「口が開きにくい」「あくびをすると顎が痛い」「急に大きく口を開けられなくなった」――このような症状は、**「開口障害」**と呼ばれます。

原因は顎関節症だけでなく、歯ぎしり・食いしばりによる筋肉の緊張、親知らずの炎症、歯科治療後の負担などさまざまです。

特に、強い痛みや腫れ、発熱を伴う場合や、食事がしづらいほど口が開かない場合は、早めに原因を確認することが大切です。

この記事では、口が開かない原因、自宅での対処法、受診の目安、歯科・口腔外科で行う治療についてわかりやすく解説します。についてわかりやすく解説します。

「以前より口が開かなくなった」「大きく開けようとすると痛い」という状態を、開口障害といいます。

成人では一般的に、上下の前歯の間が40mm前後開くことが一つの目安です。簡単な確認方法として、縦にそろえた指3本程度が口に入るかどうかを見る方法もあります。

ただし、もともとの開口量には個人差があるため、「指が何本入るか」だけで正常・異常を判断することはできません。

それよりも、

「以前と比べて明らかに開かなくなった」
「痛くて口を開けられない」
「食事がしづらくなった」

といった変化が重要です。

開口障害は一時的な筋肉の疲労で起こることもありますが、顎関節や筋肉の異常、親知らずの感染などが原因になっている場合もあります。

口が開きにくくなる原因は一つではありません。

「顎が痛いのか」「歯ぐきが腫れているのか」「急に症状が出たのか」などによって、考えられる原因が異なります。

顎が痛い・カクカクするなら「顎関節症」

口が開きにくくなる代表的な原因の一つが顎関節症です。

顎関節症では、耳の前にある顎関節や、顎を動かす筋肉などに問題が生じ、痛みや開口障害が現れることがあります。

次のような症状はありませんか?

  • 口を開けると顎が痛い
  • 大きく口を開けられない
  • 顎から「カクッ」「ジャリジャリ」と音がする
  • 朝起きると顎が疲れている
  • 硬いものを噛むと顎が痛む
  • 口を開けると顎が左右にずれる

顎関節症には、歯ぎしりや食いしばり、顎への負担など複数の要因が関係します。

なお、顎の音だけがあり、痛みや開口障害がない場合には、必ずしも治療が必要とは限りません。

朝に顎がだるいなら「歯ぎしり・食いしばり」

「朝起きたときに顎がだるい」
「仕事に集中していると、いつの間にか歯を食いしばっている」

このような方は、顎を動かす咀嚼筋の緊張や疲労によって口が開きにくくなっている可能性があります。

特に関係するのが、

  • 咬筋
  • 側頭筋
  • 内側翼突筋
  • 外側翼突筋

などの筋肉です。

本来、リラックスしているときは上下の歯はわずかに離れています。

しかし、日中に上下の歯を長時間接触させる癖(TCH:Tooth Contacting Habit)や夜間の歯ぎしり・食いしばりがあると、顎周囲の筋肉に負担がかかり続けます。

その結果、顎のだるさ、筋肉痛のような痛み、口の開けにくさにつながることがあります。

親知らずの周りが腫れているなら「智歯周囲炎」

「奥歯のさらに奥が痛い」
「親知らずの周りの歯ぐきが腫れている」
「口が開きにくいうえに、飲み込みづらい」

この場合は、親知らず周囲の炎症である**智歯周囲炎(ちししゅういえん)**が疑われます。

特に下顎の親知らずが斜めに生えていたり、一部分だけ歯ぐきから出ていたりすると、親知らずと歯ぐきの間に細菌や食べかすが入り込み、炎症を起こしやすくなります。

炎症が強くなると、

  • 親知らず周囲の腫れ・痛み
  • 頬や顎の腫れ
  • 口が開かない
  • 飲み込むと痛い
  • 発熱
  • 膿が出る

などの症状が現れることがあります。

さらに感染が周囲の組織へ広がると、強い開口障害を起こすことがあります。

「親知らずが痛い+口が開かない」場合は、早めの受診が重要です。

歯科治療や親知らずの抜歯後

歯科治療を受けた後に、「治療前より口が開きにくい」と感じることがあります。

特に、

  • 親知らずの抜歯
  • 長時間の歯科治療
  • 奥歯の治療
  • 長時間大きく口を開けていた

といった場合は、顎関節や周囲の筋肉に負担がかかり、一時的な痛みや開口制限が生じることがあります。

軽度であれば徐々に改善することもありますが、痛みや腫れが強くなっている、数日たっても改善しない、発熱している場合は、治療を受けた歯科医院へ相談してください。

転倒・事故などで顎をぶつけた

転倒や交通事故、スポーツなどで顎や顔を強く打った後に口が開かなくなった場合は、顎関節や顎の骨を損傷している可能性があります。

特に、

  • 顎や顔が大きく腫れている
  • 強い痛みがある
  • 口を閉じると噛み合わせが以前と違う
  • 口の中から出血している
  • 顎や唇にしびれがある
  • 顔の左右差が生じた

