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「受け口(反対咬合)」は、見た目の問題だけでなく、発音・咀嚼・顎関節・全身の健康にまで影響を及ぼすことのある歯並びのトラブルです。とくに、子どものうちに気づかず放置してしまうと、大人になってから外科手術が必要になるケースも少なくありません。

この記事では、受け口の原因や種類、子どもと大人別の治療法、保険適用の条件、治療後の注意点まで、専門的な知識をわかりやすく解説します。

受け口(反対咬合)とは、本来上の歯が下の歯を少し覆うように噛み合うべきところ、逆に下の歯が上の歯より前に出てしまっている状態を指します。噛み合わせのズレが見た目だけでなく、咀嚼や発音、顎の成長にも大きく影響するため、早期の発見と対処が重要です。

受け口の外見
受け口の外見
受け口の歯並び
受け口の歯並び

💡 正常な噛み合わせとの違い

正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯を2mm程度覆い、上下の奥歯も適切に噛み合っています。一方、受け口では下の前歯が前に出ており、上下の歯の接触がズレているため、以下のような問題が起こりやすくなります。

  • 前歯で食べ物をうまく噛み切れない
  • サ行やタ行の発音が不明瞭になる
  • 顎関節に負担がかかりやすい

このように、見た目だけでなく機能面でも大きな違いがあります。

🔍 「しゃくれ」との違いは?

「受け口」と「しゃくれ」はよく混同されますが、意味は少し異なります。

用語特徴
受け口(反対咬合)噛み合わせの問題で、下の歯が上の歯より前に出ている状態
しゃくれ(下顎前突)顎全体が前に突出している骨格的な問題が主体

つまり、「受け口」は噛み合わせの状態を表すのに対し、「しゃくれ」は顔貌に現れる見た目の特徴を指すことが多いです。受け口の中でも、歯並びの問題なのか、骨格の問題なのかを見極めることが治療法選択のポイントとなります。

📊 日本人に多いって本当?受け口の発症率と傾向

日本人は欧米人に比べて受け口の発症率が高い傾向にあり、おおよそ**5〜10%**の割合で見られます。これは、下顎が発達しやすい遺伝的特徴や、食習慣・生活習慣の違いが影響していると考えられています。

また、次のような要因も関連しています:

  • 両親や祖父母に受け口の人がいる(遺伝)
  • 幼少期の柔らかい食事中心の生活
  • 長期間のストローや哺乳瓶の使用
  • 舌癖や口呼吸などの悪習癖

受け口は成長とともに悪化するケースもあるため、早期の診断と対応がとても大切です。

受け口(反対咬合)の原因は一つではなく、遺伝的要因と**環境的要因(後天的な癖や生活習慣)**が複雑に絡み合っています。特に子どもの時期にこれらの要素が重なると、成長とともに症状が悪化する可能性もあります。以下で代表的な原因を詳しく解説します。

🧬 遺伝による骨格的要因

受け口の中でも骨格的な反対咬合は、遺伝の影響を強く受けます。以下のような特徴が遺伝しやすく、受け口を引き起こす要因になります。

遺伝による骨格的要因
遺伝による骨格的要因
  • 下顎が大きく前に出やすい
  • 上顎の成長が遅く、相対的に下顎が突出して見える
  • 両親・祖父母に受け口や顎の出た家系がある

このような骨格の特徴は成長期に顕著になりやすく、早めの歯科検診と成長コントロールが重要です。

🍽 柔らかい食事やストロー使用などの後天的な影響

現代の食生活も、受け口の発症リスクに影響を与えています。

  • 柔らかい食事が多い → 上顎の骨の発達が不十分になりやすい
  • 噛む回数が少ない → 顎の筋肉や骨のバランスが偏る
  • ストロー・哺乳瓶を長く使う → 口腔機能や舌の使い方に悪影響を及ぼす

特に離乳期や幼児期の「噛む習慣」は重要で、硬めの食材をよく噛むことで上顎の成長を促すことができます。

👄 口呼吸・舌の癖などの悪習癖との関係

口まわりの癖も、受け口のリスクを高める要因です。

  • 口呼吸:常に口が開いていることで、下顎が前にズレやすくなる
  • 舌癖(舌を前に出す癖):前歯を押し出す圧力がかかり、噛み合わせが逆になる
  • 頬杖・うつぶせ寝・指しゃぶり:顔面や顎の成長に偏りが生じやすい

