確認できます。すべての人に存在し、その形や大きさには個人差があります。

子供の上唇小帯(正常)
子供の上唇小帯(正常)
役割と機能

上唇小帯は、口唇の動きをスムーズにし、上唇の位置を適切に保つ役割を持っています。具体的には以下のような機能があります。

  • 上唇の安定性を保つ:上唇が過度に動きすぎるのを防ぎ、正常な位置を維持します。
  • 発音や表情のサポート:口を開けたり話したりする際に適度な制限をかけ、スムーズな発声を助けます。
  • 口腔内の成長に関与:特に乳幼児期には、歯並びや口腔内の発達に影響を与えることがあります。

上唇小帯の異常とは?

上唇小帯の付着異常とは?

上唇小帯付着異常は、上唇と歯茎を繋ぐ筋が通常より太く長く、前歯の間まで伸びている状態を指します。この異常により前歯が離れ、すきっぱ歯が生じることがあります。特に子どもに多く見られますが、自然に改善しない場合もあります。治療には、上唇小帯の切除術(小帯切除術)や歯列矯正が一般的です。放置すると見た目や発音への影響、歯磨きのしにくさから虫歯や歯周病のリスクが高まるため、早めの診断と治療が重要です。

上唇小帯付着異常
上唇小帯付着異常
  • 過剰に発達している(太い・長い)
    • 上の前歯(中切歯)の間に入り込んで、すきっ歯(正中離開)の原因になる。
    • 矯正治療の際、後戻りを引き起こすリスクがある。
    • 上唇の可動域が制限され、発音や食事に影響が出ることがある。
    • 乳児では授乳時の吸い付きが悪くなる場合がある。

このような症状が見られる場合は、経過観察や適切な処置が必要になります。

上唇小帯の異常による影響

歯並びやかみ合わせへの影響

すきっ歯(正中離開)の原因になる?

上唇小帯が太く長い、または前歯の間まで入り込んでいる場合、前歯が自然にくっつくのを妨げ、すきっ歯(正中離開) の原因になることがあります。
特に、乳歯から永久歯に生え変わるタイミング(6〜7歳ごろ)で問題が目立ちやすくなります。

上唇小帯が長く前歯の間まで入り込んでいることが原因と考えられるすきっ歯(正中離開)
上唇小帯が長く前歯の間まで入り込んでいることが原因と考えられるすきっ歯(正中離開)
  • 成長とともに自然に閉じるケースもある
    一部の子どもでは、永久歯が生えそろうと上唇小帯の位置が変わり、自然に隙間が閉じることもあります。
  • 矯正治療が必要になるケースも
    すきっ歯が改善されない場合、小帯を切除しないと矯正治療の効果が出にくい ことがあります。
    そのため、歯科医師と相談しながら適切なタイミングで処置を検討することが重要です。
矯正治療との関連

上唇小帯の異常があると、矯正治療に以下のような影響を与える可能性があります。

  1. 矯正後の後戻りのリスク
    小帯が歯の間に食い込んでいると、矯正治療で歯を動かしても、小帯の力によって歯が元の位置に戻りやすい という問題があります。
  2. 矯正前に小帯切除が推奨されるケース
    すきっ歯の治療を行う前に、上唇小帯の切除を行うことで、矯正治療の効果を高め、後戻りのリスクを減らす ことができます。
    ただし、全員が切除の必要があるわけではなく、歯科医の診断が重要です。

発音や口の動きへの影響

発音障害のリスク

上唇小帯が短すぎたり、硬く発達しすぎたりすると、上唇の可動域が制限され、発音に影響を与える ことがあります。
特に影響を受けやすいのは、「パ行」「バ行」「マ行」 の発音で、口を大きく開ける音が発しづらくなることがあります。

