目次

「入れ歯が動いてしっかり噛めない」
「金属のバネが見えるのが気になる」
「今の入れ歯が合わず、食事を楽しめない」

このようなお悩みがある方に選択肢の一つとなるのが、**コーヌステレスコープ義歯(コーヌス義歯)**です。

コーヌス義歯は、一般的な部分入れ歯のような金属のバネ(クラスプ)を使わず、内冠と外冠を組み合わせて義歯を固定する精密な入れ歯です。

安定性や審美性に優れる一方、支台歯を削る必要があり、費用や製作期間などの注意点もあります。

この記事では、コーヌステレスコープ義歯の仕組みからメリット・デメリット、他の入れ歯との違い、費用、治療の流れ、メンテナンスまで詳しく解説します。

コーヌス義歯(コーヌステレスコープ義歯)は、内冠と外冠の二重構造を利用して固定する部分入れ歯です。

残っている歯を整えて、その上に「内冠」と呼ばれる金属製の冠を装着します。入れ歯側には、それに適合する「外冠」が組み込まれています。

内冠と外冠が精密に重なることで生じる保持力を利用するため、一般的な部分入れ歯のように金属のバネを歯に掛ける必要がありません。

コーヌステレスコープ・コーヌスクローネ・コーヌスデンチャーの違い

似た名称がありますが、いずれも内冠と外冠を利用したテレスコープ義歯に関連する言葉です。

  • コーヌステレスコープ:内冠と外冠によるテレスコープ構造を示す名称
  • コーヌスクローネ:円錐形の内冠・外冠による冠構造を示す名称
  • コーヌスデンチャー:コーヌス構造を利用した義歯を指す名称

