- 1. 【動画 29秒】強度と美しさを兼ね備えたメタルボンド
- 2. メタルボンドとは?
- 2.1. 1.メタルボンドの定義と特徴
- 2.1.1. メタルボンドの構造
- 2.1.2. メタルボンドに使われる金属
- 2.2. 2.他の補綴物との違い(オールセラミックやジルコニアとの比較)
- 2.3. 3.歴史と技術の進化
- 2.4. 4.メタルボンドのメリット
- 2.4.1. 強度と耐久性
- 2.4.2. 自然な審美性
- 2.4.3. 適応範囲の広さ
- 2.5. 5.メタルボンドのデメリット
- 2.5.1. 金属アレルギーのリスク
- 2.5.2. 費用面での課題
- 2.5.3. 他素材に比べた審美性の限界
- 2.6. 6.メタルボンドの適応症例
- 2.6.1. 前歯への適用
- 2.6.2. 臼歯への適用
- 2.6.3. 適応外のケース
- 2.7. 7.メタルボンドの寿命
- 2.7.1. 長寿命の理由
- 2.7.2. 寿命を縮める要因
- 2.8. 8.長持ちさせるための口腔ケア方法
- 2.8.1. 1. 適切な歯磨き習慣
- 2.8.2. 2. 定期的な歯科検診
- 2.8.3. 3. 噛み合わせの管理
- 2.8.4. 4. 生活習慣の見直し
- 2.9. 9.修理・再治療が必要なケース
- 2.9.1. 1. セラミック部分の欠けや破損
- 2.9.2. 2. メタル部分の腐食や劣化
- 2.9.3. 3. 接着セメントの劣化や脱落
- 2.9.4. 4. 土台となる歯の虫歯や歯周病
- 2.9.5. 5. 噛み合わせや歯列の変化
- 3. メタルボンドの治療プロセス
- 3.1. 初診から治療完了までの流れ
- 3.2. メタルボンド治療例
- 3.3. メタルボンドと保険適用の硬質レジン前装冠の比較
- 3.4. メタルボンドのリスク
- 4. メタルボンドの費用
- 4.1. 自費治療
- 5. 江戸川区篠崎でメタルボンドによる審美治療をご希望の方へ
- 6. 筆者・院長
【動画 29秒】強度と美しさを兼ね備えたメタルボンド
メタルボンドとは?
1.メタルボンドの定義と特徴
メタルボンドは、内側に金属を使用し、外側にセラミックを焼き付けた補綴物(被せ物や差し歯)の一種です。この構造により、金属の高い強度とセラミックの自然な審美性を兼ね備えています。特に、咬合力が強くかかる奥歯やブリッジなどの部位に適しており、耐久性に優れることが大きな特徴です。
また、セラミック部分は歯の色調に近い仕上がりを実現するため、見た目の美しさも評価されています。ただし、内側の金属が露出する場合があり、透明感や審美性の点ではオールセラミックに劣る場合があります。金属アレルギーのリスクがある点も注意が必要です。
メタルボンドの構造
写真の矢印の8歯がメタルボンドが入っています。メタルボンドの内側は金属のシェルで作られています。シェルの上に歯冠色のセラミック(陶材)を焼き付けたものをメタルボンドクラウン(陶材焼付鋳造冠)と言い、通称メタルボンドと呼んでいます。
この症例では審美的に仕上げるために正面から見えない内側にもセラミックを焼き付けフルベイクを採用しています。
メタルボンドに使われる金属
メタルボンドに使われる金属はセミプレシャス(準貴金属)が使われることが多いです。
2.他の補綴物との違い(オールセラミックやジルコニアとの比較)
特性 | メタルボンド | ジルコニア | オールセラミック |
---|---|---|---|
強度 | 非常に高い(内側が金属のため) | 非常に高い(噛み合い力に強い) | 中程度(ジルコニアより劣る) |
審美性 | 高いが透明感はやや劣る | 高いが透明感はオールセラミックより劣る | 非常に高い(透明感があり自然) |
適応範囲 | 奥歯・前歯・ブリッジなど幅広い | 奥歯・ブリッジなど耐久性を重視する部位に適する | 前歯や審美性が求められる部位に適する |
金属アレルギーのリスク | あり(内側に金属を使用) | なし(100%メタルフリー) | なし(100%メタルフリー) |
費用 | 中程度(自費診療が一般) | 高い(自費診療) | 高い(自費診療) |
耐久性 | 長い(10~15年) | 非常に長い(15年以上) | 中程度(7~10年程度) |
メタルボンドは、内側に金属、外側にセラミックを使用した補綴物です。他の補綴物であるオールセラミックやジルコニアとは以下の点で異なります。
1. 強度
