- 1. 自分でできる歯石取り:効果的な方法とその限界
- 1.1. 歯垢(プラーク)と歯石の違いを知ろう
- 1.2. 糸ようじや歯ブラシで歯石が取れるか?
- 1.3. 通販で買ったスケーラーで黒い歯石が取れる?
- 2. 白い歯石と黒い歯石の違いを知ろう:口腔内の警告サイン
- 3. 黒い歯石と白い歯石の違いとは
- 4. 歯石の出来方
- 5. 白い歯石の見た目
- 6. 黒い歯石の見た目
- 7. 黒い歯石と白い歯石の比較
- 7.1. 黒い歯石と白い歯石の特徴
- 8. 黒い歯石は口臭の原因
- 9. 歯石が付いたら直ぐに歯医者へ
- 10. 歯石が付かないようにする方法
- 10.1. 歯石の原料の歯垢を残さないブラッシング法をマスターする
- 11. 歯石除去の費用
- 11.1. 歯石除去は保険適用です
- 11.2. 保険で歯石除去をする時の注意点
- 12. 江戸川区篠崎で歯石取りをご検討の方へ
- 13. 【動画】歯石は自分で取れる?
- 14. 筆者・院長
自分でできる歯石取り:効果的な方法とその限界
歯垢(プラーク)と歯石の違いを知ろう
歯垢(プラーク)が歯に付く
歯ブラシをしないと歯の表面に白っぽいネバネバしたものが付きます。これが歯垢(プラーク)です。
歯垢(プラーク)は歯磨きで簡単に落ちます。
歯垢が白い歯石になる
歯石は歯垢(プラーク)が石灰化され歯にこびりついたもので、歯ブラシなのでは簡単に除去することが出来ないものです。
白い歯石が黒い歯石になる
歯周ポケットの中で黒い歯石が出来る。
糸ようじや歯ブラシで歯石が取れるか?
白い歯石は歯ブラシで取れる!
硬い歯ブラシや糸ようじ(デンタルフロス)、歯間ブラシ、電動歯ブラシを適切に使えば、出来たての白い歯石は柔らかく、まだ歯に固くこびりついていないので取ることが出来ます。
ただし、白い歯石であっても古くなると歯に強く付着するため歯ブラシなどでは取れません。
ポイントは歯石が固くなり歯にこびりつく前に取ってしまうことです。
黒い歯石を歯ブラシで取る事は出来る?
結論から言うとほぼ不可能です。
ただし、前述したように白い歯石の付き始め時は、硬い歯ブラシや糸ようじを使えば取れることもあります。取れると言っても当然取り残しがあるでしょう。
あくまでも、歯ブラシなどで自分で取る事が出来るのは歯茎より上の白い歯石で、決して黒い歯石の様に歯周ポケットの歯根に強固に付着した歯石を取ることができません。
ただし、歯茎が引き締まって下がり、歯周ポケット内の黒い歯石が表面に露出してくればデンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシなどでぽろっと取れることもあります。
通販で買ったスケーラーで黒い歯石が取れる?
スケーラーを使い自分で黒い歯石を取るのは無理
ネット通販でスケーラーを購入する事が可能です。それを使って自分で歯石を取ることは可能でしょうか?
残念ながら、歯科医師である私でさえも、自分で歯石を完全に取る自信はありません。
口腔内の状況がどうなっているかはっきりと理解している歯科医師でさえも自分で取ることは無理なのですから、一般の方が出来るはずがありません。
ただし、身内に歯科衛生士がいれば、取ってもらうことはできるでしょう。歯科衛生士は歯石を取ること(スケーリング)にかけては熟練をしているのですから!
スケーラーを使い自分で歯石を取るリスク
鏡を使って歯石を取ることになると思いますが、黒い歯石の多くは歯の裏側や歯の間の歯周ポケット内に付いています。それを歯茎を傷付けずにしっかりと取りきることは、ほぼ不可能と言わざるを得ません
また、奥歯になると鏡を見ても、暗くてどこに歯石が付いているかよく分りません。当てずっぽうにスケーラーを動かしても、適切に歯石を取ることはできないでしょう。
自分で歯石を取るリスクは取り残しを大量に発生させることで、歯周病の重症化を助長しかねません。
白い歯石と黒い歯石の違いを知ろう:口腔内の警告サイン
黒い歯石と白い歯石が付着
鏡を持って歯石の色を確認してみましょう。もし、黒い歯石が付いていたら危険サインです!
