1. 入れ歯をつけたまま寝ることの影響

口腔内への負担とリスク

歯茎への負担
入れ歯をつけたまま寝ることで、歯茎が休まる時間が失われます。長時間圧力がかかることで、歯茎に炎症が起きたり、痛みが発生する原因になります。特に不適合な入れ歯の場合、この負担はさらに大きくなる可能性があります。

細菌の増殖リスク
入れ歯をつけたまま寝ると、口腔内が湿った環境のため、細菌や真菌(カンジダ菌)が繁殖しやすくなります。その結果、口内炎や義歯性口内炎などのトラブルが発生しやすくなります。また、口臭の原因にもなります。

全身への影響

誤嚥性肺炎のリスク

誤嚥性肺炎のリスク
入れ歯に付着した細菌が増殖することで、誤嚥性肺炎などの感染症のリスクが高まることが指摘されています。特に、高齢者や免疫力が低下している方は注意が必要です。口腔機能低下症(オーラルフレイル)や寝たきりの患者さんでは、義歯を装着したまま寝ることで、肺炎や誤嚥性肺炎のリスクが一層高まることが知られています。

肺炎による死亡者の97%が高齢者であり、そのうち30%が誤嚥性肺炎によるものです。夜間の義歯装着が肺炎の発症に及ぼす影響は、重い心臓病、呼吸器疾患、または嚥下障害と同程度の高いリスクがあるとされています。

また、夜中に義歯を入れて寝ている高齢者の3年後の死亡率は、義歯を外して寝ている人の約2.2倍に達するという報告もあります。つまり、夜間は義歯を外して口腔内を清潔に保って過ごすことが重要なのです。

睡眠の質への影響
入れ歯をつけたまま寝ることで、違和感が睡眠の質を低下させる可能性があります。適切に外して休むことで、快適な睡眠を得られるだけでなく、翌日の口腔内の健康を保つことができます。

誤飲のリスク
小さな部分入れ歯の場合、万が一外れた時に飲み込んでしまうリスクがある。

2. 入れ歯を外して寝るメリット

歯茎の健康維持

入れ歯を外して寝ることで、歯茎が休息する時間を確保できます。長時間入れ歯をつけたままにすると歯茎が圧迫され、血流が悪くなりますが、夜間に外すことでこれを防ぎ、歯茎の健康を維持することができます。また、歯茎の痛みや腫れの予防にもつながります。

入れ歯の寿命を延ばすためのケア

入れ歯を毎晩外して清掃することで、食べかすや細菌の蓄積を防ぎます。これにより、入れ歯の劣化や不衛生な状態を防ぎ、入れ歯の寿命を延ばすことができます。また、定期的に洗浄することで入れ歯を清潔な状態に保ち、見た目や装着感も良好に保てます。

口内環境の改善

入れ歯を外すことで、口腔内がリフレッシュされ、細菌の繁殖を抑えることができます。さらに、外している間に唾液が口腔内を洗浄し、自然なバランスを取り戻すことが可能です。この習慣は、口臭予防や虫歯・歯周病のリスク軽減にも効果的です。

3. 入れ歯をつけたまま寝るケースの例外

特定の医療的理由で外せない場合

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が停止する症状です。これにより十分な睡眠が取れず、日中の眠気や集中力の低下、さらには高血圧や心疾患のリスクが高まる可能性があります。この病気に対して、口腔内装置(Oal Appliance, OA)は有効な治療法の一つです。

OAを使用している患者は、OAの安定を図るために入れ歯を外すことはできない場合があります。

歯ぎしり

夜間の歯ぎしり(ブラキシズム)は、多くの人に見られる無意識の行動で、歯や顎に過剰な力がかかる原因となります。 特に、部分入れ歯を使用している人が夜間に入れ歯を外す場合、特定の歯に噛み合わせの力が集中し、様々な問題を起こす可能性があります。

部分入れ歯と総入れ歯の違い

部分入れ歯の場合、隣接する歯との関係や固定のために、夜間でも装着が必要な場合があります。一方で、総入れ歯は多くのケースで外して寝ることが推奨されますが、患者の状況に応じて例外が生じることがあります。例えば、総入れ歯でも初期段階では歯茎や顎の形状を維持するために夜間も装着する場合があります。

