- 1. 飲み物の「酸性」「アルカリ性」とは?
- 1.1. pHとは?
- 2. 「飲み物のpH」と「酸性食品・アルカリ性食品」は別物
- 2.1. レモンは「アルカリ性食品」でも果汁は酸性
- 3. アルカリ性・中性に近い飲み物には何がある?
- 3.1. 水・ミネラルウォーター
- 3.2. アルカリイオン水
- 3.3. お茶
- 4. 酸性の飲み物には何がある?
- 5. 酸性の飲み物で注意したい「酸蝕歯」とは?
- 6. 「pH5.5以下なら危険」と単純には判断できない
- 6.1. 酸性飲料は「飲み方」が重要
- 6.1.1. 長時間かけて少しずつ飲まない
- 6.1.2. 口の中にためない
- 6.1.3. 飲んだ後は水で口をすすぐ
- 7. 酸性飲料を飲んだ直後の歯磨きはどうする?
- 8. アルカリ性の飲み物を飲めば体もアルカリ性になる?
- 8.1. 「アルカリ性=健康に良い」とは限らない
- 9. 歯の健康を考えた飲み物の選び方
- 10. まとめ|アルカリ性かどうかだけで飲み物を選ばないことが大切
- 10.1. 関連記事
- 11. 健康のために「何を飲むか」を意識してみませんか
- 12. 【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
- 13. 筆者・院長
- 13.1. 深沢 一
- 13.1.1. メッセージ

「アルカリ性の飲み物は体に良いの?」「酸性の飲み物は歯に悪い?」
水やお茶、炭酸飲料、ジュースなど、私たちが普段口にしている飲み物には、それぞれ異なるpH(ピーエイチ)があります。
ここで注意したいのが、「飲み物そのもののpH」と「酸性食品・アルカリ性食品という分類」は同じ意味ではないということです。
たとえば、レモンやグレープフルーツは「アルカリ性食品」と紹介されることがありますが、果汁そのものは酸性です。そのため、歯に触れるという観点では「酸性の飲み物」として考える必要があります。
また、「アルカリ性の飲み物を飲めば血液がアルカリ性になる」「酸性の飲み物を避ければ体質がアルカリ性になる」といった単純なものでもありません。
この記事では、飲み物のpHとは何か、アルカリ性・酸性の飲み物の違い、体への影響、そして歯科の視点から酸性飲料と酸蝕歯の関係についてわかりやすく解説します。
飲み物の「酸性」「アルカリ性」とは?

飲み物が酸性かアルカリ性かを知るうえで基本となるのが「pH」です。
pHとは?
pHは、水溶液が酸性・中性・アルカリ性のどの性質を持っているかを示す指標です。
一般的には、
- pH7:中性
- pH7未満:酸性
- pH7より大きい:アルカリ性
とされています。
ただし、飲み物のpHは商品や原材料、製造方法などによって異なるため、「お茶は必ずアルカリ性」「水は必ず中性」と一律には判断できません。
「飲み物のpH」と「酸性食品・アルカリ性食品」は別物
ここは、飲み物の酸性・アルカリ性を理解するうえで非常に重要なポイントです。
一般に「酸性食品」「アルカリ性食品」という言葉は、食品そのもののpHではなく、食品を燃焼させた後に残る灰分に含まれるミネラルなどをもとに分類してきた考え方です。
そのため、「アルカリ性食品に分類される=口に入れたときもアルカリ性」という意味ではありません。

レモンは「アルカリ性食品」でも果汁は酸性
代表的な例がレモンです。
レモンは「アルカリ性食品」と紹介されることがありますが、レモン果汁そのものにはクエン酸などが含まれており、pHは低く、歯に触れる時点では酸性です。
グレープフルーツやオレンジなどの柑橘類も同様です。
したがって、歯科の立場から飲み物を考える場合には、体内でどのように代謝されるかではなく、口に入ったときの飲料のpHや酸の種類、飲み方などを見ることが重要です。
アルカリ性・中性に近い飲み物には何がある?
飲み物のpHは商品によって異なりますが、一般的に水や一部のミネラルウォーターなどは、中性から弱アルカリ性の範囲にあります。

