目次
舌苔とは?

舌苔の主な特徴

舌苔(ぜったい)とは、舌の表面に付着する白色や黄色の苔状の汚れのことです。舌の表面にある突起の隙間に形成されます。舌苔は健康な人にも少量見られることがありますが、過剰に付着する場合は問題となります。

  • 見た目:白や黄色、場合によっては黒色の苔のような状態。
  • 場所:主に舌の中央部分に多く見られる。
  • 匂い:臭いの原因になることが多い。

舌苔が及ぼす健康への影響

  1. 口臭 舌苔は口臭の主な原因の一つです。舌苔には大量の細菌が含まれており、これらの細菌がタンパク質を分解する際に発生する揮発性硫黄化合物(VSC)が強い臭いを放ちます。特に、舌の奥にある舌苔が取り除かれていないと、口臭が悪化する傾向があります。
  2. 感染症 舌苔に含まれる細菌は、口内や喉の感染症の原因となることがあります。また、舌苔が多い場合、免疫力が低下している人では感染リスクが懸念されます。
  3. 全身疾患への影響 舌苔は口内環境の悪化だけでなく、全身の健康にも影響を与えます。
  • 誤嚥性肺炎:高齢者に多い疾患で、舌苔が誤嚥(飲み物や食べ物が気道に入る事)の際に肺に侵し、肺炎を起こすリスクが指摘されています。
  • 心血管疾患:口内の慢性的な炎症は、動脈硬化や心臓病との関連性が報告されています。
  • 糖尿病:口内の細菌量が高まることで、血糖値の管理が困難になる可能性があります。

まとめ

舌苔は白い「汚れ」ではなく、口内環境や全身の健康に大きな影響を与える可能性があることを考慮する必要があります。

1.舌苔の定義と構造

舌苔(ぜったい)は、舌の表面に付着する白色や黄色の苔状の汚れです。食べ物のカス、唾液、口内の細菌、死んだ細胞が絡み合って、舌の突起舌(舌乳頭)にたまることで形成されます。

舌苔の色

  • 白苔:一般的な舌苔で、食べカスや細菌の塊が主な原因。
  • 黄苔:感染症や胃腸障害などの影響で黄色味を帯びた舌苔。
  • 黒毛舌:抗生物質の使用や喫煙が原因で、舌が黒く見える状態。

2. 舌苔が抱える健康問題

口臭との関係

舌苔と口臭との関係

舌苔は口臭の大きな原因です。細菌がタンパク質を分解する際に発生する揮発性硫黄化合物(VSC)が、口臭を放ちます。特に舌の奥に付着した舌苔が問題視されています。

舌苔が示す体調不良のサイン

舌苔の色や量は、体調の変化を反映します。例えば、黄苔は胃腸の不調、黒毛舌は免疫力の低下を示す場合があります。

誤嚥性肺炎など高齢者への影響

高齢者の場合、舌苔が多いと誤嚥性肺炎のリスクが生じます。舌苔に含まれる細菌が気道に入り、感染症が考えられます。


3. 舌苔の原因

口腔ケア

不適切な口腔ケアは舌苔形成の主因です。 特に舌の清掃が行われていない場合は、細菌や汚れが多くなります。

唾液の分泌不足

唾液は舌を自然に洗浄する役割を果たしますが、分泌不足により舌苔が増えます。口呼吸やドライマウスが原因になることが多いです。

生活習慣

  • 食事:柔らかい食事や甘いものを食べて舌苔が付きやすくなります。
  • 喫煙・アルコール:口腔内を乾燥させ、細菌の繁殖を促進します。

疾患

糖尿病や胃腸障害など、全身の健康状態が舌苔の発生に影響します。


鏡を使って舌の色や汚れの量を確認します。舌が黄ばんでいる、黒っぽい場合は注意が必要です。

1.健康な舌苔は白色~薄い黄色

健康な白い舌苔
健康な白い舌苔

舌苔は生理的現象

うっすらと白い舌苔~うす黄色の舌苔が付くのは健康の証拠です。特に舌の奥の方に付着します。

舌苔がないことが正常だと考えるのは誤解で、舌苔が付くことは生理的現象なので病気ではなく、正常な状態です。

ただし、胃腸障害や高熱が出た時などは舌苔が濃い黄色に変色することがあります。また、重度歯周病の方の舌にも黄色い舌苔がしばしば確認されます。

2.黄色の舌苔

  • 胃腸障害
  • 胃腸の不調、特に胃熱や消化器系の炎症があると、舌苔が黄色っぽくなることがあります。これは、東洋医学でも胃熱のサインとされます。
  • 感染症
  • 細菌やウイルスによる感染症の初期症状として舌苔が黄色くなる場合があります。特に風邪や喉の炎症が関連することがあります。
  • 食べ物や嗜好品
  • 色の濃い食べ物(カレーやターメリックを含む食品)や喫煙も舌苔の黄色化を引き起こすことがあります。
  • 口腔衛生の問題
  • 舌の汚れを取り除く習慣がない場合、舌苔の色が濃くなることがあります。

