目次

食事中や歯磨き中に、突然「歯が欠けた」と気づくと、不安になる方も多いのではないでしょうか。

歯が欠ける原因は、転倒や衝突などの外傷だけではありません。虫歯によって歯の内部が弱くなっていたり、歯ぎしり・食いしばりで強い力が繰り返しかかっていたりすると、普段の食事をきっかけに歯が欠けることがあります。

小さな欠けで痛みがなくても、歯の内部で虫歯や亀裂が進んでいる可能性があります。欠けた部分から細菌が入り、神経の炎症や感染につながることもあるため、自己判断で放置するのはおすすめできません。

この記事では、歯が欠けたときの応急処置、受診を急いだ方がよい症状、歯が欠ける原因、欠け方に応じた治療法について分かりやすく解説します。


歯が欠けたことに気づいたら、慌てずに次の点を確認してください。

  • 強い痛みやズキズキする痛みがある
  • 冷たい物や熱い物が強くしみる
  • 欠けた部分から出血している
  • 歯の内部に赤色やピンク色の部分が見える
  • 歯がぐらついている
  • 噛むと痛い
  • 顔や唇、歯ぐきにも傷がある
  • 転倒や衝突によって歯が欠けた
  • 欠けた歯の破片が見つかっている

強い痛みや出血、歯の動揺がある場合は、歯の神経や歯根、歯を支える骨まで損傷している可能性があります。できるだけ早く歯科医院へ連絡してください。

一方、痛みがなく、ごく小さく欠けただけに見える場合でも安心はできません。虫歯で歯の内部が空洞になり、薄く残った表面だけが割れた可能性もあります。

歯科医院を受診するまでの間は、欠けた歯に余計な刺激を与えないことが大切です。

口の中を軽くすすぐ

食べ物や汚れが付着している場合は、水またはぬるま湯で軽く口をすすぎます。

強いうがいや、欠けた部分を歯ブラシで何度もこする行為は避けてください。出血している場合は、清潔なガーゼを軽く当てて圧迫します。

欠けた部分を触らない

舌や指で何度も触ると、残っている歯がさらに欠けたり、細菌が入り込んだりする可能性があります。

鋭くとがった部分が舌や頬に当たる場合は、無理に削らず、歯科医院へ相談してください。

欠けた側で噛まない

受診するまでは、欠けた歯の反対側で噛みましょう。

硬い物や粘着性の強い物は避け、うどん、豆腐、おかゆ、スープなど、比較的やわらかい物を選びます。

熱い物・冷たい物を避ける

象牙質や神経に近い部分まで欠けていると、温度刺激によって強くしみることがあります。

極端に熱い物や冷たい物、甘い物、酸味の強い物は控え、常温に近い物を選びましょう。

痛みがある場合は鎮痛薬を使用する

痛みがある場合は、普段服用できる市販の鎮痛薬を、添付文書の用法・用量に従って使用します。

持病がある方、妊娠中の方、ほかの薬を服用している方は、医師または薬剤師に確認してください。

欠けた歯の破片を保管する

外傷などで欠けた歯の破片が見つかった場合は、捨てずに歯科医院へ持参してください。状態によっては、破片を接着して元の形に戻せる可能性があります。

破片は乾燥させず、歯の保存液、生理食塩水、牛乳などに入れて持参します。特に、歯が根ごと抜けた場合は乾燥時間が予後に影響するため、速やかな対応が重要です。日本外傷歯学会のガイドラインでは、脱落した永久歯をすぐに戻せない場合の保存液として、歯の保存液、冷たい牛乳、生理食塩水などが挙げられています。

