- 1. 【🎞️ 44秒】保険と自費の総入れ歯の違いは?費用や特徴を比較!
- 2. 総入れ歯とは?痛い・外れる・噛めない原因と種類、費用
- 3. 総入れ歯とは
- 3.1. 食べ物を噛む機能を補う
- 3.2. 発音や会話を助ける
- 3.3. 口元や顔貌を支える
- 4. 総入れ歯が必要になる主な原因
- 4.1. 重度の歯周病
- 4.2. 重度の虫歯
- 4.3. 歯の破折や外傷
- 4.4. 長期間にわたる部分入れ歯の使用
- 5. 総入れ歯でよくある悩みと原因
- 5.1. 総入れ歯が痛い
- 5.2. 総入れ歯が外れる・浮く
- 5.3. 総入れ歯で噛めない
- 5.4. 入れ歯の下に食べ物が入る
- 5.5. 発音しにくい
- 5.6. 吐き気がする
- 6. 総入れ歯が合わなくなる原因
- 6.1. 顎の骨が徐々に痩せる
- 6.2. 人工歯がすり減る
- 6.3. 入れ歯が変形・破損している
- 6.4. 体重や全身状態が変化した
- 7. 良い総入れ歯を作るために大切なこと
- 7.1. 精密な型取り
- 7.2. 噛み合わせの位置と高さ
- 7.3. 人工歯の位置
- 7.4. 仮の歯並びで確認する試適
- 7.5. 装着後の調整
- 8. 総入れ歯の種類
- 8.1. 保険適用のレジン床義歯
- 8.1.1. メリット
- 8.1.2. デメリット
- 8.2. 自費診療の金属床義歯
- 8.2.1. 金属床義歯のメリット
- 8.2.2. 金属床義歯のデメリット
- 8.2.2.1. コバルトクロム
- 8.2.2.2. チタン
- 8.2.2.3. 金合金・白金加金
- 9. 精密義歯・BPS義歯
- 9.1. 特徴
- 10. デジタル義歯・3Dプリンター義歯
- 10.1. メリット
- 11. 吸着義歯とは
- 11.1. 吸着しやすさに影響する要素
- 12. インプラントオーバーデンチャーという選択肢
- 12.1. メリット
- 12.2. デメリット
- 13. 総入れ歯と固定式インプラントの違い
- 14. 保険と自費の総入れ歯を比較
- 15. 総入れ歯の費用
- 15.1. 当院の上顎コバルトクロム金属床の費用
- 16. 総入れ歯が完成するまでの治療の流れ
- 16.1. 1.初診・口腔内検査
- 16.2. 2.おおまかな型取り
- 16.3. 3.精密な型取り
- 16.4. 4.噛み合わせの記録
- 16.5. 5.人工歯の試適
- 16.6. 6.総入れ歯の完成・装着
- 16.7. 7.装着後の調整
- 17. 抜歯後すぐに歯がない期間をつくらない即時義歯
- 17.1. 即時義歯のメリット
- 17.2. 即時義歯の注意点
- 18. 総入れ歯でどのくらい噛める?
- 19. 総入れ歯に慣れるまでの期間
- 19.1. 慣れるためのポイント
- 20. 入れ歯安定剤は使ってもよい?
- 21. 総入れ歯の正しいお手入れ方法
- 21.1. 食後は流水で洗う
- 21.2. 入れ歯専用ブラシを使用する
- 21.3. 歯磨き粉は使用しない
- 21.4. 義歯洗浄剤を活用する
- 21.5. 熱湯を使用しない
- 21.6. 歯ぐき・舌・口蓋も清掃する
- 22. 就寝時は総入れ歯を外すべき?
- 23. 総入れ歯の寿命と作り替えの目安
- 24. 総入れ歯を長く快適に使うために
- 25. 総入れ歯に関するよくある質問
- 25.1. 総入れ歯は何歳から使用できますか?
- 25.2. 総入れ歯でも硬いものを食べられますか?
- 25.3. 総入れ歯が外れないようにする方法はありますか?
- 25.4. 保険の総入れ歯でも噛めますか?
- 25.5. 入れ歯が痛いときは外したほうがよいですか?
- 25.6. 壊れた入れ歯を接着剤で直してもよいですか?
- 25.7. 総入れ歯は何年ごとに作り替えますか?