3.黒色の舌苔

舌苔が黒色になる状態は「黒毛舌(こくもうぜつ)」と呼ばれることがあり、特定の疾患や生活習慣、薬剤の使用などが関係しています。黒毛舌とは黒毛舌は、舌の乳頭(舌乳頭)が角化し、細菌や汚れが蓄積することで舌が黒っぽく見える状態です。名前に「毛」がついていますが、実際に毛が生えているわけではなく、乳頭が異常に伸びた結果、毛のように見えるのが特徴です。以下に詳しく解説します。

黒色の舌苔の原因

  1. 口腔衛生の不良
    • 舌の清掃が不十分だと、細菌や食べ物の残渣が蓄積し、舌苔が黒色になることがあります。
  2. 薬剤の影響
    • 抗生物質の長期使用: 抗生物質の使用で口腔内の菌バランスが崩れ、黒毛舌が発生することがあります。
    • ビスマス製剤: 胃薬などに含まれるビスマスが舌に沈着することで黒く見えることがあります。
  3. 喫煙
    • タバコのヤニが舌に沈着し、舌苔が黒っぽくなることがあります。
  4. 飲食物
    • コーヒー、紅茶、ワインなどの色の濃い飲み物や食品が舌に付着することで黒色になる場合があります。
  5. 全身疾患
    • 糖尿病や免疫力低下が関与する場合があります。免疫力が低下すると、口腔内の細菌バランスが乱れ、黒毛舌が発生するリスクが高まります。
  6. カンジダ感染症
    • 舌苔が黒色に見えることがありますが、これは口腔内のカンジダ菌(真菌)の増殖が関与している可能性があります。
  7. 脱水や口腔内の乾燥
    • 唾液の減少や口の中の乾燥により、汚れが舌にたまりやすくなります。

関連する疾患

黒色の舌苔は必ずしも疾患を直接示すわけではありませんが、以下のような疾患が疑われる場合があります:

  1. 糖尿病
    • 糖尿病患者は免疫力が低下しやすく、黒毛舌が発生しやすい傾向があります。
  2. 胃腸疾患
    • 胃腸の機能が低下している場合、口腔内の環境にも影響が及ぶことがあります。
  3. カンジダ症(真菌感染症)
    • カンジダ菌が過剰に増殖することで、舌苔が黒色に変化することがあります。
  4. 慢性疾患や免疫不全
    • HIV感染症や免疫抑制剤の使用による免疫低下が原因で発生することがあります。

4.舌苔が全くない

舌苔が無い平滑舌
舌苔が無い平滑舌

平滑舌

舌苔が全く付着していない平滑舌は唾液の分泌が低下した高齢者に多く見られます。

糸状乳頭が消失し、ツルツルの舌になります。

口腔カンジダ症の発症があれば舌痛症や口角炎、口唇炎、義歯装着部の痛み、味覚異常を有することもしばしば認められます。

1.舌苔の構成成分

舌苔は舌の表面にびっしり生える糸状乳頭の隙間で出来上がります。

糸状乳頭の間に細菌や脱落した上皮細胞
糸状乳頭の間に細菌や脱落した上皮細胞

element

 粘膜から脱落した上皮細胞

舌苔の構成成分中で最も多いのが、粘膜から脱落した上皮細胞です。この脱落した上皮細胞に細菌が多数付着しています。

口臭が強い人では、舌苔の中に存在する嫌気性菌が揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させます。

element

 細菌

口腔内のいたるところで生息する細菌群。例えば歯周病菌、虫歯菌など。

element

 食べかす

食事後粉砕された食物のごく小さいもの。

element

 血球

歯周ポケットなどから滲出した白血球や赤血球など。

2.舌苔が形成される過程

細菌により破壊された上皮細胞は比重が増加し容易に舌乳頭(糸状乳頭)に捕らえられる
細菌により破壊された上皮細胞は比重が増加し容易に舌乳頭(糸状乳頭)に捕らえられる

STEP

唾液が舌背を通過

人は頻繁に唾液を飲み込みます。唾液は舌背を必ず通過します。


STEP

唾液中の上皮細胞の破壊が進む

唾液中には粘膜から脱落した上皮細胞が含まれています。細菌によって脱落した上皮細胞の破壊が進みます。


STEP

破壊された上皮細胞の比重増加

上皮細胞の破壊が進むと比重が増加し、糸状乳頭に捕らえられやすくなります。


STEP

舌苔形成

舌背には舌乳頭(糸状乳頭)が非常に多く、破壊され重たくなった上皮細胞は容易に舌乳頭に沈殿します。


※ 上記は現在考えられる舌苔形成のメカニズムですが、完全に解明されたものではありません。

3.舌表面の糸状乳頭の働きとは?