歯科医院や技工方法によって呼び方が異なる場合があります。

コーヌス義歯の仕組みは、しばしば茶筒の蓋と本体に例えられます。

精密に作られた内冠に外冠が重なることで保持力が生まれ、義歯が安定します。

そのため、

  • 食事中に動きにくい
  • 患者さん自身で取り外せる
  • 金属のバネが目立ちにくい

といった特徴があります。

ただし、保持力は内冠・外冠の形態や精度、支台歯の状態などによって異なります。

内冠

内冠は、残っている歯(支台歯)に装着する金属製の冠です。

支台歯を形成したうえで内冠を装着し、その上から義歯側の外冠を重ねます。

精密な適合が必要なため、使用する材料だけでなく、歯科医師による設計や歯科技工士の製作技術も重要です。

コーヌステレスコープ内冠
コーヌステレスコープ内冠

上顎4歯に内冠が装着されています。内冠は残存している歯に接着剤で固定します。

コーヌステレスコープ義歯装着
コーヌステレスコープ義歯装着

上顎にコーヌステレスコープ義歯が装着された状態です。

外冠

外冠は、義歯側に組み込まれている冠です。

義歯を装着すると外冠が内冠を覆い、両者が適合することで義歯を保持します。

外側には人工歯が配置されるため、通常は内冠や外冠そのものが大きく露出するわけではありません。

コーヌステレスコープ外冠内面
コーヌステレスコープ外冠内面

入れ歯に外冠が4個付いています。外冠は白金加金で作られるため薄めの金色をしています。

コーヌステレスコープ外冠咬合面
コーヌステレスコープ外冠咬合面

矢印部が外冠です。外冠には天然歯と同じ白い素材が使われます。

コーヌステレスコープ義歯の種類

コーヌステレスコープには、設計や製作方法、使用する金属などによっていくつかの種類があります。

標準的なコーヌステレスコープ

内冠と外冠を精密に製作し、その適合によって義歯を保持する基本的なタイプです。

適切に設計された場合には、

  • 義歯が安定しやすい
  • 金属のバネが目立ちにくい
  • 取り外して清掃できる
  • 残存歯を利用して義歯を支持できる

などの特徴があります。

ただし、適応できるかどうかは、残存歯の本数・位置・歯周組織・噛み合わせなどによって判断します。

AGCテレスコープ

AGCは、電鋳(ガルバノ)技術を利用して薄い金属冠を製作する方法です。

高い適合精度を得やすく、外冠を薄く製作できるなどの特徴があります。

一方で、特殊な設備や技工技術が必要となるため、対応できる歯科医院・歯科技工所は限られます。

使用する金属による違い

コーヌス義歯では、設計や製作方法に応じて貴金属やコバルトクロムなどが使用されます。

白金加金

加工性や耐食性に優れ、精密な補綴物に使用される貴金属です。

コーヌス義歯では、内冠・外冠の精度や摩耗への配慮から選択されることがあります。

コバルトクロム

強度が高く、金属床などにも広く使用される材料です。

薄くても十分な強度を得やすいことが特徴です。

電鋳ゴールド

電鋳法によって薄い金属冠を製作する方法で、AGCテレスコープなどに用いられます。

どの材料が適しているかは、口腔内の状態・義歯の設計・費用などを総合して判断します。

バネ付き部分入れ歯との違い

一般的な部分入れ歯では、残っている歯にクラスプと呼ばれる金属のバネを掛けて義歯を固定します。

コーヌス義歯は内冠と外冠によって保持するため、設計によっては目立つ位置にクラスプを使用せずに済みます。

そのため、

  • 金属のバネが見えにくい
  • 義歯を安定させやすい
  • 支台歯と義歯を一体化した設計ができる

といったメリットがあります。

ただし、コーヌス義歯でも症例によっては、補助的にクラスプなどを併用することがあります。

リーゲルテレスコープとの違い

リーゲルテレスコープも、テレスコープ義歯の一種です。

大きな違いは固定方法にあります。

コーヌステレスコープ
内冠と外冠の適合による保持力を利用します。

リーゲルテレスコープ
かんぬきのようなロック機構を利用して義歯を固定します。

どちらが適しているかは、残存歯の位置や本数、噛み合わせ、必要な保持力などによって異なります。

ノンクラスプデンチャーとの違い

ノンクラスプデンチャーも、金属のバネを目立たせにくい部分入れ歯です。

ただし、両者は固定する仕組みが異なります。

コーヌス義歯
内冠と外冠を利用して義歯を保持します。

ノンクラスプデンチャー
弾力性のある樹脂などを利用して義歯を保持します。

見た目だけでなく、残存歯の状態、噛み合わせ、欠損している歯の本数などを考慮して選択することが重要です。

1.義歯が安定しやすい

内冠と外冠が精密に適合するため、一般的な部分入れ歯と比較して義歯の動きを抑えやすいことが大きな特徴です。

食事中のガタつきや浮き上がりが気になる方にとって、有力な選択肢となる場合があります。

ただし、噛める食品や咀嚼能力には個人差があるため、硬い食品を無理に噛むことは避けましょう。

2.金属のバネが目立ちにくい

目立つ位置にクラスプを使用せずに設計できるため、口元を自然に見せやすいこともメリットです。

特に、笑ったときに部分入れ歯の金属が見えることを気にされている方に適しています。

3.自分で取り外して清掃できる

インプラントやブリッジとは異なり、コーヌス義歯は患者さん自身で取り外せます。

義歯だけでなく、内冠やその周囲も清掃できるため、適切なケアを行いやすい構造です。

4.適切な管理で長期間使用できる場合がある

精密に製作されたコーヌス義歯は、口腔内の状態が良好に保たれれば、長期間使用できる場合があります。

ただし、「10年以上必ず使える」というものではありません。

