「最近、自分の息が気になる」「人と近くで話すのが不安」と感じたことはありませんか。

口臭は、年齢や性別にかかわらず気になることがある身近な問題です。一方、自分の体から出るにおいには慣れやすいため、自分自身では口臭の程度を判断しにくいことがあります。

また、マスクを着用していると自分の呼気を感じやすくなり、それをきっかけに息のにおいが気になる場合もあります。

口臭には、起床時や空腹時などに一時的に生じるものだけでなく、舌苔や歯周病、口腔乾燥などが関係しているものもあります。大切なのは、においを一時的に隠すだけではなく、原因を確認して適切に対応することです。

生理的口臭

生理的口臭は、健康な方にも生じることがある口臭です。特に起床時や空腹時、緊張しているときなどは、唾液の分泌が少なくなり、口臭を感じやすくなることがあります。

睡眠中は唾液の分泌が少なくなるため、起床直後は口臭が強くなりやすい時間帯です。

多くの場合、歯磨きや適度な水分補給、必要に応じた舌の清掃などによって軽減します。

病気などが関係する口臭

口臭には、口の中や全身の病気などが関係して生じるものもあります。

口腔内では、歯周病、舌苔、進行した虫歯、唾液分泌の低下などが口臭の原因となることがあります。

特に歯周病では、歯周ポケット内の細菌が産生する揮発性硫黄化合物などが口臭に関係します。歯ぐきからの出血や腫れ、歯石の付着などを伴っている場合には、歯周病の検査を受けることが大切です。

また、進行した虫歯や不適合な詰め物・被せ物の周囲などにプラークや食物残渣がたまると、口臭の一因になることがあります。

口腔乾燥がある場合も、唾液による自浄作用が低下することで、口臭が生じやすくなることがあります。

口臭の多くは口腔内に原因があるとされていますが、鼻やのどなどの耳鼻咽喉科領域の病気や、一部の全身疾患などが関係する場合もあります。

一般に「胃が悪いと口臭がする」と考えられることがありますが、胃の中のにおいがそのまま口臭として出てくるとは限りません。

歯科で口腔内を確認しても原因が見つからない場合や、ほかの症状を伴う場合には、必要に応じて医科での診察を検討します。

食べ物・飲み物・喫煙などによる口臭

食べ物や飲み物、喫煙などによって、一時的に息のにおいが変化することがあります。

ニンニクやアルコールなどは、口の中に残った成分だけでなく、体内に吸収された成分が呼気に排出されることで、においが生じる場合もあります。

コーヒーや喫煙なども息のにおいに影響することがあります。

また、喫煙は特有のにおいを生じるだけでなく、歯周病の重要なリスク因子です。飲酒後には口が乾きやすくなることもあるため、こうした要因が口臭に影響する場合があります。

口臭への不安が強い場合

客観的には明らかな口臭が確認されない場合でも、「自分の息が臭っているのではないか」という不安が強く続くことがあります。

人との距離を必要以上に気にする、会話するときに口元を隠してしまう、口臭が確認されないと説明されても不安が続くといった場合には、まず歯科医院で口腔内の状態や口臭について客観的に確認することが大切です。