これらの習慣は無意識に続けてしまうことが多いため、歯科医院での早期チェックとトレーニング(MFTなど)が効果的です。

🦴 歯の生え方や顎の成長バランスの崩れ

歯の生え方や顎の成長バランスが崩れると、噛み合わせにズレが生じて受け口を引き起こすことがあります。

  • 永久歯の生える向きが悪い
  • 生え変わりが遅れて噛み合わせに影響
  • 顎の成長が上下でアンバランス

特に成長期に上下の顎の成長スピードが異なる場合、早期に矯正治療を始めることで悪化を防ぐことができます。

一口に「受け口(反対咬合)」といっても、その原因は大きく2つのタイプに分かれます。

  • 歯性の受け口(歯並びのズレが原因)
  • 骨格性の受け口(上顎と下顎の骨格バランスが原因)
下顎が過成長
下顎が過成長
上顎が発育不全
上顎が発育不全
歯の傾きや位置が原因で受け口
歯の傾きや位置が原因で受け口

どちらのタイプかによって、治療方法・治療期間・費用が大きく変わるため、正確な診断が不可欠です。

🔄 歯性(歯の傾き・位置)による受け口

歯そのものの位置や傾きが原因で起こる受け口を「歯性(しせい)の反対咬合」と呼びます。

特徴

  • 下の前歯が前方に傾いて生えている
  • 上の前歯が内側に倒れている
  • 顎骨自体の成長バランスは正常

治療法

  • マウスピース矯正ワイヤー矯正など、比較的軽度の治療で改善が可能
  • 成長期の子どもであれば、ムーシールドなどの早期介入が効果的

このタイプは早めの治療ほど効果が出やすく、外科手術の必要性が低いのが特徴です。

🦴 骨格性(上顎の劣成長/下顎の過成長)による受け口

骨格そのものの成長バランスが原因となるのが「骨格性の反対咬合」です。

主なタイプ

  • 上顎の劣成長:上顎の発育が遅れ、下顎が相対的に前に出て見える
  • 下顎の過成長:下顎が過剰に成長し、前に突出する

特徴

  • 見た目の「しゃくれ」が強く出る
  • 咀嚼・発音・顎関節への負担が大きい
  • 遺伝的傾向が強いケースが多い

治療法

  • 成長期の子どもにはチンキャップフェイシャルマスクで成長抑制・促進を図る
  • 大人の場合は、**外科矯正(顎の骨を切る手術+矯正)**が必要になることも

骨格性の受け口は矯正だけでは限界があるケースも多く、治療の難易度・費用も上がる傾向があります。

🧑‍⚕️ タイプ別の治療アプローチと診断法

受け口が歯性か骨格性かを見極めることは、最適な治療法を選ぶために極めて重要です。

主な診断方法

  • 顔貌写真や横顔のレントゲン(セファロ分析)
  • 上下の顎の大きさや角度の測定
  • 噛み合わせの精密検査(咬合模型)

診断の流れ

  1. 初診カウンセリング(問診・視診)
  2. パノラマ・セファロなどのレントゲン撮影
  3. 診断結果にもとづく治療計画の立案と費用説明

当院でも、精密な診断機器を用いて歯性か骨格性かをしっかり見極めたうえで、患者様一人ひとりに合った治療をご提案しています。

子どもの受け口(反対咬合)は、成長期に治療を開始することで骨格のコントロールが可能なケースが多く、将来的な外科手術のリスクを下げることができます。ここでは、開始時期や治療装置の選び方、年齢ごとの対処法を詳しくご紹介します。

子どもの受け口の治療方法
子どもの受け口の治療方法

🎯 理想の開始時期は5~6歳

受け口の治療は、5~6歳ごろから始めるのが最も効果的です。この時期は乳歯と永久歯が混ざる「混合歯列期」で、顎の骨の成長に働きかけやすいためです。

  • ✅ 乳歯の段階から受け口がある場合は早めの診断が重要
  • ✅ 6歳を超えると骨格の成長が固定されやすくなる
  • ✅ 早期治療により、大がかりな矯正や外科手術を回避できる可能性が高まる

👶 ムーシールド・プレオルソ・フェイシャルマスクなどの選び方

受け口の治療には、原因(歯並びor骨格)や年齢に応じた装置を選ぶことが重要です。

装置名特徴適応
ムーシールド夜間のみ装着/舌の位置を改善軽度の歯性の受け口(3~6歳)
プレオルソやわらかいマウスピース/口呼吸にも対応軽~中等度の受け口(4~10歳)
フェイシャルマスク顎の骨に作用/就寝時10時間以上装着上顎の劣成長タイプ(7~12歳)
チンキャップ下顎の過成長を抑制/装着時間長め下顎前突型(9歳~思春期)