  • 軽度のケースでは影響なし
    軽い異常では、日常会話には支障がないことが多いですが、スムーズな発声がしにくいと感じることがあります。
  • 重度のケースでは言語訓練や手術が必要になることも
    口唇の動きが大きく制限されている場合は、言語療法(発音トレーニング)や、小帯の切除手術を検討することがあります。
口唇の可動性への影響

上唇小帯が短いと、上唇を十分に動かせない ため、以下のような影響が考えられます。

  • 笑顔がぎこちなくなる
    • 上唇を十分に上げられず、自然な笑顔が作りにくい。
    • 上の歯が見えにくくなることがある。
  • 口を大きく開ける動作が難しい
    • 食事や会話の際に違和感を覚えることがある。
  • 乳幼児の場合、授乳に影響を与えることも
    • 上唇をしっかり閉じられず、吸う力が弱くなることがある。

口腔衛生とむし歯・歯周病のリスク

食べかすが溜まりやすくなる?

上唇小帯が太かったり、歯の間に入り込んでいたりすると、食べかすやプラーク(歯垢)が溜まりやすくなる ことがあります。
特に以下のような問題が起こる可能性があります。

  • 歯と歯の間の清掃が難しくなる
    • 小帯が邪魔をして、歯ブラシやデンタルフロスを通しにくい。
  • 細菌の繁殖が促進される
    • 食べかすが残ることで、むし歯や歯肉炎のリスクが高まる。
歯磨きのしやすさとの関係

上唇小帯が長すぎたり、太すぎたりすると、適切な歯磨きがしにくくなります。

  • 歯ブラシが小帯に引っかかる
    • 強く磨くと痛みを感じるため、ブラッシングが不十分になることがある。
  • フロスを使いづらい
    • 小帯が歯の間まで入り込んでいると、デンタルフロスの使用が困難になる。
  • 炎症を起こしやすい
    • 清掃不足によって、歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりする。

授乳や食事への影響(乳幼児の場合)

  • 乳児期では、上唇の可動域が狭くなることで、授乳がしにくくなる場合がある。
  • 離乳食の際に口を大きく開けにくくなり、食べづらさを感じることがある。

対策

  • むし歯や歯周病のリスクを軽減するためには、適切なブラッシング方法を歯科医に相談する ことが重要です。
  • 必要に応じて、歯科医での定期的なクリーニングやフッ素塗布 を行うとよいでしょう。
  • 小帯が大きく影響している場合は、切除手術を検討することもあります。

上唇小帯の診断方法

歯科検診での指摘ポイント

赤ちゃんの健診で指摘されることが多い?

上唇小帯は、特に赤ちゃんの健診時に指摘されることが多いです。乳児期には、授乳時に上唇の動きや吸い付きがうまくいかない場合に気づかれることがあり、その時に上唇小帯の異常が発見されることがあります。
具体的な指摘のポイントは以下の通りです。

  • 授乳時のトラブル
    赤ちゃんが母乳を吸いにくい、あるいは授乳後に口唇の動きが不自然に見える場合、上唇小帯の異常が考えられます。
  • 上唇の動きの制限
    上唇がうまく上がらず、上の歯茎や歯が見えにくいことも指摘されます。
  • 正中離開(すきっ歯)
    乳歯が生え始める時期に、正中離開(前歯の隙間)が見られると、上唇小帯の異常が原因となっている場合があります。
成長とともに変化する可能性

上唇小帯は、成長とともにその位置や大きさが変化することがあります。
乳児期に異常が見られなくても、成長とともに目立つようになったり、逆に小さくなったりすることもあります。
そのため、小児期に注意深く観察し、必要に応じて治療を行うことが重要です。

  • **乳歯が生え変わる時期(6歳頃)**に再度小帯の状態をチェックすることが推奨されます。
  • 成長後に小帯が引っ張られて、歯並びに影響が出る場合もあります。