糸状乳頭の先端は伸びたり削られたりを繰り返す
糸状乳頭は伸びたり削られたりを繰り返す

舌乳頭とは

舌乳頭は、糸状乳頭、茸状乳頭、有郭乳頭、葉状乳頭の4種がありますが、舌表面に最も多く分布しているのが糸状乳頭です。

糸状乳頭の役割

糸状乳頭は舌の粘膜を保護する役割、食物を摂取した時に舌でしっかりキャッチ出来るようにするための組織だと考えられています。

糸状乳頭の先端は伸びたり削られたり

糸状乳頭の先端部は少しずつ伸びています。しかし、会話や食事をする事で削られています。

健康の人では糸状乳頭はほぼ一定の長さを保っています。

4.糸状乳頭が長くなり角化亢進

大量の舌苔が付着
大量の舌苔が付着

大量の舌苔付着へ

食事の時にしっかり噛んで食べられないと糸状乳頭の先端が削られることなく、どんどん伸びて角化が強まります。そして、舌の表面全体は白っぽい毛の様なもので覆われてきます。

長くなった糸状乳頭により舌の表面は毛の長い絨毯が敷かれたようになり、脱落した上皮細胞や細菌、食べカス、血球などが溜まりやすい絶好の環境となります。

最初は薄い舌苔だったものが厚い舌苔へと成長していきます。

厚い舌苔の存在は、しっかりと食べ物を噛んで飲み込んでいるかの判断基準にもなります。ただし、大量に舌苔が付いているからと言って即座に健康に問題があるという分けではありません。

もっとも、分厚い舌苔はそれ自体が臭いの元になり、口臭の最大の原因となることはいうまでもありません。

5.糸状乳頭が長くなりやすい病気

糖尿病、腎臓疾患、血液疾患、胃腸病、シェーグレン症候群など。嗜好品のお酒、たばこなど。

※ これら全身疾患や嗜好品と糸状乳頭が長くなる因果関係は、現在のところ確証は得られていません。

6.唾液分泌低下で舌苔形成が加速

唾液には自浄作用、抗菌作用、湿潤作用などがあります。舌や口の周りの筋肉を適度に動かすことで唾液分泌が促進され、機械的な舌苔除去が行われます。

しかし、唾液分泌が低下するドライマウスの患者さんや咀嚼嚥下機能が低下したオーラルフレイルの高齢者ではこのメカニズムが上手く働かず、舌苔の大量付着に繋がります。


1.正しい舌磨きのやり方

舌苔は舌の表面にびっしり生える糸状乳頭(舌乳頭)の間に蓄積します。舌苔を除去するには舌磨き専用のブラシを使い糸状乳頭が剥げ落ちないように、優しく行うのがポイントです。頻繁なケアは舌を傷つける可能性があるため、1日1回、朝起きたときに行うのが理想的です。これ以上頻繁に行う必要はありません。

舌磨きは糸状乳頭の破壊に注意

舌の表面には糸状乳頭と呼ばれる微細な組織がびっしりと存在しています。 この糸状乳頭は非常にデリケートで、歯ブラシでゴシゴシ磨いたりすると簡単に剥げ落ちてしまいます。ちぎれた糸状乳頭の一部は唾液中に浮遊します。そして唾液は白くにごり、唾液自体が臭いを帯びて来ます。

舌乳頭(糸状乳頭)
糸状乳頭(舌乳頭)

白っぽい点状のものが糸状乳頭(舌乳頭)です。

正常の糸状乳頭
正常の糸状乳頭

正常の糸状乳頭断面の顕微鏡画像です。糸状乳頭の先端が尖っています。

糸状乳頭先端が破壊

糸状乳頭先端が破壊され丸味を帯びています。

2.糸状乳頭の役割

糸状乳頭は舌の表面に唾液を溜める働きがあります。歯ブラシで舌の表面をゴシゴシ磨くと、糸状乳頭がなくなり、つるつるになってしまいます。そのため唾液を溜めることができなくなり、口の中は乾燥し、口臭の発生へとつながっていきます。

