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口腔カンジダ症とは、口の中に常在している「カンジダ菌」が異常に増殖し、粘膜に炎症を起こす感染症です。白くふわふわした苔のようなもの(白苔)が舌や頬の内側に現れたり、ヒリヒリした痛みを感じたりするのが特徴です。

口腔カンジダ症
口腔カンジダ症

🧫 原因となる「カンジダ菌」とは

カンジダ菌は誰の口の中にも存在する常在菌のひとつで、健康な状態であれば悪さをすることはありません。しかし、免疫力が低下したり、口の中のバランスが崩れたりすると、異常に増殖して炎症を引き起こします。

主に原因となるのは「カンジダ・アルビカンス」という種類で、真菌(カビの一種)に分類されます。

👥 どんな人がかかりやすいのか?

以下のような方は、特に口腔カンジダ症になりやすいとされています:

  • 🧓 高齢者(唾液量の減少や入れ歯の影響)
  • 👶 乳児(免疫が未発達なため、「鵞口瘡(がこうそう)」と呼ばれる)
  • 💉 免疫力が低下している人(がん治療中、HIV感染、ステロイド使用中 など)
  • 💊 抗生物質を長期間使用している人
  • 🦷 入れ歯を使用している人(特に手入れが不十分な場合)

健康な人でも、体調不良やストレスなどで一時的に発症することもあります。

口腔カンジダ症の症状は、初期には軽い違和感から始まり、進行するにつれて目に見える変化や痛みが現れるようになります。症状の出方には個人差があり、急性慢性の2つのタイプに分類されます。

🔹 白苔(はくたい)や口の中の痛み

白苔(はくたい)や口の中の痛み
白苔(はくたい)や口の中の痛み

もっとも代表的な症状は、白く柔らかい苔(白苔)が舌や頬の内側、口蓋(上あご)などに付着することです。これを無理にこすって取ろうとすると、赤くただれた粘膜が現れ、出血することもあります。

その他にも以下のような症状が見られます:

  • ヒリヒリ・ピリピリするような痛み
  • 味覚の変化(金属っぽい味など)
  • 口臭の悪化
  • 食べ物がしみる、話しづらい など

🔹 症状の違い:急性 vs 慢性

急性口腔カンジダ症(急性偽膜性カンジダ症)

  • 急に白苔が現れ、痛みも伴いやすい
  • 比較的治療に反応しやすく、短期間で改善することが多い
  • 乳児に多く見られ、「鵞口瘡(がこうそう)」とも呼ばれる

慢性口腔カンジダ症(萎縮性・肥厚性など)

  • 長期間にわたって粘膜が赤くただれ、白苔はあまり目立たないことも
  • 入れ歯装着部位に限局する「義歯性口内炎」などが該当
  • 治療に時間がかかり、再発しやすい傾向あり

🔹 鵞口瘡(がこうそう)とは?

鵞口瘡は、主に新生児や乳児に見られる口腔カンジダ症の一種です。
舌や頬の内側に白いミルクカスのようなものが付着し、哺乳を嫌がる原因にもなります。赤ちゃん自身はあまり痛みを訴えませんが、母親の乳頭に感染を広げることもあるため、注意が必要です。

口腔カンジダ症は、単に「菌に感染する」病気ではなく、からだの防御機能が弱まったときに発症しやすくなるのが特徴です。以下のようなリスク因子を複数抱えている場合、発症や再発の可能性が高くなります。

高齢者や乳児、糖尿病の方、
抗生物質を使用している人は要注意
高齢者や乳児、糖尿病の方、抗生物質を使用している人は要注意

🧬 免疫力の低下(HIV、がん治療中など)

免疫システムが正常に働いていれば、カンジダ菌の増殖は自然に抑えられています。しかし以下のようなケースでは免疫力が大きく低下し、発症リスクが上がります:

  • HIV感染者
  • がんの化学療法・放射線治療中の患者
  • 臓器移植後で免疫抑制剤を使用している人
  • 高齢者や乳児など、免疫が未熟・低下している人

💊 抗生物質やステロイド薬の使用

  • 抗生物質の長期使用により、口腔内の「善玉菌」まで減少し、カンジダ菌が増殖しやすくなります。
  • **吸入ステロイド薬(喘息治療など)**を使用している方は、口腔内に薬が残ることで真菌が増殖しやすくなります(※使用後のうがいが重要です)。

