- 1. 【📹 46秒】大人同士のキスでも虫歯菌はうつる?その原因と対策
- 2. 虫歯は感染症なのか?
- 3. 虫歯に関係する主な細菌
- 3.1. ミュータンス菌
- 3.2. ラクトバチラス属
- 4. 虫歯に関係する細菌は人から人へ移る?
- 4.1. 赤ちゃんの口腔内細菌は成長とともに変化する
- 4.2. 「感染の窓」はどう考える?
- 5. 親から子どもへ口腔内細菌が移ることはある?
- 5.1. スプーンや箸の共有
- 5.2. 口移し
- 5.3. 飲み物の回し飲み
- 5.4. キス
- 6. 大人同士でも口腔内細菌は移る
- 7. 虫歯予防で重要なのは細菌を「うつさない」ことだけではない
- 8. 家族でできる虫歯予防
- 8.1. 家族全員で口腔ケアに取り組む
- 8.2. 食器の共有だけに神経質にならない
- 8.3. キシリトールを上手に活用する
- 8.4. フッ化物を利用する
- 8.5. 糖質を摂る「回数」に注意する
- 8.6. 定期的に歯科医院でチェックする
- 9. まとめ
- 9.1. 関連記事
- 10. 虫歯になりにくいお口を一緒につくりませんか?
- 11. 【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法
- 12. 筆者・院長
- 12.1. 深沢 一
- 12.1.1. メッセージ
【📹 46秒】大人同士のキスでも虫歯菌はうつる?その原因と対策
虫歯は感染症なのか?
虫歯(う蝕)の発症には、口の中に存在するさまざまな細菌が関わっています。しかし現在では、虫歯を単純に「特定の虫歯菌が人から人へ感染して起こる病気」と捉えるのではなく、口腔内細菌、糖質の摂取、唾液、歯の状態、フッ化物の利用など、複数の要因が関係して発症する多因子性の疾患として考えることが重要です。
虫歯に関係する細菌の一つとして知られているのが、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)です。
ミュータンス菌をはじめとする口腔内細菌が糖質を利用すると酸が産生されます。プラーク(歯垢)の中で酸性の状態が続くと、歯からカルシウムやリンなどのミネラルが失われる「脱灰」が進みます。
脱灰と、唾液などによってミネラルが戻る「再石灰化」のバランスが崩れ、脱灰が優位な状態が繰り返されることで虫歯が発生・進行します。
そのため、虫歯のなりやすさには、
- 口腔内細菌の構成や活動
- 糖質を含む飲食物を摂取する頻度
- 唾液の分泌量や緩衝能
- 歯磨きなどのセルフケア
- フッ化物の利用状況
- 歯並びや歯の形態
- 全身状態や服用薬などによる口腔乾燥
など、さまざまな要因が関係します。
虫歯に関係する主な細菌

ミュータンス菌
ミュータンス菌は、虫歯の発症に関係する代表的な細菌の一つです。
糖質から酸を産生するほか、歯の表面に形成されるバイオフィルムに関与する性質があります。
ただし、ミュータンス菌が口の中に存在するだけで虫歯になるわけではありません。
虫歯は特定の1種類の細菌だけによって起こるものではなく、糖質を頻繁に摂取するなどの環境によって、酸を産生・耐酸性を持つ細菌が優位になり、口腔内細菌叢のバランスが変化することが発症に関係すると考えられています。
ラクトバチラス属
ラクトバチラス菌も、う蝕との関連が知られている細菌群です。
酸性環境でも生育しやすく、特に進行したう蝕病変などで多く検出されることがあります。
従来は「ミュータンス菌が虫歯を作り、ラクトバチラス菌が虫歯を進行させる」と単純化して説明されることもありましたが、現在では、複数の細菌と口腔内環境の変化が相互に関係して、う蝕が発症・進行すると考えられています。
虫歯に関係する細菌は人から人へ移る?
口腔内細菌は、唾液などを介して人から人へ移ることがあります。
家族など身近な人との日常的な接触を通して、さまざまな細菌が乳幼児の口腔内に入り、成長とともにその子ども特有の口腔内細菌叢が形成されていきます。
赤ちゃんの口腔内細菌は成長とともに変化する
出生直後の赤ちゃんの口の中は、成人と同じような細菌叢が完成しているわけではありません。
成長や歯の萌出、食生活、家族との接触などに伴ってさまざまな細菌が定着し、口腔内細菌叢が形成されていきます。
ミュータンス菌についても、歯が生えてくることで定着しやすい環境が生まれます。
ただし、「赤ちゃんは虫歯菌をまったく持っていない」「親から感染して初めて虫歯菌を獲得する」と一律に説明するのは適切ではありません。
口腔内細菌の形成には、母親だけでなく家族や生活環境など、さまざまな要因が関係します。
「感染の窓」はどう考える?
かつては、乳歯が生えそろっていく時期にミュータンス菌が定着しやすいとして、**おおむね1歳半~3歳頃を「感染の窓(Window of Infectivity)」**と呼ぶ考え方が広く紹介されていました。
しかし、ミュータンス菌の獲得時期には個人差があり、特定の年齢だけに感染が起こるわけではありません。
そのため現在では、「この期間に虫歯菌をうつさなければ虫歯を防げる」と考えるのではなく、乳歯が生え始めた時期から、食生活、歯磨き、フッ化物の利用などを含めた継続的な虫歯予防を行うことが重要です。
親から子どもへ口腔内細菌が移ることはある?

