「最近、歯ぐきが厚くなった気がする」
「歯が歯ぐきに埋もれてきた」
「高血圧の薬を飲み始めてから歯ぐきが変わったように感じる」

このような症状でお悩みではありませんか?

歯ぐきが盛り上がってくる症状は、**歯肉増殖症(しにくぞうしょくしょう)**の可能性があります。

歯肉増殖症は、高血圧の薬や抗てんかん薬、免疫抑制薬などの副作用や、歯周病による慢性的な炎症が関係して起こる病気です。初期には痛みがないことも多いため気づきにくい一方、進行すると歯磨きが難しくなり、歯周病や口臭の悪化につながることがあります。

この記事では、歯肉増殖症の原因、セルフチェック、治療方法、予防法までわかりやすく解説します。

次の項目に当てはまるものはありませんか?

  • 歯ぐきが以前より厚くなった
  • 歯が歯ぐきに埋もれて見える
  • 歯磨きがしにくくなった
  • 歯ぐきから出血しやすい
  • 口臭が気になるようになった
  • 高血圧の薬を服用している
  • 抗てんかん薬を服用している
  • 臓器移植後の免疫抑制薬を服用している

3項目以上当てはまる場合は、歯肉増殖症の可能性があります。一度歯科医院で検査を受けることをおすすめします。

歯肉増殖症とは、歯ぐきの組織が通常よりも厚く大きくなり、歯を覆うように増殖する病気です。

一般的な歯ぐきの腫れとは異なり、炎症だけではなく、歯肉の線維組織が増えることで歯ぐきが硬く厚くなることが特徴です。

進行すると、

  • 歯が見えにくくなる
  • 歯磨きが難しくなる
  • プラークや歯石がたまりやすくなる
  • 歯周病が進行しやすくなる

など、さまざまな問題が起こります。

歯肉増殖症の主な原因

薬の副作用

もっとも多い原因の一つが薬剤による歯肉増殖症です。

代表的な薬剤には以下があります。

カルシウム拮抗薬

高血圧や狭心症の治療で使用されます。

代表例

  • ニフェジピン
  • アムロジピン
抗てんかん薬

代表例

  • フェニトイン
免疫抑制薬

代表例

  • シクロスポリン

これらの薬を服用している方すべてに起こるわけではありませんが、プラークが多い場合には発症しやすくなることが知られています。

歯周病による慢性炎症

歯垢や歯石が長期間付着すると、歯ぐきに慢性的な炎症が起こり、歯肉が大きくなることがあります。

薬を服用していない方でも起こることがあります。

遺伝的要因

非常にまれですが、生まれつき歯肉が増殖しやすい体質の方もいます。

全身疾患

次のような病気が原因となることもあります。

  • 白血病
  • ビタミンC欠乏症
  • ホルモンバランスの変化
  • 妊娠に伴う歯肉の変化

歯ぐきの変化が全身疾患のサインとなることもあるため、原因を正しく調べることが重要です。

はい、あります。

特にカルシウム拮抗薬では歯肉増殖症が起こることがあります。

ただし、薬だけが原因ではなく、

  • 歯磨き不足
  • 歯石の付着
  • 歯周病

などが重なることで症状が強く現れることが多いと考えられています。

重要なのは、自己判断で薬を中止しないことです。

薬の変更が必要な場合は、内科や循環器内科の主治医と連携しながら検討します。

初期には痛みがないことが多く、気づかないまま進行することがあります。

主な症状

  • 歯ぐきが厚くなる
  • 歯が短く見える
  • 歯ぐきから出血する
  • 歯磨きがしづらい
  • 食べ物が詰まりやすい
  • 口臭が強くなる

重症になると歯冠の大部分が歯ぐきで覆われることもあります。

重症の歯肉増殖症

歯肉増殖症|歯ぐきが厚く腫れ、歯を覆うように増殖した状態
歯肉増殖症|歯ぐきが厚く腫れ、歯を覆うように増殖した状態

歯肉増殖症を放置すると、

歯ぐきが増殖する

歯磨きがしにくくなる

歯垢・歯石がたまる

歯周病が進行する

歯を支える骨が減る

歯がぐらつく

という悪循環に陥ることがあります。

早期に治療を開始することで、この悪循環を防ぐことができます。

歯肉増殖症歯周病
歯ぐきが厚く増える歯ぐきが下がることが多い
薬の副作用が原因になることがある細菌感染が主な原因
歯が埋もれて見える歯が長く見える
清掃性が悪化しやすい歯を支える骨が減少する