- 26. 総入れ歯が合わないと感じたら我慢せずにご相談ください
- 27. 【動画】目立たない部分入れ歯のスマイルデンチャー
- 28. 筆者・院長
- 28.1. 深沢 一
- 28.1.1. メッセージ
【🎞️ 44秒】保険と自費の総入れ歯の違いは?費用や特徴を比較!
総入れ歯とは?痛い・外れる・噛めない原因と種類、費用
「総入れ歯にすると、もう硬いものは食べられないのではないか」「入れ歯が外れたり、痛くなったりしないか」と不安に感じている方は少なくありません。
また、すでに総入れ歯を使用している方の中にも、次のようなお悩みを抱えている方がいます。
- 食事中に入れ歯が動く
- 歯ぐきに当たって痛い
- 硬いものが噛めない
- 会話中に外れそうになる
- 食べ物が入れ歯の下に入り込む
- 発音しにくい
- 入れ歯を入れると吐き気がする
- 口元が痩せて老けて見える
- 入れ歯安定剤が手放せない
総入れ歯は、歯を失った部分を補うだけの装置ではありません。噛む、話す、飲み込む、表情をつくるといった日常生活に欠かせない機能を支える大切な治療です。
お口の状態に合った総入れ歯を製作し、適切な調整とメンテナンスを続けることで、食事や会話をより快適に楽しめる可能性があります。
総入れ歯とは

総入れ歯とは、上顎または下顎の歯をすべて失った場合に装着する、取り外し式の人工歯です。「総義歯」や「全部床義歯」と呼ばれることもあります。
部分入れ歯とは異なり、残っている歯に金具をかけて固定することができません。そのため、歯ぐきや顎の形、唾液、頬や舌などの筋肉の働きを利用して入れ歯を安定させます。
総入れ歯には、主に次のような役割があります。
食べ物を噛む機能を補う
歯がない状態では、食べ物を十分に細かくできず、食べられるものが限られてしまいます。総入れ歯によって咀嚼機能を補うことで、食事の選択肢を広げやすくなります。
ただし、天然歯とまったく同じ力で噛めるわけではありません。顎の骨や粘膜の状態、入れ歯の設計、噛み合わせなどによって噛みやすさには個人差があります。
発音や会話を助ける
前歯を失うと、「サ行」「タ行」「ラ行」などが発音しにくくなることがあります。
総入れ歯は、舌が触れる位置や空気の流れを整え、発音を補助する役割もあります。装着直後は話しにくく感じることがありますが、練習と調整によって改善するケースが多くあります。
口元や顔貌を支える
歯を失うと、唇や頬を内側から支えるものがなくなり、口元がしぼんだり、ほうれい線が深くなったりすることがあります。
総入れ歯によって唇や頬を適切に支えることで、口元の形や顔全体のバランスを整えやすくなります。
総入れ歯が必要になる主な原因

すべての歯を失う原因は一つではありません。複数の要因が重なって総入れ歯が必要になることもあります。
重度の歯周病
歯周病は、歯を支える歯ぐきや顎の骨が細菌感染によって破壊される病気です。
進行すると歯が大きく揺れ、最終的には抜歯が必要になることがあります。複数の歯に重度の歯周病が起きている場合、残せる歯がほとんどなくなり、総入れ歯が選択されることがあります。
重度の虫歯
虫歯を長期間放置すると、歯の根まで大きく壊れ、被せ物や根管治療では修復できなくなることがあります。
複数の歯が重度の虫歯になっている場合には、抜歯後に総入れ歯を製作することがあります。
歯の破折や外傷
事故や転倒、スポーツ中の衝突などによって多数の歯を失うことがあります。
また、過去に治療した歯の根が割れ、保存が難しくなるケースもあります。
長期間にわたる部分入れ歯の使用
歯を少しずつ失い、部分入れ歯を作り替えていくうちに、最終的に残っている歯をすべて失うこともあります。
ただし、残っている歯の状態によっては、歯の根を利用するオーバーデンチャーなど、完全な総入れ歯以外の方法を選べる場合があります。
総入れ歯でよくある悩みと原因

総入れ歯の使い心地は、顎の形や唾液量、噛み合わせ、入れ歯の精度などによって変わります。
「総入れ歯だから仕方がない」と我慢している症状でも、調整や修理、作り替えによって改善できることがあります。
総入れ歯が痛い
