
「原因不明の顎のだるさ、頭痛、肩こり…実は“歯の接触癖”が関係しているかもしれません」
TCH(歯牙接触癖)は、食いしばりのような強い力ではなく、日常生活の中で“軽く歯を当て続けてしまう”無意識の癖です。
多くの方が気づかないうちにこの癖を持ち、顎関節や筋肉にじわじわと負担をかけ続けています。本記事では、TCHが体に与える影響から、セルフチェック法、そして改善方法まで詳しく解説します。
顎関節症の原因に迫る:TCH(歯牙接触癖)のメカニズム
TCH(歯牙接触癖)とは
歯牙接触癖をTCH (Tooth Contacting Habit)といい、東京医科歯科大学で顎関節症の原因を追究する研究において見いだされた概念です。
食いしばりの様に強い力で噛みしめるのではなく、日中弱い力で常時上下の歯を接触させている状態を指しています。
安静位空隙のところで記述したようにリラックスした状態では上下の歯は僅かに浮いています。
しかし、TCHがある人では咬筋・側頭筋・胸鎖乳突筋など咬む筋肉が僅かではあるものの常に緊張した状態にあります。この状態が長く続くと、これらの筋肉は血流障害を起こし疲労してしまいます。
口腔周囲の筋肉の緊張が持続すると肩や首あるいは頭の筋肉の緊張に波及します。それが首や肩こり、頭痛の原因になるのです。
顎関節症の原因
東京医科歯科大学では顎関節症の原因を突き止めるべく、数百人に及ぶ顎関節症患者に対し膨大な質問を実施しました。統計学的処理をした結果、顎関節症の原因はTCHであると結論づけました。
現在、東京医科歯科大学で行っている顎関節症治療では従来行われていたようなスプリント治療や外科治療は一切行わず、開口訓練とTCH除去の2本立てで治療が進められています。
TCHの引き金
パソコンなどの作業で集中・緊張
現代人に多い集中や緊張がTCHの引き金になることもあります。
TCHが起こるタイミング
パソコンや携帯電話、楽器演奏、交通量の多い道や高速道路での運転など緊張や集中が必要な時にTCHが誘発される事が多いといえます。
一旦起こったTCHがそのまま継続され、習慣化されることが問題です。
口腔の緊張は、全身の緊張をリードすると考えても良いのです。
歯ぎしりとの関連性
このTCHが軽減されると夜間の歯ぎしりの減少にもつながる可能性も考えられることから、まずはTCHを防止する取り組みを行ってみましょう。
TCHの見分け方
STEP
背筋を真直ぐに伸ばす
背筋を真直ぐにして正面を向き、肩の力を抜き目を閉じます。
STEP
上下の歯を僅かに離す
唇は閉じたまま、奥歯に意識を向け上下の歯を僅かに離します。この状態で10秒間何の違和感もなく離し続けることができれば、あなたはTCHではありません。
一方、すぐに上下の歯が接触してしまったり、極めて強い違和感を覚えながら離し続けることができたとするならばTCHであるの可能性が高いと言えます。
TCHを改善するための簡単な習慣:家中に貼る「歯を離す」メモ
「歯を離す」と書いた紙を家中に貼る
TCH改善のため反応訓練
STEP
肩を思いっきり上げて首をすくめるようにします。
STEP
歯を食いしばって鼻から大きく息を吸います。
STEP
一気に口から息を吐きながら大きな声で「はぁ」といい言いながら、肩を落として大きく脱力します。
この一連の行動をとることによって上下の顎や顎関節だけでなく全身を緊張状態から解放させることが出来ると考えられています。そして、これを3ヶ月間ほど続けるとTCHが改善されると報告されています。
このやり方は東京医科歯科大学が試行錯誤の上、考え出した方法です。
江戸川区篠崎でTCH(歯牙接触癖)にお悩みの方へ

「顎がだるい」「歯が当たっている感じがする」「肩こりや頭痛がつらい」——その原因、TCHかもしれません。当院では、東京医科歯科大学の研究に基づいたTCH改善の行動療法を導入し、症状の根本改善をサポートしています。江戸川区篠崎でTCH・顎関節症・歯ぎしりのご相談なら、ぜひ当院へご相談ください。
【動画】差し歯やブリッジが取れた時の応急処置
筆者・院長

深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。