「歯ぐきが腫れて膿が出る」「治療を受けても、また同じところが腫れてくる」「歯ぐきに黄色や白色の小さなできものがある」

このような症状が続くと、「なぜ治らないのだろう」「このまま治療を続けて大丈夫なのだろうか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

歯ぐきの腫れや膿は、歯周病だけでなく、歯の根の先に起こった感染や歯根の破折など、さまざまな原因で生じます。膿を出したり抗菌薬を服用したりして一時的に症状が改善しても、原因が残っていれば再発することがあります。

今回は、実際に寄せられたご相談をもとに、歯ぐきの腫れや膿を繰り返す原因、必要な検査、治療法について解説します。

45歳の女性から、「右上の奥歯付近の歯ぐきが腫れ、膿が繰り返し出る」というご相談です。

最初は歯ぐきにズキズキとした強い痛みがあり、歯科医院を受診。レントゲン検査や消毒、歯石除去を受け、抗菌薬と鎮痛薬が処方されました。

その後も通院を続けましたが、歯ぐきの腫れや膿が繰り返し、切開して膿を出す処置も受けたとのことです。しかし、再び歯ぐきに黄色い小さなできものが現れています。

治療について十分な説明を受けていないことや、処置の際に強い痛みを感じたことから、このまま同じ歯科医院に通院すべきか迷っているというご相談です。

歯ぐきの腫れや膿はなぜ起こるの?

歯ぐきの腫れや膿は、主に細菌感染によって炎症が起こり、組織内に膿がたまることで生じます。

ただし、「歯ぐきから膿が出ている」という症状だけで原因を特定することはできません。

主に次のような病気が考えられます。

  • 歯周病による歯周膿瘍
  • 歯の根の先に炎症が起こる根尖性歯周炎
  • 歯根破折や歯の亀裂
  • 親知らず周囲の炎症(智歯周囲炎)
  • 歯と歯ぐきの間に入り込んだ異物による炎症

大切なのは、「どこから感染が起きているのか」を診断することです。

膿が排出されると腫れや痛みが軽くなることがありますが、感染の原因そのものが解決したとは限りません。

歯周病が進行して歯周ポケットが深くなると、その内部で細菌が増殖し、膿がたまることがあります。これを歯周膿瘍といいます。

歯ぐきが急に腫れたり、噛んだときに痛みを感じたり、歯ぐきを押すと膿が出たりすることがあります。

この場合には、膿を排出するだけでなく、歯周ポケット内の歯石や細菌などを除去し、歯周病そのものを治療していくことが重要です。

もう一つ考えられるのが、歯の根の中から起こる感染です。

過去に大きな虫歯の治療を受けた歯や、神経が壊死した歯、根管治療を受けた歯などでは、根管内で細菌感染が起こり、歯根の先端周囲に炎症が生じることがあります。

これを根尖性歯周炎といいます。

慢性化すると強い痛みがないこともありますが、歯ぐきに膿の出口ができる場合があります。

このようなケースでは、必要に応じて根管治療(歯の根の治療)や再根管治療などを検討します。

相談内容にある「歯ぐきに黄色い小さなものがポツッとできる」という症状は、感染によってたまった膿が外へ排出される通り道である**瘻孔(ろうこう/サイナストラクト)**の可能性があります。

一般には「フィステル」と呼ばれることもあります。

歯ぐきに白色や黄色のニキビのようなできものが現れ、膨らんだり小さくなったりすることがあります。

ただし、見た目だけでフィステルと判断することはできません。

原因となっている歯を特定するためには、口腔内診査やレントゲン検査などが必要です。

膿がたまって強く腫れている場合には、切開などによって膿を排出する排膿処置を行うことがあります。

切開後に再び腫れることはある?