支台歯の状態、歯周病、噛み合わせ、義歯の摩耗、日常のお手入れなどによって寿命は大きく変わります。

1.自由診療のため費用がかかる

コーヌステレスコープ義歯は、基本的に保険適用外の自由診療です。

内冠・外冠・義歯床などを精密に製作するため、一般的な保険の部分入れ歯より治療費が高くなります。

治療を始める前に、総額や追加費用について確認しておくことが大切です。

2.完成までに時間がかかる

精密な型取り、内冠・外冠の製作、試適、噛み合わせの調整など、複数の工程が必要です。

症例によりますが、完成まで1~2か月程度を要する場合があります。

支台歯の治療が必要な場合には、さらに期間が長くなることがあります。

3.支台歯を削る必要がある

内冠を装着するため、支台歯を形成する必要があります。

削る量は歯の状態や設計によって異なりますが、健康な歯質を削る可能性があることは重要なデメリットです。

特に生活歯(神経が残っている歯)では、歯髄への影響を十分に考慮して治療計画を立てる必要があります。

なお、コーヌス義歯だからという理由だけで、神経を取ることが必須というわけではありません。

4.支台歯にトラブルが起こることがある

コーヌス義歯を支える歯には力が加わるため、

  • 虫歯
  • 歯周病
  • 歯根破折
  • 支台歯の動揺

などが生じる可能性があります。

支台歯を長く維持するためには、適切な設計と定期的なメンテナンスが重要です。

5.金属が見えることがある

歯ぐきが下がった場合などには、内冠と歯ぐきの境目付近の金属が見えることがあります。

審美性を重視する場合は、治療前に金属が見える可能性についても確認しておきましょう。

コーヌステレスコープ義歯の審美的なデメリット
コーヌステレスコープ義歯の審美的なデメリット

6.修理に時間がかかる場合がある

精密な構造を持つため、破損した場所によっては歯科医院内で修理できず、歯科技工所での修理が必要になることがあります。

その場合、数日から1週間程度、義歯を預けることもあります。

コーヌス義歯は、次のような方に適している場合があります。

  • 複数の歯を失っている
  • 部分入れ歯のバネが気になる
  • 今の入れ歯が動きやすい
  • 安定性を重視したい
  • インプラント以外の治療法を検討したい
  • 残っている歯を利用した義歯を希望している

ただし、残存歯の状態が悪い場合や、支台歯として利用できる歯が不足している場合などには適応できないことがあります。

歯の本数だけではなく、歯周組織・歯根・顎の骨・噛み合わせまで含めた診断が必要です。

1.カウンセリング・検査

まず、現在の入れ歯のお悩みや治療に対するご希望を伺います。

そのうえで、

  • 残存歯の状態
  • 歯周病の有無
  • 噛み合わせ
  • 顎の骨の状態

などを確認します。

必要に応じてレントゲン撮影などを行い、コーヌス義歯が適応できるか診断します。

2.支台歯の治療・形成

虫歯や歯周病などがある場合は、先に必要な治療を行います。

その後、内冠を装着するために支台歯を形成します。

歯の状態によっては、土台(コア)による補強が必要になる場合があります。

3.精密な型取り

内冠と外冠を精密に適合させるため、型取りを行います。

症例や製作方法によっては、複数回の印象採得や試適が必要になることがあります。

4.内冠・外冠の製作

歯科技工士が設計に基づいて内冠と外冠を製作します。

コーヌス義歯では、この適合精度が義歯の保持力や装着感に大きく関係します。

5.試適・噛み合わせの調整

完成前に義歯を実際に装着し、フィット感・噛み合わせ・見た目を確認します。

内冠と外冠の適合状態や義歯の安定性を確認し、必要に応じて細かな調整を行います。

6.完成・装着

最終調整後、コーヌステレスコープ義歯を装着します。

内冠に外冠が精密に重なることで、接着剤を使わなくても義歯が安定します。装着後は、取り外し方や清掃方法について説明します。

製作期間は症例によって異なりますが、1〜2か月程度が目安です。治療内容によっては、それ以上かかる場合があります。

製作プロセス例

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メタルコア装着

コーヌステレスコープ義歯の土台となる歯に白金加金のメタルコアをセットします。ファイバーコアでも良いケースです。

精密な型取り

内冠と外冠が密着するため、ミクロン単位の精度が求められます。シリコン印象材などを使用して正確な型を取得します。必要に応じて複数回型取りを行い、最高精度のデータを確保します。

メタルコア装着
メタルコア装着

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内冠の装着

技工士が型取りデータをもとに、白金加金の金属製の内冠を製作します。高精度な金属加工技術が必要であり、経験豊富な技工士が担当します。研磨や調整を繰り返して、摩擦力の最適化を図ります。

金属が白金加金である理由は、コーヌステレスコープ義歯には高い精度が要求されると共に、内冠と外冠の金属同士の摩擦によるすり減りを限りなく少なくするためです。

内冠の装着
内冠の装着

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コーヌステレスコープ義歯装着

コーヌステレスコープ義歯が装着された正面観です。

内冠にすっぽりと外冠が被さるような構造になっています。もちろん内冠と外冠はセメントで接着されているわけではなく、金属同士の嵌合力で入れ歯が外れないようになっています。

