目次

「SRPってどんな治療?」「スケーリングとの違いは?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、**SRP(スケーリング・ルートプレーニング)**について、歯周病との関係や治療の流れ、費用の目安まで詳しく解説します。
歯ぐきの健康を守りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

🧪SRPの正式名称と意味

SRPとは、「スケーリング・ルートプレーニング(Scaling and Root Planing)」の略です。
歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に入り込んだ歯石や細菌のかたまり(バイオフィルム)を取り除く、歯周病治療の基本となる処置です。
進行した歯周病に対しては、このSRPによって歯ぐきの炎症を抑え、健康な状態に戻す
ことが期待できます。

🧼スケーリングとの違いは?

スケーリングは、歯の表面に付いた歯石や汚れを落とす処置です。
一方、SRPはそれに加えて、歯周ポケットの深い部分にこびりついた歯石や感染した歯根の表面を滑らかに整える処置も含まれます。
つまり、SRPは**「より深い部分を丁寧に治療するステップ」**であり、スケーリングの進化版とも言えます。

🪛ルートプレーニングの目的とは?

歯の根の表面をなめらかに整える処置です
ルートプレーニングとは、歯の根(歯根面)に付着した歯石や汚れを、手用の器具(ハンドスケーラー)で丁寧に取り除く治療のことです。
使用するハンドスケーラーの先端には、鋭く研がれた刃がついており、この刃で歯根の表面を細かく滑らかに削りながら、歯石や汚れ、そして細菌に汚染されたセメント質も除去します。
処置後の歯根面はツルツルになり、細菌の再付着を防ぎやすい状態になります。
なお、ルートプレーニングは「スケーラー(例:グレーシーキュレット)」を使った方法を指し、一般的な超音波スケーラーとは区別されることもあります。

ルートプレーニング
ルートプレーニング

⚙️どんな器具を使うの?

SRPには以下のような専門の器具を使用します:

  • 🪛キュレットスケーラー:歯周ポケットの奥に届く湾曲した器具で、手作業で細かく歯石を取ります。
  • 🦷超音波スケーラー:高周波の振動で頑固な歯石を効率よく除去。水で洗い流しながら使用します。
  • 🔍探針・プローブ:歯周ポケットの深さや炎症の程度をチェックする道具です。

これらを使って、目に見えない部分までしっかり清掃することで、再発防止や歯の保存につなげていきます。

💥歯周ポケットと歯石の関係

歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間に「歯周ポケット」と呼ばれるすき間ができます。
このポケットの中に歯石や細菌のかたまり(プラーク)が入り込み、炎症を悪化させるのです。

表面だけのクリーニングでは届かないため、奥深くに潜んだ歯石を除去するSRPが必要になります。
放っておくと、歯を支える骨までダメージを受けるおそれがあります。

🦠放置するとどうなる?

SRPをせずに歯周病を放置すると、次のような悪化が見られます:

  • 🔴歯ぐきの腫れや出血がひどくなる
  • 🦷歯がグラグラしてくる(歯槽骨の吸収)
  • 🤢口臭が強くなる
  • ❌最悪の場合、歯が抜けてしまう

また、近年では糖尿病や心疾患とも関係があることがわかってきており、歯周病を甘く見ることはできません。

🔄SRPで改善できる症状とは

SRPを行うことで、以下のような効果が期待できます:

  • 🌿歯ぐきの腫れ・出血の改善
  • 🦷歯周ポケットの浅化(炎症の軽減)
  • 💨口臭の軽減
  • 🛡️歯を支える骨の破壊スピードを抑える

つまりSRPは、歯周病を「治す」のではなく、**進行を止めて健康な状態に近づける“再生の第一歩”**です。
継続的なメンテナンスと合わせて行うことで、長く健康な歯を保つことができます。

⚠️ルートプレーニングの注意点(デメリット)

ルートプレーニングの注意点(デメリット)
ルートプレーニングの注意点(デメリット)