3.舌磨きブラシの使い方

舌磨きブラシ
舌磨きブラシ

スワン社 オラブラシ

舌ブラシで最も安全性が高いと考えられるのはスワン社オラブラシクリアブルーです。
極細でソフトなプラスチックブラシが多数植毛された舌ブラシです。

糸状乳頭を傷つけないで舌苔をしっかり取りきる優れものです。奥から手前に優しく動かすのがポイントです。

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スワン社オラブラシクリアブルー

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4.舌苔を溶かし浮かび上がらせる

潤いベロクリーナー
潤いベロクリーナー

潤いベロクリーナーの使い方

「潤いベロクリーナー」を舌の上に2~3滴ほど垂らし、舌を上顎にこすりつけるようにしてジェルを まんべんなく舌の表面になじませます。

口腔が乾燥していると舌苔が硬くこびりついて舌苔ブラシでは、なかなか取れないことがあります。潤いベロジェルは、舌苔を柔らかく溶かして取りやすくします。

そのまま10秒ほどおいて溶けて浮き上がった舌苔を舌磨きブラシでかきとります。奥から手前に引き、流水でブラシを洗浄し、ジェルの中に舌苔が確認できなくなるまで2・3度行います。

(注意)決して強く掻き取らないでください。舌の表面にある糸状乳頭という組織が剝ぎ取られてしまいます。

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潤いベロ

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5.舌苔の掃除用具

舌苔の掃除用具
舌苔の掃除用具

舌ブラシ型と舌ベラ型の比較

舌ブラシ型と舌ベラ型をそれぞれ使い、揮発性硫黄化合物(VSC)の産生減少を比較すると、舌ブラシ型の方が、その量の減少およびその持続時間が長いことが実験的に確かめられました。

舌ブラシ型は糸状乳頭間が清掃可能であり、その部位に生息するVSC産生菌を効率よく除去しているものと推察されます。

舌べラ型 軟性樹脂タイプ
舌べラ型軟性樹脂タイ

舌べラ型 薄板状タイプ
舌べラ型薄板状タイプ

舌ブラシ型ワイヤー植毛タイプ
舌ブラシ型ワイヤー植毛タイプ

6.歯磨き粉に含まれる合成界面活性剤の悪影響

歯磨き粉の選択は要注意
歯磨き粉の選択は要注意

界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムはNG

歯磨き粉の成分表示には、研磨剤・湿潤剤・発泡剤・粘結剤・香味剤(香料)・薬用成分・保存料などが書いてあります。

この中の洗浄・発泡剤として入っているラウリル硫酸ナトリウムが合成洗剤と同じ合成界面活性剤です。このラウリル硫酸ナトリウムにより糸状乳頭が破壊されます。

また、これはクリームなどにも乳化剤として入っているもので、動物実験では受精卵障害や成長障害が報告されているものです。

味覚異常

舌乳頭の下部には味を感じる味蕾(みらい)という細胞があります。この味蕾がハミガキ剤に含まれているラウリル硫酸ナトリウムなどの合成界面活性剤によって損傷を受けているのです。

これは同時に舌乳頭が剥がれ落ち、ちぎれた舌乳頭の一部は唾液中に浮遊することを意味します。

従って、歯磨き粉の選択にはラウリル硫酸ナトリウムが入っていないものを選ぶべきです。虫歯予防に効果的なフッ素入り歯磨き粉がお薦めです。

1.舌苔がなかなか取れない原因

分厚くなかなか取れない舌苔
分厚くなかなか取れない舌苔

全身疾患と関係

Disease

 胃腸障害

胃腸障害が起こっている時に分厚い舌苔が沈着する事があります。舌苔ブラシを使った機械的な除去だけではすぐにまた付着してしまいます。

Disease

 全身疾患や嗜好品

糖尿病、腎臓疾患、血液疾患など糸状乳頭が長く伸びる可能性のある全身疾患やお酒、たばこが原因であれば、そちらをまず治す必要があります。

Disease

 口呼吸

口呼吸があると口腔内が乾燥し、舌苔が舌にこびりついてしまい、なかなか取れないことがあります。

潤いベロジェルなどを使い、舌苔を柔らかくしてから除去してください。

Disease

 オーラルフレイル

滑舌、嚥下機能、口腔乾燥、咀嚼機能などの口腔機能低下症の症状が見られた状態をオーラルフレイルと言い、唾液の自浄作用が低下するため分厚い舌苔を形成することがあります。

2.対策

ハチミツ

寝たきりの要介護高齢者は、舌や口輪筋などを上手く動かすことが出来ないため咀嚼機能や嚥下機能が低下していることがあります。

寝たきりで常時開口状態にあると口腔機能低下と口腔乾燥も伴って、舌全体に分厚い大量の舌苔が付着しやすくなります。

この様な高齢者に対して蜂蜜を舌に塗布して良好な結果が得られたとの報告があります。やり方は簡単でスプーン一杯の蜂蜜を舌の上に乗せて満遍なく広げるだけです。そして、徐々に蜂蜜を舐めてもらいます。