※乳歯が抜けた場合は、後から生える永久歯を傷つける可能性があるため、自分で元の位置に戻さないでください。

市販の接着剤で付けない

家庭用の瞬間接着剤などを使って、欠けた破片を歯に付けてはいけません。

口腔内用に作られた材料ではないため、粘膜を傷めたり、歯科医院での適切な接着処置を妨げたりする可能性があります。

自分で削らない

とがった部分が気になっても、やすりなどで削らないでください。

亀裂が広がり、歯を残せなくなることがあります。

穴に薬や物を詰めない

欠けた部分に市販薬、綿、ティッシュ、ガムなどを詰めると、細菌感染や異物の残留につながる可能性があります。

痛みがなくなっても放置しない

強く痛んでいた歯が急に痛くなくなった場合、治ったのではなく、神経が壊死した可能性があります。

痛みの有無だけで状態を判断せず、歯科医院で検査を受けることが大切です。

歯が欠けた場合の緊急度は、欠けた大きさだけでは判断できません。

できるだけ当日中に相談したい症状

  • 転倒や事故、スポーツで歯をぶつけた
  • 歯が大きく欠けた
  • 歯の中に赤色やピンク色の部分が見える
  • 強い痛みや出血がある
  • 歯がぐらついている
  • 歯の位置がずれている
  • 顔や唇にも傷がある
  • 歯が根ごと抜けた
  • 噛み合わせが急に変わった

外傷によって神経に達するほど大きく欠けた場合は、炎症や強い痛みが生じやすいため、早めの処置が必要です。

頭部を強く打った、意識がもうろうとする、吐き気がある、出血が止まらないといった症状がある場合は、歯科だけでなく医科の受診も必要です。

数日以内の受診をおすすめする症状

  • 冷たい物や甘い物がしみる
  • 噛むと痛い
  • 舌で触ると大きな段差がある
  • 欠けた部分が黒い、茶色い
  • 詰め物や被せ物の周囲が欠けた
  • 欠けた歯の周辺が腫れている

痛みがなくても早めに確認したい状態

  • 前歯の先端が少し欠けた
  • 奥歯の一部がざらついている
  • 歯の根元がくさび状に欠けている
  • 欠けた原因に心当たりがない
  • 同じ場所が繰り返し欠ける

小さな欠けであれば緊急性が低いこともありますが、欠けた歯が自然に元へ戻ることはありません。症状がないうちに治療した方が、歯を削る量や治療回数を抑えられる可能性があります。

虫歯が進行しやすくなる

欠けた部分は表面が粗くなり、歯垢が付着しやすくなります。

また、象牙質まで露出すると、エナメル質よりも虫歯が進みやすくなります。

神経が炎症を起こす

欠けた部分から細菌が入り、歯の神経に炎症が及ぶと、冷たい物や熱い物がしみたり、何もしていなくてもズキズキ痛んだりします。

さらに感染が進むと、神経を残すことが難しくなり、根管治療が必要になる可能性があります。

さらに大きく割れる

歯に亀裂が入っている場合、噛む力によって亀裂が少しずつ広がることがあります。

初めは小さな欠けでも、歯ぐきの下や歯根まで割れると、治療が難しくなります。

舌や頬を傷つける

欠けた部分が鋭くなっていると、舌や頬の粘膜に繰り返し当たり、口内炎や傷の原因になります。

抜歯が必要になることがある

破折が歯根の深い部分まで及んでいる場合や、歯が縦方向に割れている場合は、歯を残せないことがあります。

ただし、歯根破折があるからといって、すべての症例が直ちに抜歯になるわけではありません。破折の位置や方向、感染の範囲、残っている歯質などを詳しく調べたうえで判断します。

歯が欠ける原因は、大きく分けると「歯そのものが弱くなっている場合」と「外から強い力が加わる場合」があります。

虫歯によって歯が弱くなっている

歯が欠ける代表的な原因が虫歯です。

虫歯が歯の内部で広がると、外側のエナメル質を内側から支える象牙質が失われます。その結果、表面は残っているように見えても内部が空洞になり、食事中のわずかな力で「パキッ」と欠けることがあります。