🦷 入れ歯や口腔ケア不足

  • 合わない入れ歯や、毎日の清掃が不十分な場合、菌が繁殖しやすい環境が生まれます。
  • 入れ歯の内側や接触部位に炎症が起こる「義歯性口内炎」の多くは、カンジダ菌が関係しています。
  • 歯磨きやうがいの習慣が不十分な方も要注意です。

🍬 糖尿病や高齢による口腔乾燥

  • 糖尿病の方は血糖値が高く、カンジダ菌の栄養源が豊富な環境となりやすく、また免疫機能も低下しがちです。
  • **加齢や薬の副作用による唾液分泌の低下(ドライマウス)**も、菌の増殖に繋がります。

口腔カンジダ症は、見た目だけでは判断が難しい場合もあるため、正確な診断が重要です。医療機関では、視診や検査を通して症状を見極め、適切な治療方針を立てます。

👀 視診・問診のポイント

医師や歯科医師は、まず口腔内の状態を目で見て確認(視診)し、以下のような点をチェックします:

  • 白苔の有無や分布(舌、頬の内側、上あごなど)
  • 炎症やただれの程度
  • 取り除いたあとに出血があるかどうか
  • 痛みや違和感の有無(問診)
  • 生活習慣や基礎疾患(糖尿病、薬の使用歴など)

特に免疫力の低下や口腔乾燥の有無は、重要な手がかりとなります。

🧫 検体採取と培養検査

白苔や粘膜の一部を綿棒などで採取し、顕微鏡検査培養検査を行うことで、カンジダ菌の存在や種類を確認します。

  • 顕微鏡検査:その場で簡易的に真菌を確認可能
  • 培養検査:菌の種類や増殖の程度を詳しく調べられる(結果には数日かかる)

必要に応じて、全身疾患の有無を調べるために血液検査などを追加することもあります。

⚖️ 鑑別が必要な疾患(間違えやすい病気)

見た目が似ている他の疾患と区別する必要があります。特に以下の疾患とは鑑別診断が重要です。

  • 扁平苔癬(へんぺいたいせん):白いレース状の模様が特徴で、自己免疫疾患の一種
  • 白板症(はくばんしょう):がん化の可能性がある前がん病変
  • アフタ性口内炎:小さな潰瘍を伴う炎症
  • 梅毒・HIV関連病変など、性感染症や免疫不全に関連する粘膜疾患

専門的な判断が求められるため、自己判断せずに歯科や口腔外科を受診することが大切です。

口腔カンジダ症の治療は、主に抗真菌薬(こうしんきんやく)によって行われます。症状の程度や患者さんの全身状態によって、塗り薬と内服薬を使い分けるのが一般的です。

💠 抗真菌薬の種類

以下のような抗真菌薬が治療に用いられます:

  • ミコナゾール(商品名:フロリード®)
     最もよく使われる塗り薬。口の中に塗布して使います。
  • アムホテリシンB(商品名:ファンギゾン®シロップなど)
     重症例や全身疾患のある方に使用されることもあります。
  • イトラコナゾール、フルコナゾール
     内服薬として用いられ、全身への感染や慢性例に対応します。

※乳児の場合はミコナゾールのゲルタイプなどが処方されます。

🧴 塗り薬と内服薬の使い分け

  • 軽症〜中等症の場合:基本的には**塗り薬(外用薬)**が使用されます。直接患部に塗ることで、局所的に効果を発揮します。
  • 症状が広範囲・重度の場合内服薬を併用または単独で処方することがあります。免疫低下が強い場合や、外用薬で改善しない場合が対象です。

服薬中はうがいや口腔清掃を行った後に使用することで、効果が高まります。

📆 治療期間と再発予防のための指導

  • 通常、1〜2週間程度で症状は改善しますが、再発を防ぐために医師の指示に従い、最後まできちんと薬を使うことが重要です。
  • 原因となる要因(口腔乾燥、入れ歯の不衛生、抗菌薬の乱用など)を改善しなければ再発のリスクが高まります。
  • 入れ歯の洗浄や、口腔ケアの徹底、糖尿病などの基礎疾患のコントロールも重要なポイントです。