はちみつは、普通の食べ物なので嫌がらずに使用してもらえます。

舌苔の除去や減少などが見られたほか、乾燥状態の口腔内が湿潤状態になり、舌苔が付きにくくなったとのことです。これは、「はちみつ」に含まれる有機酸と過酸化水素の強い殺菌力が、細菌の増殖を抑える働きがあるからだとも言われています。

パイナップルやパパイヤ

パイナップルやパパイヤに含まれる酵素は、舌苔(ぜったい)を分解する効果があるとされています。これらのフルーツには、主に以下のような酵素が含まれています。

1. パイナップルのブロメライン
  • 特性: タンパク質分解酵素であり、食材の軟化や消化促進のために利用されることが多いです。
  • 舌苔への作用: 舌苔は細菌や食べかす、死んだ細胞などのタンパク質が主成分で構成されています。ブロメラインはこれらのタンパク質を分解し、舌苔の蓄積を軽減する効果があります。
2. パパイヤのパパイン
  • 特性: 同じくタンパク質分解酵素で、パイナップルのブロメラインと似た働きをしますが、さらに穏やかな作用を持つことが特徴です。
  • 舌苔への作用: 舌の表面に付着したタンパク質を柔らかくし、自然に洗い流されやすくします。これにより口腔の清潔感を保つ効果が期待されます。
3. 使い方の注意点
  • 直接摂取: パイナップルやパパイヤを新鮮な状態で食べることで、酵素が口腔内に作用します。ただし、酵素の働きは口腔内のpHや温度に影響を受けるため、効果が一時的である点に留意してください。
  • 歯磨き後の使用: フルーツを食べた後は糖分が口内に残る可能性があるため、舌苔ケアの後には必ず水で口をすすぎましょう。
4. フルーツ由来の酵素を含む製品
  • 最近では、ブロメラインやパパインを配合した舌クリーナーやオーラルケア製品も市販されています。これらは適切に調整された濃度で、安全に舌苔を除去できるように設計されています。
5. 注意点
  • 酵素の過剰な使用は、口腔内の粘膜を傷つける可能性があります。敏感な方やアレルギーがある方は注意が必要です。
  • 舌苔は時に健康上の問題(口腔内の乾燥や病気)によって増えることもあります。気になる場合は歯科医に相談してください。

これらのフルーツを利用することで、自然な方法で舌苔のケアが可能です。ただし、基本的なオーラルケア(歯磨きや舌ブラシの使用)を忘れずに取り入れることが重要です。

3.口腔カンジダ症が原因の舌苔のメインテナンス

重曹でうがい
重曹でうがい

重曹でうがい

唾液の分泌が低下する原因には様々ありますが、それによって起こる口腔乾燥症状をドライマウスと言います。

ドライマウスが起こると口腔カンジダ症を発症する事があります。当然、舌苔の中に増殖した口腔カンジダ菌(真菌)が多く含まれるようになります。

この様な場合にはなかなか舌苔が取れないことがあります。

口腔カンジダ症の治療には抗真菌薬が必要ですが、長期間の使用は出来ないため、メンテナンスには重曹でのうがいが有効です。

また、重曹自体に洗浄効果があるため、舌苔を溶かし浮き上がらせる効果も期待出来ます。


1.食事内容の見直し(唾液分泌を促す食品)

食事内容の見直し(唾液分泌を促す食品)

舌苔を予防するためには、唾液の分泌を促す食事内容を意識することが重要です。唾液には自然な洗浄作用があり、舌苔の原因となる汚れや細菌の増殖を抑える働きがあります。

  • おすすめの食品
    • 硬い食品:せんべい、リンゴ、生野菜など、しっかり噛む必要がある食品は唾液の分泌を促進します。
    • 酸味のある食品:レモンや梅干しは、唾液腺を刺激して分泌を増やします。
    • 香辛料:少量のスパイス(ショウガやシナモンなど)は、口内の血流を良くし、唾液の分泌を促します。
  • 控えたい食品
    • 甘いお菓子や清涼飲料水は口内の細菌を増やし、舌苔の原因になりやすいので摂取を控えましょう。

