総入れ歯装着率-2016年の歯科疾患実態調査の調査結果

厚生労働省が5年に1度実施する歯科疾患実態調査によると、総入れ歯の装着率は50歳代から1%を超えるようになり、80歳を超えると30%以上の人が総入れ歯になっている事が分ります。臨床をしている歯科医師としては、実態よりももう少し多い様な感覚です。

30代、40代では統計に現れていませんが、少ないとは言え若い女性でも総入れ歯の患者さんはいます。

痛くて食事が出来ない

顎堤が平坦となり総入れ歯を装着しても不安定です。食事のたびに顎堤に傷を作り、痛みを繰り返しています。

下顎総入れ歯の難症例
下顎総入れ歯の難症例

下顎の顎堤(土手)がほぼ平坦になってなす。ここペースで歯槽骨が吸収をうけると、総入れ歯はガタガタ動き、痛みが起こって上手に噛むことができません。

この様な難症例では高度な印象テクニック、咬合採得のテクニックが必要となります。

保険適用の総入れ歯では対応が極めて困難なケースです。

下顎総入れ歯の裏面
下顎総入れ歯の裏面

保険適用の治療方法だと安定が悪く、吸着もしません。痛みを繰り返すのでシリコーン裏層剤(裏打ち)を貼っています。

シリコーン裏層剤を貼っても材料の厚い場所、薄い場所が出来る為、複数回の調整が必要になります。

顎堤が平坦になる理由

抜歯をすると抜いた歯の周りの歯槽骨はどんどん吸収していき、顎堤は平坦に近づきます。特に吸収が激しいのは下顎です。上顎に比べ下顎の顎堤は面積が狭いので咬合圧が加わる刺激で骨の吸収が速いのです。

若い年齢で総入れ歯になった場合、初めの頃は顎堤がしっかりしているので比較的噛める入れ歯になりますが、総入れ歯を長年使い続けると次第に歯槽骨は吸収を受け、顎堤が平坦となり義歯が動きやすくなります。同時に痛みが起こりやすくなり、満足に食事が摂れなくなります。

総入れ歯が落ち

フラビーガム
フラビーガム

フラビーガム

フラビーガムとはぶよぶよしたこんにゃく状の歯茎のことをいいます。歯槽骨が吸収して溶けていくと粘膜下組織が増殖する現象です。

写真は上顎口蓋部にできたフラビーガムです。上顎総入れ歯の吸着を困難にし、簡単に落ちてしまいます。

総入れ歯が落ちるメカニズム

フラビーガムがあると総入れ歯の維持や安定は得られません。総入れ歯の前歯が下顎の前歯に先に当たってから臼歯が当たるようになります。そうすると臼歯の後ろから空気が入り総義歯は浮上してしまいます。

そのため、簡単に脱離してしまうのです。

また、上顎の歯槽骨が吸収を受け、平坦になると入れ歯が落ちやすくなってしまいます。

外科的切除

フラビーガムを外科的に切除しても増殖を繰り返すため推奨されません。

リべース(リライン)とは

口腔内でシリコーン裏層剤を総入れ歯に裏打ちする事をリべース(リライン)と言います。総入れ歯が落ちる時や痛みが出た時に有効です。

総入れ歯の内面を少し削り、シリコーン裏層剤を内面に盛り、口腔内に挿入します。舌や頬を運動させながら硬化を待ちます。バリが出来るので、後日除去し、研磨します。

※ リべース(リライン)は保険適用です。

リべース材
リべース材

メリット

  • 口の中で固めるので簡単に出来ます。
  • シリコーン裏層剤は固まってもゴムの様に弾性があり、クッションの役割を果たし、粘膜の痛みの発生を減少させます。
  • 5分ほどで固まるので預かることもなく、そのまま使えます。

デメリット

  • シリコーン裏層剤の厚みが不均一となり、厚い場所で約1mm、薄い場所で約0.1mmなどとなり、難症例では痛みの発生を抑えるには不十分なことも多くあります。
  • 材質の劣化が起こり、張り替える必要があります。その際、粘膜の痛みが起きやすく、調整が必要です。
  • 匂いに敏感な患者さんは、不快に感じることもあります。

レジン床総入れ歯の費用

保険治療

保険適用です。

一部負担金は上下で約2万円

印象採得(歯型取り)をして、咬合採得(上下の高さを測る)、仮床試適、最終的に装着、装着後の義歯調整などにかかる費用は、1床(上または下)の健康保険の一部負担金が約1万円です。

上下同時に作成する場合が多いので、上下合わせて2万円ほどです。これ以外に初診料、再診療、各種指導料などが加算されます。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、入れ歯が頻繁に割れるという方や、もっと噛める入れ歯が欲しい方、目立たない部分入れ歯をお求めの方など、一人一人のご要望に合った入れ歯をご提案させていただきます。

様々なお口の条件にも納得できる入れ歯をご提供するために多数の素材をご用意し、高い技術力の歯科技工士と連携しております。総入れ歯の作製をご希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひ江戸川区篠崎にある当院へお気軽にご相談下さい。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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