🥤抗真菌薬ファンギゾンシロップ

抗真菌薬ファンギゾンシロップ
抗真菌薬ファンギゾンシロップ

用法・用量

3ml 分3 毎食後 8日分。

ファンギゾンシロップ1瓶は24ml入りです。1mlづつ1日3回使用します。1瓶で8日分あります。

口腔カンジダ症に効果があり、副作用や禁忌症(他の薬との併用が可能)が殆どないので第1選択として使用します。

飲み方

スポイトで1ml 吸い上げ直接口腔内に滴下します。舌で満遍なく口腔内全体(唇や口角にも)に伸ばします。30秒経過後飲み込みます。

🧴フロリードゲル経口用2%

フロリードゲル経口用2%
フロリードゲル経口用2%

用法・用量

1日10g 分4 毎食後と寝る前 7日分。

フロリードゲル1チューブは5g入りです。1回に付きチューブの半分を使います。12本で7日分あります。

使い方

ファンギゾンシロップの効果が無い、或は効果が少ない場合に使用します。

チューブから半分出し、口角炎や口唇炎の部分も含めて口腔内全体に塗布します。口の中にできるだけ長く含んだ後で飲み込みます。

義歯を使用している場合には、義歯の内面に塗布すると効果的です。

1週間後に効果判定を行い、症状が軽減されていればさらに7日間の追加投与を行いますが、症状に改善の変化が無い場合には使用は中止とします。

本来の投与期間は原則として14日間です。

👄マウスピースにフロリードゲル経口用2%を入れて使う

マウスピースにフロリードゲル経口用2%を入れる
マウスピースにフロリードゲル経口用2%を入れる

フロリードゲルの効果を最大化

フロリードゲルの効果を最大限引き出すには、出来るだけ長時間口腔内に留めておく必要があります。

そこで、口蓋を覆うような保湿装置(マウスピース)を作成して、その中にフロリードゲルを少し入れ、寝ている時に使用します。フロリードゲルの抗菌成分が徐々にリリースされて抗菌効果が期待出来るのと同時に湿度も維持出来るダブルの効果が期待出来ます。

※ 唾液の分泌が少ない方に使用する保湿装置は、市販の保湿ジェルを入れて使用するのが一般的です。保湿ジェルの代わりにフロリードゲルを入れて使うわけです。

フロリードゲルの併用禁忌

一般名薬品名薬効分類
ピモジドオーラップ精神神経用剤
キニジン硫酸キニジン不整脈用剤
トリアゾラムハルシオン睡眠導入剤
ワルファリンカリウムワーファリン錠抗凝固剤
シンバスタチンリボバス高脂血症治療剤
アゼルニジピンカルブロック、
レザルタス配合錠
血圧降下剤
ニソルジピンバイミカード血管拡張剤
エルゴタミン酒石酸塩クリアミン配合錠など頭痛治療剤
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩ジヒデルゴットなど起立性低血圧、
血管性頭痛用剤

※ 妊婦または妊娠している可能性のある婦人は禁忌。

🧴市販薬プロペト

プロペト
プロペト

口腔カンジダ性口角炎・口唇炎に有効

プロペトは白色ワセリンの純度を高めたものです。不純物が殆ど入っていないので敏感肌の方でも使用出来ます。

唾液の分泌が減少し、唇が直ぐに乾いてしまう方に効果的です。

使い方

唇や口角に抗真菌剤(ファンギゾンシロップまたはフロリードゲル)を塗った後にプロペトを塗ります。

癖で舐めてしまう方は、プロペトを塗った後にラップを貼ると有効的です。使用期間は約二週間です。

amazonで購入プロペト

楽天で購入プロペト

🥤口腔カンジダ症のメンテナンス

重曹水
重曹水

重曹水の作り方

コップ一杯の水に重曹小さじ一杯を入れ、軽くかき混ぜるだけで完成です。

口腔カンジタ症のメンテナンスに有効

ファンギゾンシロップやフロリードゲルなどの抗真菌剤を使えばカンジダ菌をガクンと減らすことが出来ますが、長期間の使用は好ましくありません。そこで重曹水をうがい薬として使うことをお薦めします。