2.水分補給と唾液の役割

水分補給と唾液の役割

適切な水分補給は、口内環境を整えるために欠かせません。唾液の分泌を維持するためには、体が十分な水分を保持していることが重要です。

  • 水分補給のポイント
    • 日中こまめに水を飲むことで、口腔内を潤し、舌苔の形成を防ぎます。
    • 特に食後は水を飲むことで、食べカスや細菌を洗い流す効果があります。
  • 飲み物の選び方
    • 水やお茶(糖分を含まないもの)が理想的です。
    • アルコールやカフェイン飲料は脱水を招くため、飲みすぎに注意が必要です。
  • 唾液の重要性
    • 唾液は舌苔の形成を抑え、口内のpHバランスを保つ役割があります。
    • 唾液不足は口臭や細菌繁殖の原因となるため、意識的に唾液分泌を促す習慣をつけましょう。

3.ストレス管理と全身の健康維持

ストレス管理と全身の健康維持

ストレスは唾液の分泌を抑え、舌苔の形成を助長する原因となります。ストレス管理を行うことは、舌苔予防だけでなく、全身の健康を維持するためにも重要です。

  • ストレスが唾液に与える影響
    • 強いストレスは交感神経を刺激し、唾液腺の働きを低下させます。
    • 結果として、口内が乾燥し、舌苔や口臭のリスクが高まります。
  • ストレス管理法
    • 運動:ウォーキングやヨガなどの適度な運動は、ストレスを和らげます。
    • リラクゼーション:深呼吸や瞑想などを取り入れることで、心身をリフレッシュできます。
    • 睡眠:十分な睡眠を確保することで、ストレスホルモンの分泌を抑える効果があります。
  • 全身の健康維持
    • バランスの取れた食事、適度な運動、水分補給を徹底することで、免疫力を高め、舌苔を含む健康トラブルを防ぎましょう。

舌苔予防には日常生活の改善が不可欠です。これらの習慣を取り入れ、健康な口内環境を維持することを心がけましょう。


1.歯科医での舌苔ケア

舌苔が自分で取り除けない場合や、口臭や体調不良が気になる場合は、歯科医による専門的なケアを受けることをおすすめします。歯科医は、患者一人ひとりの口腔環境に合わせて適切なアドバイスや処置を行います。

  • 歯科でのケア内容
    • 専用の器具や舌クリーナーを使った舌苔除去。
    • 舌苔が多くなる原因の診断と生活改善アドバイス。
    • 必要に応じて口腔内洗浄や抗菌剤の使用。
  • 定期的な受診のメリット
    • 舌苔が再発しにくくなるよう、口腔環境を整える方法を教えてもらえる。
    • 口臭や口腔内の病気を未然に防ぐことができる。
    • 舌苔の原因となる他の問題(虫歯、歯周病など)の早期発見が可能。

2.舌苔が治らない場合に考えられる疾患とその対処法

舌苔が長期間改善しない場合は、口腔内の問題だけでなく、全身的な疾患が原因になっている可能性があります。以下に主な疾患とその対処法を示します。

  • 考えられる疾患
    1. 糖尿病
      • 高血糖状態が唾液の分泌を減少させ、舌苔の形成を助長する。
      • 対処法:血糖値の管理、歯科と内科の連携治療。
    2. 胃腸障害
      • 胃酸の逆流や消化不良が原因で舌苔が増えることがあります。
      • 対処法:消化器内科を受診し、胃腸の状態を改善する。
    3. カンジダ症(口腔カンジダ)
      • 舌苔が白く厚くなる場合、カンジダ菌の感染が疑われます。
      • 対処法:抗真菌薬の処方、口腔内の清潔維持。
    4. 免疫力低下
      • 体調不良やストレスによる免疫力低下が舌苔の原因になることがあります。
      • 対処法:生活習慣の改善、適切な医療機関での検査。
  • 対処の流れ
    1. 歯科医で舌苔や口腔内環境を確認。
    2. 必要に応じて内科や専門医を紹介される。
    3. 原因となる疾患の治療を進めながら、舌苔ケアを並行して行う。

専門家のケアを受けることで、舌苔の除去だけでなく、その原因や全身的な健康問題に対処できます。放置せず、適切な治療を受けることが重要です。


1.舌苔と腸内環境のつながり

舌苔は口内環境だけでなく、腸内環境とも深い関係があります。舌苔に含まれる細菌は、腸内フローラ(腸内細菌の集まり)に影響を与え、消化器系や免疫機能に関与します。

  • 舌苔と腸内環境の関連性
    • 舌苔の細菌が唾液と共に消化管へ運ばれることで、腸内のバランスに影響を与える可能性があります。
    • 悪玉菌の増加が進むと、腸内環境が悪化し、便秘や下痢、免疫力の低下につながります。
  • 腸内環境改善のために舌苔ケアを行う理由
    • 舌苔を適切にケアすることで、口内から腸内への悪影響を防ぐことができます。
    • 舌苔ケアを習慣化することが、消化器系の健康維持にも寄与します。
  • 腸内環境を整えるための対策
    • 発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など)の摂取。
    • 食物繊維が豊富な野菜や果物を取り入れた食事。
    • 十分な水分補給と規則的な食生活。

