口腔がんについて知りましょう

口腔がんとは

口の中や唇に出来るすべての癌を口腔がんと呼んでいます。口腔がんの前兆である白板症(はくばんしょう)、紅板症(こうばんしょう)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)などの口腔潜在的悪性疾患(前癌病変)から癌に進展するものや前駆症状を伴わず、いきなり癌が発症するものがあります。

口腔癌の発生比率

日本人における口腔がんの発生比率は全癌の約1%~2%程度です。

口腔癌の発生場所ランキング

舌癌

日本では、舌癌が口腔がん全体の60%を占めています。

欧米では、唇や頬粘膜に発生するがんが多く、食生活やたばこなどの生活習慣の違いや人種的な遺伝的要素の違いではないかと考えられています。

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歯肉癌

歯肉癌は、歯周病との鑑別が難しく歯周病の治療を続けてもなかなか直らない場合は、歯肉癌を疑う必要があります。

歯肉癌は進行しないと見つけにくい特徴があります。

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口腔粘膜癌

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口底癌

4

口峡咽頭癌

5

唾液腺癌

6

顎骨癌

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口腔・咽頭癌の死亡率

口腔・咽頭癌は、患者数ばかりでなく、死亡者数、死亡率も男性が女性の約2倍以上と圧倒的に高くなっています。

口腔・咽頭癌の5年相対生存率は男性60.7 %、女性69.4 %で、女性の方が僅かに男性よりも生存率が高くなっています。また、以前は余りいなかった若い女性の口腔がん患者の増加が目立っています。

診断される数(2019年)23,671例(男性16,463例、女性7,208例)
死亡数(2020年)7,827人(男性5,547人、女性2,280人)
5年相対生存率(2009~2011年)63.5 %(男性60.7 %、女性69.4 %)
出典:国立がん研究センター

舌癌

舌癌の比率

口腔癌の60%を舌癌が占めています。

舌癌の出来る場所

イラストの様に舌癌の90%は舌縁(舌の側面)に出来ます。次いで舌の裏面や舌尖部にも発生します。

初期症状

舌癌の初期には痛みなどの自覚症状はほとんどありません。

ただし、舌を動かした時(食事中や会話中)などに舌の違和感や弱い疼痛を自覚することもあります。

原因

明確な原因は特定されていませんが、前がん病変(口腔潜在的悪性疾患)と呼ばれる白板症や紅板症との関連が指摘されています。

また、歯の尖った場所、虫歯によって出来た鋭利な場所、不適合な入れ歯が慢性的に舌を刺激することが誘因とも考えられています。

生活習慣として過度の飲酒、タバコ、ウイルス感染なども挙げられています。

検査

舌癌の検査は視診・触診でほぼ診断出来ます。確定診断は組織を取ってが必要です。当院では口腔癌検診行っております。江戸川区の方は無料(2年に1回)です。

舌癌の進行は猛烈に速い

舌癌は一旦癌化すると急激なスピードで大きくなる!

7月4日時点では白板症の様な前がん病変か口内炎の様にも見える白斑が、僅か24日後には表面が凸凹になり、はっきりと癌であると分るまでに大きくなりました。

その2週間後の8月12日にはさらに大きくなり、3センチほどになっています。

舌癌は「様子を見ましょう」が命取り

口腔粘膜が何らかの原因で癌になるまでには5年~10年とかなり長い時間が必要です。しかし、一旦癌になってしまうと、そのスピードは極めて早いのが特徴です。従って、”様子を見ましょう”ではだめなんです。

日頃から口の中を鏡で見るなりし、口腔粘膜の変化を観察していることも重要です。また、定期的に歯周病や虫歯のメンテナンスを歯科医院で受けていれば、歯科医によって異状を素早く発見出来る可能性が高まります。

歯肉癌

舌癌と歯肉癌の発見時のステージ

東京歯科大学の575名の口腔がん患者(舌癌、上下歯肉癌、頬粘膜癌、口底癌、硬口蓋癌、口唇癌)の中から舌癌と歯肉癌を比較したデータ
出典:東京歯科大学市川総合病院

歯肉癌の特徴

ステージ4で発見されることが多い

舌癌はステージ1で発見されることが多いのに対し、歯肉癌は、ステージ4になって発見されるケースが多いのが特徴です。

発見が遅れる理由

歯肉癌は、歯周病との鑑別が難しく、一般開業医が歯周病と診断して治療を進めても治らないので大学病院に紹介されるケースが多いためです。

口腔癌のステージ別5年生存率

口腔癌全体のステージごとの5年生存率

ステージ内容5年生存率(約)
ステージ1癌の径2cm以下、リンパ節転移なし80%
ステージ2癌の径2~4cm、リンパ節転移なし67%
ステージ3癌の径4cm以上、3cm以下のリンパ節転移が一つある53%
ステージ4癌が口腔周囲(筋肉、皮膚、上顎洞)に広がる、複数のリンパ節転移がある39%

※ 舌癌の5年生存率はステージ1:87%、ステージ2:70%、ステージ3:51%、ステージ4:42%

口腔がん検診

ふかさわ歯科クリニック篠崎では40歳以上の江戸川区民を対象に口腔がん検診を無料(検診のみ)で行なっております。

口腔がんは早期発見が大変重要です。仮に癌が見つかったとしても早急な対応によって悪化を防ぐことが可能となります。また、虫歯や歯周病のメンテナンスで来られる患者様には口腔癌検診も合わせ行っております。

舌癌や歯肉癌を早期発見するためにご活用ください。江戸川区篠崎周辺で、口腔がん検診をご希望の方は当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】舌癌や歯肉癌の初期症状を口内炎などと比較

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

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メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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