必要に応じて、ほかの診療科や専門機関への相談を検討することもあります。

口臭が発生するメカニズム

口腔内から生じる口臭には、**揮発性硫黄化合物(VSC)**と呼ばれるガスが大きく関係しています。

代表的なものとして、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなどがあります。

これらは、口腔内の細菌が剥がれ落ちた粘膜上皮や唾液、食物残渣などに含まれるタンパク質を分解する過程で生じます。

特に舌苔や歯周ポケットなどは、口臭に関連する細菌が存在しやすい部位です。

そのため、口臭が気になる場合には、単に香りの強い製品でにおいを隠すだけでなく、舌や歯ぐき、歯の状態などを確認することが重要です。

舌苔と口臭

舌の表面に付着する「舌苔(ぜったい)」は、口臭の主な発生源の一つです。

舌苔は、細菌や剥がれ落ちた粘膜上皮、食物残渣などが舌の表面に付着したものです。

舌苔が多く付着すると、細菌によってにおいの原因となる物質が産生されやすくなることがあります。

ただし、舌苔を完全に取り除こうとして歯ブラシなどで強くこするのは避けましょう。舌の粘膜を傷つけ、痛みや炎症、違和感などにつながるおそれがあります。

舌苔が気になる場合は、舌ブラシなどを使用して、舌の奥から手前へ軽い力で清掃します。頻繁に行ったり、強い力でこすったりする必要はありません。

痛みや出血などがある場合には清掃を中止し、必要に応じて歯科医院で相談しましょう。

唾液の減少と口臭

唾液には、口の中の食物残渣などを洗い流す自浄作用があり、口腔内の環境を保つうえで重要な役割を担っています。

そのため、唾液の分泌量が低下して口腔内が乾燥すると、舌苔やプラークが増えやすくなり、口臭につながることがあります。

口腔乾燥には、水分不足、口呼吸、薬剤の影響、唾液腺の病気、全身疾患など、さまざまな要因が関係します。年齢や生活環境など複数の要因が影響している場合もあります。

口の乾燥が気になる場合は、こまめな水分補給や、食事の際によく噛むことなどが役立つ場合があります。

口呼吸が疑われる場合には、その背景に鼻づまりなどがないか確認することも大切です。

口の乾燥が続く場合は、単に水分補給だけで対応するのではなく、歯科や医科で原因を確認しましょう。

舌ブラシで舌をやさしくケア

  • 舌苔は口臭に関係することがあります
  • 舌専用ブラシなどを使用し、軽い力で清掃します
  • 舌苔を完全に取ろうとして強くこすらないようにしましょう
舌ブラシ+舌専用クリーニングジェル
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※市販製品の一例です。使用感や適した製品は、口腔内の状態によって異なります。

口臭は自分では気づきにくいため、家族など信頼できる人に確認してもらう方法もあります。

手の甲をなめてにおいを確認する方法や、コップに息を吐いて確認する方法などが紹介されることもありますが、これらは実際の呼気のにおいを正確に評価できる方法ではありません。

また、自分で何度もにおいを確認することで、かえって口臭への不安が強くなる場合もあります。

セルフチェックはあくまで参考程度にとどめ、口臭が気になる状態が続く場合は、歯科医院で口腔内の状態を確認してもらいましょう。

市販の口臭チェッカーには、呼気中のにおいに反応するセンサーを利用して、口臭の程度を段階や数値で表示する製品があります。

ただし、家庭用製品の測定方式や検出できるガスの種類、測定精度などは製品によって異なります。

歯科医療機関で行われる専門的な口臭検査と同じものではなく、市販の口臭チェッカーの測定結果だけで口臭の有無や原因を診断することはできません。

使用する場合は、測定値を口臭の程度や日々の変化を知るための一つの目安と考えましょう。

市販の口臭チェッカーの例

製品名特徴使用時のポイント
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Micfendy 口臭チェッカー WG1呼気を測定する家庭用チェッカー医療機関で行う口臭検査とは異なる

※製品の仕様や販売状況は変更される場合があります。購入前にメーカー等の最新情報をご確認ください。

ブレスチェッカー EB-100 (アイボリー)タニタ
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Micfendy 口臭チェッカー ‎WG1
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歯と歯ぐきの境目を意識して磨く

口臭対策の基本は、口腔内を清潔に保つことです。

歯と歯ぐきの境目はプラークが残りやすい部分のため、力を入れすぎず、歯ブラシの毛先を当てて丁寧に磨きましょう。

睡眠中は唾液の分泌が少なくなるため、就寝前に丁寧な口腔ケアを行うことも大切です。

フロスや歯間ブラシを取り入れる

歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく、プラークが残りやすい部分です。

デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を併用すると、歯ブラシだけでは清掃しにくい部分のプラーク除去に役立ちます。