メタルボンドは内側に金属を使用するため、咬合力が強くかかる部位やブリッジに適しています。一方、ジルコニアも高い強度を持ちますが、オールセラミックは割れやすいため前歯向きです。
2. 審美性
オールセラミックは透明感が高く、自然な見た目を追求できます。ジルコニアも白い素材で審美性が高いですが、メタルボンドは内側の金属が透ける可能性があり、やや劣ります。
3. アレルギーリスク
メタルボンドは金属アレルギーのリスクがありますが、オールセラミックやジルコニアはアレルギーの心配がない点で優れています。
使用部位や目的に応じて適材適所で選択することが重要です。
3.歴史と技術の進化
メタルボンドは1950年代に開発され、歯科補綴物に革命をもたらしました。当初は、強度と審美性を両立させる目的で、金属とセラミックを融合する技術が導入されました。この構造により、奥歯など高い咬合力が必要な部位でも使用できるようになり、耐久性の高い治療法として広がりました。
1980年代にはセラミックの素材や焼き付け技術が向上し、より自然な色合いや滑らかな仕上がりが可能になりました。
近年では、ジルコニアやオールセラミックといった新素材が普及していますが、メタルボンドはその高い強度と適応範囲の広さから、今なお多くの症例で採用されています。
4.メタルボンドのメリット
強度と耐久性
メタルボンドは内側に金属を使用しているため、高い強度と耐久性があるので奥歯の単冠はもちろん、連続するブリッジにも適用できます。咬合力が強くかかる奥歯やブリッジなどの症例でも安心して使用できる補綴物です。また、金属の骨格がセラミックを支えるため、ひび割れや破損のリスクが低く、長期間安定した状態を維持できます。
自然な審美性
外側のセラミック部分は歯に近い自然な色合いを再現できるため、見た目が美しい仕上がりとなります。また、メタルボンドのセラミックは吸水性が無いため変色しません。特に前歯の治療においては、患者の希望に合わせて色調を調整することで、周囲の歯と調和した補綴物が提供できます。
適応範囲の広さ
メタルボンドは、奥歯から前歯、さらにはブリッジなど多くの症例に対応可能です。強度と審美性のバランスが取れているため、特定の部位に限定されず、幅広い治療に使用できることがメリットです。また、歯列や噛み合わせに合わせた調整がしやすい点も特徴です。
これらの特長から、メタルボンドは多くの患者に選ばれる補綴物となっています。
5.メタルボンドのデメリット
金属アレルギーのリスク
メタルボンドの内側に使用される金属は、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。特に、ニッケルやパラジウムなどの金属が含まれる場合、アレルギー反応が起こるリスクが高まります。このため、金属アレルギーの既往歴がある患者には注意が必要です。
費用面での課題
メタルボンドは自費診療であり、保険診療よりも高額になることがデメリットです。また、金属とセラミックを組み合わせた複雑な構造や高い技術力を要するため、製作コストが増し、患者にとって治療費用の負担が大きくなる場合があります。
他素材に比べた審美性の限界
メタルボンドは外側がセラミックで覆われているものの、内側の金属が透けて見えることがあります。このため、オールセラミックやジルコニアに比べて透明感が劣り、審美性がやや限定されることがデメリットです。特に、光の透過性が求められる前歯の審美治療では選択肢として劣る場合があります。
これらのデメリットを理解しつつ、患者のニーズに応じた適切な素材選びが重要です。
6.メタルボンドの適応症例
前歯への適用
メタルボンドは、審美性と強度のバランスが求められる前歯に適しています。外側がセラミックで覆われているため、自然な見た目を実現でき、審美性を重視する前歯の治療に使用されることが多いです。ただし、内側の金属が透ける可能性があるため、透明感が重要な症例ではオールセラミックが選ばれる場合もあります。
臼歯への適用
咬合力が強くかかる臼歯の治療にも適しています。内側の金属構造が強度を支えるため、奥歯のブリッジなど、耐久性が求められる部位でも長期間の使用が可能です。また、奥歯では審美性よりも機能性が重視されるため、メタルボンドの金属部分が目立つことも大きな問題にはなりません。
適応外のケース
以下の場合、メタルボンドは適さないことがあります。
- 金属アレルギーの患者
内側に金属を使用しているため、金属アレルギーを持つ患者にはリスクがあります。この場合、オールセラミックやジルコニアが推奨されます。 - 高い透明感が必要な前歯