C1:エナメル質の虫歯

虫歯が歯の表面に限局している段階です。一般的には自覚症状がほとんどありません。

C2:象牙質まで進んだ虫歯

冷たい物や甘い物がしみることがあります。内部が弱くなり、歯が欠けやすくなります。

C3:神経まで達した虫歯

強い痛みが出ることがあります。歯質の崩壊が進み、大きく欠ける可能性があります。

遊離エナメル質とは

虫歯によって下の象牙質が失われ、エナメル質だけが薄く残った状態です。

エナメル質は非常に硬い一方、下からの支えを失うと割れやすくなります。

歯ぎしり・食いしばり

睡眠中の歯ぎしりや、日中の食いしばりによって、歯には繰り返し強い力がかかります。

その結果、次のような変化が起こることがあります。

  • 前歯の先端が少しずつ欠ける
  • 奥歯の噛む面がすり減る
  • 歯に細かな亀裂が入る
  • 詰め物や被せ物が割れる
  • 歯の根元がくさび状に欠ける
  • 噛むと痛むようになる

特に神経を取った歯、大きな詰め物が入っている歯、虫歯で弱くなっている歯は注意が必要です。

TCH(歯列接触癖)

TCHとは、食事や会話をしていないときにも、無意識に上下の歯を接触させている癖です。

本来、リラックスしているときは唇を閉じていても、上下の歯の間にはわずかなすき間があります。長時間歯を接触させるTCHは、歯や顎関節、筋肉に負担をかけ、知覚過敏、噛んだときの痛み、歯の破折などに関係することがあります。

パソコンやスマートフォンを使用しているとき、家事に集中しているとき、緊張しているときなどに歯を接触させていないか確認してみましょう。

硬い物を噛んだ

次のような硬い物を噛んだことをきっかけに、歯が欠けることがあります。

  • 硬いせんべい
  • ナッツ
  • ハードキャンディ
  • 梅干しや肉などに混ざった種や骨
  • 蟹や貝の殻

健康な歯でも欠ける可能性はありますが、虫歯や亀裂がある歯では、より小さな力で破折することがあります。

「硬い物を噛んだから欠けた」と思っていても、背景に虫歯が隠れているケースは少なくありません。

転倒・事故・スポーツによる外傷

転倒、交通事故、スポーツ中の衝突などで強い力が加わると、前歯を中心に歯が欠けたり折れたりすることがあります。

外傷では、見えている歯冠だけでなく、歯根、歯周組織、歯を支える骨が損傷している可能性があります。

歯が欠けていなくても、次のような症状があれば受診が必要です。

  • 歯がぐらつく
  • 歯の位置が変わった
  • 噛むと痛い
  • 数日後に歯が変色してきた
  • 歯ぐきが腫れた

外傷直後には症状が軽くても、後から神経の壊死や変色が生じる場合があるため、継続的な経過観察が大切です。

加齢や長年の使用による変化

歯は毎日繰り返し噛む力を受けています。

年齢とともに歯のすり減りや細かな亀裂が蓄積し、大きな詰め物が入っている歯や神経を取った歯では、破折のリスクが高くなることがあります。

ただし、「年齢のせい」と決めつけるのではなく、虫歯、歯ぎしり、噛み合わせなどの原因がないか確認することが重要です。

酸によって歯が弱くなっている

酸性の飲食物を頻繁に摂取していると、歯の表面が溶けて薄くなる「酸蝕症」が起こることがあります。

炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘類、酢を使った飲料などを少量ずつ長時間摂取する習慣がある方は注意が必要です。

胃酸の逆流や頻繁な嘔吐が影響している場合もあります。

小さく欠けた場合

前歯の先端がわずかに欠けた状態。噛み合わせの負担や歯ぎしりで起こりやすいトラブルです。
前歯の先端がわずかに欠けた状態。噛み合わせの負担や歯ぎしりで起こりやすいトラブルです。
歯が小さく欠けた場合|軽度なチッピングの例
歯が小さく欠けた場合|軽度なチッピングの例