自宅でできるチェック方法

異常の有無を見分けるポイント

自宅で簡単に上唇小帯の異常をチェックする方法はあります。以下のポイントに注意し、気になる点があれば歯科医に相談しましょう。

  1. 上唇をめくって確認
    • 上唇を軽くめくって、前歯の中央部分にスジ(小帯)が見えるか確認します。
    • スジが目立ちすぎていたり、歯茎に深く入り込んでいたりする場合は、異常があるかもしれません。
  2. 上唇を動かしてみる
    • 上唇を少し上に引き上げたり、横に動かしたりして、唇の動きに制限がないかを確認します。
    • 動きが制限されている、または痛みを感じる場合、小帯が異常に短かったり硬かったりする可能性があります。
  3. すきっ歯が見られるか
    • 上唇小帯が原因で、前歯に隙間(すきっ歯)ができていないかを確認します。
    • すきっ歯が見られる場合、小帯が原因の一つとして考えられるため、早めにチェックが必要です。
  4. 授乳や食事での問題
    • 赤ちゃんの場合、授乳時に口をうまく開けない、または食事時に口元の動きがぎこちない場合、上唇小帯の異常が影響していることがあります。

自宅で簡単にチェックできる方法ですが、あくまで目安ですので、心配な場合は歯科医に相談し、専門的な診断を受けることをお勧めします。

上唇小帯の治療法

上唇小帯切除術とは?

どんな場合に必要になるのか?

上唇小帯の異常が軽度であれば、特に治療の必要はありません。しかし、以下のようなケースでは**上唇小帯切除術(フレネクトミー)**が推奨されることがあります。

上唇小帯切除術
上唇小帯切除術
  • 正中離開(すきっ歯)が改善しない場合
    • 上唇小帯が前歯の間に入り込んでいると、歯が自然に閉じにくくなります。
    • 矯正治療をしても、小帯の影響で後戻りしやすいため、切除が推奨されます。
  • 矯正治療の効果を妨げる場合
    • 矯正装置で歯を動かしても、小帯が影響して歯並びが整いにくいことがあります。
    • 矯正治療前または治療中に切除することで、スムーズな歯の移動が期待できます。
  • 発音や口唇の動きに問題がある場合
    • 「パ」「バ」「マ」行の発音がしにくい場合、小帯の異常が関係している可能性があります。
    • 小帯を切除することで、唇の動きが改善され、発音がスムーズになることがあります。
  • 上唇の可動域が極端に狭い場合
    • 笑ったときに上唇が持ち上がりにくい、口を大きく開けにくい場合、小帯の異常が原因のことがあります。
    • 切除することで、口唇の可動域が改善されることがあります。
手術の流れと方法

上唇小帯切除術(フレネクトミー)は比較的簡単な処置 であり、一般的に短時間で終わります。以下が手術の流れです。

  1. 診断と事前説明
    • 歯科医が口腔内を診察し、切除が必要かどうか判断します。
    • 手術の方法、リスク、術後のケアについて説明があります。
  2. 麻酔の実施
    • 通常、局所麻酔を使用し、手術中の痛みを軽減します。
    • 小児の場合、不安が強い場合は笑気麻酔や鎮静法を併用することもあります。
  3. 小帯の切除
    • ハサミやメスを使って小帯を切除する方法と、レーザーを使う方法があります。
    • レーザーを使用すると出血が少なく、治癒が早い傾向があります。
  4. 縫合(必要に応じて)
    • 一般的に、傷口は自然に治るため、縫合しないこともあります。
    • 縫合が必要な場合は、**吸収糸(自然に溶ける糸)**を使用することが多いです。
  5. 術後の確認と経過観察
    • 手術後、歯科医が経過を確認し、適切なアフターケアを指導します。

上唇小帯切除術の費用

保険診療

保険適用です。

手術名内容保険点数
上唇小帯切除術浸潤麻酔下で上唇小帯切除630点
※ 3割負担の場合の費用は約2,000円になります。※ 麻酔費用は含まれます。
このほか、初診料、再診料、処方箋料、指導料、レントゲン撮影料などがかかることがります。薬は投薬内容により費用が異なりますが、薬局に支払う必要があります。

手術後の回復とケア

術後の痛みや腫れはどのくらい?

