保険適用の目立たない部分入れ歯は?

  • 保険適用の部分入れ歯が目立つ理由は、金属製のクラスプが犬歯や前歯にかかるからです。
  • クラスプを目立たないようにするには奥歯にクラスプをかければよいのですが、入れ歯が大きくなったり、外れやすくなるリスクがあります。

保険適用の部分入れ歯で目立たないように作ることが出来るかということにお答えします。

保険適用の部分入れ歯は目立つ?

症例1 上顎の保険適用のレジン床義歯

保険適用のレジン床部分入れ歯
保険適用のレジン床部分入れ歯

1床9歯の部分入れ歯

3ヶ所に金属のクラスプと1ヶ所にレストを付けた保険適用のレジン床部分入れ歯です。

床の材質であるレジンは強度が低いので、破折防止用に馬蹄形に補強線が入っています。

入れ歯を装着

咬合面観
咬合面観

1床9歯の部分入れ歯なので左右に跨って作られています。

口蓋部に舌が触れると違和感が起こるので可能な限り床を狭く作っています。

正面観
正面観

向かって右の犬歯のクラスプが目立ちます。犬歯のクラスプを取ってしまうと入れ歯が落ちやすくなります。

症例2 上下顎の保険適用のレジン床義歯

装着前
装着前

上顎右6番7番、左5番6番7番の5歯欠損です。下顎2番~2番、左5番6番7番の7歯欠損です。

装着後 正面観
装着後 正面観

上下顎に保険適用のレジン床義歯が装着された正面観です。

金属冠に掛けられたクラスプはあまり目立ちません。

装着後 右側面観
装着後 右側面観

右上顎4番5番に双歯鈎(クラスプの一種)、右下顎4番5番に双歯鈎(クラスプの一種)が掛けられています。

装着後 左側面観
装着後 左側面観

左上下顎4番にエーカースクラスプが掛けられています。

上顎咬合面観
上顎咬合面観

左右の入れ歯を連結するためにパラタルバーがあります。舌に触れて強い異物感を訴える患者が一定数います。

下顎咬合面観
下顎咬合面観

左右の入れ歯を連結するためにレジン製のリンガルプレートがあります。

リンガルプレートは真ん中で割れやすいため、厚みを取る必要があります。そのため舌に触れて強い異物感を訴える患者が一定数います。

保険適用の部分入れ歯はなぜ目立つ?

保険適用の部分入れ歯のクラスプ
保険適用の部分入れ歯のクラスプ

前歯や犬歯にクラスプが付くと目立つ

保険適用の部分入れ歯では、入れ歯が外れないようにするために、クラスプという固定装置が必要です。クラスプは金属製のバネの様なものです。

このイラストの様に4本の前歯の部分入れ歯を固定するために、両方の犬歯にクラスプがかかるので目立ちます。

クラスプを目立たないようにするには?

保険適用の部分入れ歯でクラスプを目立たないようにするには、クラスプをかける歯を犬歯ではなく奥歯に設定することも症例によっては出来ます。

しかし、より大きな部分入れ歯となり異物感が増してしまい、しゃべりにくくなったり使用感が悪くなります。

入れ歯は出来るだけ小さく、薄く作ると違和感が出にくくなります。

犬歯にクラスプが付いた部分入れ歯
犬歯にクラスプが付いた部分入れ歯

犬歯にクラスプが付いた部分入れ歯

犬歯にクラスプが付けられた保険適用の部分入れ歯です。この症例では犬歯より奥に天然歯がないので、 致し方なく犬歯にクラスプが掛けられています。

クラスプを付ける位置が犬歯だと、話したり、笑ったりすると確実に金属が見えてしまい、入れ歯が入っていることが他人にバレてしまうので審美性に問題になります。

奥歯なら保険適用の部分入れ歯でも目立たない!

下顎左右奥歯がない保険適用の部分入れ歯
下顎左右奥歯がない保険適用の部分入れ歯

クラスプを付ける位置

クラスプをかける歯が第2小臼歯より奥歯であれば、余り目立ちません。写真のケースでは下顎第1小臼歯にクラスプがかかっているのでやや目立つかもしれません。

一般的に下顎よりも上顎の方が審美的問題が起こることが多いです。例えば、上顎第1小臼歯にクラスプがかけられた場合、個人差はありますが、かなり目立つ場合が多いです。

リンガルバーやパラタルバーは左右の人工歯部を連結するための金属製の連結装置です。下顎ならリンガルバー、上顎ならパラタルバーと呼びます。

片側だけで部分入れ歯を作っても安定しないため、反対側の歯にパラタルバーやリンガルバーを渡して残存歯にクラスプをかけます。そのため、舌に触れることで違和感や異物感、あるいは話しづらいといった問題が起こりやすいです。

パラタルバー
パラタルバー

この写真は上顎の部分入れ歯ですが、左右の入れ歯部分をパラタルバーで結んでいます。

このようにしないと入れ歯がガタガタして食事ができません。

太い金属製のものが入るので舌に触れて異物感や違和感、場合によってはうまく発音ができないという問題が起きやすいです。

ただし、覗き込まないと見えないので、審美的問題はほぼありません。

リンガルバー
リンガルバー

この写真は下顎の部分入れ歯ですが、左右の入れ歯部分を太い金属の針金・リンガルバーで連結したものです。

パラタルバーと同様に舌の先端が触れて異物感や違和感が起こりやすいです。

また、症例によっては入れ歯が沈下した時にパラタルバーが歯茎に当たって痛みが起こりやすいのも欠点と言えます。

下顎歯列の内側を通すので外から見ても見えません。ほぼ審美的な問題は起こらないと言っても良いでしょう。

保険適用の部分入れ歯の費用

保険治療

保険適用です。

種類金額 ※単位:円
奥歯の部分入れ歯1本~2本 約2,500点、約7,500円、6本 約5,000点 約15,000円
前歯の部分入れ歯1本~2本 約2,400点、約7,200円

※一部負担金が3割のケースです。来院回数が数日かかる部分入れ歯の作製行程の一連の治療費を合算したものです。あくまでも一例を挙げたもので、個人個人で開きがあるので、おおよその費用と考えて下さい。また、部分入れ歯の本数が2歯,3歯,4歯…と多くなると費用も増えると考えて下さい。

保険診療ではこの他に必要に応じてレントゲン撮影、歯周病の検査、歯周病の治療、虫歯の治療、初診料、再診療、各種指導料などが加算される場合があります。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、入れ歯が頻繁に割れるという方や、もっと噛める入れ歯が欲しい方、目立たない部分入れ歯をお求めの方など、一人一人のご要望に合った入れ歯をご提案させていただきます。

様々なお口の条件にも納得できる入れ歯をご提供するために多数の素材をご用意し、高い技術力の歯科技工士と連携しております。入れ歯治療が初めての方で保険適用の部分入れ歯をご希望の方などいらっしゃいましたら、ぜひ江戸川区篠崎にある当院へお気軽にご相談下さい。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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