エナメル質の一部だけが欠けた状態では、痛みやしみる症状がないこともあります。

舌で触るとざらつく、前歯の先端が少し不揃いになったと感じる程度のこともあります。

ただし、虫歯や亀裂が原因の場合もあるため、一度検査を受けることをおすすめします。

象牙質まで欠けた場合

前歯の中程度の欠け(矢印部)。内部の象牙質まで露出しており、しみやすい・虫歯が進行しやすい状態です。
前歯の中程度の欠け(矢印部)。内部の象牙質まで露出しており、しみやすい・虫歯が進行しやすい状態です。

エナメル質の内側にある象牙質が露出すると、冷たい物、熱い物、甘い物などがしみやすくなります。

欠けた部分が黄色っぽく見えることもあります。

象牙質はエナメル質よりも細菌の影響を受けやすいため、早めの修復が必要です。

神経まで達するほど大きく欠けた場合

欠けた歯の中心に赤色やピンク色の部分が見える場合は、歯髄が露出している可能性があります。

強くしみる、ズキズキ痛む、出血するなどの症状がみられることがあります。

放置すると細菌感染が進むため、早急な処置が必要です。

歯根まで割れた場合

歯根が折れる
歯根が折れる

歯ぐきの下や歯根まで破折していると、次のような症状が現れることがあります。

  • 噛んだときに鋭く痛む
  • 噛んで力を抜くときに痛む
  • 歯ぐきの一部が繰り返し腫れる
  • 歯がぐらつく
  • 歯ぐきに膿の出口ができる
  • 被せ物が何度も外れる