上唇小帯切除術は比較的軽度な手術のため、術後の痛みや腫れは最小限です。

  • 痛み
    • 術後1~2日は違和感や軽い痛みを感じることがあります。
    • 鎮痛剤(市販の痛み止め)が処方されることもあります。
  • 腫れ
    • 軽度の腫れが生じることがありますが、2~3日で治まることがほとんどです。
  • 出血
    • レーザー手術の場合はほとんど出血しませんが、通常の切除術では軽い出血が見られることがあります。
    • しばらく圧迫止血をすれば、出血は落ち着きます。
自宅でできるケア方法

術後の回復をスムーズにするため、以下のケアを行いましょう。

  1. 手術当日は刺激の少ない食事をとる
    • **やわらかい食べ物(スープ、おかゆ、ゼリーなど)**を中心にする。
    • 熱い飲み物や刺激物(辛い食べ物、炭酸飲料)は避ける。
  2. 口を清潔に保つ
    • 手術当日は歯磨きの際に傷口に直接触れないように注意する。
    • 翌日からは軽くうがいをする。歯磨き時は傷口に優しくブラッシングを行う。
  3. 激しい運動や入浴を避ける
    • 術後1~2日は**血行が良くなる行動(長風呂、激しい運動)**を避ける。
  4. 痛みがある場合は鎮痛剤を使用する
    • 医師から処方された鎮痛剤を服用し、痛みをコントロールする。
  5. 経過観察を受ける
    • 術後1~2週間後に再診し、傷の治癒状態を確認する。

手術しない場合の対処法

経過観察で問題ないケース

すべての上唇小帯の異常が手術を必要とするわけではありません。以下のような場合は、経過観察で様子を見ることが推奨されます。

  • 乳児期の軽度な異常
    • 上唇小帯が太い場合でも、乳歯から永久歯への生え変わりとともに自然に改善することがあります。
  • 正中離開が自然に閉じる可能性がある場合
    • 永久歯が生えそろうにつれて、すきっ歯が改善することがあります。
  • 発音や口唇の動きに大きな影響がない場合
    • 発音や口の動きに問題がない場合は、切除せずに様子を見ることが一般的です。
矯正治療で対応できるケース

手術を行わずに、矯正治療で改善できるケースもあります。

  • 正中離開が軽度の場合
    • 小帯の影響が少なければ、矯正装置やワイヤーで歯を動かし、すきっ歯を閉じることができます。
  • 矯正用のゴム(エラスティック)を利用
    • 矯正治療中に歯の間の隙間を閉じるために、**エラスティック(ゴム)**を使用することで、上唇小帯の影響を最小限に抑えることができます。
  • 後戻り防止のリテーナーを使用
    • 矯正後に歯並びが元に戻るのを防ぐため、**リテーナー(保定装置)**を装着することで、小帯の影響を抑えられることがあります。

まとめ

上唇小帯の治療は、必ずしも手術が必要なわけではなく、成長に伴う変化や矯正治療で改善できる場合もあります
手術を検討する際は、歯科医師と十分に相談し、最適な治療法を選択することが重要です。

上唇小帯と小児矯正

矯正治療との関連性

矯正を始める前に切除すべき?

