年齢で増加する歯周ポケットの深さ

  • 歯周ポケットの深さの平均値は、20代、30代、40代、50代と年齢が上がるにつれ増加傾向が見られます。
  • 歯周ポケットの深さの正常値は3mm以下ですが、40代になると約半数の人に4mm以上の歯周ポケットが見られます。
  • 歯周ポケットの深さはプロービングで数値を計測します。歯周ポケットの治療なら東京都江戸川区篠崎駅前の歯科医院で。

歯周ポケットの平均値

各年代の歯周ポケットの平均値

各年代の歯周ポケットの平均値

20代、30代、40代、50代の歯周ポケットの平均値

  • 20代:4mm未満 71.5%、4mm ~6mm 28.6%、6mm以上 0%
  • 30代:4mm未満 63.7%、4mm ~6mm 31.9%、6mm以上 4.4%
  • 40代:4mm未満 55.3%、4mm ~6mm 40.0%、6mm以上 4.8%
  • 50代:4mm未満 48.0%、4mm ~6mm 41.0%、6mm以上 5.0%

年齢が上がるにつれ増加する歯周ポケットの深さ

歯周病罹患率は年々増加傾向

近年虫歯の罹患率は低下していますが、一方で歯周病の罹患率は増加傾向にあります。年齢に比例する様に歯周ポケットの深さが増大しています。

グラフから20代までは6mm以上の歯周ポケットを保有する人はいませんが、30代になると徐々に増えてきます。40代で4mmから6mmの歯周ポケットの保有者は40.0%、6mm以上の保有者は4.8%となっています。

年代別歯周ポケットの深さ(%)平成28年 厚生労働省 歯科疾患実態調査結果より

年齢(歳)4mm未満4mm~6mm6mm以上無歯顎
15~19代93.96.1
20~24代74.325.7
25~29代68.631.4
30~34代66.930.22.9
35~39代60.533.75.8
40~44代55.139.45.5
45~49代55.440.64.0
50~54代45.544.59.50.5
55~59代50.637.510.31.6
60~64代38.743.614.33.4
65~69代34.942.318.24.6
70~74代36.940.413.29.5
75~79代30.240.315.114.5
80~84代30.635.612.221.6
85~代19.131.612.536.8

歯周ポケットとは

正常な歯周ポケット

歯周ポケットとは歯と歯茎との間にある歯肉溝という溝のことです。その溝は、歯の全周にわたって存在しています。正常な歯周ポケットは深さが1~2mm です。

時により3mmまでを正常値として許容します。

正常な歯周ポケット

仮性ポケット

歯槽骨の破壊が起こっていない歯肉炎の状態で歯茎が腫れて盛り上がると歯肉溝が深くなり、歯周ポケットの深さが3mm以上になる事があります。これを仮性ポケットと呼びます。

この状態では、歯槽骨の破壊は起こっていません。つまり歯肉炎と診断が出来ます。

歯茎は2mmほど腫れているため、その分だけ歯周ポケットは深くなります。

正常な歯周ポケットの深さは2mmなので、合計4mmの歯周ポケットが作られたことになります。この状態が仮性ポケットです。

見た目は歯茎が腫れて、指や歯ブラシなどで触るとペロンとめくれる状態で。

仮性ポケットであれば適切な歯磨きだけで治ることがあります。

仮性ポケット

真性ポケット

歯周ポケット内には細菌の集合体である歯垢(プラーク)や歯石がたまりやすく、適切なブラッシングがなされなければ、歯周ポケット底部の歯槽骨が炎症により破壊されます。

そして歯周ポケットは次第に深くなっていき、真性ポケットが作られます。

真性ポケット

歯周組織検査

プロービング

プロービング

プロービングは歯周ポケットの深さを測る検査

歯周ポケットの深さ(プロービングデプス)や出血の有無を検査することをプロービングといいます。

この症例では歯周病の治療を行い歯茎の炎症はコントロール出来ていますが、重度歯周病のためかなり歯肉が下がっています。

プローブを歯周ポケットに入れて測定すると部分的に6mmの深い歯周ポケットが残っています。プロービング後に歯周ポケットから僅かの出血が認められます。

深い歯周ポケットは定期的なメンテナンスが必要です。

同症例のレントゲン写真

同症例のレントゲン写真

レントゲン写真の上からプローブを当てて比較した写真。レントゲンで見ると赤矢印で示した第2小臼歯の手前側から第1大臼歯にかけて骨が著しく溶けているのがわかります。

(骨が溶けているところは黒く見える)