総入れ歯の一部が歯ぐきに強く当たると、食事や会話の際に痛みが出ることがあります。
主な原因は次のとおりです。
- 入れ歯の内面と歯ぐきの形が合っていない
- 噛む力が一部分に集中している
- 顎の骨が痩せて粘膜が薄くなっている
- 入れ歯の縁が長すぎる
- 噛み合わせがずれている
- 入れ歯の下に食べ物が入り込んでいる
痛みがある場合、自己判断で入れ歯を削るのは避けてください。削りすぎると、さらに外れやすくなったり、噛み合わせが崩れたりすることがあります。
痛みが出る場所を確認したうえで、歯科医院で少しずつ調整することが大切です。
総入れ歯が外れる・浮く

特に下顎の総入れ歯は、上顎よりも安定しにくい傾向があります。
下顎は入れ歯を支える面積が小さく、舌や頬、唇が頻繁に動くため、食事や会話の際に浮き上がりやすいからです。
主な原因には、次のようなものがあります。
- 顎の骨が痩せている
- 入れ歯と粘膜の間に隙間がある
- 入れ歯の縁の長さや厚みが合っていない
- 噛み合わせがずれている
- 舌や頬の動きと入れ歯の形が合っていない
- 唾液量が少ない
入れ歯安定剤を使うことで一時的に安定することはありますが、毎日のように大量の安定剤が必要な場合は、入れ歯自体が合っていない可能性があります。
総入れ歯で噛めない
総入れ歯で噛めない原因は、単純に入れ歯が緩いだけとは限りません。
- 噛み合わせの高さが合っていない
- 左右のバランスが悪い
- 人工歯が摩耗している
- 痛みを避けて片側だけで噛んでいる
- 顎の骨が大きく吸収している
- 入れ歯が動いて力を伝えられない
噛み合わせが不安定な状態では、入れ歯の下の粘膜に偏った力が加わり、痛みやズレを引き起こします。
入れ歯の内面だけでなく、上下の人工歯がどの位置で接触しているかを確認する必要があります。
入れ歯の下に食べ物が入る
入れ歯と歯ぐきの間に隙間があると、食事中に細かい食べ物が入り込みやすくなります。
また、入れ歯が動くことによって食べ物を内側へ巻き込んでしまうこともあります。
入れ歯の裏側を新しい材料で補うリラインやリベースによって改善できる場合がありますが、入れ歯そのものの形や噛み合わせに問題がある場合は、作り替えが必要です。
発音しにくい
総入れ歯を入れると、舌が動く空間や舌先が触れる位置が変わるため、一時的に発音しにくくなることがあります。
特に「サ行」「タ行」「ラ行」は影響を受けやすい発音です。
新聞や本を声に出して読む練習を続けることで改善することがありますが、長期間発音しにくい場合は、入れ歯の厚みや前歯の位置が合っていない可能性があります。
吐き気がする
上顎の総入れ歯は、口蓋を広く覆うため、装着直後に吐き気や異物感が出ることがあります。
入れ歯の後方が長すぎる、厚すぎる、口蓋部分の形が合っていないといった原因も考えられます。
単純に小さくすればよいわけではありません。入れ歯を短くしすぎると吸着が弱くなり、外れやすくなるため、機能を損なわない範囲で慎重に調整します。
総入れ歯が合わなくなる原因

完成したときには合っていた総入れ歯でも、数年使用するうちに合わなくなることがあります。
顎の骨が徐々に痩せる
歯を失うと、歯根を通じて顎の骨に伝わっていた刺激が減少します。そのため、顎の骨は少しずつ吸収され、形が変化していきます。
骨吸収が進むと、以前作った入れ歯と現在の歯ぐきの形に隙間が生じます。
その結果、次のような問題が起こります。
- 入れ歯が外れやすくなる
- 食べ物が入り込む
- 歯ぐきが痛くなる
- 噛みにくくなる
- 口元が痩せて見える
- 顔の下半分が短く見える
人工歯がすり減る
総入れ歯の人工歯は、毎日の食事や歯ぎしりによって少しずつ摩耗します。
人工歯がすり減ると噛み合わせの高さが低くなり、顎の位置や口元の見た目にも影響します。
入れ歯が変形・破損している
レジン製の総入れ歯は、長期間の使用や強い噛み合わせによって変形したり、ひびが入ったりすることがあります。
落下や乾燥、熱湯による洗浄も、変形や破損の原因になります。
体重や全身状態が変化した