これらの例外に該当するかどうかは、歯科医師との相談が欠かせません。具体的な対応方法については、医師の指導を受けることをおすすめします。

4. 入れ歯をつけたまま寝る時の注意点

入れ歯をつけたまま寝る時の注意点

清潔な口腔と入れ歯の清掃を徹底

夜、寝ている間は唾液の分泌量が減少し、自浄作用が低下します。

そのため、入れ歯を装着して寝る場合には、歯をしっかりと磨いた上、入れ歯に付着した細菌を完全に除去し、清潔な状態にしてから装着する必要があります。

5. 定期的な歯科検診の重要性

 定期的な歯科検診の重要性

入れ歯を快適に使い続けるには、定期的な歯科検診が欠かせません。その理由を以下にまとめます。

  • 適合性のチェック
    入れ歯は時間の経過とともに口腔内の形状に合わなくなることがあります。定期検診で適合性を確認し、必要に応じて調整を行うことで、トラブルを防ぎます。
  • 口腔内の健康管理
    入れ歯を使用している場合でも、歯茎や顎の健康状態を定期的にチェックすることが重要です。早期発見・早期治療が長期的な健康維持に繋がります。
  • 入れ歯の状態の確認
    入れ歯の劣化や損傷は、口腔内のトラブルを引き起こす可能性があります。定期検診で入れ歯の状態を確認し、必要に応じて修理や作り替えを行うことが大切です。

入れ歯の正しいお手入れ方法

1. 部分入れ歯を扱う時の注意点

部分入れ歯
部分入れ歯
  • 落とさない。
  • 熱湯に入れない。
  • 勝手に加工しない。
  • 乾燥させない。
  • 義歯専用ブラシを用いて、冷水下で義歯に付着した大きな汚れを洗い流してください。
  • ノンクラスプデンチャーには義歯専用ブラシではなく、綿棒やスポンジブラシなどで汚れを取って下さい。

2. 入れ歯の洗浄手順

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義歯専用ブラシ

入れ歯の素材である合成樹脂は汚れがつきやすい素材なので、強くこすったり、歯磨き剤でこすったりしないでください。
正しい清掃法を身に着け、いつもきれいに磨いてください。

義歯専用ブラシがない時は、通常の歯ブラシで大きめのものを使うとやりやすいです。

エラック義歯ブラシがお薦めです。

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義歯専用ブラシ
義歯専用ブラシ

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フィジオクリーンキラリ入れ歯洗浄剤

ガラスまたはプラスティック容器に約150ml(コップ1杯)のお湯(40℃以下)を入れ、洗浄剤1包を加えてスプーンなどでよくかき混ぜてください。

※ 別売りの入れ歯保温洗浄容器を使用するとより効果的です。すぐに義歯を入れ、一晩浸け置き洗いしてください。急ぎの場合でも最低30分以上は洗浄液に浸けてください。

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フィジオクリーンキラリ入れ歯洗浄剤

フィジオクリーンキラリ入れ歯洗浄剤

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流水下でよくすずき洗い

フィジオクリーンキラリ入れ歯洗浄剤はアルカリ性のため、すすぎは充分に行ってください。

【ご注意】
浸け置き洗いは、成分のTio2が白く付着します。Tio2は人体には無害ですが、義歯および容器は流水でよく洗い流してください。

流水下でよくすずき洗い
流水下でよくすずき洗い

3. 清潔な保管方法

洗浄剤の選び方

入れ歯専用の洗浄剤を使用することで、細菌や臭いを効率的に取り除きます。

  • 低刺激なものを選びます
    入れ歯の素材に優しく、歯茎を刺激しない成分のものを選びます。
  • 除菌効果の確認
    「99.9%の除菌効果」や「抗菌作用」がある製品は、細菌の繁殖を抑え、口臭や口内炎の予防に役立ちます。
  • 素材への適合性
    金属が使用されている入れ歯には、金属を腐食させない成分が含まれている製品を選びましょう。「金属対応」「メタルセーフ」などの表示があるものを確認してください。
  • 漂白・着色汚れへの対応
    入れ歯に茶渋やタバコのヤニなどの着色汚れがつきやすい場合は、漂白効果がある洗浄剤を選ぶと良いでしょう。ただし、入れ歯の材質を傷つけないマイルドな成分のものがおすすめです。