上唇小帯が太く、前歯のすき間(正中離開)に影響を与えている場合、矯正治療を始める前に切除したほうが良いケースがあります

切除を検討するべきケース

  • 上唇小帯が歯ぐきに深く入り込んでいる → すきっ歯の原因になる
  • 矯正で前歯を閉じようとしても、小帯の影響で歯が動かない
  • 矯正後に歯が後戻りするリスクが高い
  • 上唇の動きが制限され、発音や口の動きに問題がある

切除しなくてもよいケース

  • 上唇小帯がやや太い程度で、歯並びへの影響が軽微
  • 矯正後にリテーナー(保定装置)を使用することで安定が見込める
  • 成長に伴い、小帯が薄くなり影響が少なくなると予測される

矯正治療前の判断が重要
矯正を始める前に歯科医が上唇小帯の影響を診断し、切除の必要性を判断します。
切除が必要な場合は、矯正治療開始前または矯正中に処置を行うことが一般的です。


小児矯正で改善するケース

上唇小帯の異常が軽度であれば、矯正治療だけで歯並びを改善できることがあります

矯正で改善が期待できるケース

  • 乳歯から永久歯に生え変わる過程で自然にすき間が閉じる可能性がある
  • 軽度の正中離開であれば、矯正治療による歯の移動で改善可能
  • 矯正用のゴム(エラスティック)やワイヤーを使うことで、小帯の影響を最小限に抑えられる
  • 矯正後にリテーナー(保定装置)を使用し、後戻りを防ぐ

ただし、小帯の影響が大きい場合は、矯正単独では改善が難しいため、歯科医と相談のうえ、適切な対応を決めることが大切です。

上唇小帯が太い場合の矯正リスク

矯正後の後戻りリスク

上唇小帯が太い場合、矯正で歯並びを整えても、**歯が元の位置に戻りやすい(後戻り)**というリスクがあります。

後戻りの原因

  • 小帯が歯と歯の間に入り込んでいると、前歯が元の位置に戻ろうとする力が働く
  • 小帯の張力が強く、矯正後に歯を押し広げる影響を及ぼす
  • 矯正後のリテーナー(保定装置)を外すと、再び歯が開く可能性がある

後戻りを防ぐ方法

  • 矯正治療前に小帯を切除する → 矯正の効果を高め、安定した歯並びを維持しやすくなる
  • 矯正後に長期間リテーナーを装着 → 小帯の影響を抑え、歯並びの後戻りを防ぐ
  • 矯正中に経過観察を行い、必要なら小帯切除を追加 → すぐに切除せず、矯正の進行を見ながら判断することも可能

まとめ

  • 上唇小帯が太い場合、矯正治療前に切除したほうが良いケースがある
  • 軽度であれば、矯正のみで改善できる可能性もある
  • 後戻りのリスクを防ぐため、矯正後のリテーナー管理が重要

矯正治療と上唇小帯の影響は密接に関係しているため、歯科医とよく相談し、最適な治療計画を立てることが大切です。

上唇小帯の異常は、成長とともに自然に変化することがあります。特に、小児期に見られる軽度の異常は、以下の理由で自然に改善するケースがあります。

  • 歯の成長に伴う変化
    • 乳歯が永久歯に生え変わると、上唇小帯の付着位置が相対的に変わることがあります。
    • 永久歯が生えそろうにつれて、前歯のすき間が自然に閉じることもあります。
  • 上唇小帯の縮小
    • 成長とともに、小帯自体が薄く柔らかくなり、目立たなくなる場合があります。
    • 特に乳幼児期に上唇小帯が太いと指摘されても、経過観察で問題が解決することもあります。

ただし、以下のケースでは自然治癒が難しいため、治療を検討する必要があります。

矯正治療に影響を与えるほど太い・硬い

小帯が前歯の間に深く入り込んでいる

すきっ歯が明らかに進行している

上唇小帯切除術を受けるタイミングは、症状や歯並びへの影響によりますが、一般的に以下の時期が推奨されます。

  • 3〜6歳ごろ(幼児期)
    • 発音や口の動きに影響がある場合、早めの切除を検討。
    • 授乳や食事に問題がある場合、小児歯科医と相談する。
  • 6〜12歳ごろ(混合歯列期)
    • 乳歯から永久歯に生え変わる時期。
    • すきっ歯の原因となる場合、前歯の永久歯が生えそろうタイミング(7〜8歳頃)で治療を考えることが多い。
    • 矯正治療を開始する前に、切除を検討することもある。
  • 矯正治療開始前または治療中
    • 歯科矯正を行う際に、小帯が邪魔になる場合は矯正開始前に切除するのがベスト
    • ただし、矯正治療中に経過を見ながら判断することも可能。
  • 成人でも治療可能
    • 上唇小帯の異常が審美面や口の機能に影響を与えている場合、大人でも手術を受けることが可能