歯根破折は、通常のレントゲンだけでは確認しにくい場合があります。症状や破折の方向に応じて、複数方向からのレントゲン撮影やCTなどを検討します。

歯が欠けた場合は、見た目だけで治療法を決めるのではなく、欠けた原因や神経への影響を調べます。

視診・触診

欠けた範囲、虫歯の有無、亀裂、詰め物の状態などを確認します。

噛み合わせの検査

特定の歯に強い力が集中していないか、歯ぎしりや食いしばりの兆候がないかを確認します。

歯髄の検査

冷温刺激などに対する反応を確認し、歯の神経が正常に反応しているかを調べます。

レントゲン検査

目で見えない部分の虫歯、歯根、歯を支える骨、根の先の炎症などを確認します。

CT検査

通常のレントゲンだけでは判断が難しい歯根破折、複雑な根の形、周囲骨への影響などが疑われる場合に検討します。

ただし、CTを撮影しても、非常に細い亀裂や破折線が必ず確認できるとは限りません。複数の検査結果を総合して診断します。

治療法は、欠けた範囲だけでなく、虫歯の有無、神経の状態、歯根破折の有無、噛み合わせ、残っている歯質の量などによって決まります。

ごく小さな欠け|形態修正・研磨

エナメル質のごく小さな欠けで、虫歯や亀裂がなく、噛み合わせにも問題がない場合は、とがった部分を滑らかに整えるだけで対応できることがあります。

ただし、削り過ぎると形や噛み合わせが変わるため、必要最小限の処置を行います。

軽度の欠け|コンポジットレジン修復

前歯の先端や歯の一部が小さく欠けた場合は、歯科用の樹脂であるコンポジットレジンを直接盛り足して修復できることがあります。

メリット

  • 歯を削る量を抑えやすい
  • 症例によっては1回で治療できる
  • 歯の色に合わせて修復できる
  • 保険診療で対応できる場合がある

注意点

  • 強い力がかかる部分では再び欠けることがある
  • 経年的に変色や摩耗が起こることがある
  • 大きく欠けた場合には適さないことがある

歯ぎしりや食いしばりがある場合は、修復だけでなく、力への対策も必要です。

中程度の欠け|インレー・アンレー

奥歯の噛む面や歯と歯の間まで欠けている場合は、型取りまたは口腔内スキャンを行い、詰め物を製作して修復することがあります。

主な選択肢

保険適用の可否は、歯の位置、残っている歯質、噛み合わせ、使用する材料などによって異なります。

大きく欠けた場合|クラウン

歯の広い範囲が欠け、詰め物だけでは噛む力に耐えられない場合は、歯全体を覆うクラウンで修復します。

主なクラウン

どの材料が適しているかは、前歯か奥歯か、噛む力、歯ぎしりの有無、審美性、金属アレルギー、費用などを考慮して判断します。

神経まで達している場合|歯髄保存処置または根管治療

歯が大きく欠けて神経が露出していても、必ず神経をすべて取るとは限りません。

受傷してからの時間、神経の炎症の程度、虫歯による感染の有無、歯根の成長段階などによっては、神経の一部または全部を残す処置を検討できる場合があります。

神経を残すことが難しい場合は、根管治療を行います。

根管治療では、感染または壊死した歯髄を除去し、歯の内部を清掃・消毒して薬剤を充填します。その後、残っている歯質に応じて土台を入れ、クラウンなどで修復します。

歯ぐきの下まで欠けた場合

破折線が歯ぐきの近くや歯ぐきの下まで達していても、状態によっては歯を残せる可能性があります。

検討される処置には、次のようなものがあります。

  • 歯ぐきの形を整える処置
  • 歯を矯正的に引き上げる処置
  • 外科的に歯を引き上げる処置
  • 部分的な歯根の切除
  • 接着による保存処置
  • 根管治療と被せ物による修復

ただし、破折が深い、歯根が縦に割れている、感染範囲が広い、残っている歯質が極端に少ない場合などは、保存が困難になることがあります。

保存が困難な場合|抜歯後の治療

歯を残せないと判断された場合は、抜歯後に失った歯を補う治療を検討します。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、周囲の歯、骨の状態、全身状態、治療期間、費用などを比較して選択します。

前歯が欠けると、見た目が気になるだけでなく、発音や食べ物を噛み切る機能にも影響します。

小さな欠けであればコンポジットレジンで修復できることがあります。欠けた破片が良好な状態で残っていれば、破片を接着できる可能性もあります。

欠けた範囲が大きい場合は、次の治療を検討します。

  • コンポジットレジン修復
  • 破折片の接着
  • ラミネートベニア
  • セラミッククラウン
  • 根管治療後のクラウン

ただし、見た目だけを優先して大きく削るのではなく、残っている健康な歯質、神経の状態、噛み合わせを確認したうえで治療法を選ぶことが重要です。

奥歯には大きな噛む力がかかります。

次のような状態は、奥歯が欠けやすい代表的なケースです。

  • 大きな銀歯が入っている
  • 神経を取っている
  • 虫歯が詰め物の下で進んでいる
  • 歯ぎしりや食いしばりがある
  • 歯に細かな亀裂が入っている
  • 硬い物をよく噛む

奥歯が欠けた場合は、レジン、インレー、アンレー、クラウンなどから、残っている歯質と噛む力に適した治療を選びます。

噛めるからといって放置すると、亀裂が歯根方向へ広がる可能性があるため注意が必要です。

詰め物や被せ物の一部だけが欠けたように見えても、その周囲の歯そのものが割れている場合があります。

原因としては、次のようなものが考えられます。

  • 詰め物の下の虫歯
  • 接着材料の劣化
  • 歯ぎしり・食いしばり
  • 噛み合わせの偏り
  • 修復物の摩耗や破損
  • 残っている歯質が薄い

外れた詰め物や被せ物は捨てずに持参してください。再装着できる場合もありますが、虫歯や破折がある場合は作り直しが必要です。

家庭用接着剤で付け直すことは避けてください。

子どもは転倒や遊具、スポーツなどによって前歯をぶつけやすいため、乳歯・永久歯ともに外傷が起こることがあります。

乳歯が欠けた場合

乳歯の外傷は、現在生えている乳歯だけでなく、歯ぐきの中で成長している永久歯に影響することがあります。

痛みがなくても歯科医院で確認し、永久歯への生え替わりまで経過をみることが大切です。

生えたばかりの永久歯が欠けた場合

生えたばかりの永久歯は歯根が完成していないことがあります。

神経が露出している場合でも、歯根の成長をできるだけ維持するために、神経を残す処置を検討できることがあります。受傷後は早めに受診してください。

子どもの外傷で確認すること

  • いつ、どこで、どのようにぶつけたか
  • 意識を失っていないか
  • 吐き気や頭痛がないか
  • 歯の破片が見つかっているか
  • 唇や舌に傷がないか
  • 歯がぐらついていないか
  • 噛み合わせが変わっていないか

