癒合歯

  • 乳歯は、顎骨内で二つの歯胚が結合し、1本の歯として萌出する癒合歯となることがあります。
  • 特に前歯の乳歯に現れる確率が高く、原因は母親の全身状態の異常という説もあります。
  • 癒合歯がなかなか抜けなかったり、抜けた後の永久歯が先天欠損することがあるので、歯の交換時期には注意が必要です。

赤ちゃんの前歯が大きい?癒合歯の特徴と対応法

2本の歯が結合した状態で萌出する癒合歯が自分の赤ちゃんに生えてくると、【赤ちゃんの前歯がやけに大きいのでは?】と心配になりますね。

そこで、特に癒合歯が永久歯に生え変わる時期の注意点や治療法についてまとめてみました。

癒合歯とは

乳歯に起こりやすい癒合歯

癒合歯(ゆごうし)とは、二つ以上の歯胚(歯の元になるもの)が顎骨内で結合し、一本の歯として萌出するものをいます。

赤ちゃんの前歯が異常に大きい場合には、癒合歯の可能性があります。癒合歯であった場合には歯の本数が一本足らないということになります。永久歯に比べ乳歯に多く発生し易く、特に下顎の前歯に多く見られます。

下顎の乳側切歯と乳犬歯が癒合歯になる頻度が最も高く、次いで下顎の乳中切歯と乳側切歯、3番目に上顎の乳中切歯と乳側切歯と続きます。

乳歯の癒合歯
乳歯の癒合歯

下顎左の乳中切歯と乳側切歯が癒合歯になったものです。

永久歯の癒合歯
永久歯の癒合歯

下顎右の側切歯と犬歯が癒合歯になったものです。

癒合歯の確率

日本人の乳歯では2.6~4%、永久歯では0.3%以下と乳歯に比べ10分の1以下の発現率となっています。白人や黒人の乳歯における癒合歯の発現率は1%以下で、人種間で違いが見られます。

癒合歯の原因

原因

 母親の全身状態の異常

癒合歯の明確な原因は分かっていませんが、母親の全身状態の異常(栄養失調、薬物の服用、病気、ビタミン A の過剰投与)などと関連しているとの報告があります。

原因

 胎児へのウイルス感染

胎児へのウイルス感染が原因であるとの可能性も示唆されています。

原因

 現代人の顎骨退化

現代人の顎は古代人に比べ明らかに小さくなっています。顎の骨が小さくなったことで、顎骨内で歯胚同士が接近しやすくなったことで癒合歯が出来やすくなったという説もあります。

癒合歯の治療の必要性は?

癒合歯自体には特に治療の必要性はありませんが、結合部分に深い溝がある場合には歯垢(プラーク)が溜まりやすく、虫歯リスクが高まります。注意して歯磨きをする必要があります。

癒合歯の問題点

問題

 後続永久歯が先天欠損

乳歯が癒合歯である最大の問題は、これから生え変わるはずの永久歯がないかもしれないということです。歯が交換する時期にレントゲンを撮ればはっきりします。永久歯の歯胚が2本あれば安心です。

しかし、癒合歯の後に続くはずの2歯の永久歯が無い場合、1歯しか永久歯が無い場合などがあります。後続永久歯が無いと、その部分の歯列に空隙が生じ、その空隙を埋めるように他の永久歯が移動します。すると、歯列がガタガタになってしまうリスクがあるため治療が必要となります。

問題

 癒合歯は抜けずらい

乳歯の癒合歯の歯根は元々、生え変わりの時期が違う二本の歯が癒合したものなので、1本の歯根が吸収されても、もう1本の歯根が吸収されずに残ってしまうことがあります。すると、癒合歯はその場所にいつまでも残ってしまうことになり、適正な永久歯との交換を妨げることになります。

癒合歯がいつまでも残存し、永久歯が適切に萌出できないようなら抜歯が必要です。

問題

 永久歯が癒合歯となる

乳歯が癒合歯であると、極めてまれに永久歯も癒合歯として萌出することがあります。この場合には、永久歯が横に大きな歯になるため審美的に問題になることがあります。

特に審美的要求度の高い上顎の前歯に生じた場合には、ラミネートベニアなどで2本の歯に見えるようにする治療法が考えられます。

後続永久歯が先天欠損した時の治療法

step

リテーナー

乳歯の癒合歯が抜けた後の空隙を取り外し式の入れ歯(リテーナー)でキープします。
※ 空隙部分を放置すると不揃いな”すきっ歯”になってしまいます。

step

ブリッジ

成人になって入れ歯は嫌だという方には空隙部分に取り付けのブリッジを入れる選択肢があります。

接着ブリッジ

ブリッジは天然歯を沢山削らなければ治療出来ないのデメリットがあります。そこで、歯を殆ど削らない接着ブリッジという方法もあります。

インプラント

人工歯根を歯槽骨に埋入するインプラント治療も選択肢になります。

スマイルデンチャー

取り外しタイプの部分入れ歯には金属のバネの無い目立たない部分入れ歯・スマイルデンチャーがあります。

癒着歯(ゆちゃくし)とは

癒着歯は、完全に歯冠と歯根が完成した後に歯根周囲のセメント質が肥大することで隣接する2本の歯根が癒着、結合して起きると言われています。

癒着歯の多くは永久歯で見られ、乳歯にはほとんど起こりません。

ふかさわ歯科クリニック篠崎の小児歯科では、虫歯治療に伴う痛みや精神的負担に配慮し、お子様とのコミュニケーションを大切にしながら、お子様が歯医者嫌いにならないよう信頼関係を築くとこらから始めます。赤ちゃんの乳歯に癒合歯があった場合の処置や指導も行っております。

また、マタニティ歯科にも対応し、虫歯菌をお子様に移さないマイナス1歳から始める虫歯予防の指導や妊婦の方が安心して出産できるようサポートも行っています。江戸川区篠崎で赤ちゃんの乳歯の癒合歯を治療してくれる小児歯科をお探しの方はぜひ、当院までお気軽にご相談いただければと思います。

【動画】癒合歯

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

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日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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