また、糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシを使った時やリステリンなどでうがいをした時に、歯の裏から黒い歯石が自然と取れてきたら、歯周病はかなり危険な状態かもしれません。
歯石が黒くなる原因は血液が混じるためで、これは歯周病が重度に進行していることを示している指標の一つだからです。
また、黒い歯石は、歯周ポケット内で出来るため、深い歯周ポケットが出来ている可能性が高いと言えます。
写真は下の前歯には白い歯石が沢山付いています。一方、上の前歯には黒い歯石が見えています。
本来、黒い歯石は歯茎の中で出来るものですが、歯茎が下がり表面に出てきたものか、表面にあった白い歯石に血液が混じって黒くなったものです。
黒い歯石と白い歯石の違いとは
歯肉縁下(歯茎の中)の歯石は黒い
歯肉縁下の歯石は黒い色をしています。その理由は、歯肉縁下内の歯周ポケットに生息する嫌気性菌(歯周病菌)の出す酵素の影響と歯周病による炎症で出血した血液が混じることが関係していると言われています。
そのため、黒い歯石は歯磨きがしやすい歯の表面に付くことは少なく、歯の間や歯の裏側などに顕著に認められることが多いです。
黒い歯石がたくさん付着している人は、歯周病特有の口臭が顕著に表れます。ただし、歯周病の方は自分の口臭を自覚することができません。
歯肉縁上(歯茎の外)の歯石は白い
歯茎より上の部分の歯に付着する歯石は、白色をしています。この歯石のことを歯肉縁上歯石と呼んでいます。歯周ポケットがなくても作られ、放置すると歯肉炎を起こします。
歯石の出来方
白い歯石の出来方
歯垢(プラーク)の取り残しがあると、それを核にして唾液中のカルシュウムが取り込まれていきます。
徐々に歯石は成熟し、硬くなって歯面にこびり付いていきます。
白い歯石の出来始めの頃は、まだ柔らかく歯に強固に固着していないため、 歯ブラシや糸ようじなどで容易に取ることができます。
黒い歯石の出来方
白い歯石を放置すると歯周病菌など口腔内細菌の温床となります。白い歯石の中で、口腔内細菌が増殖され、歯茎に炎症が起こります。これが歯肉炎の状態です。
歯茎の炎症が進むと、次第に歯周ポケットは深くなります。歯周ポケット内で作られた歯石は血液を取り込み歯石の色は黒色に変化します。
白い歯石の見た目
① 白い歯石(歯肉縁上歯石)
下の前歯の裏側にべったりと付着した白い歯石です。
この場所に歯石が付きやすいのは、舌下腺と顎下腺が合わさった管の開口部があり、歯石の原料となる唾液中のリン酸やカルシュウムが大量に供給されるからであり、歯垢とまざり合わさって歯石が作られやすいからです。
このくらい大量に歯石が沈着すると歯ブラシや糸ようじ(デンタルフロス)、歯間ブラシなどで自然に取れることがあります。また、食事中に勝手にポロッと取れたりすることもありますが、一部の歯石が取れているだけです。
② 白い歯石(歯肉縁上歯石)
この写真も下顎の前歯にできた白い歯石です。 爪で引っ掻いただけでポロっと取れてきそうですね。
歯磨きの状態はあまり悪くありませんが、ここまで歯石が沈着すると歯周病が進行してしまいます。
歯石が沢山付きやすいもう一つの箇所は、上の奥歯のほっぺた側です。そこには耳下腺の開口部があるからです。
③ 白い歯石(歯肉縁上歯石)
この写真も下顎の前歯の裏側に付着した白い歯石です。
歯列が凸凹しているため歯磨きがしづらく歯石が付きやすい状態ですね。
④ 白い歯石(歯肉縁上歯石)
この写真は下顎の前歯の表側に付着した白い歯石です。
表側は比較的ブラッシングがしやすいのでこのように白い歯石が付くのは珍しいです。
黒い歯石の見た目
① 黒い歯石
下顎の前歯の表面に大量の黒い歯石の沈着が見られます。
このように本来ならば歯茎の中にできる黒い歯石ですが、歯茎が下がると表面に現れてきます。
この歯石を取るとさらに歯茎が下がることが予想されます。
歯磨き不足が原因で上顎の複数の歯に虫歯ができていますね。
② 黒い歯石
この写真は重度歯周病の症例です。歯茎の炎症により歯茎が丸く腫れていますね。
歯茎の一部分が裂開を起こし、黒い歯石が歯の表面に現れてきています。
レントゲンを撮ると歯槽骨の破壊がかなり進んでいる状態でした。
③ 黒い歯石
この写真は歯磨きの状態が大変良い症例です。
歯周ポケット内で形成された黒い歯石が歯茎が下がることで表面に現れたものです。
黒い歯石と白い歯石の比較
黒い歯石と白い歯石の特徴
黒い歯石 | 白い歯石 | |
---|---|---|
原料 | 血液+唾液中の(リン酸+カルシュウム) | 歯垢+唾液中の(リン酸+カルシュウム) |
口臭の強さ | 嫌気性菌が多いため強い | 好気性菌が多いため弱い |
