サリバテスト(唾液検査)とは

  • サリバテスト(唾液検査)とは唾液を採取してミュータンス菌やラクトバチラス菌などの虫歯菌数を検査する方法です。
  • 唾液の緩衝能や唾液の分泌量や質なども合わせて測定し総合的に虫歯リスクを判断します。

サリバテスト(唾液検査)を特にお薦めしたい方は、これから赤ちゃんを作りたいというご両親です。

箸やスプーンなどの共有で虫歯菌が赤ちゃんに感染することは、殆どの方が知っていますが、実践はなかなか難しいものです。

最低限の努力で最大の結果を出すには、出産の1年以上前からご両親が唾液検査を行い、虫歯リスクに基づいて対策を取ることが効率的です。

また、子供が3歳頃になったらサリバテストを行い、虫歯菌の感染の判定を行うのも有効と考えられます。

虫歯菌がいない子供の口腔内は、ご両親からの素晴らしいプレゼントだと思います。

ここでは、サリバテストの方法や虫歯予防の具体的な対策について解説します。

虫歯感受性を調べる唾液検査:サリバテスト

虫歯感受性の検査

サリバテストは虫歯の感受性を調べる検査です。主なものとして、唾液を採取し、その中に含まれるミュータンス菌やラクトバチラス菌などの数を調べます。

歯周病関連菌検査も唾液や歯垢(プラーク)を採取して行うPCR検査がありますが、保険は適用されず費用が高額になるため余り行われていないのが実情です。一般的にサリバテストと言えば虫歯感受性の検査を指しています。

虫歯の発症と進行についての研究が進み、虫歯にかかる危険度(カリエスリスク)には個人差があることが判りました。リスクを判定することで、一人一人に適した虫歯の対策を立てることができるのです。

サリバテストの手順と検査項目

1

ミュータンス菌数

ミュータンス菌は虫歯菌の代表的な細菌です。赤ちゃんの頃に感染し、一旦強く感染すると口腔内から排除することが極めて困難な細菌です。

パラフィンワックスを1分間、全顎で満遍なく咀嚼します。この時出た唾液は飲んでも吐き出しても構いません。その後、検査用のストリップスで舌に付着したミュータンス菌を付着させます。

糸ようじで取った歯垢(プラーク)を別のストリップスに塗り付けます。

検査用ストリップスを37℃に保たれた培養器に入れ、48時間培養し、ミュータンス菌のコロニーの量で判定します。

2

 ラクトバチラス菌数

ラクトバチラス菌は、ミュータンス菌に次いで虫歯の発生に関わる重要な細菌です。

ラクトバチラス菌用の培地に採取した唾液を万遍なくかけます。37℃に保たれた培養器に入れ、96時間培養を行い、ラクトバチラス菌ののコロニーの量で判定します。

3

唾液の緩衝能

唾液の緩衝能とは食事によって酸性に傾いたPHを中性に戻す働きです。先天的な要素が関わり、個人差が大きいのが特徴です。

唾液緩衝能用のストリップの上に採取した唾液をスポイトで取り1滴載せます。5分後に色の変化を確認します。

4

唾液の量と質

唾液は量が多いほど良く、質は、主に耳下腺から分泌される漿液性の唾液「さらさら唾液」と主に顎下腺から分泌され粘り気があ粘液性の唾液「ネバネバ唾液」に分類されます。「さらさら唾液」が多い方が洗浄作用や自浄作用が高いため良いとされています。

5分間パラフィンワックスを噛み続けてもらいます。その間に出た唾液をメートルグラスに吐き出し総量を計測します。

サリバテストを受ける時の注意事項

注意

  • 検査を受ける前1時間は、飲食や喫煙、歯磨きは避けてください。 
  • アルコールを含んだ洗口液でのうがいは、検査12時間前より控えてください。 
  • 運動すると唾液の分泌量が減りますので検査前の運動は避けてください。 
  • 他の疾患のためにお薬を飲んでいる方は、スタッフにお申し出ください。