水・ミネラルウォーター
水は日常的な水分補給に適した飲み物です。
ミネラルウォーターは採水地や含まれるミネラルによってpHが異なり、中性に近いものから弱アルカリ性のものまであります。
歯科の観点からも、糖分や酸を含まない水は、日常的な水分補給の基本としておすすめしやすい飲み物です。
アルカリイオン水
アルカリイオン水は、水を電気分解することで作られるアルカリ性の水です。
ただし、「アルカリ性だから一般的な水より健康に良い」と単純に考える必要はありません。
日常的な水分補給では、通常の水でも十分です。
お茶
緑茶、麦茶、ほうじ茶などは、種類や抽出方法、商品によってpHが異なります。
そのため、「お茶はすべてアルカリ性」とするのは正確ではありません。
ただし、砂糖を加えていないお茶は、清涼飲料水やジュースなどと比較すると、虫歯や酸蝕歯のリスクを抑えやすい飲み物といえます。
酸性の飲み物には何がある?
日常生活で注意したいのは、むしろ「アルカリ性の飲み物を積極的に飲むこと」より、酸性度の高い飲み物をどのように摂取するかです。

代表的な酸性飲料には、
- 炭酸飲料
- スポーツドリンク
- エナジードリンク
- 果汁飲料
- レモン水
- 柑橘系ジュース
- ワインなど一部の酒類
などがあります。
ただし、同じ種類の飲み物でもpHや酸の含有量は商品によって異なります。
また、コーヒーなども酸性を示しますが、「酸性=すべて同じ程度に歯を溶かす」というわけではありません。
歯への影響はpHだけではなく、酸の種類、酸を中和する能力、歯に触れている時間、飲む頻度などによっても変わります。
酸性の飲み物で注意したい「酸蝕歯」とは?
歯科医院の記事として特に知っていただきたいのが「酸蝕歯(さんしょくし)」です。
酸蝕歯とは、虫歯菌が作る酸ではなく、飲食物や胃酸などの酸によって歯の表面が化学的に溶けてしまう状態です。
虫歯とは原因が異なります。
歯の表面を覆っているエナメル質は非常に硬い組織ですが、酸性の環境にさらされるとミネラルが溶け出しやすくなります。

酸蝕が進行すると、
- 歯の表面が滑らかになる
- 歯が薄く見える
- 歯の先端が透けて見える
- 歯が黄色っぽく見える
- 冷たいものがしみる
- 詰め物や被せ物が浮き上がって見える
などの変化が現れることがあります。
「pH5.5以下なら危険」と単純には判断できない
虫歯については、歯垢(プラーク)内のpHが低下するとエナメル質の脱灰が起こりやすくなり、一般的にpH5.5前後が一つの目安として知られています。
しかし、酸蝕歯については、飲み物のpHだけでリスクを判断することはできません。
飲み物に含まれる酸の種類や量、カルシウム・リンなどの成分、唾液による中和、飲む頻度や時間など、さまざまな要因が関係するからです。
そのため、「pHが○以下だから必ず歯が溶ける」と考えるのではなく、酸性飲料に歯がさらされる頻度や時間にも注意することが大切です。