審美性が特に重視されるケースでは、内側の金属が影響する可能性があるため、オールセラミックが選ばれることがあります。 - 歯根の状態が悪い場合
歯根に十分な強度がない場合や歯茎の状態が悪い場合は、メタルボンドが適用されないことがあります。
患者の口腔状態や審美的な希望に応じて、適切な素材を選択することが重要です。
7.メタルボンドの寿命
メタルボンドの平均寿命は10~15年とされています。正しいケアや定期的なメンテナンスを行えば、さらに長期間使用できることもあります。
長寿命の理由
- 金属の高い強度
メタルボンドの内側に使用される金属は非常に強固で、咬合力の強い奥歯やブリッジにも耐えられるため、長期間使用が可能です。 - セラミックの耐摩耗性
外側のセラミックは耐摩耗性に優れており、長期間美しい見た目を保つことができます。また、歯垢が付着しにくい特性があるため、口腔内の清潔さを維持しやすい点も寿命を延ばす理由の一つです。 - 歯科医の技術と適合性
製作時に精密な設計と高い技術が求められるメタルボンドは、適合性が良く、外れたり壊れたりしにくい構造となっています。これにより、耐久性が向上します。
寿命を縮める要因
- 不十分な口腔ケアによる虫歯や歯周病の進行。
- 強い咬合力や歯ぎしりによる金属やセラミック部分の破損。
- 長期間にわたる使用によるセメントの劣化。
正しいブラッシングや定期的な歯科検診を行うことで、メタルボンドの寿命を最大限延ばすことが可能です。
8.長持ちさせるための口腔ケア方法
1. 適切な歯磨き習慣
- 柔らかめの歯ブラシを使用する
セラミック部分を傷つけないように、毛先が柔らかい歯ブラシを使い、やさしく磨きましょう。 - フッ素入り歯磨き粉を使用
歯を補強し虫歯予防に効果的なフッ素入りの歯磨き粉がおすすめです。ただし、研磨剤が強すぎるものは避けてください。 - 歯間ブラシやデンタルフロスを使う
歯と歯の間や補綴物の隙間に歯垢が溜まりやすいため、歯間ブラシやフロスを使って徹底的に清掃しましょう。
2. 定期的な歯科検診
- 6ヶ月に1回のメンテナンス
歯科医院での定期検診により、歯の状態やメタルボンドの適合性を確認します。早期にトラブルを発見することで、寿命を延ばすことができます。 - プロフェッショナルクリーニング(PMTC)
歯科医院で行う専用器具によるクリーニングで、家庭では落としきれない汚れを除去します。
3. 噛み合わせの管理
- 歯ぎしりや食いしばりを防ぐ
歯ぎしりや食いしばりはメタルボンドに負荷をかけ、破損やセメントの劣化を招く可能性があります。必要に応じてナイトガードを使用してください。 - 硬い食べ物の過剰摂取を控える
硬いもの(氷やナッツなど)を噛むことは、セラミック部分の欠けや破損の原因となるため注意が必要です。
4. 生活習慣の見直し
- 糖分の摂取を控える
糖分は虫歯の原因となり、メタルボンドの土台となる歯を弱らせる可能性があります。 - 喫煙を控える
喫煙は口腔内環境を悪化させ、歯茎の健康を損なうことがあります。結果として補綴物の寿命に影響を及ぼすため禁煙を心がけましょう。
これらのケアを日々実践することで、メタルボンドを長持ちさせることが可能です。
9.修理・再治療が必要なケース
メタルボンドは耐久性が高い補綴物ですが、使用状況や経年劣化により修理や再治療が必要になる場合があります。以下に代表的なケースを紹介します。
1. セラミック部分の欠けや破損
- 原因
硬い食べ物を噛んだり、歯ぎしりや食いしばりによる強い咬合力が加わることで、外側のセラミック部分が欠けたり割れたりすることがあります。 - 対応
小さな欠けの場合、コンポジットレジンで補修することが可能です。大きな欠損や広範囲にわたる破損の場合は、新しいメタルボンドに交換する必要があります。
2. メタル部分の腐食や劣化
- 原因
長期間の使用や口腔内の環境(酸性の食べ物や飲み物、唾液の性質)により、金属部分が腐食や劣化することがあります。 - 対応
金属部分の劣化が進行している場合は、新しい補綴物への交換が必要です。
3. 接着セメントの劣化や脱落
- 原因
補綴物を固定しているセメントが経年劣化や咬合力の影響で剥がれ、補綴物が外れることがあります。 - 対応
補綴物自体に問題がなければ、再度接着して使用可能です。ただし、セメント剥がれに伴い虫歯が発生している場合は、その治療後に補綴物の再装着や交換を行います。
4. 土台となる歯の虫歯や歯周病
- 原因
