歯石取りの頻度

江戸川区篠崎駅南口徒歩1分のふかさわ歯科クリニック篠崎では歯石取りは歯周病治療の中で最重要と位置づけています。今回は歯石取りの目的や頻度・回数、リスクなどについて解説します。

当院では保険診療内で可能な限り効率よく負担が少ない歯石除去に努めています。また、痛みにも配慮しています。歯石取りをご検討されている方はぜひ当院までご相談ください。

歯石の付きやすさは個人差が

歯石の付きやすさは個人差が

一生に一度も歯石取りが不要な方も

歯石の付き方には個人差があります。極端な例では、一生に一度も歯石取りをしなくても済む方もいれば、歯石取りをした1ヶ月後に柔らかい白い歯石が付き始める方もいます。

歯石が付きやすい人と付きにくい人がいる理由は、様々な要因がありますが、最も大きな理由は、唾液の組成や性状で、特に唾液に含まれるリン酸カルシウムの量によるものと思われます。

また、歯石が出来る原因として歯垢(プラーク)の存在が挙げられます。適切なブラッシングが行われればプラーク(歯垢)の沈着はほとんど起こりません。歯石の出来始めは、歯垢(プラーク)を核にして作られるため、清潔な口腔環境では、あまり歯石は付かないと言ってよいでしょう。

一方、歯磨きがうまく出来ずに、不衛生な状態が続くと、一度歯石を除去しても、1ヶ月~3ヶ月で再び歯石の沈着が起こります。

軽度歯周病の歯石取りの頻度

軽度歯周病では3ヶ月に一度が理想

軽度歯周病では歯周ポケットが4mm~6mm ほど残存している歯が多少あるのが普通です。

定期的な歯石取りは、歯石除去だけを目的にしたものではありません。歯周ポケット内の細菌の増殖を防ぐ目的もあります。

従って軽度歯周病では3ヶ月に一度の間隔でメンテナンスが必要と言えます。

軽度歯周病の歯石取り
軽度歯周病の歯石取り

重度歯周病の歯石取りの頻度

重度歯周病では1ヶ月に1回必要になることも

糖尿病などの全身的疾患を有している患者で歯周病の症状に大きくは影響を与える場合、歯周外科手術を行った後、若年者に多い侵襲性歯周炎の場合、妊娠中に起こる妊娠性歯肉炎などは、歯周病が重症化しやすいため、1ヶ月に1回のメンテナンス(歯石除去、エアフロー、PMTC 等)が必要になることがあります。

従って、歯石取りの頻度はそれぞれの患者さんでかなりの開きがあるため、当歯科の歯科医師または歯科衛生士にご相談下さい。一般的に1~3ヶ月の間隔で行うのが標準的です。

重度歯周病の縁下歯石 (黒い歯石)
重度歯周病の縁下歯石 (黒い歯石)

歯石取りの流れ

STEP

01

歯肉縁上歯石(白い歯石)除去

歯肉縁上歯石は柔らかく白っぽく見えます。また、それほど歯に強く付いていないので、簡単に除去することが出来ます。

歯石は、目に見える所だけに付いているわけではありません。深い歯周ポケットがあると目に見えない歯茎の中に固くこびり付いています。この様な時には、歯茎は炎症を起こし赤く腫脹します。

歯石除去のステップは、まず見える部分の歯石(歯肉縁上歯石)から取っていきます。すると歯茎の炎症は徐々に減少し、歯肉の腫れも治まってきます。

歯茎が引き締まると歯茎の中に隠れていた黒い歯石が現れてきます。歯石取りをした数日後に歯石の取り残しが見つかるのはこれが原因です。

歯肉縁上歯石は比較的柔らかく、取りやすいので超音波スケーラーを用いて行うのが普通です。

仮に、歯肉縁下歯石も同時に取ろうとすると、歯茎からの出血が大量に起こり、術野は血まみれで歯石を目視出来なくなります。

おそらく、相当の取り残しが出来るものと思われます。また、炎症が起こっている歯肉は歯石取りで強い痛みが起こることもあります。

こういった理由で、歯肉縁上歯石(白い歯石)除去と歯肉縁下歯石(黒い歯石)除去は別々の日に行う必要があるのです。

歯肉縁上歯石(白い歯石)除去
歯肉縁上歯石(白い歯石)除去

STEP

02

歯肉縁下歯石(黒い歯石)除去

歯肉縁下歯石は、歯茎の中にある歯石で、色は黒く硬くて歯根に強固にこびり付いています。そのため簡単には除去出来ません。

歯肉縁上歯石を取ると歯茎の炎症が治まります。歯茎が引き締まったら歯肉縁下歯石の除去に入ります。歯肉縁下歯石も超音波スケーラーを使うのが普通です。

歯肉縁下歯石は目視出来ません。そのため、超音波スケーラーの先端に意識を集中させて歯石を取っていきます。当然、歯石の取り残しは起こりえます。歯石が存在するのは歯茎の中なので、麻酔無しでは痛みが起こることがあります。