各装置には**成長に応じた「使用タイミング」**があるため、歯科医師による正確な診断が不可欠です。

📅 年齢別に見る治療方法と期待できる効果

年齢主な治療法期待できる効果
3〜5歳経過観察 or ムーシールド舌の位置改善/自然成長の促進
5〜7歳プレオルソ・ムーシールド歯並びと舌癖の同時改善
7〜10歳フェイシャルマスク・プレオルソ骨格成長を利用して受け口を修正
9〜12歳チンキャップ・ワイヤー矯正下顎の成長抑制/本格矯正の準備

子どもの受け口は「何歳だからこれ」と一律に決められるものではなく、成長の個人差も見ながら治療方針を決定します。

💰 費用相場と期間の目安(装置別)

装置名費用相場(税込)治療期間
ムーシールド5~15万円約6ヶ月〜1年
プレオルソ10~20万円約1〜2年
チンキャップ10~30万円約2〜3年(就寝時)
フェイシャルマスク15~40万円約1〜2年(併用可)
ワイヤー矯正(小児)50~100万円約2〜3年
  • 🎓 自費診療が基本ですが、一部の骨格性反対咬合で保険適用の可能性もあります(医療機関の指定あり)
  • 🧾 費用は装置代+調整料+診断料込みかどうかも確認しましょう

「もう大人だし、今さら治せないのでは?」と諦めてしまう方も少なくありません。しかし、大人でも受け口の矯正治療は十分に可能です。症状の程度に応じて、矯正治療だけで改善できるケースもあれば、骨格のズレが大きい場合は外科手術を併用する必要があります。

💡 大人でも治療は可能!症状別の治療選択

受け口の治療方法は、歯の位置の問題か、顎の骨格の問題かによって大きく異なります。

軽度の受け口(歯性)

  • 上下の前歯の角度や位置のズレが主な原因
  • マウスピース矯正ワイヤー矯正で対応可能
  • 顎の骨に大きな異常がないため、比較的短期間で改善

中等度の受け口

  • 歯並びと骨格のズレが混在
  • 基本はワイヤー矯正
  • 必要に応じて外科手術を一部併用することも

重度の受け口(骨格性)

  • 下顎の突出や上顎の劣成長など、骨格のズレが明確
  • **外科矯正(顎の手術+矯正治療)**が必要になる

大人の場合は顎の成長が止まっているため、歯だけではコントロールが難しいこともあり、正確な診断が治療の成否を左右します。

🏥 ワイヤー矯正・マウスピース矯正・外科手術の違い

治療法特徴向いている症状
🧷 ワイヤー矯正歯にブラケットを装着し、ワイヤーで歯を移動中〜重度の歯列不正にも対応可能
🦷 マウスピース矯正(例:インビザライン)透明で目立たず、取り外し可能軽〜中等度の受け口に最適
🏥 外科矯正(顎変形症手術)顎の骨格を外科的に移動/保険適用あり骨格性の重度の受け口に対応
  • ワイヤー矯正は確実性が高く、細かな調整も可能
  • マウスピース矯正は審美性と快適性が魅力
  • 外科矯正は大きな改善が可能だが、手術と入院を伴う

💸 治療期間と費用|自費と保険適用の境界

治療法治療期間費用目安(税込)保険適用の有無
マウスピース矯正1.5〜3年約80〜120万円❌ 自費
ワイヤー矯正2〜3年約70〜120万円❌ 自費
外科矯正(手術+矯正)約1〜2年約30〜40万円(保険適用時)✅ 条件を満たせば保険適用

保険適用になる条件

  • 「顎変形症」と診断された場合(顎のズレが10mm以上など)
  • 厚労省指定の医療機関で治療を受ける必要あり

骨格性の問題が認められる場合は、保険での治療が可能になるケースもあるため、早めに専門医での診断を受けましょう。

受け口(反対咬合)は、見た目だけの問題と思われがちですが、放置することで噛み合わせの悪化や身体全体の健康リスクにまでつながることがあります。とくに成長期の子どもや、仕事・人間関係に影響が出やすい大人にとっては、早期対処がとても大切です。

 受け口を放置すると起こるリスクとは?
受け口を放置すると起こるリスクとは?