大きな体重減少、加齢、病気、服薬などによって、口の中の粘膜や唾液量が変化することがあります。
特に口腔乾燥が強い方は、入れ歯の吸着が得にくく、粘膜にも傷がつきやすくなります。
良い総入れ歯を作るために大切なこと

総入れ歯は、見た目だけでは精度を判断しにくい治療です。快適に使うためには、型取り、噛み合わせ、人工歯の位置、頬や舌との調和など、複数の要素を細かく合わせる必要があります。
精密な型取り
総入れ歯の型取りでは、歯ぐきの形だけでなく、唇、頬、舌、口底などが動いたときの状態も考慮します。
患者さん専用の個人トレーを使用し、必要に応じて筋形成を行うことで、動いても外れにくい入れ歯の形を確認します。
入れ歯の面積をただ広くすればよいわけではありません。短すぎると吸着しにくく、長すぎると粘膜に当たって痛みや吐き気の原因になります。
噛み合わせの位置と高さ
歯がまったくない場合、上下の顎をどの位置で噛ませるかを慎重に決める必要があります。
噛み合わせがずれていると、入れ歯が片側へ動いたり、特定の場所だけが痛くなったりします。
また、噛み合わせの高さが低すぎると、口元がしぼみ、老けた印象になることがあります。反対に高すぎると、顎が疲れる、口が閉じにくい、歯がカチカチ当たるといった症状が出ることがあります。
人工歯の位置
人工歯は、見た目だけでなく、入れ歯が安定する位置に並べる必要があります。
顎の骨から大きく外れた位置に歯を並べると、噛むたびに入れ歯が傾きやすくなります。
前歯の位置は、唇の膨らみ、笑ったときの見え方、発音などにも関係します。
仮の歯並びで確認する試適
完成前には、ワックス上に人工歯を並べた状態で試適します。
この段階で、次の項目を確認します。
- 前歯の見え方
- 歯の色や形
- 口元の膨らみ
- 顔の中心とのバランス
- 噛み合わせ
- 発音
- 唇の閉じやすさ
完成後は歯の位置を大きく変えることが難しいため、試適の段階で希望を伝えることが大切です。
装着後の調整
総入れ歯は、完成した当日から何でも問題なく食べられるとは限りません。
実際に食事や会話で使用することで、初めて分かる当たりや違和感があります。数回の調整を重ねながら、その方のお口になじませていきます。
総入れ歯の種類
総入れ歯には、保険診療のレジン床義歯、自費診療の金属床義歯、精密義歯などがあります。
それぞれにメリットと注意点があり、価格だけでなく、顎の状態や希望に合わせて選ぶ必要があります。
保険適用のレジン床義歯
保険診療の総入れ歯では、義歯床の大部分をレジンと呼ばれるプラスチックで製作します。


メリット
- 治療費を抑えられる
- 修理や調整を行いやすい
- 多くの歯科医院で対応できる
- 破損時に比較的修理しやすい
デメリット
- 強度を保つために一定の厚みが必要
- 口蓋を覆う部分に違和感が出やすい
- 食べ物や飲み物の温度を感じにくい
- 長期間の使用で摩耗や変形が起こることがある
保険の総入れ歯でも、型取りや噛み合わせを丁寧に行うことで、使いやすい入れ歯を製作できる場合があります。
ただし、使用できる材料や製作方法には一定の制限があります。
自費診療の金属床義歯
金属床義歯とは、入れ歯の主要部分に金属を使用した総入れ歯です。
上顎の口蓋部分を薄く製作しやすく、食事の温度が伝わりやすいという特徴があります。





金属床義歯のメリット
- レジン床より薄く製作しやすい
- 違和感や発音への影響を抑えやすい
- 食べ物や飲み物の温度を感じやすい
- 変形しにくい
- 耐久性が高い
- 精密な設計が可能
金属床義歯のデメリット
- 保険が適用されない
- 修理が複雑になることがある
- 金属の種類によってはアレルギーへの配慮が必要
- 顎の状態によっては十分な効果を得られないことがある
使用される金属には、コバルトクロム、チタン、金合金などがあります。
コバルトクロム
強度が高く、金属床義歯に広く使用される素材です。薄く製作しやすく、価格と耐久性のバランスに優れています。
チタン
軽く、身体との親和性が高い金属です。金属アレルギーが心配な方に検討されることがあります。
金合金・白金加金