🧑‍⚕️ 処置には慎重な判断が必要
 ルートプレーニングには効果とリスクの両面があるため、歯ぐきや歯の状態に応じて適切に判断することが大切です。

🔁 過度な処置はNG
 ルートプレーニングは歯周病治療に重要な処置ですが、繰り返しすぎると副作用が出る可能性があります。

🪛 歯根面が削られるリスク
 ハンドスケーラー(例:グレーシーキュレット)を使って何度も処置を行うと、歯の根の表面が徐々に薄く・すり減ってしまうことがあります。

📉 頻繁な実施による影響
 数ヶ月に一度の頻度で繰り返すと、図に見られるように歯根が削られた状態になることも

❄️ 知覚過敏のリスク
 削りすぎた歯根面は刺激に敏感になり、冷たいものや熱いもので「しみる」症状が出る可能性があります。

✅ルートプレーニング(SRP)の必要性とは?

  • 🔬 日本の一般的な考え方
     深い歯周ポケットに付着した歯石は、細菌に汚染された壊死したセメント質ごと除去する必要があるとされ、
     多くの歯科医院で歯石と同時にセメント質を削り、根面を滑沢に整える処置が行われています。
  • 🇸🇪 スウェーデン・エイテボリ大学の見解
     エイテボリ大学の研究では、セメント質は壊死していないとされ、
     「可能な限りセメント質は残し、歯石のみを除去するべき」という考えが推奨されています。
     理由は、一度除去された歯根膜やセメント質、歯槽骨は自然再生しないためです。
  • 🏥 当院の方針
     当院では、ルートプレーニングの実施について以下のように対応しています:
      ・処置の必要性を慎重に判断
      ・不要と判断される場合は行わない
      ・実施頻度は以前よりも大幅に減少
  • 💉 積極的に行うケース:リグロスを用いた再生療法
     歯周組織再生薬「リグロス」を用いた治療では、ルートプレーニングを行うことで再生効果を高めることができるため、
     このようなケースでは積極的な実施を推奨しています。

🪥初診から治療開始までのステップ

SRPは専門的な処置のため、まずは歯周病の状態を正確に把握することから始まります。

  1. 🔍歯周ポケットの検査(深さ・出血・動揺)
  2. 🦷レントゲン撮影(歯槽骨の吸収の程度を確認)
  3. 📊口腔内全体の診断
  4. 🧼歯石除去(スケーリング)で前処置
  5. 部位ごとにSRPを実施

※通常は上下左右の4ブロックに分けて、数回に分けて行われます。

🕒1回の所要時間と治療回数

SRPは1回につき30〜60分ほどの時間がかかることが一般的です。
理由は、見えない歯の根の部分をていねいに清掃する必要があるからです。

🗓️通院の目安は以下の通りです:

  • 🔹中等度の歯周病:2〜4回の通院(片顎ずつ)
  • 🔸重度の歯周病:4〜6回以上になることも

治療の進み具合やお口の状態によって変わるため、担当の歯科医師と相談しながら進めるのが安心です。

📝治療後の注意点・ケア方法

SRP後は、歯ぐきが改善に向かっていく反面、以下のような変化や注意点があります。

✅よくある反応

  • 歯ぐきが引き締まり、歯が長く見えることがある
  • 一時的に知覚過敏(しみる症状)が出ることがある
  • 出血や違和感があるが、数日で治まることが多い

🪥自宅でのケアのポイント

  • やさしく丁寧にブラッシング(出血があっても磨いてOK)
  • 歯科医に勧められたフロスや歯間ブラシを使う
  • 食後はしっかりうがいして清潔を保つ

✨定期的なメンテナンス(1〜3ヶ月に1回)も大切です。
SRPで改善した歯ぐきを良い状態でキープするためには、日々のケアと定期管理が欠かせません。

🧾自由診療と保険診療の違い

SRPは基本的に保険診療で受けられる治療ですが、医院によっては**自由診療(自費)**として行うケースもあります。

  • 🏥保険診療:歯周病の診断があり、必要性が認められた場合に適用されます。
    → 一定のルール(検査・記録・部位ごとの実施)があり、全国一律の価格です。
  • 💼自由診療:保険の制約を超えて、より丁寧な処置や拡大視野下での施術などを希望する場合。
    → 材料や時間に制限がない分、費用は高めですが、精密性が高いというメリットもあります。