重曹は、酸性の口腔内を弱アルカリ性にする作用と殺菌効果があります。カンジダ菌の増殖を抑え、カンジダ菌による症状を緩和する効果が期待出来ます。

ドライマウスの患者さんは長期間使用するため出来るだけ体に負担の少ないものを使用するのが好ましいので、市販のうがい薬などは使用しない方が良いでしょう。

また、当院では次亜塩素酸水のポイックウォーターによるうがいもお薦めしています。

重曹は食用を選ぼう

重曹は食用(食品添加物と表示)、お掃除用、薬用の三種類があります。その中で食用を購入して下さい。

薬局、ドラックストア、スーパーなどで購入出来ます。(参考価格100円/50g )

amazonで購入 重曹

楽天で購入 重曹

「忙しくて病院に行けない」「まずは市販薬で様子を見たい」という方も多いかもしれません。
しかし、口腔カンジダ症は自己判断での対処が難しい病気です。市販薬を使う場合も、正しい知識が必要です。

💊 市販されている薬の特徴と注意点

現在、日本では口腔カンジダ症専用の市販薬はほとんどありません
ドラッグストアで購入できるのは、次のようなものです:

  • 抗真菌作用のあるうがい薬(※ごく限られた製品のみ)
  • 殺菌・消毒効果のある含嗽液(イソジン®など)
  • 口内炎用の塗り薬(抗炎症薬やステロイド系)

⚠️ ただし、これらは根本的な治療にはならず、一時的に症状を和らげるだけのものです。特にステロイド剤の使用は、真菌の悪化を招くことがあるため注意が必要です。

🏥 医療機関を受診すべきケース

次のような症状がある場合は、自己判断せず早めに歯科や口腔外科を受診しましょう:

  • 白い苔のようなものが取れない、または再発を繰り返す
  • 食べ物や飲み物がしみる、ヒリヒリする
  • 入れ歯の周囲にただれや赤みがある
  • 抗菌薬やステロイドを使用中で、口の中に異変を感じる
  • 糖尿病や免疫疾患の持病がある

早期発見・早期治療が、重症化や再発の予防につながります。

🪥 口腔ケア・うがい薬の使い方

  • 毎食後の歯磨きと舌ブラシで、口の中を清潔に保ちましょう。
  • 入れ歯は毎日洗浄・消毒し、寝る前には外して乾燥させるのが基本です。
  • **うがい薬(刺激の少ないもの)**を使ったうがいも有効ですが、アルコール成分が強いものは避けましょう。

「痛みはそこまでないし、自然に治るかも…」と放置してしまうのは非常に危険です。
口腔カンジダ症は軽症であれば短期間で治りますが、放置すれば日常生活に支障をきたし、他の部位への感染や重症化のリスクもあります。

🍽️ 食事や会話への支障

カンジダ症が進行すると、口腔内の粘膜が炎症を起こし、以下のような不快な症状が強まります:

  • 食べ物や飲み物がしみる・痛い
  • 味がわかりにくくなる(味覚異常
  • 話すときに痛みが出て、会話がつらくなる
  • 入れ歯が当たる部位に違和感や傷ができる

こうした影響で、食事量が減って栄養状態が悪化したり、精神的なストレスを抱える原因にもなります

🫁 気管・食道への感染拡大

免疫力が大きく低下している人では、カンジダ菌が口腔内から気管・咽頭・食道へと広がることがあります。
特に以下の方は要注意です:

  • がん治療中、HIV陽性、免疫抑制剤使用中
  • 高齢で誤嚥リスクのある方
  • 喘息や肺疾患で吸入薬を使用している方

このような場合、嚥下困難や食道炎、肺炎の原因になることもあり、入院治療が必要になるケースもあります。

👶🧓 高齢者や乳児における重症化リスク

  • **乳児の鵞口瘡(がこうそう)**は、哺乳を嫌がったり、母親の乳頭に感染が広がることがあります。
  • 高齢者では誤嚥性肺炎や低栄養状態のリスクが高くなり、全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

特に、他の病気を抱えている方や介護を受けている方は、早期発見・早期治療が重症化を防ぐカギです。

口腔カンジダ症は、免疫機能が未熟または低下している乳児や高齢者に特に発症しやすい病気です。
正しい理解と適切なケアで、重症化や再発を防ぐことができます。

👶 新生児の鵞口瘡とその対応

**鵞口瘡(がこうそう)**とは、乳児に見られる口腔カンジダ症の一種です。
以下のような症状が特徴です:

  • 舌や頬の内側、上あごに白いミルクかすのような苔
  • 哺乳中に泣いたり、乳首を嫌がる
  • 体調は比較的良好でも、口の中に異変がある

🍼 対応のポイント

  • 白苔は無理にこすらず、清潔なガーゼで優しく拭く程度にとどめましょう
  • 医師に相談のうえ、必要に応じて抗真菌薬の塗布を行います
  • 授乳前後の母親の乳首ケアも重要です(感染を繰り返す原因になるため)