第二小臼歯は青矢印で示した歯根膜腔の拡大も認められ動揺度は2度で、横に動かすと1~2mm動きます。

歯科用プローブ

歯周ポケット測定器の歯科用プローブ

歯周ポケット測定器の歯科用プローブ

プローブは、3ミリ刻みで数値が分かる目盛りが印記されていて、歯周ポケット(歯肉溝)の深さと出血の有無を測る器具です。針の様な形をしていますが、先端部分は丸くなって痛みが起こりにくい形です。

通常は真直ぐなものを使いますが、大臼歯の根分岐部には湾曲した物を使います。


プロービングのやり方

プロービング6点法

プロービングには1点法・4点法・6点法

歯周ポケットの深さは測る場所によってそれぞれ違います。測定法には1本の歯に対して1ヶ所を測定する1点法、4箇所測定する4点法、厳密に測定する6点法などがあります。

当クリニックでは、イラストの様に6点法のプロービングを採用しています。

強すぎるプロービング圧に注意

プロービング圧は一般的に25gで、歯科用プローブを歯根に沿わせるように歯周ポケット内に挿入します。

プロービング圧が強すぎると痛みが起こり、患者に不快症状を起こさせるので歯科衛生士は十分に練習を積み熟練が必要となります。特に歯周病が重度であったり、急性症状を起こしている場合には痛みが起こるリスクが高まります。

また、プロービング測定が下手では、プロービンデプスの数値にバラツキが生じます。正しい診断が出来ないので、プロービング圧は常に一定に保つことが重要です。

プロービング時の出血の有無

プロービング時の歯周ポケットからの出血

  • 少し触れただけで左上6番の歯茎からの出血があります。
  • この症例ではプローブをポケットに入れるとかなりの出血が認められます。

歯周ポケット内からのブリーディング

プロービング時にブリーディング(出血)する場合、歯周ポケット内に炎症がある証拠です。

歯周病の診断で重要な指標の一つです。

歯周ポケット内からのブリーディング

歯の動揺度の測定

歯の動揺度(グラグラ度合い)をチェック

歯の動揺度(グラグラ度合い)をチェック

  • ピンセットで歯をつまんで動きをチェックします。歯周病の進行とともに歯の動揺は増す傾向にあります。
  • 歯は、健康な状態であっても、わずかに動揺します。これを生理的動揺と呼びます。
  • 歯槽骨と歯根の間には、厚みが50ミクロンの歯根膜という結合組織が介在しており、強い衝撃を上手に受け止めるクッションの役割を果てしています。
歯に架かる様々な力

歯に架かる様々な力

  • 歯には様々な力が加わります。それらの力がいろいろな条件の中で歯を弱めるように働くと、歯周病になりやすくなります。
  • 異常な咬合力によって生じる歯周組織の障害を、咬合性外傷といいます。歯の動揺を増す要因として、この咬合性外傷があります。
歯の動揺を増す要因

歯の動揺を増す要因

  • 噛み合わせが悪い。
  • 歯ぎしりがある。
  • 残っている歯が少ない。
  • 奥歯ですりつぶすように噛む人。
  • 無意識に食いしばる人。

歯の動揺度~Millerの分類

  •  0度
    生理的動揺 0.2mm以内
  •  1度
    唇舌方向にわずかに動揺 0.2~1mm
  •  2度
    唇舌方向に中等度に動揺  1.0~2.0mm 近遠心方向にわずかに動揺
  •  3度
    唇舌、近遠心方向に動揺 2mm以上 歯軸の方向にも動揺

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、患者様の大切な歯を1本でも延命するため、軽度歯周病から重度歯周病に至るまで様々な対策を行い、歯周病予防をはじめ、早期発見・早期治療で症状の改善・維持を行い、抜歯回避に努めております。

歯周病が進行すると歯周ポケットはより深くなります。江戸川区篠崎で歯周ポケット治療をご希望の方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談下さい。

歯周ポケットの平均値を動画で見る

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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