頭部への強い衝撃や意識障害、嘔吐などがある場合は、医科への受診を優先してください。

見た目だけで原因を断定することはできませんが、一定の傾向があります。

虫歯が疑われる特徴

  • 欠けた部分が黒色や茶色に変色している
  • 歯の内部が柔らかく、もろくなっている
  • 冷たい物や甘い物がしみる
  • 詰め物の周囲が欠けた
  • 口臭や食べ物の詰まりが気になる
  • 特に硬い物を噛んでいないのに欠けた

歯ぎしり・食いしばりが疑われる特徴

  • 前歯の先端が平らになっている
  • 複数の歯に細かな欠けがある
  • 奥歯の噛む面がすり減っている
  • 詰め物や被せ物が繰り返し欠ける
  • 朝起きると顎が疲れている
  • 頬の内側や舌に歯の跡がある
  • 歯の根元がくさび状に欠けている

虫歯と歯ぎしりが同時に関係しているケースもあります。原因を見極めずに欠けた部分だけを修復すると、再び欠ける可能性があるため、噛み合わせや生活習慣まで確認することが大切です。

歯と歯ぐきの境目がV字またはU字型に削れた状態を、くさび状欠損と呼びます。

原因は一つではなく、次のような要因が複合して生じると考えられています。

歯ぎしり・食いしばりによる楔状欠損
歯ぎしり・食いしばりによる楔状欠損

欠損が浅く症状がなければ経過をみることもありますが、しみる、欠損が大きい、歯ブラシが当たると痛い場合は、知覚過敏の処置やコンポジットレジンによる修復を検討します。

治療費は、欠けた大きさだけでは決まりません。

次の条件によって異なります。

  • 前歯か奥歯か
  • 虫歯があるか
  • 神経の処置が必要か
  • 詰め物か被せ物か
  • 保険診療か自費診療か
  • 使用する材料
  • レントゲンやCTが必要か
  • 土台や仮歯が必要か

保険診療になる主な治療

  • 診察・検査
  • レントゲン撮影
  • コンポジットレジン修復
  • 金属製の詰め物・被せ物
  • 条件を満たしたCAD/CAM修復
  • 根管治療
  • 抜歯
  • 一部のマウスピース治療

実際の自己負担額は、治療内容、保険負担割合、歯の位置、処置回数などによって変わります。

診療報酬は改定されるため、記事内で細かな点数や金額を固定的に示すよりも、診察後に必要な治療と費用をご説明する形が適切です。

自費診療になる主な治療

  • セラミックインレー
  • セラミックアンレー
  • オールセラミッククラウン
  • ジルコニアクラウン
  • 自費のファイバーコア
  • 審美性を重視した前歯の修復
  • スポーツ用マウスガード

自費診療では、見た目、強度、歯を削る量、噛み合わせ、将来の再治療まで考えて材料を選びます。

高価な材料であれば必ず長持ちするとは限りません。歯ぎしりや食いしばり、清掃状態、残っている歯質なども予後に影響します。

神経を取った歯は、「神経がないから急に弱くなる」というよりも、神経を取る原因となった大きな虫歯や、過去の治療によって失われた歯質が多いことが、破折の大きな要因になります。