加工性に優れ、精密な製作が可能な金属です。一方で、材料費が高くなる傾向があります。
なお、金属床は特に上顎の総入れ歯でメリットを感じやすい治療です。
下顎の総入れ歯は床部分が狭いため、金属にするだけでは安定性が大きく改善しないケースもあります。下顎では、顎の形や噛み合わせ、舌や頬との調和がより重要です。
精密義歯・BPS義歯
BPS義歯などの精密義歯では、定められた手順や専用の材料、器具を使用し、型取りや噛み合わせを細かく確認します。
特徴
- 精密な型取りを行う
- 顎の動きや噛み合わせを細かく記録する
- 顔貌や発音を考慮して人工歯を配列する
- 歯科技工士と連携しながら製作する
- 患者さんの希望を反映しやすい
ただし、「精密義歯」という名称だけで必ず痛みや外れがなくなるわけではありません。
顎の骨が著しく吸収している場合や、口腔乾燥、舌の動き、全身状態などによっては、適切に製作しても安定が難しいことがあります。
デジタル義歯・3Dプリンター義歯
近年では、口腔内スキャナーやコンピューター設計、3Dプリンターなどを利用したデジタル義歯も登場しています。
メリット
- データを保存しやすい
- 破損・紛失時に再製作しやすい場合がある
- 製作工程を効率化できる
- 一定の品質を再現しやすい
ただし、すべての症例で従来法より優れているとは限りません。
特に歯が一本もない顎では、口腔内スキャナーだけで動く粘膜や筋肉の状態を正確に記録することが難しい場合があります。そのため、従来の精密な型取りを組み合わせることもあります。
吸着義歯とは
吸着義歯とは、入れ歯と粘膜の間に空気が入りにくい状態をつくり、陰圧や唾液の働きを利用して安定させる入れ歯です。
特に上顎の総入れ歯は、口蓋を広く覆えるため、吸着を得やすい傾向があります。
一方、下顎は舌や口底が動き、入れ歯を支える面積も小さいため、高度な型取りや設計が必要です。
吸着しやすさに影響する要素
- 顎の骨や歯ぐきの形
- 唾液の量や性状
- 入れ歯の縁の形
- 舌、頬、唇の動き
- 噛み合わせ
- 口腔乾燥の有無
「吸着義歯」と呼ばれる入れ歯でも、すべての方に同じ吸着が得られるわけではありません。事前に顎や粘膜の状態を確認する必要があります。
インプラントオーバーデンチャーという選択肢

下顎の総入れ歯がどうしても安定しない場合には、少数本のインプラントを利用して入れ歯を安定させる「インプラントオーバーデンチャー」を検討することがあります。
顎の骨に埋め込んだインプラントと入れ歯を、アタッチメントによって連結します。
メリット
- 入れ歯が外れにくくなる
- 食事中の動きを抑えやすい
- 噛む力を支えやすい
- 通常の固定式インプラントより少ない本数で対応できる場合がある
- 入れ歯を取り外して清掃できる
デメリット
- 外科手術が必要
- 保険適用外となることが多い
- インプラント周囲の清掃が必要
- アタッチメント部品の交換が必要になることがある
- 骨量や全身状態によっては適応できない
「総入れ歯では不安定だが、多数のインプラント治療までは希望しない」という方に適する場合があります。
総入れ歯と固定式インプラントの違い
すべての歯を失った場合、総入れ歯以外に、複数のインプラントを利用して固定式の歯を支える方法があります。
| 比較項目 | 総入れ歯 | 固定式インプラント |
|---|---|---|
| 装着方法 | 自分で取り外す | 原則として固定式 |
| 外科手術 | 基本的に不要 | 必要 |
| 費用 | 保険適用可能 | 原則として自費 |
| 骨量 | 骨が少なくても対応しやすい | 骨造成が必要な場合がある |
| 安定性 | 顎の状態によって動くことがある | 高い安定性を得やすい |
| 清掃 | 取り外して洗浄 | 歯ブラシや専用器具で清掃 |
| 治療期間 | 比較的短い | 数か月以上かかることがある |
| 修理 | 比較的行いやすい | 構造によって複雑 |
手術への不安、費用、全身状態、骨量、日常の清掃能力などを考慮し、無理のない治療方法を選ぶことが大切です。
保険と自費の総入れ歯を比較