💳費用の目安と医院ごとの差

SRPの費用は、保険か自由診療かで大きく異なります。

🏥保険診療の場合(3割負担の例)

  • 1部位あたり:約1,000〜2,000円前後
  • 全顎4部位に分けて行う場合、合計3,000〜6,000円程度

ルートプレーニングの費用

- 保険適用-自己負担3割の場合の一部負担金 -

前歯1本あたり 180円
小臼歯1本あたり 190円
大臼歯1本あたり 220円
※ 保険診療で行うには、この他に歯周組織検査費用、各種指導料、再診療などが加算されます。また、実施に当たってはスケーリングが完了していることが条件となります。

💼自由診療の場合(医院によって差あり)

  • 1回あたり:5,000〜15,000円以上
  • 精密SRPや拡大鏡使用、麻酔併用などを含むと、さらに費用がかかることもあります。

💬医院によって料金体系が異なるため、事前に見積もりや説明を受けることが大切です。

💡費用対効果から見るSRPの価値

「歯ぐきのケアにお金をかけるのはもったいない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、SRPは歯周病の進行を止め、歯を守るための投資です。

  • 🦷歯を失えばインプラントや入れ歯で数十万円の治療費がかかる可能性も
  • 🧼定期的なSRPやメンテナンスで歯の寿命を延ばせる
  • 💨口臭や出血などの不快症状の改善にもつながる

つまり、「今」ケアすることで将来の高額治療を回避できる=費用対効果の高い治療と言えます。

🛠️エアフロー(歯面清掃器)の特徴

  • エアフローは、バイオフィルム(古い歯垢)やプラークを除去するための専用機器です。
  • 使用するハンドピースには、目的に応じて以下の2種類があります:

 ① エアフローハンドピース
 → 歯肉縁上(歯ぐきの上)の歯面清掃用

 ② ペリオフローハンドピース
 → 歯肉縁下(歯周ポケット内)の清掃用。
  インプラント周囲や深いポケットにも対応。

  • ハンドピースの先端からは、微細なパウダー粒子が噴射され、やさしく汚れを除去します。
エアフロー
エアフロー

🧪ペリオフローノズルの使用条件(対応できる歯周ポケット)

ペリオフローノズルは、深さ5mm以上の歯周ポケットにも使用できますが、以下の条件をすべて満たす必要があります:

  • ✅ 根尖(歯の先端)から歯槽骨頂までの高さが3mm以上
  • ✅ 根尖から歯肉溝底までが3mm以上
  • 歯周病によって形成された歯周ポケットであること

エアフローは、従来のスケーリングよりも歯や歯ぐきへのダメージが少なく、快適な処置が可能です。
歯周治療やインプラントメンテナンスの場面でも、精密で効率的な清掃ツールとして注目されています。

💬Q. SRPは痛いの?麻酔は使う?

🅰️ A. SRPは歯ぐきの中を処置するため、人によっては少し痛みを感じることがあります
ですが、必要に応じて表面麻酔や局所麻酔を使うことで、痛みを最小限に抑えることが可能です。

特に歯ぐきが炎症で敏感な場合は、最初に麻酔を使ってから処置するのでご安心ください。
🧑‍⚕️痛みに不安がある方は、遠慮なく事前に相談してみてくださいね。

💬Q. 一度やれば再発しないの?

🅰️ A. 残念ながら、SRPを一度行っただけでは再発を完全に防ぐことはできません
SRPはあくまで、歯周病の進行を「止める」ための治療です。

大切なのはその後の**セルフケア(正しい歯磨き)**と、**定期的なメンテナンス(プロによる管理)**を続けること。
✨治療後の状態を「キープ」する意識がとても重要です!

💬Q. PMTCや3DSとどう違う?

🅰️ A. それぞれ目的や対象が異なります。

処置名主な目的対象部位特徴
SRP歯周病治療歯ぐきの中保険適用あり。感染源(歯石・歯根)を除去
PMTC予防ケア歯の表面自費のことが多く、見た目や口臭ケアにも◎
3DSむし歯菌・歯周病菌の除菌歯周ポケットなど専用トレーで薬剤を浸透させる新しい予防法

🦷SRPは治療、PMTCや3DSは予防ケアと覚えるとわかりやすいです。


次は「🧍‍♀️こんな人にSRPはおすすめ」や「🧑‍⚕️歯科衛生士の技術」セクションもご用意できますので、お気軽にお申し付けください!