家族間では、唾液を介して口腔内細菌が移る可能性があります。
スプーンや箸の共有
大人が使用したスプーンや箸を子どもと共有すると、唾液を介して口腔内細菌が移る可能性があります。
ただし、虫歯予防のために食器の共有を過度に避ける必要があるとは限りません。
日常生活では食器以外にもさまざまな経路で家族の細菌に接触するため、食器を分けることだけで虫歯を予防できるわけではありません。
口移し
大人が噛んだ食べ物を乳幼児に与えると、唾液を介して口腔内細菌が移る可能性があります。
衛生面なども考慮し、口移しで食べ物を与えることは避けたほうがよいでしょう。
飲み物の回し飲み
コップ、ペットボトル、ストローなどを共有すると、唾液を介して口腔内細菌が移る可能性があります。
ただし、これだけが虫歯の発症を決めるわけではありません。
キス
キスなど唾液を伴う接触によって、口腔内細菌が人から人へ移ることはあります。
しかし、虫歯予防を目的として親子のスキンシップまで過度に制限する必要はありません。
大切なのは細菌との接触を完全になくすことではなく、子どもの口の中を虫歯が発生・進行しにくい環境に整えることです。
大人同士でも口腔内細菌は移る

夫婦やパートナーなど、大人同士でも唾液を介して口腔内細菌が移ることがあります。
- キス
- 飲み物の共有
- 食べ物や食器の共有
などがその機会となります。
ただし、細菌が移ったことと、その人が虫歯になることは同じではありません。
成人ではすでに複雑な口腔内細菌叢が形成されており、虫歯の発症には食生活、唾液、フッ化物の使用、セルフケアなど多くの要因が関係します。
したがって、「虫歯のある人とキスをすると虫歯になる」と単純に考える必要はありません。
虫歯予防で重要なのは細菌を「うつさない」ことだけではない
虫歯に関係する細菌が口の中に存在していても、必ず虫歯になるわけではありません。
特に重要なのが、糖質を摂取する頻度と、歯の表面で脱灰が起こりやすい状態がどの程度続くかです。
例えば、
- 糖質を含む飲食物を頻繁に摂る
- 甘い飲み物を少量ずつ長時間飲む
- プラークが多く残っている
- フッ化物を十分に活用していない
- 唾液の分泌量が少ない
といった条件が重なると、虫歯のリスクが高くなる可能性があります。
「虫歯菌をもらわない」ことだけを目標にするのではなく、虫歯が発生・進行しにくい口腔環境をつくることが大切です。
家族でできる虫歯予防