コーヌステレスコープ義歯が装着
コーヌステレスコープ義歯装着

step

コーヌステレスコープ義歯咬合面観

コーヌステレスコープ義歯が装着された咬合面観です。

この症例では口蓋を覆う部分を金属床で作っています。 金属床とコーヌステレスコープの外冠は一体として作られています。

奥歯はあまり目立たないため2箇所にクラスプがつけられています。

コーヌステレスコープ義歯咬合面観
コーヌステレスコープ義歯咬合面観

コーヌステレスコープ義歯は、保険適用外の自由診療です。

費用は、支台歯の本数や使用する金属、金属床の種類、義歯の設計などによって異なります。

費用例

内冠4本・外冠4本・コバルトクロム金属床を使用した場合

内容費用
内冠 1本64,000円
外冠 1本90,000円
金属床+義歯仕上げ181,000円
合計797,000円(税別)
税込総額876,700円

※症例や使用する材料、設計によって費用は異なります。治療前に詳しい見積もりをご案内します。

自由診療の義歯であっても、治療目的で必要と認められる場合は医療費控除の対象となることがあります。

コーヌステレスコープ義歯は精密な装置です。長く快適に使用するためには、毎日のお手入れと定期的な歯科検診が欠かせません。

毎日、義歯と支台歯を清掃する

義歯を取り外し、義歯用ブラシなどで汚れを落とします。

特に、内冠・外冠の周囲や支台歯はプラークが残らないよう丁寧に清掃しましょう。

義歯洗浄剤を使用する場合は、義歯の材質に適した製品を選び、歯科医院の指示に従ってください。

定期的に検診・調整を受ける

使用しているうちに、歯ぐきや顎の骨、噛み合わせは少しずつ変化します。

定期検診では、

  • 支台歯や歯ぐきの状態
  • 内冠・外冠の適合
  • 義歯の安定性
  • 噛み合わせ
  • 義歯の破損や摩耗

などを確認します。

違和感や緩みがある場合は、自分で調整せず早めに歯科医院へ相談してください。

熱湯や強い衝撃に注意する

義歯は熱湯で洗浄すると、樹脂部分が変形するおそれがあります。

また、落下によって義歯や外冠が破損することもあるため、洗浄するときは水を張った洗面器の上などで扱うと安心です。

神経が残っている歯でも支台歯にできますか?

症例によっては可能です。

ただし、内冠を装着するためには歯を削る必要があるため、歯の形態や神経までの距離によっては適応が難しい場合があります。

神経のある歯を使用できるかどうかは、レントゲンなどで歯の状態を確認したうえで判断します。

入れ歯だと気づかれにくいですか?

コーヌステレスコープ義歯は、一般的な部分入れ歯のような金属のバネを基本的に必要としません。

そのため、笑ったときにバネが見えるのが気になる方に適しています。

ただし、設計や残っている歯の位置によっては、金属部分がわずかに見えることがあります。

インプラントと併用できますか?

症例によっては、インプラントを義歯の支持や維持に利用する治療方法もあります。

ただし、天然歯とインプラントでは動き方が異なるため、噛み合わせや支台の配置を含めた慎重な設計が必要です。

バネ付きの部分入れ歯から変更できますか?

残っている歯や歯周組織の状態など、適応条件を満たしていれば変更を検討できます。

コーヌステレスコープ義歯にすることで、

  • 金属のバネが目立ちにくくなる
  • 義歯が安定しやすい
  • 噛みやすさの改善が期待できる

といったメリットがあります。

ただし、支台歯を削る必要があるため、メリットだけでなくデメリットも含めて検討することが大切です。

治療期間はどのくらいですか?

目安は1〜2か月程度です。

ただし、虫歯や歯周病、根管治療などが必要な場合は、義歯の製作を始める前に治療を行うため、さらに期間が必要になることがあります。

コーヌステレスコープ義歯は、内冠と外冠を精密に適合させて固定する部分入れ歯です。

一般的な部分入れ歯のような金属のバネを基本的に使わないため、見た目が自然で、義歯が安定しやすいことが大きな特徴です。

一方で、

  • 自由診療のため費用がかかる
  • 支台歯を削る必要がある
  • 製作に高い技術と精度が求められる
  • 定期的なメンテナンスが必要

といった注意点もあります。

「今の入れ歯が動いて噛みにくい」「金属のバネが気になる」「できるだけ安定した入れ歯にしたい」という方は、コーヌステレスコープ義歯が適しているか、まずは歯科医院で残っている歯や歯ぐきの状態を詳しく調べてもらいましょう。

大切なのは、入れ歯の種類だけで選ぶのではなく、残っている歯をできるだけ長く守れる治療方法を選択することです。

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お口に残っている歯や歯ぐき、噛み合わせを確認し、コーヌステレスコープを含めて、一人ひとりに合った入れ歯をご提案します。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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