メタルボンドの内側に虫歯が発生したり、歯周病による歯の動揺や歯茎の後退が進行すると、補綴物が支えられなくなることがあります。 - 対応
虫歯や歯周病を治療した上で、場合によっては新しい補綴物を作製する必要があります。
5. 噛み合わせや歯列の変化
- 原因
年齢や咬合力の変化、歯列の移動により噛み合わせが変化し、補綴物が適合しなくなることがあります。 - 対応
噛み合わせの調整を行うか、補綴物を新しく作り直すことで対応します。
定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、修理や再治療を最小限に抑えることが可能です。
メタルボンドの治療プロセス
初診から治療完了までの流れ
Step
初診・カウンセリング
患者の希望や症状を確認し、X線で歯根や周囲の骨の状態を確認し、歯の状態や噛み合わせを詳細に診断し、メタルボンドが適しているかを判断します。
メタルコア装着後型取り
この症例では、神経を取った歯に白金加金のメタルコアをセットしています。メタルコアはファイバーコアに比べ歯根破折のリスクが高い反面、強度があるので前後的に薄く作ることが出来るので、メタルボンドを装着した時に審美的な仕上がりが易いメリットがあります。
メタルコア装着後、歯を削って形を整えます。
Step
シェードテイキング
シェードガイドを見ながら色合わせを行います。写真はA1シェードをあてがっています。次に歯の正確な形状を採取するため、精密な型取り(印象採得)を行います。この型をもとに、歯科技工士が補綴物を製作します。
Step
メタルボンドを装着し、噛み合わせの調整
写真は、完成したメタルボンドを仮装着し、噛み合わせや適合性を確認した後、セメント合着したところです。周りの歯の色と調和して自然な仕上がりになっています。
メタルボンド治療例
歯周治療修了時
重度歯周病の治療が終了した状態です。歯槽骨の吸収が激しく動揺が強いためスーパーボンドで暫間固定を行っています。
歯周治療により歯茎は引き締まり治癒しますが、歯茎が下がります。
メタルボンド装着
矢印の5歯を連結してメタルボンドで修復しています。下がった歯茎も審美的に改善されています。
左に見えるのはシェードガイドといい、色合わせに使います。
メタルボンドと保険適用の硬質レジン前装冠の比較
硬質レジン前装冠の構造
写真は矢印から矢印までの5歯が保険適用の硬質レジン前装冠で治療されています。前装冠は内側の金属に硬質のプラスチックを貼り付けて作ります。
内側全体が金属で作られているため、覗き込むと前装冠であることがすぐに分かり、審美的に問題があります。
硬質プラスチックは吸水性が高いため変色しやすく、強度が低いため破折し易い欠点があります。
メタルボンドのリスク
- 色調はオールセラミッククラウンに劣ります。
- 将来的に歯茎が下がって、歯と歯茎の境目にブラックマージンが見えてくることがあります。
- 見る角度によって、金属が見えることがあります。
- 保険適用外の治療なので、費用は保険に比べてかかります。
- 金属アレルギーを引き起こす可能性があります。
- セラミックが割れることがあります。
メタルボンドの費用
自費治療
保険適用外です。
治療内容 | 内訳 | 値段 |
---|---|---|
オールセラミック | 前歯、奥歯共通(すべてをセラミック作るクラウン) | ¥132,000 (税抜き ¥120,000) |
メタルボンド | 前歯、奥歯共通(内側は金属で外側がセラミックで作るクラウン) | ¥115,500 (税抜き ¥105,000) |
ジルコニアセラミック | ジルコニアフレームにセラミックを焼き付けるクラウン | ¥110,000 (税抜き ¥100,000) |
フルジルコニア | すべてジルコニアで作るクラウン | ¥92,400 (税抜き ¥84,000) |
ファイバーコア | 前歯・奥歯共通 グラスファイバーの土台 | ¥20,900 (税抜き ¥19,000) |
ややテカリが強く、審美性に劣ります。
江戸川区篠崎でメタルボンドによる審美治療をご希望の方へ
江戸川区篠崎で銀歯の被せ物についてお悩みの方は、ぜひふかさわ歯科クリニック篠崎までご相談下さい。当院では、白い被せ物のメタルボンドクラウンだけでなくジルコニアクラウンやオールセラミッククラウンなど様々な審美修復治療をご提案しています。お値段や患者様の口腔内の状態に合わせて適切なアドバイスをさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。