🧓 高齢者の義歯性口内炎との関係

高齢者では、以下のような要因が重なりやすく、口腔カンジダ症を引き起こす原因になります:

  • 唾液の分泌量低下(ドライマウス)
  • 入れ歯の清掃不足や不適合
  • 免疫力の低下や糖尿病などの持病

その結果、義歯が接触する部位に赤み・腫れ・痛みを伴う「義歯性口内炎」が起こりやすくなります。

🪥 対処法

  • 毎日、入れ歯を丁寧に洗浄・消毒する
  • 寝る前には入れ歯を外して乾燥させる(就寝中の装着はリスク)
  • 痛みがある場合は無理に装着せず、早めに歯科を受診

🏡 家族内感染・介護者の注意点

カンジダ菌は人から人へ感染する力は強くありませんが、以下のような場面では注意が必要です:

  • 乳児と授乳中の母親の間で、乳首と口腔の間で菌が移る
  • 義歯や口腔ケア用品の共用(※絶対に避けましょう)
  • 介護時のうがいや口腔清掃の不徹底

👩‍⚕️ 介護者の対策

  • 使い捨て手袋の使用や、ケア後の手洗いの徹底
  • うがいや歯磨きのサポート時に口腔内の変化を観察する習慣を

口腔カンジダ症は、「どの診療科に行けばいいの?」と悩みやすい疾患です。
症状の程度や背景疾患によって適切な科が異なるため、以下のポイントを参考にしてください。

🦷 歯科(口腔外科)

まず相談すべきなのは歯科、特に口腔外科です。

  • 口腔内の専門家であり、視診・検査・抗真菌薬の処方が可能
  • 入れ歯や口腔清掃が原因のケースにも対応できる
  • 義歯性口内炎や粘膜疾患の鑑別にも強い

※特に地域の中核病院や大学病院の歯科口腔外科では、難治性や全身疾患を伴う症例にも対応できます。

👃 耳鼻咽喉科

  • 喉や食道まで炎症が広がっている可能性がある場合
  • 声がかすれる、飲み込みづらい、咽頭に違和感がある

といった症状がある場合には、**耳鼻科(耳鼻咽喉科)**も選択肢の一つです。

💉 内科(特に感染症内科や糖尿病内科)

  • 免疫力の低下(HIV、がん治療中など)
  • 糖尿病などの全身疾患が背景にあるケース
  • 口の中だけでなく、全身状態の管理が必要な場合

このような場合には、内科での全身的な評価と併行して治療を進めるのが理想です。

🔎 専門医の探し方と受診の目安

📍 専門医の探し方

  • 「口腔外科」「粘膜疾患」「義歯性口内炎」などのキーワードで歯科医院を検索
  • 大学病院や医療センターの歯科口腔外科を調べる
  • 紹介状が必要な場合もあるため、かかりつけ医や一般歯科にまず相談するのも一つ

🕐 受診の目安

  • 白い苔が数日間続いている
  • 痛みや違和感が悪化してきた
  • 市販薬で改善しない
  • 再発を繰り返している
  • 全身状態が悪い(倦怠感、発熱、体重減少など)

これらに該当する場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

口腔カンジダ症は、治ったあとも再発しやすい病気です。
特に免疫力が下がっている方や、入れ歯を使用している方は、日々のセルフケアと生活習慣の見直しが予防の鍵となります。

🪥 毎日のセルフケア方法

  • 毎食後の歯磨きと舌清掃を習慣に
  • 舌ブラシや柔らかめの歯ブラシで、口内を優しく清潔に保つ
  • **うがい(刺激の少ない洗口液)**を活用し、口腔内の菌の増殖を抑える
  • 吸入ステロイド薬使用者は、使用後に必ずうがいを行うこと

☝️ 清潔な口腔環境を保つことが、カンジダ菌の増殖を防ぐ最も基本的かつ有効な方法です。

🦷 入れ歯・口腔ケアのポイント

  • 入れ歯は毎日、専用のブラシと洗浄剤でしっかり洗浄
  • 就寝時は外して乾燥させる(菌の繁殖を抑制)
  • 入れ歯の適合が悪いと感じたら、歯科で調整を受けましょう
  • 入れ歯の保管容器も定期的に消毒を