両者は併発することも少なくありません。

当院では次のような検査を行います。

  • お口全体の診査
  • 歯周ポケット検査
  • 出血の有無の確認
  • レントゲン検査
  • 服薬状況の確認
  • 必要に応じて口腔内写真撮影

原因を正確に診断したうえで治療計画を立てます。

歯周基本治療

まずは歯石除去や歯面清掃を行い、炎症を改善します。

軽症であれば、これだけで改善することもあります。

薬剤の見直し

薬剤が原因と考えられる場合には、主治医と連携し、薬剤変更が可能かどうかを相談します。

自己判断で服薬を中止することは危険ですので避けてください。

歯肉切除術

歯肉の増殖が著しく、清掃が困難な場合には歯肉切除術を行うことがあります。

局所麻酔を行って処置するため、治療中の痛みはほとんどありません。

術後は適切なセルフケアと定期管理によって再発リスクを抑えることができます。

高血圧でカルシウム拮抗薬を長期間服用していた患者さんでは、歯ぐきが歯を覆うほど厚くなり、ブラッシング時の出血を認めました。

歯周基本治療を行うとともに、主治医と連携して薬剤の変更を検討した結果、数か月かけて歯ぐきの状態は改善し、清掃しやすい環境を回復することができました。

症例概要(高血圧+Ca拮抗薬)

カルシウム拮抗薬(ニフェジピン)を長期服用し、上顎歯肉に肥厚が出現。歯周ポケット形成と出血を伴う状態でした。

高血圧症+カルシウム拮抗薬の服用による歯肉増殖症
高血圧症+カルシウム拮抗薬の服用による歯肉増殖症

主な症状

・歯ぐきの肥厚・膨隆
・歯が埋もれて見える
・ブラッシング時の出血
初期は無痛ですが、プラークの影響で炎症性歯周炎へ進行します。

治療と対応

歯周治療のみでは改善せず、内科医と連携し薬剤変更を実施。レントゲンでは軽度の歯槽骨吸収を確認しました。

歯肉増殖部位のレントゲン所見
歯肉増殖部位のレントゲン所見

治療方針

薬剤調整と炎症コントロール(スケーリング・PMTC・エアフローなどの基本治療)の併用が基本で、必ずしも外科処置が必要とは限りません。改善が乏しい場合は歯肉切除術を検討します。

治療経過

カルシウム拮抗薬を変更後、歯周基本治療のみ約3か月で歯肉肥厚は改善し、清掃性も向上しました。

薬物性歯肉増殖症の治療経過
薬物性歯肉増殖症の治療経過

注意点

・自己判断で薬を中止しない
・必要に応じて薬剤クラス変更(ARBなど)を検討

症状や治療経過には個人差があります。

歯肉増殖症は、治療後も再発する可能性があります。

再発予防には次のような管理が重要です。

  • 毎日の丁寧な歯磨き
  • 歯間ブラシ・デンタルフロスの使用
  • 定期的な歯科検診
  • 歯石除去・クリーニング
  • 服薬状況の継続的な確認

薬を継続しながらでも、お口の環境を良好に保つことで症状をコントロールできる場合が多くあります。

歯肉増殖症は自然に治りますか?

原因によりますが、自然に改善することは少なく、適切な治療が必要になることが多いです。

高血圧の薬をやめれば治りますか?

薬の変更で改善する場合がありますが、必ず主治医と相談してください。自己判断で中止してはいけません。

手術は必ず必要ですか?

いいえ。歯周基本治療や口腔清掃の改善だけで症状が軽減することもあります。必要に応じて歯肉切除術を検討します。

保険診療で治療できますか?

原因や治療内容によりますが、多くの場合は保険診療で対応可能です。詳しくは受診時にご相談ください。

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歯肉増殖症は、早期に原因を調べて適切な治療を行うことで改善が期待できる病気です。

特に高血圧の薬や免疫抑制薬、抗てんかん薬を服用している方は、歯ぐきの変化を見逃さないことが大切です。

当院では、お口の状態だけでなく服用中のお薬や全身の健康状態も考慮しながら診査・診断を行い、必要に応じて主治医と連携した治療をご提案しています。

「歯ぐきが盛り上がってきた」「歯磨きがしにくくなった」と感じたら、お一人で悩まずお気軽にご相談ください。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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