特に奥歯では、噛む面を広く失っていると、残った歯質が外側へ開くように割れることがあります。

神経を取った歯を長く使うためには、残っている歯質の量や噛む力に応じて、適切な土台と被せ物を選ぶことが重要です。

早めに受診する

破折線が浅い段階で治療できれば、神経や歯質を残せる可能性が高まります。

欠けた原因まで調べる

虫歯、歯ぎしり、噛み合わせ、外傷など、原因に応じた対策を行わなければ、修復後に再び欠けることがあります。

必要以上に削らない

欠けた部分を修復する際は、健康な歯質をできるだけ残すことが重要です。

ただし、細菌に感染した歯質や、接着の妨げになる薄い歯質は適切に除去する必要があります。

定期的に経過を確認する

外傷を受けた歯は、治療直後に問題がなくても、数か月から数年後に神経の壊死や歯根吸収などが判明する場合があります。

歯科医師から経過観察を勧められた場合は、症状がなくても定期的に受診してください。

虫歯を予防する

毎日の歯磨きに加え、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、歯と歯の間の汚れを除去します。

フッ化物配合歯磨き剤を使用し、虫歯によって歯が弱くなるのを防ぎましょう。

定期検診を受ける

小さな虫歯や亀裂、詰め物の劣化は、自覚症状がないまま進むことがあります。

定期検診では、虫歯だけでなく、噛み合わせ、歯の摩耗、歯ぎしりの兆候なども確認します。

硬い物を歯で割らない

氷や硬い殻を歯で割る行為は避けてください。

袋を歯で開ける、糸を歯で切る、ペンを噛むなどの癖も歯の欠けにつながります。

歯ぎしり・食いしばりに対応する

歯ぎしりや食いしばりが疑われる場合は、歯科医院で噛み合わせや歯の摩耗状態を確認します。

必要に応じて、就寝中に使用するナイトガードを作製します。ナイトガードは歯ぎしりそのものを完全に止める装置ではありませんが、歯や修復物に直接加わる負担を軽減する目的で使用します。

TCHを意識する

パソコン、スマートフォン、家事、運転などに集中しているときに、上下の歯が触れていないか確認してみましょう。

「唇は閉じる、歯は離す」を意識し、目につく場所に付箋を貼るなどして、歯の接触に気づく習慣をつけます。

スポーツ時はマウスガードを使用する

ラグビー、格闘技、バスケットボール、サッカーなど、接触や転倒の可能性があるスポーツでは、スポーツ用マウスガードが歯や口の周囲を守る助けになります。

市販品ではなく、歯科医院で歯型に合わせて作製するマウスガードは、適合性や装着感を調整できます。

Q1.歯が少し欠けただけなら放置しても大丈夫ですか?

痛みがない小さな欠けでも、虫歯や亀裂が隠れている可能性があります。

欠けた歯が自然に元へ戻ることはないため、できるだけ早めに歯科医院で確認することをおすすめします。

Q2.歯が欠けましたが、痛くありません。神経は大丈夫ですか?

痛みがないからといって、神経に問題がないとは限りません。

外傷直後は症状がなくても、後から歯が変色したり、歯ぐきが腫れたりすることがあります。また、虫歯によって神経が壊死している場合は、痛みを感じないこともあります。

歯髄の検査やレントゲン検査を受けて確認しましょう。

Q3.欠けた歯は元に戻せますか?

欠けた範囲が小さければ、コンポジットレジンで形を修復できることがあります。

外傷で欠けた破片が残っている場合は、状態によって再接着できる可能性もあります。破片を捨てず、乾燥させないようにして持参してください。

Q4.欠けた歯を飲み込んでしまいました

小さな破片で、呼吸や体調に異常がなければ、そのまま消化管を通過することが多いと考えられます。

ただし、激しくむせる、呼吸が苦しい、胸が痛い、咳が続く場合は、気道に入った可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。

尖った大きな破片や金属を飲み込んだ可能性がある場合も、医療機関へ相談してください。

Q5.前歯が欠けたら、その日のうちに治せますか?

小さな欠けであれば、コンポジットレジンを使用して当日に修復できる場合があります。

ただし、大きく欠けている場合、神経の処置が必要な場合、型取りが必要な場合は、複数回の通院が必要です。

Q6.歯が縦に割れたら必ず抜歯ですか?

歯根の深い部分まで完全に縦割れしている場合は、保存が難しいことがあります。

一方、亀裂が歯冠部分に限られている場合や、破折の位置・方向によっては、被せ物や外科処置などで保存を検討できることがあります。

検査を行わずに判断することはできません。

Q7.治療した歯が何度も欠けるのはなぜですか?

