アデノイド顔貌は歯科と耳鼻科、どちらで診てもらうべき?
歯科と耳鼻科どちらを受診?
横顔がアデノイド顔貌か口ゴボかの診断は歯科と耳鼻科どちらを受診すれば分かりますか?
高校生くらいの思春期になると自分の容姿に疑問を感じるようになります。特に唇が突出していたり、下顎が小さい(顎がない)アデノイド顔貌の横顔ではなおさらですね。
アデノイド顔貌の正確な診断は歯医者でセファロ分析(顔を横から取るレントゲン写真)することで出来ます。
アデノイド顔貌の顔の特徴
正面
面長で鼻が上を向いているアップノーズで、口呼吸により口輪筋(口を閉じる筋肉)が緩み、顔全体が下に引っ張られた様なだらしない顔貌になっていきます。
横顔
突出した唇と後退した下顎が特徴の横顔です。
口呼吸のまま大人になっていくと下顎骨に付着する筋肉の成長が阻害され、同時に顎骨の成長も十分に行われないまま、下顎骨は小さく後退した形態・ドリコフェイシャルになってしまいます。
ドリコフェイシャルの傾向は人種間でも異なり、欧米人よりも日本人の方がこの傾向が強く、遺伝が関与する場合も考えられます。
口ゴボ(出っ歯)とアデノイド顔貌の違い
横顔
口ゴボという医学用語はありませんが、一般的に出っ歯の事を指して口ゴボと呼んでいるようです。
出っ歯でも上顎骨のみが出ている場合と上下顎両方とも出ている両顎前突があります。
特に、出っ歯の中で下顎の成長が不十分で後退している場合をアデノイド顔貌と呼んでいます。
矯正治療を行うに当たり、下顎骨が正常な口ゴボの方がアデノイド顔貌よりも術後の審美的回復は、より満足したものになります。
アデノイド肥大による口呼吸が顔に与える影響とは?
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アデノイド肥大
アデノイドは鼻の奥にあるリンパ組織ですが、5歳をピークに生理的に肥大します。これをアデノイド肥大と言います。
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口呼吸
アデノイドが肥大すると気道が狭くなり鼻で呼吸しづらくなります。そのような時に細菌やウイルス感染が起こるとさらにアデノイドが肥大し気道抵抗が低い口呼吸になってしまいます。
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舌突出癖
そのまま口呼吸が続くと唇の筋肉が緩み、口腔悪習癖(舌突出癖、異常嚥下癖)が引き起こされ、お口ポカンのロングフェイス(面長の顔)を作ります。この様な顔のことをアデノイド顔貌と呼びます。
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指しゃぶり
口呼吸が起こる原因は、アデノイド肥大ばかりではありません。鼻が詰まるアレルギー性鼻炎など様々な要因や指しゃぶりなども引き金になり、同様の顔になることもあり、これらも含めてアデノイド顔貌と言います。
アデノイド顔貌の歯列問題:出っ歯とV字型アーチの原因
アデノイド顔貌の歯並びは出っ歯や開咬(オープンバイト)になり易い。
アデノイド顔貌の正面 歯並びは出っ歯
アデノイド顔貌の口腔内です。出っ歯で、前歯の間に隙間が出来た悪い歯並びです。歯列は狭くV 字型になって、犬歯の萌出スペースが不足しています。
矯正治療しないで成長し大人になるとさらに酷い出っ歯でガタガタの乱杭歯になるでしょう。
同症例の側面
矢印は歯茎の中に埋まった犬歯(永久歯)の先端部を示しています。萌出するスペースが不足し、犬歯の幅の半分ほどしかありません。このままでは確実に八重歯なってしまいます。
これは、口呼吸のため十分に顎骨が成長出来ずにV字型の狭いアーチになっているからです。
アデノイド顔貌が引き起こす形態的・機能的問題
問題点
問題点
いびき・睡眠時無呼吸症候群
気道が狭くなることによるいびき(睡眠時無呼吸症候群)が起こることがあります。大人に比べ子供でいびきが起こると重篤な睡眠時無呼吸症候群なることがあるので、簡単に考えず早めの耳鼻咽喉科または歯医者への受診が必要です。
歯科では、いびき対策の治療としてスリープスプリント療法があります。
医科ではCPAP(シーパップ)療法があります。これら二つの治療法にはそれぞれ長所欠点があり、上手く使い分ける必要があります。
問題点
唇が厚く乾燥し荒れる
上顎前突(出っ歯)の程度が強ければ、いつも口をポカンと開けて唇を閉じにくく、唇は厚くなり口腔内や唇が乾燥し荒れてきます。
問題点
悪い歯並び
上下歯列が狭いV字型のアーチになり、出っ歯や開咬、歯並びがガタガタの八重歯になり易い。
問題点
発音障害
前歯の間に舌を挟んで発音する為、S音はθ音に、Z音はð音と舌足らずな発音になり、聞きづらくなります。
江戸川区篠崎でアデノイド顔貌の矯正治療をご検討の方へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、矯正装置の見た目が気になるという方でも、審美性に配慮した目立たないマウスピース矯正装置をご用意しております。患者さま一人ひとりの口腔内状況を拝見した上でご要望をしっかりと聞き、痛みの少ない無理のない治療計画をご提案いたします。江戸川区篠崎にてアデノイド顔貌の矯正治療をご希望の方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。
【動画】アデノイド顔貌
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。