フッ素で虫歯予防

  • フッ素はエナメル質の初期虫歯を再石灰化し自力で治せます。
  • 歯はミュータンス菌などの虫歯菌が作る酸で脱灰し、フッ素やキシリトールで再石灰化します。
  • 自宅ではフッ素入り歯磨き粉が有効です。

赤ちゃんから大人までのフッ素使用ガイド:年齢別の最適なケア

年齢別フッ素の使用法

赤ちゃん

フッ素スプレー・レノビーゴ

赤ちゃんが生後6ヶ月くらいになると前歯が生え出します。歯が生えれば、早速フッ素を使ってみましょう。この頃は吐き出すことが出来ないのでフッ素濃度100ppm のフッ素スプレーの液体歯磨きレノビーゴがお薦めです。

フッ素スプレー・レノビーゴ

子供

泡状フッ素入り歯磨き粉・チェックアップフォーム

少し成長して吐き出すことが出来るようになれば泡状の歯磨き粉・チェックアップフォームがお薦めです。

4~5歳頃になり、ぶくぶくうがいが出来るようになれば、フッ素洗口液のミラノール顆粒を併用しましょう。

泡状フッ素入り歯磨き粉・チェックアップフォーム

大人

フッ素入り歯磨き粉チェックアップ

15歳以上になればフッ素濃度1450ppm の歯磨き粉・チェックアップがお薦めです。

フッ素入り歯磨き粉・チェックアップ

フッ素が初期虫歯を再石灰化させる時間

フッ素が初期虫歯を再石灰化させる時間

歯磨き時間は5分以上

フッ素を効率よく初期虫歯に作用させて再石灰化を図るには、 フッ素濃度は高いほどよく、作用時間も長いほど良いとされています。

作用時間の具体的な目安は、可能な限りフッ素濃度を保ち5分間以上維持するというのが理想的です。

大人用の歯磨き粉には1450ppmのフッ素が入っています。これを有効活用するには歯磨きをした後、唾を吐き出す程度にして強くゆすがないのがポイントです。

フッ素入り歯磨き粉のもう一つの使い方として、ペーストを指に少しとって初期虫歯の部分に塗りつけ、そのまま放置するという方法もあります。

フッ素がもたらすエナメル質の強化と再石灰化

フッ素はエナメル質を強化

エナメル質の強化

低濃度フッ化物イオンが歯を強くする

フッ素は歯の表面にあるエナメル質の結晶・ハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムでできた歯や骨を構成する成分)をフルオアパタイトの結晶に変化させ、化学的に強化してエナメル質の酸に対する抵抗性を増加させます。

さらに最近の研究では、低濃度のフッ化物イオンが僅か1ppmでも口腔内に存在すると臨界PH5.5以下のPH5.0であっても著しく脱灰を抑制する事がわかっています。

つまり、低濃度のフッ化物イオンがエナメル質の表面及び内部に吸着し被覆することで水素イオン(ミュータンス菌などが作る酸)からエナメル質表面及び内部を防護し歯を強くしていると言えます。

※ 臨界PH5.5とは…これ以上pHが下がり酸性度が増すと歯が脱灰し虫歯になる境界のpH値です。

脱灰とは

歯からカルシウムやリンミネラルがイオンとして溶出すること。虫歯になることと言い換えることも出来ます。

低濃度フッ化物イオンが耐酸性を示す

フッ素は初期虫歯の再石灰化を促進

再石灰化

歯は酸で脱灰・フッ素で再石灰化

歯は常に酸で脱灰され、フッ素で再石灰化を繰り返しています。脱灰が強く起これば虫歯になります。

虫歯はエナメル質の主要な無機質であるハイドロキシアパタイトが脱灰と再石灰化を何度も繰り返しながら進行する病気です。

口腔内にフッ化物イオンが低濃度(最低濃度は0.03~0.5ppm 程度)で存在すると、この再石灰化が持続します。

しかし残念なことに、通常の生理的な唾液中のフッ化物イオン濃度は0.02ppm 未満であるため、積極的にフッ素の使用が必要となります。

初期虫歯なら再生可能

歯の再石灰化とは脱灰(虫歯)によって失われたミネラルが唾液中の過飽和状態のカルシュウムやリン、及びエナメル質内のミネラルによって回復する現象です。

従って、初期虫歯ならフッ素で健康な状態にエナメル質を再生させることが出来るということです。

フッ素は虫歯菌の活動を抑制

虫歯菌の活動抑制

ミュータンス菌の活動抑制

フッ化物の水溶液の中には抗菌作用を有するフッ化物イオンが発生しています。これにより、虫歯菌(ミュータンス菌)の活動が抑制されると考えられています。

高濃度のフッ素は毒性(歯に白色の斑点を生じさせたり、歯の形成に悪影響を与えるフッ素症、骨硬化症、甲状腺や腎臓などに影響が出る)があるので、低濃度のフッ素を使用することが肝要と思われます。

市販されている歯磨き粉等の商品は薬事法で1,500ppm以下の低濃度で用いることと決められていますから、用法を守って使用すれば安全です。

ミュータンス菌の活動抑制

歯科でのフッ素使用は安全:毒性の心配は無用

歯科で使用するフッ素量では毒性の心配なし

フッ素は自然界に存在する物質で、お茶の葉や海産物にも多く含まれています。フッ素が虫歯予防に使用されるようになったのは1940年代からです。

フッ素の毒性(急性中毒や慢性中毒)による副作用を心配する人がいますが、たとえ赤ちゃん・乳幼児や子供などの低年齢に対してのフッ素使用であっても、使用量を守れば全く問題ありません。

日本ではアメリカなどの先進諸国と比べて比較的フッ素の導入が遅れていると思われます。とは言うものの、最近ではフッ素入り歯磨き粉が全体の80%を超えるくらいまで普及してきています。

さらには2017年に歯磨き粉に配合出来るフッ素濃度の上限を1000ppmから1500ppmに引き上げる法改正がなされました。

フッ素の大量摂取で起こる副作用

急性中毒

下痢や嘔吐、悪心など。

フッ素症

歯のフッ素症は、生後6ヶ月~5、6歳の子供のエナメル質形成時期(顎骨内の歯胚に影響)に大量のフッ素を持続的に摂取すると起こる疾患です。症状は歯の表面に白色の斑点が出来たり、小さな穴が開いたりします。

さらに大量のフッ素摂取で骨硬化症、甲状腺や腎臓に障害が起こります。

ふかさわ歯科クリニック篠崎では、このように虫歯や歯周病を未然に防ぐ予防歯科に力を入れ、患者様ご自身の歯が一生持つように予防主体の歯科健診や定期的な歯のクリーニングを推奨しております。予防歯科は歯の寿命だけでなく病気の予防とも関係しています。江戸川区篠崎にて、フッ素の使い方を知りたい方は当院までお気軽にご相談下さい。

【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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