歯周ポケットが深く、重度の歯周病の場合、完全に縁下歯石を取るためには次のフラップ手術が必要となります。

歯肉縁下歯石(黒い歯石)除去
歯肉縁下歯石(黒い歯石)除去

STEP

03

フラップ手術+歯周組織再生療法

イラストの様に中等度歯周病まで進行すると歯槽骨の破壊が起こります。しかし、歯石取りを行って炎症は無くなり症状が安定した状態になりますが、失った歯槽骨は再生されません。

そこで、歯肉縁下歯石の除去が完了した後、フラップ手術にバイオ・リジェネレーション法(歯周組織再生療法)を追加して行う歯周外科を行えば、歯槽骨や歯根膜などの歯周組織の再生が可能です。

フラップ手術+歯周組織再生療法
フラップ手術+歯周組織再生療法

歯石取りの回数は少ないほど良い

歯石除去後の歯周病菌の再感染のリスク

歯石除去後の歯周病菌の再感染のリスク

歯肉縁下歯石を除去すると歯周ポケット内の細菌の量が急激に減少します。

しかし、歯肉縁下歯石の除去を複数回に分けると、せっかく歯石取りを済ませた箇所に再感染のリスクが高まります。

つまり、イラストの様に左右を分けてとった場合、日にちが経過すると歯周病菌がすでに取った側に再感染してしまうリスクがあるためです。

理想的な歯石取りの回数

歯肉縁上歯石(白い歯石)

歯石の付着状況によりますが、歯肉縁上歯石(白い歯石)の除去は1日で終わらせるのが理想的です。大量に付着している場合には、概ね上顎1回、下顎1回の計2回に分けて取ります。

歯肉縁下歯石(黒い歯石)

歯周ポケットの深さや黒い歯石の付着状況にもよりますが、歯石取りの初回前提で、1日で歯肉縁下歯石を取りきるためには2~3時間以上の治療時間が必要となる場合があります。従って、現実的とは言えません。

保険制度の制約

歯石を取るのに「何回も通わされた」と不満に感じる患者さんがいらっしゃいますが、殆どの場合、保険制度上の制約が理由です。

残念ながら理想的な治療を行うには自費診療で行うしかありません。

歯石取りの保険診療のルール

歯周組織検査⇒歯肉縁上のスケーリング(歯石取り)⇒歯周組織検査⇒歯肉縁下(黒い歯石)の除去⇒歯周組織検査⇒歯周外科手術⇒定期的なメンテナンスなどと順番に行う必要があります。(制度はさらに複雑で、説明が困難です。)

この様な流れで行う必要があり、どれか一つを省くとルール違反になります。

従って、「歯石だけを取って下さい。」という要望には保険診療では答えることが出来ません。自費診療の扱いとなります。

歯石取りの保険診療の費用

歯石除去とSRP(ルートプレーニング)は保険適用(自己負担3割の場合の治療費)です。

歯周基本治療内容費用(保険点数)
歯石除去歯肉縁上の歯石除去1/3顎ごとに68点、
同日に1/3顎を増すごとに+38点
SRP歯肉縁下(歯周ポケット)の歯石除去1歯単位
前歯:60点
小臼歯:64点
大臼歯:72点

保険制度の補足

歯石除去は、1口腔を6ブロックに分割し算定します。歯周ポケット内のSRP(ルートトレーニング)を行う時には1歯単位の費用が掛かります。

また、保険制度では事前に歯周基本検査または歯周精密検査を行わなければ歯石除去を行うことが出来ない決まりになっています。従って、歯石取りだけの治療を希望しても不可です。また、歯周病、歯肉炎の病名が付かなければ保険診療で歯石を取ることは出来ません。つまり、美容目的での歯石除去ということになり自費扱いになります。

その他各種指導料、管理料、初診料、再診療などが加算されます。また、歯周組織の破壊の程度を診断するためにレントゲン撮影が必要なこともあります。

歯周治療の保険制度は極めて複雑で、1回の治療費が「何円」と特定することは困難ですが、例えば、初診時の自己負担3割なら3500円程度が標準的です。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、患者様の大切な歯を1本でも延命するため、軽度歯周病から重度歯周病に至るまで様々な対策を行い、歯周病予防をはじめ、早期発見・早期治療で症状の改善・維持を行い、抜歯回避に努めております。

江戸川区篠崎で歯石除去をご希望の方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】歯石の痛くない取り方

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
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メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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