膿を排出することで内部の圧力が下がり、痛みや腫れが軽減することがあります。

しかし、排膿はあくまで急性症状を改善するための処置の一つです。

たとえば原因が、

歯の根の感染であれば根管治療、歯周病であれば歯周治療

など、原因に応じた治療が必要になります。

そのため、切開後に再び腫れたり膿が出たりしたからといって、必ずしも切開処置そのものに問題があったとは限りません。

重要なのは、なぜ膿がたまったのかを診断し、感染源に対する治療を行うことです。

歯ぐきの腫れに対して洗浄や消毒を行うことはありますが、感染源の場所によっては、それだけで根本的な改善が得られない場合があります。

たとえば歯の根管内に感染がある場合、歯ぐきの表面を消毒しても根管内の感染源を取り除くことはできません。

また、深い歯周ポケットの内部に原因がある場合には、歯石やプラークなどを除去する歯周治療が必要になります。

症状を繰り返している場合には、単に腫れている部分を見るだけではなく、歯・歯ぐき・歯根・顎の骨まで含めて原因を調べることが大切です。

歯ぐきの腫れや膿を繰り返している場合には、症状に応じて次のような検査を行います。

歯ぐき・歯周ポケットの検査

歯周ポケットの深さや出血、排膿、歯の動揺などを確認し、歯周病が関係しているかを調べます。

歯の神経の検査

必要に応じて温度刺激や電気刺激などを用い、歯髄(歯の神経)が正常に反応するか確認します。

レントゲン検査

歯根の先端周囲の骨の状態、歯周病による骨吸収、過去の根管治療の状態などを確認します。

CT検査

通常のレントゲンだけでは原因を判断しにくい場合には、必要に応じて歯科用CTで立体的に確認することがあります。

ただし、すべての患者さんにCT検査が必要なわけではありません。

治療を繰り返しても特定の場所から膿が出続ける場合には、歯根破折が隠れていることもあります。

特に神経を取った歯では、歯根に亀裂や破折が生じることがあります。

歯根破折では、破折した部分から細菌が侵入して炎症を起こすため、根管治療や歯周病治療だけでは改善しないケースがあります。

ただし、歯根破折の診断が難しい場合もあるため、症状や歯周ポケット、レントゲン・CT画像などを総合して判断します。

歯ぐきの切開や排膿処置を行う場合には、症状や処置内容に応じて局所麻酔を使用します。

ただし、炎症が強い部位では局所麻酔が効きにくいことがあります。また、膿の出口を広げるなど処置の内容によって対応が異なることもあります。

いずれにしても、患者さんが強い痛みや不安を感じている場合には、どのような処置を行うのか、なぜその処置が必要なのかについて説明を受けることが大切です。

痛みに対する不安が強い場合は、処置前に担当医へ伝えておきましょう。

急性の感染によって腫れが広がっている場合などには、状態に応じて抗菌薬が処方されることがあります。

ただし、抗菌薬を服用するだけで感染源そのものがなくなるとは限りません。

たとえば根管内に感染がある場合には根管治療、歯周ポケットに原因がある場合には歯周治療などが必要になります。

抗菌薬は自己判断で中断したり、以前処方された薬を残しておいて別の機会に服用したりせず、歯科医師の指示に従って使用してください。

症状が改善しないからといって、すぐに転院した方がよいとは限りません。

歯の根や歯周組織の感染は、原因によっては診断や治療に時間がかかる場合があります。

まずは担当医に、

  • 現在どのような診断なのか
  • どの歯が原因と考えられるのか
  • なぜ膿が繰り返し出ているのか
  • 今後どのような治療を予定しているのか

を確認してみるとよいでしょう。

一方で、十分な説明を受けても不安が解消されない場合や、診断・治療方針について別の歯科医師の意見も聞きたい場合には、セカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つです。

現在撮影しているレントゲン画像や治療内容などの情報があれば、診断の参考になる場合があります。

強い腫れや痛みがあるときや、切開・抜歯などの外科処置を受けた直後は、飲酒を控えるよう指示されることがあります。

アルコールによって血流が増えることで、処置後の出血や腫れなどに影響する可能性があるためです。

また、服用している薬によってはアルコールとの併用に注意が必要な場合があります。

抗菌薬や鎮痛薬などを服用している場合は、薬の種類によって注意点が異なるため、処方した医師・歯科医師または薬剤師の指示を確認してください。

歯ぐきに小さな膿の出口があるだけで、ほとんど痛みを感じないこともあります。

しかし、痛みがないからといって感染がなくなったとは限りません。

特に、

  • 歯ぐきの腫れを繰り返す
  • 同じ場所から何度も膿が出る
  • 歯ぐきに白色・黄色のできものがある
  • 噛むと歯が痛む
  • 強い痛みや腫れが続く

といった症状がある場合には、歯科医院で原因を調べてもらいましょう。

さらに、顔まで大きく腫れる、発熱や強い倦怠感がある、口が開きにくい、飲み込みにくい、呼吸しにくいなどの症状がある場合には、感染が周囲へ広がっている可能性があるため、早めの医療機関受診が必要です。

歯ぐきの腫れや膿には、歯周病、歯の根の感染、歯根破折など、さまざまな原因があります。

膿を排出したり薬を服用したりすることで一時的に症状が軽くなることはありますが、感染源が残っていると再び腫れや膿が生じる場合があります。

特に、**「何度も同じところが腫れる」「切開したのにまた膿が出る」「歯ぐきに黄色や白色のできものが繰り返し現れる」**という場合には、原因を詳しく調べることが重要です。

歯周ポケットの検査やレントゲン検査などを行い、必要に応じて根管治療や歯周病治療など、原因に合わせた治療を進めます。

症状を繰り返している場合はそのままにせず、現在の診断と今後の治療方針について担当の歯科医師に確認しましょう。

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歯や歯ぐきの状態を詳しく確認し、繰り返す症状の原因に合わせた治療をご提案します。

「何度も腫れて困っている」「膿がなかなか治らない」「抜歯と言われたが他の方法がないか相談したい」という方は、お早めにご相談ください。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

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日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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