保管ケースの使い方

  1. 水または洗浄液に浸ける入れ歯
    入れ歯は乾燥すると変形する恐れがあるため、水または洗浄液に浸けて保管します。必ず清潔な液体を使用しましょう。
  2. 密閉型のケースを使用する
    微生物や細菌が入らないよう、密閉型の専用ケースを使用します。
  3. 定期的なケースの清掃
    ケース自体も細菌が繁殖しやすいため、定期的に洗浄剤で清掃してください。

正しい保管方法を実践することで、入れ歯を長く快適に使えるだけでなく、口腔内の健康も守られます。

4. お手入れ頻度

Care

 手入れは毎食後

部分入れ歯は入れ歯専用ブラシで食事の都度、きれいにするのが理想的です。それが難しい場合には最低でも水洗いをしてください。

入れ歯を入れたままで寝る場合には、入れ歯を入れ歯専用ブラシで清掃後、口腔内のプラークを完全に除去した状態で装着して寝て下さい。

Care

 入れ歯洗浄剤の使用頻度

洗浄頻度は毎晩行うのが理想的ですが、最低でも週に2回は行って下さい。入れ歯洗浄剤を使うことで入れ歯の臭いや着色汚れを効果的に除去出来ます。

スマイルデンチャーなどのノンクラスプデンチャーの洗浄剤は専用のものを使って下さい。

以下のポイントを守ることで、入れ歯を長く使うこととが可能です。

歯科医院での定期検診
入れ歯を破損した場合は、自分で修理せずに歯科医にご相談しましょう。

定期的な清掃を徹底する
入れ歯専用のブラシや洗浄剤を使い、毎日清潔に使用しましょう。

正しい保管を行う
夜間は乾燥を防ぐため、水や専用の液体に浸して保管してください。

入れ歯が合わないと感じた場合は、以下の手順で対処してください。

1.すぐに歯科医院を受診してください

入れ歯が合わない状態を放置すると、歯茎や顎の骨に負担がかかり、炎症や痛み、さらには顎の骨の変形につながることがあります。歯科医師が調整や修理を行うことで、違和感や痛みを改善できます。

2.症状を具体的に伝える

受診時に以下のポイントを歯科医に伝えると、スムーズに対応できます。

  • どの部分に違和感があるか
  • 痛みがある場合、その強いさや頻度
  • 噛むときの不具合や、発音のしづらさ

3.自己判断での修理は行わないこと

市販の修理キットや接着剤を使用して自分で修理することは危険です。入れ歯の形状や素材を傷める可能性があり、状態が悪化する場合があります。

4.入れ歯が古い場合、新しいものを検討する

入れ歯は経年劣化します。通常、3~5年を目安に作り替えが必要です。多少の不満があっても使用している場合は、新しい入れ歯を作成することを検討してください。

5.定期的なメンテナンスを心がける

入れ歯は適合性を維持するために、定期的な調整が必要です。 歯科医院での定期検診を受けることで、トラブルを未然に防ぎます。

不快感や不安を抱えたまま入れ歯を使うのは健康に良くありません。どんな小さなことでもお気軽にご相談ください!

江戸川区篠崎で、快適な入れ歯を提供し、笑顔と健康をサポートします!

入れ歯を使用することに不安や違和感を感じることはありませんか?私たちは、患者さん一人ひとりの口腔環境に合わせた入れ歯の提供を通じて、快適で健康的な生活をサポートします。

  • 最新技術でぴったりフィット!快適な入れ歯をご提供します
    当院では、最新の技術を使い、患者さま一人ひとりに合わせた精密な調整を行っています。そのため、入れ歯の違和感をできる限り減らし、自然な使い心地を実現しています。
  • 定期検診でトラブルを未然に防止
    入れ歯の定期的な調整と清掃アドバイスで、長期間快適にご使用いただけるようサポートします。
  • 患者さんの声に耳を傾ける安心の診療
    「話しやすくなった」「噛む力が戻った」など、多くの患者さんから喜びの声をいただいています。どんな小さなお悩みでもお気軽にご相談ください。

健康な口腔環境は、毎日の食事や会話を楽しむための大切な基盤です。
入れ歯に関するお悩みやご希望は、私たちが全力でサポートします。一緒に快適な生活を目指しましょう!

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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