😷 見た目の問題(Eラインの乱れ・しゃくれ顔)

受け口は顔の輪郭にも大きく影響します。

  • 横顔のEラインが崩れる
     → 鼻と顎を結ぶラインよりも口元が前に出て、バランスが悪く見える
  • 「しゃくれた顔つき」になる
     → 下顎が目立ち、フェイスラインが不自然に
  • 口元が閉じにくい/ほうれい線が深くなる
     → 老けて見えたり、不健康な印象を与えることも

📌 結果的に、自分の容姿に自信が持てなくなり、心理的コンプレックスや対人ストレスに発展するケースも少なくありません。

🗣 発音障害とコミュニケーションへの影響

受け口は舌の動きや空気の通り道に影響を与えるため、発音障害の原因にもなります。

  • サ行・タ行・ラ行の発音が不明瞭に
     → 舌が前に出やすく、「サ・シ・ス・セ・ソ」などが聞き取りづらくなる
  • 話すときに息漏れがある
     → 声がこもったり、口元がモゴモゴして聞き返されることも
  • 人前で話すのが苦手になる
     → 学校や職場での発表、面接、電話応対がストレスに

📌 話すことへの不安が強くなり、コミュニケーションそのものを避けるようになることもあります。

🍴 咀嚼・消化機能の低下

受け口は「噛む力のバランス」にも影響を与え、食事の質や栄養吸収に悪影響を及ぼします。

  • 前歯でうまく噛み切れない
     → 食べ物を小さくできず、丸呑みしやすくなる
  • 奥歯に負担が集中
     → すり減りやすく、将来的な咬合トラブルのもとに
  • 咀嚼回数の減少 → 消化不良・胃もたれ
     → よく噛まないことで消化器官に負担がかかる

📌 噛む力が弱くなることで、子どもの発育や高齢者の健康維持にも悪影響が出る可能性があります。

🦷 歯の摩耗・顎関節症・老後の健康への影響

受け口を放置することで起きる長期的な健康リスクにも注意が必要です。

  • 歯の摩耗や破折
     → 噛み合わせが偏ることで、一部の歯に過剰な負荷がかかる
  • 顎関節症の発症
     → 開口時のカクカク音・痛み・口が開きにくいなどの症状が出る
  • 誤嚥・認知機能の低下リスク
     → 噛む力が弱まることで、食事中の誤嚥や脳への刺激不足が起こりやすくなる

📌 とくに中高年以降は、咀嚼力の低下が認知症や誤嚥性肺炎のリスクに関わることがわかっています。

受け口(反対咬合)の治療には、歯並びの状態や骨格の問題に応じた複数の治療法があります。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、自分に合った治療を選ぶためには特徴をよく理解することが大切です。

🧷 ワイヤー矯正のメリット・デメリット

歯の表面にブラケットとワイヤーを装着して、物理的に歯を動かす基本的な矯正方法です。

メリット

  • ✅ 軽度〜重度まで幅広く対応可能
  • ✅ 精密なコントロールができるため治療効果が高い
  • ✅ 治療実績が多く、信頼性が高い

デメリット

  • ⚠️ 金属の見た目が目立つ(白や透明の審美ブラケットも選択可)
  • ⚠️ 食事や歯磨きに制限があり、虫歯リスクが高まる
  • ⚠️ 装置の違和感・痛みを感じやすい初期期間がある

🦷 マウスピース矯正(インビザラインなど)の適応範囲

透明なマウスピース型の装置を使って、少しずつ歯を動かす目立たない矯正法です。

メリット

  • ✅ 見た目が自然で目立たない
  • ✅ 取り外しが可能で、食事・歯磨きがしやすい
  • ✅ 痛みや違和感が比較的少ない

デメリット

  • ⚠️ 1日20時間以上の装着が必須。自己管理が必要
  • ⚠️ 重度の骨格的な受け口には対応できないことがある
  • ⚠️ 適応には事前の精密診断が必要

📌 適応:軽度〜中等度の受け口/歯の傾きが主な原因の場合

🧑‍⚕️ セラミック矯正の審美的メリットと注意点

歯を削ってセラミックの被せ物(クラウン)を装着し、短期間で歯並びを改善する方法です。

メリット

  • ✅ 短期間(数週間〜数ヶ月)で見た目を整えられる
  • ✅ ホワイトニング効果も兼ねるため、審美性が高い
  • ✅ 矯正装置を使わないため、目立たず即効性がある