酸性飲料は「飲み方」が重要
酸性飲料を一度飲んだからといって、すぐに酸蝕歯になるわけではありません。
注意したいのは、酸性飲料を頻繁に口にする習慣です。
長時間かけて少しずつ飲まない
スポーツドリンクや炭酸飲料などをデスクに置き、数時間かけて少しずつ飲み続けると、歯が酸にさらされる回数や時間が増えます。
飲む場合には、だらだら飲みを避けることが大切です。
口の中にためない
酸性飲料を口の中にためたり、歯全体に行き渡らせるように飲んだりすると、歯と酸が接触する時間が長くなります。
必要以上に口の中にとどめず、そのまま飲み込むようにしましょう。
飲んだ後は水で口をすすぐ
酸性飲料を飲んだ後に水を飲んだり、軽く口をすすいだりすることも一つの方法です。
口の中に残った酸や糖分を洗い流す助けになります。
酸性飲料を飲んだ直後の歯磨きはどうする?
「酸性のものを飲んだ後は30分歯磨きをしてはいけない」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
酸によって歯の表面が一時的に軟化している可能性があるため、強い力で磨くことは避けたほうがよい場合があります。
一方で、すべての人が必ず「30分待つ必要がある」と一律に考える必要はありません。
まずは水で口をすすぎ、普段から適切な力で歯磨きをすることが重要です。
酸性飲料を頻繁に摂取している方や酸蝕歯が疑われる方は、歯科医院で歯の状態や生活習慣に合わせたブラッシング方法について相談しましょう。
アルカリ性の飲み物を飲めば体もアルカリ性になる?
「酸性の食品は体を酸性にする」「アルカリ性の飲み物を飲めば体がアルカリ性になる」といった情報を目にすることがあります。
しかし、人間の血液のpHは通常、約7.35〜7.45という狭い範囲に保たれています。
これは主に肺や腎臓などの働きによって厳密に調節されています。
健康な人の場合、特定の飲み物を飲むだけで血液のpHが大きく変化するわけではありません。
したがって、「アルカリ性飲料を飲めば体質そのものがアルカリ性になって健康になる」と考えるのは適切ではありません。

「アルカリ性=健康に良い」とは限らない
飲み物を選ぶときは、「酸性かアルカリ性か」だけで健康への良し悪しを判断しないことが大切です。
たとえば飲み物には、
- 糖分
- カフェイン
- カロリー
- ミネラル
- 酸
- その他の成分
などが含まれています。
健康への影響は、これらの成分や摂取量、食生活全体などを含めて考える必要があります。
「アルカリ性だから健康的」「酸性だから体に悪い」と単純に分けることはできません。
歯の健康を考えた飲み物の選び方
歯の健康という観点では、「アルカリ性飲料を探す」ことよりも、糖分や酸を頻繁に摂取しないことのほうが重要です。
日常的な水分補給には、
水や砂糖を加えていないお茶
などを中心にするとよいでしょう。
ジュース、炭酸飲料、スポーツドリンク、エナジードリンクなどを飲む場合には、量だけでなく「飲む回数」や「飲んでいる時間」にも注意してください。
特にスポーツドリンクは「体に良さそう」というイメージから日常的な水分補給として飲み続けることがありますが、糖分や酸を含む商品も多いため、歯科の観点では注意が必要です。
まとめ|アルカリ性かどうかだけで飲み物を選ばないことが大切
飲み物には酸性・中性・アルカリ性がありますが、「アルカリ性だから体に良い」「酸性だから体に悪い」と単純に判断することはできません。
また、「酸性食品・アルカリ性食品」という分類と、実際に口に入れたときの飲み物のpHは別のものです。
特に歯の健康では、飲み物そのものの酸性度が重要です。
炭酸飲料、スポーツドリンク、果汁飲料、レモン水などの酸性飲料を頻繁に飲み続けると、歯が酸にさらされる時間が長くなり、酸蝕歯のリスクにつながることがあります。
日常的な水分補給は水や無糖のお茶を基本とし、酸性飲料は「何を飲むか」だけでなく、**「どのくらいの頻度で、どのように飲むか」**にも注意しましょう。
歯がしみる、歯の先が透けてきた、歯の表面が以前と違うなどの変化が気になる場合は、酸蝕歯などが隠れている可能性もあります。気になる症状がある場合は、歯科医院で一度お口の状態を確認してもらうことをおすすめします。
関連記事
健康のために「何を飲むか」を意識してみませんか

炭酸飲料やスポーツドリンク、果汁飲料などをよく飲む方は、飲み方によって歯が酸にさらされる時間が長くなることがあります。
「冷たいものがしみる」「歯の先が透けて見える」「歯が以前より黄色っぽく見える」などの変化が気になる場合は、酸蝕歯などがないか一度お口の状態を確認してみましょう。
毎日の飲み物を無理に制限するのではなく、歯の状態や生活習慣に合わせたケア方法をご提案します。
【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





