インプラントの仕組みを解説:人工歯根と被せ物の構造
インプラントの仕組み
歯科インプラントは自分の歯と大変によく似た構造をしていて、人工歯根と人工歯とから構成されています。
人工歯根
人工歯根は身体になじむチタン製の素材などで作られています。歯槽骨にドリルで穴を開け埋入手術を行います。
人工歯(被せ物)
多くの場合、人工歯根と骨の結合を待って、インプラント本体の上に人工歯冠(ジルコニア製、セラミック製など)を装着し、かみ合わせを回復させる治療方法です。
インプラントと天然歯との違い
天然歯には歯根膜がある
イラストは、インプラント(フィクスチャー)が骨と完全に結合した状態を示しています。
一方、天然歯は歯根の周りに歯根膜があることを示しています。
天然歯の構造は歯冠部、歯根部からできています。 歯根部は骨の中に埋まっていて、歯根の周りに存在するセメント質から延び出すシャーピー繊維という結合組織によって骨と結合しています。その構造全体を歯根膜と呼んでいます。
歯根膜は50ミクロンほどの厚みがあり、歯根膜を構成するシャーピー繊維によって歯に加わった過剰な力を緩衝するクッションの作用を持っているだけでなく、感覚受容器(神経)が入っているため、噛んだ時、その食物に触れた瞬間に噛む力をコントロールする能力を有しています。
たとえば、食物の中に石が入っていた場合、石を咬んだ瞬間に噛むことを中止することが出来るのは歯根膜のお陰というわけです。
インプラントには歯根膜はない
インプラントは骨と完全に結合するので、天然歯にある歯根膜の様な構造物は存在しません。 そのため、人工歯根の噛む力は自分の歯とほとんど同じですが、感受性は1/10 程に低下します。
しかし、感受性の低さを顎骨自体が補っているという研究報告もなされています。
したがって、噛むことに対しては、さほどの不自由さを感じないのが普通です。
インプラント埋入の手順解説:歯茎切開から上部構造装着まで
ステップ
上顎1番の欠損部にインプラントを計画
欠損部の歯茎はやや陥没しています。 インプラントを埋入するだけの十分な骨があるか、少し足りないのではと思われる症例です。
ステップ
歯茎を切開しドリルで穴を開ける
浸潤麻酔下で歯茎を切開し骨面を露出させます。細いドリルから太いドリルへとサイズを上げていき、骨の中に所定の深さと径の穴を開けます。
正確、安全なインプラント手術を行うために医科用CTスキャンを撮影して、インプラント埋入部位、方向、深度などを決定し、サージカルステントを作製して行います。
ステップ
1次オペ インプラントを埋入
所定の深さまでインプラントを埋入しましたが、予想通り、一部分に骨が不足している所があります。(インプラント体のネジが切ってある部分が露出している。)
ステップ
CGF +人工骨で補填
インプラント体が露出している部位にCGF +人工骨を充填して補填しました。この処置で骨が形成されます。
歯茎を縫合したら埋入手術は終了です。 数ヶ月間放置してインプラント体と骨が結合するのを待ちます。
ステップ
2次オペ
インプラントを埋入して(下顎で3ヶ月以上、上顎で6ヶ月以上)ほど骨との結合(オッセオインテグレーションの確立)を待ち、2次手術を行います。
2次オペは浸潤麻酔下で歯肉を切開してインプラント体を露出させ、インプラントの支台部となるアバットメントを装着します。
アバットメントを装着したら歯型を取ります。
ステップ
上部構造(ジルコニアクラウン、メタルボンド)装着
人工歯(ジルコニア、メタルボンド、金属など)をセメントで装着するか、ネジ止めして完成です。
ネジが緩むことがあります。また、インプラントも歯周病になるため定期的(少なくとも、3ヶ月に一度)なメンテナンスが必要です。
インプラントの術前術後のレントゲン写真
術前レントゲン写真
歯がなくなり歯槽骨だけになっています。レントゲンでは歯槽骨の厚みまでは診断できません。
インプラント術後レントゲン写真
インプラントが骨と結合したので人工歯を装着した時のレントゲン写真です。インプラントの両隣の歯はセラミッククラウンでやり替えています。
江戸川区篠崎でインプラント手術をご希望の方へ
ふかさわ歯科クリニック篠崎では、このように患者様に出来るだけリスクの少ないインプラント治療をご提供するため、日本口腔インプラント学会指導医が治療を担当し、オペ環境や設備、術後のアフターケアやメンテナンス等にも力を入れております。江戸川区篠崎で安心・安全で精度の高いインプラント手術をご希望の方をご希望の際にはぜひ、当院までお気軽にご相談下さい。
【動画】奥歯を抜歯したまま放置すると?
筆者・院長
深沢 一
Hajime FULASAWA
- 登山
- ヨガ
メッセージ
日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。
私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。