家族全員で口腔ケアに取り組む
保護者を含め、家族全員が虫歯や歯周病の治療を受け、毎日のセルフケアを適切に行うことは、家族全体の口腔健康を守るうえで大切です。
特に子どもについては、乳歯が生え始めたら年齢や発達段階に応じた歯磨きを始め、必要に応じて保護者が仕上げ磨きを行います。
食器の共有だけに神経質にならない
乳幼児と食器や飲み物を共有すれば、唾液を介して細菌が移る可能性があります。
一方で、食器の共有を避けることだけを虫歯予防の中心にする必要はありません。
虫歯予防では、糖質の摂取頻度を整えること、フッ化物を利用すること、適切な歯磨きを行うことなどが重要です。
細菌を「絶対にうつさない」ことを目指して、親子の自然なコミュニケーションまで過度に制限しないようにしましょう。
キシリトールを上手に活用する
キシリトールは、砂糖(ショ糖)とは異なり、う蝕の原因となる酸を口腔内細菌が産生しにくい糖アルコールです。
キシリトールを使用したシュガーレスガムなどを、砂糖を含む菓子類の代わりとして利用することは、虫歯予防の選択肢の一つになります。
ただし、「キシリトールを摂ればミュータンス菌を減らせる」「保護者がキシリトールを摂取すれば子どもへの感染を防げる」と一律に説明するのは避けたほうがよいでしょう。
キシリトールだけに頼るのではなく、フッ化物の利用や食生活、歯磨きなどと組み合わせることが大切です。
フッ化物を利用する
フッ化物は虫歯予防に重要な役割を果たします。
フッ化物には、
- 歯の再石灰化を促進する
- 歯質を酸に溶けにくい状態にする
- プラーク中の細菌による酸産生に影響を与える
などの作用があります。
年齢に応じた濃度・使用量のフッ化物配合歯磨剤を使用し、必要に応じて歯科医院でのフッ化物塗布などを組み合わせます。
糖質を摂る「回数」に注意する
虫歯予防では、甘い物を完全に禁止する必要はありません。
重要なのは、糖質を含む飲食物を口にする頻度です。
お菓子や甘い飲み物を長時間にわたって少しずつ摂取すると、プラーク内が酸性になる機会が増え、歯の脱灰が進みやすくなります。
間食の時間をある程度決め、だらだらと飲食する習慣を避けることが虫歯予防につながります。
定期的に歯科医院でチェックする
虫歯は初期の段階では自覚症状がないことがあります。
歯科医院では、虫歯の有無だけでなく、
- プラークの付着状態
- 歯磨きの状態
- 食生活
- フッ化物の利用状況
- 唾液分泌に影響する要因
- 過去の虫歯の経験
などを確認し、一人ひとりの虫歯リスクに応じた予防方法を検討します。
歯科医院でのクリーニングは、歯磨きでは除去しにくいプラークや着色、歯石などを除去するために行われます。
なお、**歯石そのものを「虫歯菌の温床」と表現するのは適切ではありません。**歯石は表面にプラークが付着しやすく、特に歯周病との関連が重要です。
まとめ
虫歯の発症にはミュータンス菌をはじめとする口腔内細菌が関係しており、唾液を介して細菌が人から人へ移ることもあります。
しかし、虫歯を単純に「虫歯菌が感染して起こる病気」と考えるのは適切ではありません。
虫歯は、口腔内細菌、糖質の摂取、唾液、歯の状態、フッ化物の利用など、さまざまな要因が相互に関係して発症・進行する疾患です。
そのため、乳幼児期の虫歯予防でも、食器の共有や親子のスキンシップを過度に制限して「虫歯菌をうつさない」ことだけに神経質になる必要はありません。
大切なのは、
- フッ化物配合歯磨剤を適切に使用する
- 毎日の歯磨きを丁寧に行う
- 糖質を含む飲食物を摂る頻度に注意する
- だらだら食べ・だらだら飲みを避ける
- 年齢や虫歯リスクに応じて歯科医院でチェックを受ける
といった予防を継続することです。
家族全員で無理なく口腔ケアに取り組み、虫歯が発生・進行しにくい環境を整えていきましょう。
関連記事
虫歯になりにくいお口を一緒につくりませんか?

お子さまから大人まで、年齢や虫歯リスクに合わせた予防をサポートします。
「子どもを虫歯にしたくない」「家族みんなで健康な歯を守りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法
筆者・院長

深沢 一
Hajime FUKASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。