サリバテストでわかる虫歯リスク:ミュータンス菌とラクトバチラス菌の評価

ミュータンス菌数とラクトバチラス菌数の判定

唾液を検体として培養し、ミュータンス菌数、ラクトバチラス菌数を測定し、4段階で評価します。

カリエスリスクレーダーチャート

歯の表面にペリクルが付着

虫歯リスクを可視化

カリエスリスクレーダーチャートは、カリエスリスクを八つの項目を使い評価します。レーダーチャートに可視化し、一目で分るようにしたものです

緑で囲まれた面積が小さければ小さいほどカリエスリスクが高いと判定されます。

虫歯になり易い条件や虫歯を防ぐ抵抗力などを、食事の回数、食習慣、予防のためのフッ素利用状況などを簡単なアンケートで調べます。

カリエスリスクの判定は、これらのアンケートと唾液検査の結果を総合して行います。

8個の評価項目

唾液の緩衝能前述。
ミュータンス菌の数前述。
ラクトバチラス菌の数前述。
1日の飲食の回数一日の飲食の回数が増えるほどカリエスリスクが高まります。
プラークの蓄積量プラークの蓄積量が多いほどカリエスリスクが高まります。
フッ素の使用状況フッ素入り歯磨き粉の使用や歯科でのフッ素塗布などでカリエスリスクが低下します。
虫歯の経験(DMFT)虫歯になった総本数で評価します。本数が多いほどカリエスリスクが高まります。
唾液の量と質前述。

食事の回数と臨界pH

食事の回数と臨界pH
食事の回数と臨界pH

食事の回数と臨界pHの関係

臨界pHとは歯質からカルシウムやリン酸が溶け出すレベルのpHのことです。

大人のエナメル質の臨界pHは約5.5です。

グラフの様に食事の回数が増えると臨界pHを下回る時間が増え、それに比例して虫歯が発生しやすくなると言えます。

臨界pHとは

臨界pHは、大人で十分に石灰化されたエナメル質ではpH5.5です。象牙質、セメント質、幼若永久歯(十分な石灰化が起こっていない6歳臼歯など)、乳歯などの場合では臨界pHは5.7~6.2程度です。

お口の中は食事後、口腔内の細菌が出す酸によって急激に酸性化し、歯の表面からカルシウムやリンが溶け出します。これを脱灰と言います。

しかし、30~40分経過すると、唾液の力によって酸が中和され、唾液中のカルシウムやリンが歯の表面に戻ります。これを再石灰化と言います。

フッ素やキシリトールを使うと再石灰化が促進されます。

サリバテストの費用

自費治療

保険適用外です。

項目価格(税抜き)
サリバテスト検査料 3,000円
カリエスリスクレーダーチャートを提示します。

サリバテストの検査結果をもとに虫歯予防法の提案

セルフケア

1

フッ素を使う

フッ素入り歯磨き粉やフッ素入りの洗口剤ミラノール顆粒やレノビーゴなどを使うことで、再石灰化を促進し、虫歯菌の増殖を抑えます。

2

 キシリトールを使う

キシリトールガムを噛んだり、キシリトール入りの歯磨き粉を使う。キシリトールはミュータンス菌の増殖を抑えます。

3

リカルデントを使う

リカルデント入りのガムを噛んだり、リカルデント入りのペースト(MIペースト)を使う。リカルデントは再石灰化を促進します。

4

次亜塩素酸水でうがいする

虫歯菌はバイオフィルムに守られて消毒薬や抗生物質などでは殺すことが出来ません。そこで、バイオフィルムを破壊する作用を持つポイックウォーター(次亜塩素酸水)を使用します。

プロフェッショナルケア

1

エアフローを行う

エアフローは、グリシンの微粒子を歯面に吹き付けることでバイオフィルムの破壊を行います。

2

 歯石取りを行う

歯石は、目に見える所だけに付いているわけではありません。深い歯周ポケットがあると目に見えない歯茎の中に固くこびり付いています。歯石取りを行い細菌の繁殖しづらい口腔環境を作ります。

3

3DSセラピーを行う

3DSとはデンタル・ドラッグ・デリバリー・システムの略で、歯ぴったりと合うマウスピースを作り、その中に高濃度のグルコン酸クロルヘキシジンを入れ殺菌するものです。

4

PMTCを行う

PMTCは歯面を清掃する専用の器具で歯科衛生士が行うものです。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、天然歯の保存にこだわります。まずは虫歯を自然治癒させることを目標とし、極力抜かない・削らない・痛みの少ない低侵襲な虫歯治療が基本です。

患者様一人ひとりの虫歯の進行程度をしっかり診査・診断し、症状にあった適切な治療法をご提案いたします。江戸川区篠崎で天然歯の保存にこだわった削らない自然治癒を目指す虫歯治療をご希望の方はぜひ、お気軽に当院までご相談下さい。

【動画】ステイン着色汚れをクリーニングするエアフロー

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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