上唇小帯切除術の費用は、保険診療か自由診療かによって異なります。

  • 保険適用の場合(一般的な歯科・口腔外科での処置)
    • 3,000円〜5,000円程度(3割負担の場合)
    • 症状が明らかで、機能的な問題(発音障害・矯正治療に必要など)がある場合、保険適用されることが多い
  • 自由診療(レーザー手術など)
    • 20,000円〜50,000円程度(歯科医院や地域によって異なる)
    • レーザーを使用することで、痛みや出血を抑え、治癒を早めるメリットがあるが、自由診療となるケースが多い。
  • 矯正治療との併用
    • 矯正歯科での処置の場合、矯正治療費用に含まれることもあるため、歯科医院に確認が必要。

費用はクリニックによって異なるため、事前に相談することが推奨される。

基本的に、上唇小帯切除術を受けた後に再発することはほとんどありません
しかし、以下のような場合には、再発の可能性があることを理解しておく必要があります。

  • 小帯を完全に切除しなかった場合
    • 小帯の一部を残す形で処置した場合、傷口が治る過程で再び硬くなることがある
    • そのため、しっかりと小帯を切除することが重要。
  • 術後のケアが不十分だった場合
    • 手術後に上唇を適切に動かすリハビリをしなかった場合、瘢痕組織(かさぶたのようなもの)が硬くなり、再発のように感じることがある
    • 術後は適切なストレッチやマッサージを行うことで、組織の柔軟性を保つことが大切
  • 成長による変化
    • 乳幼児期に切除しても、成長とともに別の問題が出てくる可能性があるため、経過観察が必要。

上唇小帯切除術は大人でも受けることが可能です。
小児期に治療を受けなかった場合でも、以下のような理由で成人になってから手術を希望するケースがあります。

  • 歯並び・矯正治療のため
    • 成人矯正を受ける際に、小帯が影響する場合、矯正開始前または矯正中に切除することが推奨される。
  • 発音や口の動きに問題がある場合
    • 口唇の可動域が狭く、特定の発音(パ行、バ行など)に違和感がある場合、切除で改善することがある。
  • 審美面での改善を希望する場合
    • 上唇の動きが制限されていると、笑顔の印象が変わるため、より自然な口元にしたいという理由で手術を受ける人もいる
  • 痛みや違和感を感じる場合
    • 小帯が太くて硬いと、食事や歯磨きの際に違和感や痛みを感じることがある。

大人の場合の手術の特徴

  • 局所麻酔で行われ、術後のダウンタイムは短い
  • レーザーを使用すれば、痛みや出血を抑えることが可能
  • 仕事や日常生活に影響が少ない(術後1〜2日で通常の生活が可能)

大人でも問題なく手術が可能だが、必要性があるかどうか歯科医に相談することが重要。

まとめ

  • 上唇小帯は成長とともに自然に改善することもあるが、症状によっては手術が必要
  • 手術の最適なタイミングは6〜12歳(矯正開始前)だが、大人でも手術は可能
  • 保険適用で3,000円〜5,000円、自由診療の場合は20,000円以上かかることもある
  • 手術後の再発はほとんどないが、術後のケアが重要
  • 成人になってからでも、矯正治療や審美目的で手術を受けることができる

上唇小帯に関する疑問を解消し、適切な治療を選択するためには、歯科医との相談が不可欠です。

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【動画】すきっ歯とは?原因から治療まで徹底解説

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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