2.舌苔から見える免疫力の低下

舌苔の状態は、免疫力の状態を示す指標となります。免疫力が低下すると舌苔が増加しやすくなり、感染症や全身疾患のリスクが高まることがあります。

  • 免疫力低下による舌苔の増加
    • 疲労やストレス、睡眠不足などで免疫力が低下すると、舌苔が厚くなりやすい傾向があります。
    • 高齢者や病気を抱えている方は、特に舌苔の管理が重要です。
  • 舌苔が示す具体的なサイン
    • 白い舌苔:軽度の免疫低下や口内の衛生状態悪化を示唆。
    • 黄色い舌苔:消化器官の不調や感染症の可能性。
    • 黒毛舌:免疫力が極端に低下した場合や抗生物質の使用に関連。
  • 免疫力を高めるための舌苔ケア
    • 舌苔を清潔に保つことで、口内の細菌数を減らし、感染症を予防します。
    • 舌ケアと同時に、規則正しい生活やバランスの取れた食事を心がけることが重要です。
  • 免疫力向上のポイント
    • 栄養バランスの取れた食事を心がける(ビタミンCや亜鉛などを含む食品)。
    • 適度な運動で血流を促進し、免疫力を向上させる。
    • ストレスを軽減し、質の良い睡眠を確保する。

舌苔は、腸内環境や免疫力の状態を反映する重要なサインです。適切な舌苔ケアを行うと同時に、全身の健康を意識した生活習慣を整えることで、健康維持と疾患予防につながります。

舌苔を完全に除去すべきかについて、以下のようにお答えします。


舌苔は完全に除去する必要はありません

舌苔は舌の表面に自然に存在するもので、すべてを完全に取り除く必要はありません。適度な舌苔は口腔内の正常な状態の一部でもあります。ただし、舌苔が過剰にたまり、不快な症状や健康上の問題が発生している場合には、適切なケアが必要です。


舌苔を取りすぎるリスク

  • 舌を傷つける可能性
    強くこすりすぎると舌の表面を傷つけ、痛みや炎症を引き起こすことがあります。
  • 口腔内のバリア機能の低下
    舌苔をすべて除去してしまうと、舌のバリア機能が低下し、細菌や感染症のリスクが高まることがあります。

適切な舌苔ケアの方法

  • 専用の舌ブラシを使用
    舌を傷つけないように、柔らかい舌ブラシや専用のクリーナーを使い、軽い力でケアします。
  • 頻度
    1日1回、朝起きたときに行うのが理想的です。これ以上頻繁に行う必要はありません。
  • 自然療法
    唾液を促進するために、よく噛む食事やパイナップルなどの酵素を含む食品を取り入れることも有効です。

注意が必要な場合

以下のような症状がある場合は、歯科医師に相談してください:

  • 舌苔が非常に厚く、除去してもすぐに戻る。
  • 舌苔が黄色や黒っぽい色をしている。
  • 舌苔の増加に伴い、口臭や不快感が強い。

舌苔ケアは適度で十分です。健康な舌を保つために過剰な除去を避けつつ、必要に応じて専門的なアドバイスを受けるようにしましょう。

子供や高齢者の舌苔ケアについて、以下のようにお答えします。

子供の舌苔ケア

ポイント

子供の舌は敏感で柔らかいため、大人と同じ方法ではなく、優しく行う必要があります。成長期の子供は唾液分泌が盛んで自然に舌苔が付きにくい場合もありますが、不十分な口腔ケアや病気が原因で舌苔が増えることがあります。

  • 基本的な方法
    1. 優しい舌ブラシを使用
      子供用の柔らかい舌ブラシやガーゼを用いて、優しく拭き取ります。1日1回程度で十分です。
    2. 唾液分泌を促す
      よく噛む食事(せんべい、リンゴなど)やガムを取り入れることで唾液が増え、自然な洗浄効果が得られます。
    3. 水でうがい
      食後や寝る前に水でしっかりうがいすることで、舌苔の蓄積を防げます。
  • 注意事項
    • 強くこすらず、無理に取ろうとしないこと。
    • 子供が舌苔を気にしていない場合や症状がない場合は、頻繁なケアは必要ありません。