といった症状がある場合は、顎骨骨折なども考慮する必要があります。

外傷後にこのような症状がみられる場合は、早めに口腔外科などの医療機関を受診してください。

原因によっては自然に改善することもありますが、口が開かない状態を長期間そのままにすることはおすすめできません。

開口障害が続くと、

  • 食事がしづらい
  • 硬いものを噛めない
  • 会話やあくびがつらい
  • 歯磨きが十分にできない
  • 歯科治療を受けにくくなる

など、日常生活にも影響が出てきます。

また、親知らず周囲の感染などが原因の場合には、放置することで炎症が周囲へ広がる可能性があります。

「痛みが強くないから大丈夫」とは限らないため、症状が続く場合は原因を確認することが大切です。

症状が軽く、強い腫れや発熱などがない場合には、顎への負担を減らしながら様子を見ることがあります。

ただし、以下はあくまでも一時的な対処法です。

顎を休ませる

口が開きにくいと、何度も大きく開けて「開くかどうか」を確認したくなるかもしれません。

しかし、痛みがある状態で繰り返し大きく口を開けると、顎関節や筋肉への負担が増えることがあります。

大きなあくびや長時間の会話などもできるだけ控え、顎を休ませましょう。

柔らかいものを食べる

症状がある間は、

  • おかゆ
  • うどん
  • 豆腐
  • 卵料理
  • スープ
  • 柔らかく煮た食材

など、強く噛まなくても食べられるものがおすすめです。

硬い肉、せんべい、ナッツ、フランスパン、ガムなどは顎への負担が大きくなるため、症状が落ち着くまでは控えましょう。

食いしばっていないか確認する

安静時には、上下の歯が常に接触している必要はありません。

基本は、

「唇は自然に閉じる・上下の歯は離す・顎の力を抜く」

ことを意識しましょう。

スマートフォンやパソコンを見ているとき、家事をしているとき、仕事に集中しているときなどは、無意識に食いしばっていることがあります。

温めたほうがよいとは限らない

筋肉の緊張が主な原因であれば、蒸しタオルなどで顎周囲を温めることで楽になる場合があります。

ただし、親知らず周囲の感染によって強く腫れている場合や、外傷直後などは自己判断で温めないほうがよいことがあります。

原因がわからず、腫れや熱感を伴っている場合は、無理に温めず歯科医師に相談してください。

無理に口を広げない

「口が開かないからストレッチをしたほうがよい」と考えて、痛みを我慢しながら無理に開けるのは避けましょう。

開口訓練が有効なケースもありますが、原因や病態によって適切な方法が異なります。

特に急に口が開かなくなった場合や強い痛みがある場合は、自己流の開口訓練を行う前に診察を受けることをおすすめします。

「口が開かない」という症状だけでは原因を判断できません。

歯科・口腔外科では、痛みが出た時期や症状の経過、顎関節の動き、筋肉の状態、親知らずや歯の状態などを確認し、必要に応じて画像検査を行います。

原因に応じて治療方法を選択します。

顎関節症の治療

顎関節症では、病態に応じて、

  • 顎への負担を減らす生活指導
  • 薬物療法
  • 運動療法
  • 理学療法
  • スプリント(マウスピース)療法

などを検討します。

必ずしもすべての患者さんにマウスピースが必要になるわけではなく、症状や原因に合わせた治療が重要です。

薬による治療

痛みや炎症が強い場合には、症状や原因に応じて消炎鎮痛薬などを使用することがあります。

細菌感染が疑われる場合には抗菌薬が必要になるケースもあります。

開口訓練・運動療法

顎関節症などでは、状態を確認したうえで開口訓練や顎の運動療法を行うことがあります。

適切に行えば顎の動きの改善につながることがありますが、痛みを我慢して強く行うものではありません。

親知らずの治療・抜歯

智歯周囲炎による開口障害では、まず炎症や感染に対する治療を行います。

その後、親知らずの生え方や炎症を繰り返しているかなどを確認し、必要に応じて抜歯を検討します。

外傷・骨折などの治療

顎骨骨折、重度の顎関節疾患、腫瘍などが原因の場合には、専門的な検査や外科的治療が必要になることがあります。

状態によっては、大学病院や専門医療機関をご紹介する場合もあります。

特に注意したいのは、単に開きにくいだけでなく、痛み・腫れ・発熱などを伴っているケースです。

次のような場合は、早めに歯科・口腔外科へ相談してください。

  • 急に口が開かなくなった
  • 数日たっても改善しない、または悪化している
  • 痛くて食事ができない
  • 親知らず周囲や顎が腫れている
  • 発熱している
  • 飲み込みにくい
  • 顔や顎にしびれがある
  • 顎をぶつけた後から口が開かない
  • 噛み合わせが急に変わった
  • 症状を何度も繰り返している

特に、顔や首まで腫れてきた、飲み込みや呼吸がしづらい、急速に症状が悪化している場合は、感染が広がっている可能性もあるため、速やかな医療機関の受診が必要です。

口が開きにくいと、「疲れているだけ」「顎関節症だから仕方がない」と考えてしまいがちです。

しかし、開口障害の原因は顎関節症だけではありません。

歯ぎしり・食いしばりによる筋肉の緊張、親知らずの炎症、感染、外傷など、さまざまな原因によって起こります。

大切なのは、無理に口を開けようとすることではなく、なぜ開かなくなっているのかを確認することです。

「以前より明らかに口が開かない」
「食事のたびに顎が痛い」
「親知らずの周りも腫れている」

このような症状が続いている場合は、我慢せず歯科・口腔外科へご相談ください。

早い段階で原因を確認することで、症状の悪化を防ぎ、適切な治療につなげられる可能性があります。

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口が開きにくくなる原因は、顎関節症だけではありません。食いしばりによる筋肉の緊張や親知らずの炎症などが関係していることもあります。症状が続く場合は、歯科・口腔外科へご相談ください。

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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