次のような原因が考えられます。

  • 歯ぎしりや食いしばり
  • TCH
  • 噛み合わせの偏り
  • 修復範囲に対して材料の強度が不足している
  • 残っている歯質が少ない
  • 詰め物の下に虫歯がある
  • 歯根に亀裂がある

欠けた部分だけを修理するのではなく、原因を調べる必要があります。

Q8.仕事が忙しく、すぐ歯医者へ行けません

欠けた側で噛まず、硬い物や温度刺激を避けてください。痛みがある場合は、服用可能な鎮痛薬を用法・用量に従って使用します。

ただし、応急処置で欠けた歯が治ることはありません。強い痛み、出血、腫れ、歯の動揺がある場合は、予定を調整して早急に受診してください。

Q9.乳歯が欠けても、いずれ抜けるので放置してよいですか?

乳歯の外傷や虫歯を放置すると、痛みや感染だけでなく、歯ぐきの中にある永久歯へ影響する可能性があります。

また、前歯や奥歯の機能、噛み合わせ、永久歯が生える場所にも関係するため、乳歯でも歯科医院で確認が必要です。

Q10.欠けた歯が黒く見えるのは虫歯ですか?

虫歯の可能性がありますが、着色、古い詰め物、外傷後の変色などの場合もあります。

特に、欠けた部分が黒い、軟らかい、食べ物が詰まる、しみるといった症状がある場合は、早めに診察を受けてください。

当院では、欠けた部分を単に修復するだけでなく、「なぜ歯が欠けたのか」を確認したうえで治療方針をご提案します。

  • 虫歯の進行範囲の確認
  • 歯の神経の状態の検査
  • レントゲンによる歯根・周囲骨の確認
  • 必要に応じたCTによる精密診断
  • 歯ぎしり・食いしばりの確認
  • 噛み合わせの診査
  • できるだけ健康な歯質を残す治療
  • コンポジットレジンによる修復
  • 根管治療
  • 詰め物・被せ物による修復
  • ナイトガードの作製
  • 外傷歯の継続的な経過観察

歯の状態によっては、欠けた範囲が大きくても保存できる可能性があります。一方で、無理に歯を残すことによって感染や痛みを繰り返すと予測される場合は、その理由と治療の選択肢を分かりやすくご説明します。

歯が欠ける原因には、虫歯、歯ぎしり・食いしばり、TCH、外傷、硬い物の咀嚼、経年的な亀裂などがあります。

痛みがなく、ごく小さく欠けただけに見えても、歯の内部で虫歯や亀裂が進んでいる可能性があります。

歯が欠けたときは、次の点を心がけてください。

  • 欠けた部分を指や舌で触らない
  • 欠けた側で硬い物を噛まない
  • 市販の接着剤で付けない
  • 欠けた破片は乾燥させず持参する
  • 痛みがなくても早めに受診する
  • 強い痛み、出血、歯の動揺があれば早急に相談する

早い段階で診断を受けることで、神経を残せる可能性や、歯を削る量を抑えられる可能性が高まります。

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「少し欠けただけだから大丈夫」「痛くないから様子を見よう」と思っていても、歯の内部で虫歯や亀裂が広がっていることがあります。

早期に治療できれば、コンポジットレジンなどによる比較的小さな修復で対応できる場合があります。しかし、放置して神経や歯根まで影響が及ぶと、根管治療や被せ物、場合によっては抜歯が必要になることもあります。

当院では、レントゲンや必要に応じたCT検査、神経の検査、噛み合わせの診査を行い、できる限り天然歯を残す治療方法をご提案します。

歯が欠けた、歯の一部がざらつく、詰め物の周囲が割れた、痛みはないが気になるという方は、江戸川区篠崎・篠崎駅徒歩1分の当院へお早めにご相談ください。

【動画】初期虫歯COを削らずに自分で治す方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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