高齢者の舌苔ケア

ポイント

高齢者は唾液の分泌が減少しやすく、舌苔が蓄積しやすい傾向があります。誤嚥性肺炎のリスクもあるため、舌苔ケアは重要です。

  • 基本的な方法
    1. 専用の舌ブラシを使用
      高齢者向けの柔らかいブラシを使い、舌を傷つけないように奥から手前に軽く動かします。
    2. 口腔保湿剤の利用
      唾液の分泌が少ない場合は、保湿スプレーやジェルで口内を潤します。
    3. 舌苔ケアの補助
      家族や介護者が手伝う場合は、本人が不快感を感じないように優しく行います。
  • 補助食品や習慣
    • 唾液を促す食品(梅干し、パイナップルなど)や、こまめな水分補給を心がけましょう。
    • 食後や寝る前に水や緑茶でうがいをすると効果的です。
  • 注意事項
    • 舌苔が硬くこびりついている場合、無理に取ろうとせず歯科医に相談してください。
    • 入れ歯を使用している場合は、舌だけでなく入れ歯の清掃も重要です。

まとめ

  • 子供の場合は、必要最低限の優しいケアを心がけます。頻繁なケアは不要ですが、口腔ケアの習慣づけが大切です。
  • 高齢者の場合は、舌苔の除去だけでなく、唾液の分泌を促す工夫や誤嚥性肺炎の予防も意識することが重要です。

適切な舌苔ケアは、健康な口腔環境を保つために不可欠です。必要に応じて歯科医に相談し、最適なケア方法を取り入れましょう。

市販の舌苔ケア用品は効果的か?について、以下のようにお答えします。


市販の舌苔ケア用品の効果

市販されている舌苔ケア用品(舌ブラシ、舌クリーナー、口腔用リンスなど)は、適切に使用すれば舌苔の除去や口内環境の改善に一定の効果があります。ただし、すべての製品がすべてが効果的であるとは限りません。以下に具体的なポイントを示します。


1. 舌ブラシや舌クリーナー

  • 効果
    舌表面に付着した舌苔を物理的に除去する道具として有効です。
  • 選び方のポイント
    • 舌を傷つけないように、柔らかい素材のものを選ぶ。
    • ヘッドが大きすぎず、使いやすいサイズのものが理想。
  • 注意点
    • 強くこすりすぎると舌の表面を傷つける恐れがあります。
    • 1日1回、朝起きたときに行うのが理想的です。これ以上頻繁に行う必要はありません。

2. 舌苔除去スプレーや口腔リンス

  • 効果
    細菌の繁殖を抑え、舌苔の再発を防ぐ効果が期待できます。特に、抗菌成分を含む製品は口臭対策にも有効です。
  • 選び方のポイント
    • アルコールが含まれていないもの(口内の乾燥を防ぐため)。
    • 抗菌作用や保湿効果のある成分を含む製品。
  • 注意点
    • あくまで補助的なケア用品であり、舌苔を完全に除去するものではありません。
    • 舌苔が多い場合、スプレーだけでは効果が不十分なことがあります。

3. 舌苔専用ガムや食品

  • 効果
    唾液分泌を促進することで、舌苔が自然に落ちやすくなる効果があります。ガムを噛むことは舌苔予防に有効です。
  • 選び方のポイント
    • キシリトール入りのガムは虫歯予防にも効果的です。
    • 甘味料が含まれていないものを選ぶ。

市販用品を使用する際の注意点

  1. 舌を傷つけない
    舌は繊細な器官です。強い力でケアすると、傷つけたり炎症を起こす可能性があります。
  2. 過剰に使用しない
    毎日頻繁に使うと、舌の自然なバリア機能を損なう恐れがあります。
  3. 改善が見られない場合は専門家に相談
    市販用品で効果がない場合や、舌苔が異常に厚い場合は歯科医師の診察を受けてください。

結論

市販の舌苔ケア用品は、正しい使い方をすれば効果的です。しかし、舌苔の量や原因によっては、専門的なケアや生活習慣の改善が必要な場合があります。わからないことがあれば遠慮なくご相談ください。

江戸川区篠崎で舌苔ケアで健康な口腔環境を!

舌苔(ぜったい)は舌に付着する白や黄色の汚れで、口臭の主な原因となるだけでなく、感染症や全身疾患にも影響を与えることがあります。しかし、正しいケアを行えば、舌苔は簡単に予防・改善できます。

舌苔が気になる方は、優しく舌を磨く習慣や唾液を増やす食生活を心がけてみましょう。また、専用の舌ブラシやジェルを使うことでより効果的なケアが可能です。

当院では、舌苔や口腔ケアについてのご相談も承っています。お口の健康を守るために、ぜひお気軽にご相談ください!

【動画】なかなか取れない舌苔の完全除去方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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