| 比較項目 | 保険のレジン床 | 自費の金属床・精密義歯 |
|---|---|---|
| 費用 | 抑えやすい | 高額になりやすい |
| 素材 | 主にレジン | 金属や高品質な材料を選択可能 |
| 厚み | 一定の厚みが必要 | 薄く製作できる場合がある |
| 温度感覚 | 伝わりにくい | 金属床では伝わりやすい |
| 製作工程 | 保険の範囲内 | 精密な工程を追加しやすい |
| 見た目 | 選択肢に制限がある | 歯の色や形を選びやすい |
| 修理 | 比較的行いやすい | 構造によって複雑 |
| 耐久性 | 経年変化が起こる | 変形しにくい素材を選べる |
自費診療であれば、すべての問題が必ず解消するわけではありません。
総入れ歯の使い心地は、素材だけでなく、顎の状態、型取り、噛み合わせ、人工歯の位置、装着後の調整などによって左右されます。
総入れ歯の費用
保険診療の総入れ歯は、患者さんの負担割合や診療内容によって費用が異なります。
3割負担の場合、片顎でおおむね1万円前後からが一つの目安ですが、初診料、検査、抜歯、調整などの有無によって総額は変わります。
自費診療の総入れ歯は、使用する素材や製作方法によって大きく異なります。
一般的には、次のような費用帯がみられます。
- 金属床義歯:30万~60万円程度
- 精密義歯:40万~80万円程度
- 特殊な材料や製作方法:80万円以上になる場合もある
当院の上顎コバルトクロム金属床の費用
| 内容 | 税別 | 税込み |
|---|---|---|
| 上顎コバルトクロム金属床・1床 | 322,000円 | 354,200円 |
型取りや装着後の調整などを含む料金です。お口の状態や必要な治療によって費用が異なる場合があるため、診察時に詳しくご説明します。
総入れ歯が完成するまでの治療の流れ
総入れ歯の製作期間は、お口の状態や製作方法によって異なりますが、一般的には数回の通院が必要です。
1.初診・口腔内検査
歯ぐき、粘膜、顎の骨、顎関節、残っている歯根などを確認します。
必要に応じてレントゲンやCTを撮影し、抜歯が必要な歯や、粘膜の異常がないかを調べます。
現在使用している入れ歯がある場合は、痛みや噛みにくさの原因も確認します。
2.おおまかな型取り
最初に既製のトレーを使用して、お口全体のおおまかな型を取ります。
この型をもとに、患者さん専用の個人トレーを製作します。
3.精密な型取り
個人トレーを使用し、歯ぐきや顎の形を詳しく記録します。
頬や唇、舌を動かしてもらいながら、入れ歯の縁の適切な長さと形を確認することがあります。
4.噛み合わせの記録
咬合床と呼ばれる装置を使用し、上下の顎の位置や噛み合わせの高さを決めます。
前歯の見える量、口元の膨らみ、顔貌、発音なども確認します。
5.人工歯の試適
ワックス上に人工歯を並べた状態で、歯の色や形、並び方、噛み合わせを確認します。
この段階では、患者さんご本人にも鏡で見ていただきます。
気になる点がある場合は、完成前に修正します。
6.総入れ歯の完成・装着
完成した入れ歯を装着し、粘膜への当たり、噛み合わせ、安定性を確認します。
使用方法、取り外し方、お手入れ方法についても説明します。
7.装着後の調整
使用を始めると、食事や会話の際に当たりや痛みが生じることがあります。
装着後は数回の調整を行い、少しずつお口になじませていきます。
抜歯後すぐに歯がない期間をつくらない即時義歯
多くの歯を抜歯する場合、抜歯した当日に装着する「即時義歯」を製作できることがあります。
歯が残っている状態で型取りを行い、抜歯後の歯ぐきを予測して事前に入れ歯を作ります。
即時義歯のメリット
- 歯がない期間を減らせる
- 抜歯直後の見た目を補える
- 会話や食事を早期に補助できる
- 傷口を保護できる場合がある
即時義歯の注意点
抜歯後は歯ぐきと顎の骨が大きく変化するため、時間の経過とともに入れ歯が緩くなります。
そのため、調整や裏打ちが必要になり、歯ぐきが落ち着いた後に最終的な総入れ歯を作り直す場合があります。
総入れ歯でどのくらい噛める?