デメリット

  • ⚠️ 健康な歯を削る必要がある(不可逆的処置)
  • ⚠️ 噛み合わせの根本的な改善にはならない
  • ⚠️ 長期的にはクラウンの再製作が必要になる可能性も

📌 「歯並びの見た目だけを短期間で整えたい方」には向いていますが、骨格や噛み合わせ改善が目的の場合は不向きです。

🏥 外科矯正(顎変形症)の流れと保険適用条件

骨格性の受け口で、顎の前後的ズレが大きいケースには、外科手術と矯正を組み合わせた「外科矯正」が必要になります。

治療の流れ

  1. 精密検査・診断(レントゲン・セファロ分析)
  2. 術前矯正(約1年):歯の位置を整えて手術に備える
  3. 外科手術(顎の骨を前後に移動)
  4. 術後矯正(約半年〜1年):噛み合わせの最終調整

保険適用の条件

  • ✅ 「顎変形症」と診断され、咬合機能に支障があると認められた場合
  • ✅ 厚生労働省指定の医療機関で治療を受けること
  • ✅ 顎のズレが10mm以上など、一定の基準を満たすことが必要

📌 保険が適用されれば、**手術+矯正で約30〜40万円(3割負担)**に抑えられることもあります。

受け口の矯正治療が終わった後も、何もしなければ歯は元の位置に戻ろうとします。これを「後戻り」と言い、再治療が必要になることも。せっかく時間と費用をかけて整えた歯並びをキープするためには、保定(ほてい)期間の管理が非常に重要です。

🦷 リテーナー(保定装置)の重要性

矯正終了後、歯が元の位置に戻らないようにする装置が**リテーナー(保定装置)**です。

種類

  • 取り外し式(マウスピース型):食事や歯磨きがしやすい
  • 固定式:前歯の裏側にワイヤーを接着。ずっと装着できる

装着期間の目安

  • 最低でも1〜2年の装着が推奨されます
  • 骨格的な受け口だった場合は**長期保定(5年以上)**が必要なことも

📌 **「矯正が終わっても治療は終わりではない」**という意識が大切です。

👅 MFT(舌のトレーニング)で噛み合わせを安定

舌の位置や使い方のクセは、受け口の原因になるだけでなく、後戻りのリスクを高めることもあります。そこで有効なのが、**MFT(口腔筋機能療法)**です。

MFTとは?

  • 舌・唇・頬・呼吸の使い方を整えるトレーニング
  • 正しい舌の位置(上あごのスポット)を習得
  • 飲み込み方・発音・姿勢の改善にもつながる

📌 歯並びを支える筋肉バランスが整えば、再発防止や長期安定につながります。

🗓 定期的なチェックで再発防止を

治療後は「通院が不要になる」と思われがちですが、定期的なメンテナンス通院は後戻り予防に不可欠です。

チェック内容の一例

  • リテーナーの適合状態や破損の確認
  • 噛み合わせの変化チェック
  • 歯の動きや歯周組織の状態の確認

📌 目安は3〜6ヶ月ごとに1回。小さなズレを早期に発見し、調整や指導で悪化を防ぎます。

受け口(反対咬合)については、「いつ治療を始めるべき?」「大人でも治るの?」「費用はどのくらい?」といった疑問を多くの方が持っています。ここでは、よくある質問にわかりやすくお答えします。

🧒 子どもは何歳までに治療すべき?

理想的な治療開始時期は、**5〜6歳ごろ(混合歯列期の始まり)**です。

  • この時期は顎の骨の成長をコントロールしやすく、受け口の進行を抑えられる可能性が高まります。
  • 放置すると骨格的なズレが進行し、本格的な矯正や外科手術が必要になるリスクも

📌 3〜4歳で受け口が見られる場合も、まずは一度歯科医院でご相談を。

👨‍🦱 大人でも本当に治る?

はい、大人でも受け口の矯正治療は可能です。

  • 軽〜中等度の受け口であれば、マウスピース矯正やワイヤー矯正で改善できます。
  • 骨格性の重度の受け口の場合は、外科手術(顎変形症手術)との併用治療が必要になることも。

📌 大人の場合は顎の成長が止まっているため、子どもより治療期間が長くなる傾向にあります。

💰 保険適用される条件は?