歯石の出来る場所 | 歯周ポケット内の歯根にこびり付く | 歯茎の上や歯 |
歯石の出来やすい方 | 歯周病が進行し、歯周ポケットがある方 | 誰でも出来、子供でも |
歯石の取りやすさ | こびりついているので、なかなか取れない | 超音波スケーラーで簡単に取れる |
黒い歯石は口臭の原因
口臭リスクの増大
黒い歯石が付いている深い歯周ポケット内には、口臭の発生原因となる嫌気性菌が歯石を住処として大量に生息しています。
歯周病による口臭は、口腔内細菌が作るガス(揮発性硫黄化合物)が原因で起こるため、歯周病特有の臭いがします。
しかし、臭いが常時しているため、本人はほとんど気が付きません。歯周病がかなり進行して臭いが強烈になってから周囲の人から指摘されて自覚する様になります。
歯石が付いたら直ぐに歯医者へ
歯科医院で定期的な歯石除去
超音波スケーラーを使えば白い歯石ならすぐに取ることが出来ます。
白い歯石を放置すると歯肉に炎症が起こり、歯周ポケットが深くなっていきます。すると歯周ポケット内で黒い歯石が出来るわけです。
白い歯石の出来やすい方は3ヶ月に一度くらいの間隔で、歯科医院で歯石を取ってもらうことをお薦めします。
歯医者で黒い歯石を取る方法
黒い歯石は歯肉縁下の深い部分まで入り込んでいます。そのため、外から見ても、どこに歯石や付いているか分りません。
また、黒い歯石が付いていることで歯肉に炎症が起こって腫れた状態になっています。そこで、歯肉の炎症を引かせるために白い歯石を超音波スケーラーで先に取り、同時に歯磨きのやり方を練習します。すると歯肉が引き締まり黒い歯石が表面に姿を現します。
歯茎の表面に出てきた黒い歯石ならたとえこびり付いていたとしても、取りやすくなります。
また、歯周ポケット内にこびり付いた黒い歯石はハンドスケーラーを使い、取ることもあります。
歯石が付かないようにする方法
歯石の原料の歯垢を残さないブラッシング法をマスターする
磨き残しがあると歯垢は次第に古くなっていきます。古くなった歯垢と唾液中に含まれるリン酸やカルシュウムが結合して白い歯石となります。
白い歯石になる前に、デンタルフロス(糸ようじ)や歯ブラシ、歯間ブラシなどを使い、歯垢(プラーク)を完全に除去してしまうことが重要です。
デンタルフロス(糸ようじ)
歯の間には、磨き残しが多いのが普通です。そこから歯周病が発生し、深い歯周ポケットが形成されやすくなります。
歯ブラシでは歯の間の奥深い部分まで毛先が届かないので、歯垢を除去するにはデンタルフロス(糸ようじ)が有効です。
歯ブラシ
歯ブラシの選択は重要です。磨き残しがないようにするには毛先が細く弾力のあるものを選ぶと良いでしょう。
また、どうしてもうまく磨けない方には電動歯ブラシの使用も良いでしょう。
歯間ブラシ
歯間ブラシを選択する場合には、サイズが重要です。歯と歯の間のスペースには個人差があるからです。
歯茎が下がってスペースが大きい場合には、大きいサイズ(太いサイズ)を、健康な方は、小さいサイズ(細いサイズ)を選ぶと良いでしょう。
歯石除去の費用
歯石除去は保険適用です
歯石除去を保険でやる場合には、1回では出来ません。保険の制度上、復数回の来院が必要となります。歯石の付着状況、歯肉炎や歯周病の進行状況によって歯石除去の費用は異なります。
初診の場合、レントゲンや歯周組織検査などの費用が別途かかります。従って、軽度歯周病の場合には、トータルで数千円~、重度歯周病になると10,000円を超えることも。
ただし歯石は定期的に除去する必要があるので、その場合も状況によって治療費は多少変動します。
保険で歯石除去をする時の注意点
健康保険は病気に対して給付されるものです。従って、歯石除去だけを希望される場合には自費診療となります。
歯肉炎や歯周病の病名が付かなければ保険診療で歯石除去は出来ないということになります。従って、レントゲン撮影や歯周組織検査などの事前検査が必須となります。
江戸川区篠崎で歯石取りをご検討の方へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、患者様の大切な歯を1本でも延命するため、軽度歯周病から重度歯周病に至るまで様々な対策を行い、歯周病予防をはじめ、早期発見・早期治療で症状の改善・維持を行い、抜歯回避に努めております。
江戸川区篠崎で歯石取りをご希望の方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談下さい。
【動画】歯石は自分で取れる?
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。