総入れ歯で噛める食品は、顎の状態や入れ歯の安定性、慣れの程度によって異なります。
比較的食べやすいものには、次のような食品があります。
- ご飯
- 柔らかいパン
- うどん
- 煮魚
- 豆腐
- 卵料理
- 柔らかく煮た野菜
- ハンバーグ
- 薄く切った肉
一方で、次のような食品は総入れ歯が動きやすく、食べにくいことがあります。
- せんべい
- ナッツ
- フランスパン
- 硬い肉
- たくあん
- イカやタコ
- キャラメル
- お餅
- 繊維の多い生野菜
最初から硬いものを噛もうとせず、柔らかいものを小さく切り、左右の奥歯で均等に噛むことが大切です。
前歯だけで硬いものを噛み切ろうとすると、総入れ歯が前後に動き、外れやすくなります。
総入れ歯に慣れるまでの期間
総入れ歯に慣れるまでの期間には個人差があります。
早い方は数週間で慣れますが、顎の骨が大きく痩せている方や、初めて入れ歯を使う方では数か月かかることもあります。
慣れるためのポイント
- 最初は柔らかい食事から始める
- 食べ物を小さく切る
- 左右の奥歯で均等に噛む
- 毎日少しずつ装着時間を延ばす
- 新聞や本を声に出して読む
- 痛みを我慢せず調整を受ける
強い痛みがある状態で無理に使い続けると、粘膜に大きな傷ができることがあります。
一方で、まったく使わずにいると、入れ歯に慣れにくくなります。歯科医師の指示に従いながら、適切に使用してください。
入れ歯安定剤は使ってもよい?
入れ歯安定剤は、総入れ歯の動きを一時的に抑えるために役立つ場合があります。
ただし、合っていない入れ歯を長期間使い続けるためのものではありません。
大量の安定剤を毎日使用している場合、次のような問題が隠れている可能性があります。
- 入れ歯と歯ぐきの間に大きな隙間がある
- 噛み合わせがずれている
- 顎の骨が痩せている
- 入れ歯が変形している
- 人工歯が摩耗している
安定剤を使っても入れ歯が動く場合や、以前より使用量が増えた場合は、歯科医院で確認を受けてください。
総入れ歯の正しいお手入れ方法
総入れ歯には、食べかすや細菌、カビの一種であるカンジダ菌などが付着します。
不衛生な状態が続くと、口臭、口内炎、義歯性口内炎、誤嚥性肺炎などのリスクにつながる可能性があります。

食後は流水で洗う
入れ歯を外し、流水で食べかすを洗い流します。
落とすと割れることがあるため、水を張った洗面器の上や、タオルを敷いた場所で洗うと安心です。
入れ歯専用ブラシを使用する
通常の歯ブラシよりも毛の配置が工夫された、入れ歯専用ブラシを使用します。
入れ歯の歯の部分だけでなく、歯ぐきに接する内側や、歯と歯の間も丁寧に清掃してください。
歯磨き粉は使用しない
一般的な歯磨き粉には研磨剤が含まれており、入れ歯の表面に細かな傷をつけることがあります。
傷に汚れや細菌が付きやすくなるため、入れ歯専用洗浄剤や中性洗剤を使用します。
義歯洗浄剤を活用する
入れ歯用ブラシだけでは落としにくい細菌や着色を除去するため、義歯洗浄剤を定期的に使用します。
使用時間や使用方法は製品によって異なるため、説明書を確認してください。
熱湯を使用しない
熱湯につけると、入れ歯が変形することがあります。
洗浄には水またはぬるま湯を使用してください。
歯ぐき・舌・口蓋も清掃する
歯がなくても、お口の清掃は必要です。
柔らかい歯ブラシやスポンジブラシで、歯ぐき、舌、上顎の粘膜をやさしく清掃してください。
就寝時は総入れ歯を外すべき?