歯と歯の間が狭い部分にはデンタルフロス、歯間にある程度のすき間がある場合には歯間ブラシなど、口腔内の状態に合ったものを選びましょう。

歯間ブラシはサイズが合っていないと歯ぐきを傷つけることもあるため、選び方が分からない場合は歯科医院で相談してください。

舌苔が気になる場合はやさしく清掃する

舌苔が多く付着している場合には、舌ブラシなどによる清掃が口臭対策の一つになります。

起床時は口臭を感じやすいため、朝の口腔ケアの際に舌の状態を確認し、舌苔が目立つ場合にはやさしく清掃する方法があります。

舌の奥から手前に軽い力で動かし、舌苔を完全に取り除こうとして何度も強くこすらないようにしましょう。

口の乾燥を防ぐ

口の中が乾燥すると、口臭を感じやすくなることがあります。適度な水分補給を心がけましょう。

また、口呼吸が続くと、口腔内が乾燥しやすくなることがあります。

日中に口が開いていることが多い、起床時に強い口の乾きを感じるといった場合には、口呼吸が関係していないか確認してみましょう。

ただし、鼻づまりなどによって鼻呼吸が難しい場合もあります。無理に鼻呼吸を意識するだけではなく、症状が続く場合には耳鼻咽喉科などへの相談も検討します。

食生活や嗜好品を見直す

ニンニクやアルコールなどは、一時的に息のにおいを強くすることがあります。

また、喫煙は特有のにおいを生じるほか、歯周病のリスク因子でもあります。

口腔内が乾燥しないよう適度に水分を補給し、食事の際によく噛むことも、唾液の分泌を促すことにつながります。

食べ物だけで口臭を解消しようとするのではなく、毎日の口腔ケアと口腔内の健康管理を基本に考えましょう。

セルフケアを続けても口臭が気になる場合は、歯科医院で原因を確認することが大切です。

歯科医院では、虫歯や歯周病の有無、プラークや歯石の付着状態、歯周ポケット、舌苔、口腔乾燥などを確認します。

歯周病が口臭に関係している場合には、歯周病の程度を検査したうえで、必要に応じて歯石除去や歯周治療、セルフケアの改善などを行います。

虫歯や不適合な詰め物・被せ物などが関係している場合には、それぞれの状態に応じた治療を検討します。

また、口腔内の状態に応じて、専門的な歯面清掃などを行うことがあります。PMTCやエアフローなどの処置が選択される場合もありますが、口臭の原因によって必要な処置は異なります。

口臭を改善するためには、「においを消す処置」だけを行うのではなく、口臭の背景にある原因を確認し、それに応じた治療や口腔ケアを行うことが重要です。

マウスウォッシュ(洗口液)は、製品によっては口腔内の細菌を抑える補助的なケアとして利用できます。

ただし、虫歯や歯周病、舌苔、歯石など口臭に関係する原因がある場合、洗口液だけでその原因を取り除くことはできません。

爽快感や香りによって一時的に息のにおいが気になりにくくなっても、原因となる病気への治療が必要な場合があります。

また、アルコールを含む製品では、刺激や乾燥感を感じる方もいます。

口腔乾燥が気になる場合には、アルコールの有無を含めて製品の特徴を確認し、自分の口腔状態に合ったものを選びましょう。

受診をおすすめする口臭のサイン

次のような場合は、一度歯科医院で相談することをおすすめします。

  • セルフケアを続けても口臭が気になる
  • 家族などから繰り返し口臭を指摘される
  • 歯ぐきの腫れや出血がある
  • 歯石が多く付着している
  • 口の乾燥が続いている
  • 舌苔が多く、口臭も気になる
  • 治療していない虫歯や歯周病がある
  • 口臭への不安が強く、日常生活に影響している

口臭にはさまざまな原因があります。

セルフケアだけで改善しない場合には、自己判断で口臭ケア用品を使い続けるのではなく、口腔内の状態を客観的に確認することが大切です。

口臭には、起床時などに生じる生理的なものから、歯周病や舌苔、口腔乾燥などが関係するもの、食べ物や飲酒、喫煙などによるものまで、さまざまなタイプがあります。

口臭の多くは口腔内に原因があるとされているため、毎日の歯磨きに加えて、フロスや歯間ブラシなどを使った歯間清掃や、舌の状態に応じた適切なケアを行うことが大切です。

ただし、口臭の原因は一人ひとり異なります。

セルフケアを続けても口臭が気になる場合や、歯ぐきの出血、口腔乾燥などの症状を伴う場合には、歯科医院で虫歯や歯周病、舌苔、口腔乾燥などの有無を確認してもらいましょう。

また、歯科的な原因が見つからない場合には、症状に応じて医科での診察が必要になることもあります。

口臭が気になるときは、においを一時的に隠すだけではなく、原因を確認し、その原因に応じた対策を行うことが大切です。

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口臭には、歯周病・舌苔・口の乾燥など、さまざまな原因があります。セルフケアを続けても気になる場合は、お口の状態を確認し、原因に合ったケアや治療をご提案します。

「自分では分からないから不安」「本当に口臭があるのか知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。

【動画】なかなか取れない舌苔の完全除去方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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