入れ歯は「道具」であると同時に「リスク」でもあります。正しい使い方とメンテナンスが予防に直結します。

🌿 免疫力を高める生活習慣

  • バランスの良い食事(ビタミン・ミネラルを意識)
  • 十分な睡眠ストレスケア
  • 規則正しい生活リズム(免疫バランスの安定に)
  • 持病(糖尿病など)のコントロールもしっかりと

また、タバコや過度なアルコール摂取は口腔環境を悪化させ、再発のリスクを高めるため、見直しが必要です。

❓ Q:うつる病気ですか?

🅰️ 基本的には人から人へ感染することはまれです。
カンジダ菌はもともと多くの人の口の中に存在している「常在菌」であり、免疫力が落ちたときに発症するものです。

ただし、以下のようなケースでは接触により感染する可能性もゼロではありません

  • 乳児と授乳中の母親の間で、口と乳頭を介した相互感染
  • 入れ歯や口腔ケア用品の共有

家族内での感染が心配な場合は、共用を避け、こまめな手洗いやケアの徹底が大切です。

❓ Q:再発しやすいって本当?

🅰️ はい、口腔カンジダ症は再発しやすい病気です。
特に以下のような条件が続くと、再び発症することがあります:

  • 入れ歯の清掃不足や不適合
  • 糖尿病やドライマウスなどの基礎疾患
  • 抗菌薬・ステロイドの継続使用
  • 免疫力の低下(ストレス・不眠・加齢など)

そのため、治療後も日常的な予防ケアが非常に重要です。

❓ Q:治ったかどうかの見分け方は?

🅰️ 治癒のサインとしては、以下の変化が見られます:

  • 白い苔(白苔)が消えて、粘膜の赤みや痛みがなくなる
  • 食事や会話による刺激がなくなり、日常生活に支障がなくなる
  • 医師による視診・検査で「正常」と判断される

ただし、見た目がきれいでも、体の状態によっては再発することもあるため、医師の指示に従って最後まで治療を続けることが大切です。

口腔カンジダ症に関する医療は、日々進化しています。ここでは、近年注目されている診断技術の進歩や、抗真菌薬への耐性問題についてご紹介します。

🧫 真菌検査の新しい技術:リアルタイムPCR

従来のカンジダ検査は、綿棒で採取した粘膜の一部を顕微鏡で観察したり、培養して菌を特定する方法が中心でした。
しかし、近年はリアルタイムPCR法という遺伝子検査技術が導入されつつあります。

✅ リアルタイムPCRの特徴:

  • 微量のカンジダ菌でも高感度で検出できる
  • 特定の菌種(例:C. albicans、C. glabrataなど)を迅速に判別可能
  • 結果が出るまでの時間が大幅に短縮される(数時間以内)

これにより、より正確でスピーディな診断と治療方針の決定が可能になってきています。
現在は主に研究機関や大病院で使用されていますが、今後は一般的な医療機関でも普及が期待されています。

💊 抗真菌薬耐性の現状と課題

カンジダ菌は、抗真菌薬によって効果的に治療できますが、一部の菌株では薬に対する耐性が報告されています。

抗真菌薬耐性とは?

  • 同じ薬を長期間・繰り返し使用することで、菌が薬に慣れて効きにくくなる現象
  • 特にC. glabrataなどはミコナゾールへの耐性を持つことがある

課題と対策:

  • 適切な薬剤選択と治療期間の厳守が重要
  • 必要に応じて菌種同定・感受性検査を行う
  • 新しい抗真菌薬の研究も進行中(Echinocandin系など)

現場では、**「再発しても自己判断で市販薬を使い続けない」**ことが非常に大切です。
医師の判断のもと、最適な治療法を選択することが、耐性化の防止につながります。

江戸川区篠崎で口の中の違和感・白い苔にお悩みの方へ

当院では、口腔カンジダ症の早期診断と適切な治療を行っています。
高齢者や入れ歯使用中の方、免疫力が低下している方に多く見られる疾患ですが、早めのケアで改善が可能です。
「これってカンジダかも…」と不安な方は、ぜひ江戸川区篠崎の当院へご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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