多くの場合、就寝時は総入れ歯を外し、粘膜を休ませることが推奨されます。
外した入れ歯は、乾燥による変形を防ぐため、水または専用の保管液に浸して保管します。
ただし、顎の状態や噛み合わせ、誤嚥のリスクなどによっては、歯科医師から異なる指示が出ることがあります。
就寝時の使用については、歯科医院で確認してください。
総入れ歯の寿命と作り替えの目安
総入れ歯の寿命を一律に決めることはできません。
使用状況や顎の骨の変化、人工歯の摩耗、メンテナンス状況によって異なりますが、一般的には数年ごとの見直しが必要になります。
次のような症状がある場合は、調整や作り替えを検討する時期です。
- 安定剤を使わないと外れる
- 食事中に動く
- 痛い場所が繰り返しできる
- 人工歯が大きくすり減っている
- 噛み合わせが低くなった
- 入れ歯にひびや変形がある
- 口元が以前よりしぼんで見える
- 何度調整しても改善しない
- 製作してから長期間経過している
合わない入れ歯を使い続けると、粘膜や顎の骨に偏った負担がかかることがあります。
痛みがなくても、定期的な点検を受けることが大切です。
総入れ歯を長く快適に使うために
総入れ歯は、製作して終わりではありません。
顎の骨や歯ぐきは少しずつ変化し、入れ歯の人工歯も摩耗します。定期的に噛み合わせや適合状態を確認することで、痛みやズレを早期に発見できます。
次のことを心がけましょう。
- 毎日、入れ歯を清掃する
- 歯ぐきや舌も清掃する
- 痛みや違和感を我慢しない
- 自分で入れ歯を削らない
- 安定剤だけに頼らない
- 落下や乾燥に注意する
- 定期的に歯科医院で点検を受ける
総入れ歯に関するよくある質問
総入れ歯は何歳から使用できますか?
総入れ歯に年齢制限はありません。
高齢者が使用するイメージがありますが、重度の虫歯や歯周病、事故、先天的な病気などにより、30代や40代で総入れ歯が必要になることもあります。
総入れ歯でも硬いものを食べられますか?
入れ歯の安定性や顎の状態によっては、ある程度硬いものも食べられます。
ただし、天然歯と同じように何でも噛めるとは限りません。食べ物を小さく切り、左右の奥歯で均等に噛むことが大切です。
総入れ歯が外れないようにする方法はありますか?
型取り、入れ歯の縁の形、噛み合わせ、人工歯の位置などを適切に整えることで、安定性を高められる場合があります。
顎の骨が大きく痩せている場合には、リラインや再製作、インプラントオーバーデンチャーを検討することもあります。
保険の総入れ歯でも噛めますか?
保険の総入れ歯でも、顎の状態に合わせて丁寧に製作し、調整を行うことで、日常の食事に使用できる可能性があります。
ただし、使用できる材料や製作方法には制限があります。薄さ、温度の伝わりやすさ、見た目などを重視する場合は、自費診療の入れ歯が適することがあります。
入れ歯が痛いときは外したほうがよいですか?
強い痛みがある場合は、無理に使用し続けないでください。
ただし、歯科医院を受診する直前には、痛む場所を確認するため、可能な範囲で入れ歯を装着して来院していただくことがあります。
壊れた入れ歯を接着剤で直してもよいですか?
家庭用接着剤で修理しないでください。
接着剤によって位置がずれると、歯科医院で正確に修理できなくなることがあります。破片もすべて保管し、そのまま歯科医院へお持ちください。
総入れ歯は何年ごとに作り替えますか?
一定の年数で必ず作り替えるわけではありません。
顎の骨や歯ぐきの変化、人工歯の摩耗、入れ歯の変形などを確認し、必要に応じて調整、裏打ち、再製作を行います。
総入れ歯が合わないと感じたら我慢せずにご相談ください

総入れ歯は、すべての歯を失った方の食事、会話、見た目を支える大切な治療です。
一方で、顎の骨の状態や粘膜の厚さ、唾液量、舌や頬の動きなどによって、安定のしやすさには個人差があります。
「総入れ歯だから痛くても仕方がない」「下の入れ歯は外れるものだ」と諦める必要はありません。
痛みやズレの原因を確認し、調整、裏打ち、作り替え、金属床義歯、精密義歯、インプラントオーバーデンチャーなどから、お口の状態に合った方法を検討することが大切です。
現在お使いの入れ歯が痛い、外れる、噛みにくい、見た目が気になるという方は、入れ歯を持参のうえ、一度歯科医院へご相談ください。
【動画】目立たない部分入れ歯のスマイルデンチャー
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。