📉歯ぐきから出血がある方

歯を磨いたときやフロスを使ったときに、歯ぐきから血が出ることはありませんか?
これは歯周病のサインかもしれません。

SRPは、出血の原因である歯周ポケット内の歯石や細菌をしっかり除去することで、炎症をおさえ、出血しにくい健康な歯ぐきへと導きます。

🦷定期健診を受けていない方

「しばらく歯医者に行ってない…」という方は要注意!
見た目は問題なくても、歯ぐきの奥で歯周病が静かに進行しているケースがよくあります。

SRPは、見えない部分の汚れをリセットする役割を担っています。
久しぶりの歯科受診では、まず歯周病検査とSRPから始めることが多いです。

🛡️口臭・歯のぐらつきが気になる方

「口のにおいが気になる…」
「前より歯が動いてるような…?」
そんなお悩みも、SRPが改善の糸口になるかもしれません。

口臭の多くは、歯周病菌が出すガス(揮発性硫黄化合物)が原因です。
また、SRPによって炎症をおさえることで歯ぐきが引き締まり、グラつきの進行を抑える効果
も期待できます。


🦷「気になるけど放ってある」そんなサインを見逃さず、
一度歯科医院でSRPが必要かどうかチェックしてみましょう!

🦷国家資格が求められる理由

SRPは、歯ぐきの中にある見えない歯石や細菌を、的確かつ繊細に除去する処置です。
そのため、国家資格を持つ「歯科衛生士」しか施術できないと法律で定められています。

歯の構造や歯周組織の知識、器具の扱いなど、専門的な訓練を受けた歯科衛生士が行うことで、
✅効果的で
✅安全性が高く
✅歯ぐきを傷つけにくい
治療が可能になるのです。

🪛術者による技術差とは?

SRPは「誰がやっても同じ」というわけではありません。
実は、歯科衛生士ごとに経験・技術の差が出やすい処置でもあります。

  • 🔍細かい操作が得意な人は痛みが少なく、処置後も快適
  • 🎯探知力の高い人は、取り残しが少なく効果が出やすい
  • 💬説明や患者対応が丁寧だと、治療への不安も軽減される

患者さんとしては、信頼できる歯科衛生士が在籍している医院を選ぶことが、治療の満足度に直結します。

📚信頼できる歯科医院の選び方

「どこでSRPを受けても同じ?」――実は、医院選びもとても重要です。

✅選ぶポイント

  • 歯周病に力を入れている医院かどうか
  • 歯科衛生士の担当制で継続管理してくれるか
  • 治療前後にきちんと説明してくれるか
  • 拡大鏡や最新機器を用いた精密な処置を行っているか

🌸口コミや医院のHPをチェックして、「予防歯科」や「歯周病専門」といったキーワードがあるかも確認しましょう。
地域密着型で患者との信頼関係を大切にしている医院は、SRPにも真摯に取り組んでいる可能性が高いです。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)は、
歯周病の初期〜中等度の段階に特に効果的な治療法です。

歯ぐきの奥深くに潜んだ歯石や細菌をしっかり除去することで、
炎症をおさえ、歯を守るための土台を整えることができます。

🦷SRPは歯周病治療の基本であり、
今ある症状を改善するだけでなく、
これからの健康な歯を守るためにも欠かせないステップです。


💡治療後も油断せず、
定期的なメンテナンスと丁寧なセルフケアを続けることで、
「一生自分の歯で噛む未来」につながります✨

「ちょっと気になるかも…」と思ったら、
お気軽に歯科医院でご相談くださいね😊

🦷江戸川区篠崎で歯周病治療をご検討の方へ

当院では、ルートプレーニングにおいて歯の削りすぎを防ぐため、ハンドスケーラーでの処置は最小限にとどめ、歯にやさしい超音波スケーラーを中心に使用しています。

患者様の大切な歯を守るために、できるだけ歯根を削らない精密で低侵襲な治療を心がけています。
歯ぐきの腫れや出血、口臭などが気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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