以下の条件に該当する場合、受け口の治療に健康保険が適用されることがあります

保険適用の条件

  • 顎変形症」と診断され、外科手術を伴う矯正治療が必要と判断された場合
  • 唇顎口蓋裂」などの先天性疾患による咬合異常がある場合
  • 治療を受けるのが、厚生労働省指定の医療機関であること

📌 保険が適用されれば、**手術+矯正の総額が30〜40万円前後(3割負担)**に抑えられることもあります。

👃 受け口と鼻の通り・呼吸の関係は?

受け口の方は、口呼吸の習慣があるケースが多く見られます。

  • 下顎が前に出ていると、口を閉じにくくなる
  • 結果として、常に口が開いた状態=口呼吸
  • 長期間の口呼吸は、鼻づまり・いびき・睡眠の質の低下にもつながる

📌 また、口呼吸は顎の筋肉バランスを崩し、受け口をさらに悪化させる悪循環を招くことも。舌の位置や呼吸のトレーニング(MFT)も大切です。

受け口(反対咬合)の治療は、治療の開始時期や選ぶ医院によって結果が大きく変わることがあります。とくに骨格的な問題が絡む場合は、専門的な判断と経験が必要です。ここでは、信頼できる歯科医院を選ぶための3つのポイントをご紹介します。

✅ 矯正専門医がいるかどうか

受け口治療では、矯正の専門知識と経験が不可欠です。

  • 日本矯正歯科学会などの認定医・専門医が在籍しているかを確認
  • 顎の成長や骨格バランスを考慮した治療計画が立てられるか

📌 一般歯科と兼任ではなく、矯正を専門的に診ている医院を選ぶことで、より確実な診断と治療が期待できます。

🏙 通いやすさと予約の取りやすさ

矯正治療は1〜3年以上の長期通院になることが多いため、通いやすさは非常に重要です。

  • 自宅や学校・職場からのアクセスが良い
  • 診療時間や曜日がライフスタイルに合っている
  • 予約が取りやすく、キャンセル対応なども柔軟かどうか

📌 無理なく通える環境でなければ、通院がストレスになり、治療の継続や効果に影響する可能性があります。

受け口(反対咬合)は、単なる見た目の問題ではなく、発音・咀嚼・顎関節・全身の健康にまで大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、原因やタイプに応じた適切な治療を受ければ、改善は十分可能です。

✅ 子どもは5~6歳までの診断・治療が理想

  • 混合歯列期(乳歯と永久歯が混ざる時期)に矯正を始めると、骨格の成長をコントロールしやすく、自然なかたちで治るケースも。
  • 放置すると骨格のズレが進行し、将来的に手術が必要になることもあるため、早期の歯科相談がおすすめです。

✅ 大人でも治療可能。外科併用なら保険適用も

  • 軽度〜中等度の受け口であれば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正で十分対応可能です。
  • 骨格的な問題が大きい場合でも、外科矯正(顎変形症)で保険適用される可能性があり、安心して治療を始められます。

✅ 見た目・発音・咀嚼・全身の健康まで影響するため早めの対策を

  • 放置すると、顎関節症・歯の摩耗・発音障害・消化不良・老後の健康リスクにまで波及します。
  • 見た目のコンプレックスが心理的ストレスや社会的影響につながることも。

📌 まずは「受け口のタイプ診断」から始め、信頼できる歯科医院で早めにご相談を。未来の健康と笑顔を守る第一歩になります。

江戸川区篠崎で受け口の治療をお考えの方へ – 矯正専門の歯科医院で正しい治療を!

受け口(反対咬合)は、見た目の悩みだけでなく、噛み合わせや発音、顎関節の健康にも影響を及ぼします。

そこで、江戸川区篠崎エリアで受け口治療に力を入れており、患者さまの症状に合わせた最適な矯正プランをご提案いたします。

受け口の治療法(お子様から大人まで対応)

子どもの矯正(5〜10歳):ムーシールド・プレオルソ・チンキャップ・フェイシャルマスクで顎の成長コントロール
大人の矯正:ワイヤー矯正・マウスピース矯正(インビザライン)で根本的に改善
噛み合わせの診断:お一人おひとりに合った治療法をご提案

江戸川区篠崎の皆様へ – 地元で安心の矯正治療を

当院は篠崎駅から徒歩1分とアクセス良好! 江戸川区エリアの皆様に受け口の矯正治療を提供しております。

「受け口が気になる」「子どもの受け口は治りますか?」そんなお悩みがあるなら、まずは相談へ!
患者様に寄り添い、最適な治療プランをご提案いたします。

【動画】アデノイド顔貌

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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