保険適用の部分入れ歯にはいくつかの欠点がありますが、入れ歯デビューの方にとって使いにくさを確認する良い機会になると思います。すべての人が保険の入れ歯はダメだと言っているわけではありません。当院では保険の入れ歯でも痛くなく噛める入れ歯を作るよう努めています。保険の入れ歯を作りたいという方は、ぜひご相談ください。

保険適用の部分入れ歯:見た目・異物感の課題

欠点① 見た目が悪い

保険適用の部分入れ歯
保険適用のレジン床部分入れ歯

保険適用の部分入れ歯

前歯4本の保険適用の部分入れ歯です。 かなりコンパクトに作られているため舌感などの違和感はほとんど起こりませんが、クラスプが犬歯や第一小臼歯に設置されているため目立ちます。

保険適用の部分入れ歯を装着
保険適用の部分入れ歯を装着

入れ歯を装着

上写真の部分入れ歯を装着した状態です。上顎前歯4本に部分入れ歯を固定するためのクラスプが犬歯や第一小臼歯にかけられています。

正面から見るとはっきりとクラスプが分かるので見た目としてはいかがなものでしょうか?

ちなみに下顎も両側が入れ歯になっているため左右の犬歯にクラスプがかけられています。

※ 上下共に保険適用の入れ歯です。

クラスプを奥歯にかけると目立たない

クラスプを第2小臼歯よりも奥の歯にかけると前から見てもほとんどわかりません。 しかし、その反面入れ歯が大きくなり、違和感や異物感が増大します。

入れ歯装着前
入れ歯装着前

上顎は左右の奥歯が欠損して、 下顎は左奥歯(向かって右側)と前歯が欠損しています。

入れ歯装着後
入れ歯装着後

保険適用の部分入れ歯を装着した正面観です。上下顎の入れ歯ともに第一小臼歯、第二小臼歯にクラスプがかけられているのでそれほど目立つとは言えません。

下顎の犬歯にクラスプをかけようと思えば出来ますが、目立つためクラスプは奥歯にかけています。ただしその分、入れ歯が大きくなるデメリットがあります。

欠点② 違和感や異物感

上顎のパラタルバー
上顎のパラタルバー

上顎のパラタルバー

保険適用の部分入れ歯で上顎に使うパラタルバーは、太い金属製の棒状のものが口蓋をまたぐように左右の部分入れ歯を連結します。

金属の強度を確保するため、ある程度の厚みが必要です。そのため舌で触った感触が悪く、異物感や違和感が強く出る方がいます。

上顎のパラタルバー

下顎のリンガルバー

下顎に使うリンガルバーは、入れ歯を安定させるために太い金属製の棒状の物が左右の入れ歯を歯列の内側を通って連結します。

リンガルバーは変形し易いため一定以上の太さが必要です。そのため舌が触れて違和感や異物感が起こり易いのが欠点です。

また、リンガルバーは幅が狭いため、入れ歯の沈下が起こると歯茎に食い込み痛みが起こりやすいのも欠点です。

欠点③ 味覚低下

厚く広いレジン床

保険適用の入れ歯は、歯茎色の部分をレジンという樹脂で作ります。この部分をレジン床と言います。

レジンという材質は削ったり継ぎ足したりすることができるメリットがある一方、強度が不十分であるため、レジン床を厚くしたり広くする必要が出てきます。そのため入れ歯が大きくなりがちで、味覚が低下したり、異物感や違和感が起こりやすいというデメリットがあります。

装着前
装着前

右側(向かって左側)は、第二小臼歯までが残存し、第一大臼歯と第二大臼歯が欠損しています。

左側(向かって右側)は、犬歯まであり、第一小臼歯以降の臼歯が欠損しています。

装着後 咬合面観
装着後 咬合面観

口蓋全体を覆うように作られた上顎のレジン床義歯です。

総入れ歯に近い大きさの入れ歯になっています。

レジン床の部分が大きくなればなるほど舌触りが悪くなり発音もしづらくなります。

また、レジン床が厚くなると、熱いものや冷たいものの識別が難しくなり、味覚が低下する傾向を示します。

欠点④ 壊れやすい

レジン床義歯は強度が低い

下顎にレジン床義歯
下顎のレジン床義歯

下顎の前歯4本と左側(向かって右側)の第二小臼歯と大臼歯のレジン床による保険適用の部分入れ歯です。

2個のクラスプはそれぞれ第一小臼歯以降に掛けられているのであまり目立ちませんが、 左右を連結しているレジン床は破折しないように厚めに作られています。 人によっては舌が触れてかなりの違和感が出るものと思われます。

修理を繰り返す下顎レジン床義歯
修理を繰り返す下顎レジン床義歯

矢印の部分で何度も修理を繰り返している保険適用のレジン床義歯です。

犬歯にクラスプがかけられているため同部のレジン床の幅が狭くなっています。そこに応力が集中するため破折してしまうのです。

保険適用の部分入れ歯の費用

保険治療

保険適用です。

種類金額 ※単位:円
奥歯の部分入れ歯1本~2本 約2,500点、約7,500円、6本 約5,000点 約15,000円
前歯の部分入れ歯1本~2本 約2,400点、約7,200円

※一部負担金が3割のケースです。来院回数が数日かかる部分入れ歯の作製行程の一連の治療費を合算したものです。あくまでも一例を挙げたもので、個人個人で開きがあるので、おおよその費用と考えて下さい。また、部分入れ歯の本数が2歯,3歯,4歯…と多くなると費用も増えると考えて下さい。

保険診療ではこの他に必要に応じてレントゲン撮影、歯周病の検査、歯周病の治療、虫歯の治療、初診料、再診療、各種指導料などが加算される場合があります。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、入れ歯が頻繁に割れるという方や、もっと噛める入れ歯が欲しい方、目立たない部分入れ歯をお求めの方など、一人一人のご要望に合った入れ歯をご提案させていただきます。

様々なお口の条件にも納得できる入れ歯をご提供するために多数の素材をご用意し、高い技術力の歯科技工士と連携しております。入れ歯治療が初めての方や入れ歯の作り変えで保険適用の部分入れ歯をご希望の方は、ぜひ江戸川区篠崎にある当院へお気軽にご相談下さい。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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