目次

✅ はじめに

「急に歯茎が腫れて痛い…」「鏡を見るとぷっくり腫れていて不安」——そんな症状にお悩みではありませんか?
歯茎の腫れは、歯周病・虫歯の根の感染・親知らずの炎症・薬の副作用・ホルモンバランスの変化など、さまざまな原因が考えられます。
放っておくと痛みや膿がひどくなり、抜歯や手術が必要になるケースも。
この記事では、歯茎が腫れる代表的な原因と、自宅でできる対処法、歯科での治療法までをわかりやすく解説します。
正しい情報を知って、安心して早めに対応しましょう。

歯茎が急に腫れると不安になりますよね。痛みや違和感があると「このまま放っておいていいのかな…」と心配になる方も多いでしょう。まずは、症状の程度や様子を自分でチェックし、必要に応じて早めに歯科医院を受診することが大切です。

突然歯茎が腫れたらどうする?
突然歯茎が腫れたらどうする?

🔍 歯茎の腫れに気づいたときのチェックポイント

まずは鏡を使って、次の点を確認してみましょう:

  • 腫れの部位が限定的か?広がっているか?
     → 部分的にポコッと腫れているのか、歯列全体に広がっているかで原因が異なることがあります。
  • 痛みや膿(うみ)は出ているか?
     → 強い痛みを伴う場合や、白っぽい膿が出ている場合は感染が疑われます。
  • 歯がグラグラしていないか?
     → 歯が動くような感覚があれば、歯周組織がダメージを受けている可能性があります。
  • 出血や口臭はあるか?
     → 歯磨きの際に血が出たり、口臭が強くなったと感じる場合は、歯周病が進行しているかもしれません。

📞 歯科を受診すべきタイミング

次のような症状がある場合は、早めの歯科受診をおすすめします

  • 腫れが3日以上続いている
     → 自然に引かない腫れは、細菌感染や歯根のトラブルの可能性が高くなります。
  • 発熱や顔・顎まで腫れている
     → 顔が腫れている場合は、急性炎症が広がっているサイン。放置すると危険です。
  • 何度も同じ場所が腫れる・腫れが広がる
     → 慢性的な歯周病や親知らずの炎症が繰り返されているかもしれません。

歯茎の腫れには、さまざまな原因があります。放置してしまうと症状が悪化し、抜歯や手術が必要になることも。ここでは、歯茎が腫れる原因として多い7つの病気や状態を紹介します。

🦷 ① 歯周病(歯肉炎・歯周炎)

歯周病(歯肉炎・歯周炎)の腫れ
歯周病(歯肉炎・歯周炎)の腫れ

初期の歯肉炎は、歯と歯茎の間にプラーク(歯垢)がたまることで炎症が起き、赤く腫れたり出血したりします。比較的軽症で、丁寧な歯磨きで改善が期待できます。

一方、進行すると歯周炎になり、歯を支える骨まで炎症が及びます。膿が出たり、口臭が強くなったり、歯がグラグラすることも。歯を失う原因の第1位ともいわれ、早期治療が重要です。

💥 ② 根尖性歯周炎(フィステル)

根尖性歯周炎(フィステル)
根尖性歯周炎(フィステル)

虫歯を放置して神経まで細菌が達すると、歯根の先に膿がたまり、歯茎に小さな白い水ぶくれが現れることがあります。これがフィステルです。

フィステルから膿が出ている間は痛みが和らぐこともありますが、根本的に治っているわけではありません。**根管治療(歯の根の治療)**が必要になります。

🦷 ③ 親知らずの炎症(智歯周囲炎)

親知らずの炎症(智歯周囲炎)
親知らずの炎症(智歯周囲炎)

親知らずが斜めや半分だけ生えていると、周囲に汚れがたまりやすくなり、**歯茎が腫れて痛み・口臭・開口障害(口が開けづらい)**などが起こります。

腫れを繰り返すようなら、抜歯が必要になることもあります。痛みや腫れがある場合は、無理に我慢せず、早めの受診をおすすめします。

🔍 ④ 歯根破折

歯根破折
歯根破折

神経を抜いた歯や差し歯は、歯がもろくなり、知らぬ間に根が割れる(破折)ことがあります。ヒビから細菌が侵入して炎症を起こし、歯茎が腫れたり噛むと痛んだりします。

破折の程度によっては、歯を抜かずに**保存治療(接着再植など)**できる場合もあるため、早期発見がカギです。

💊 ⑤ 薬の副作用(薬物性歯肉増殖症)

高血圧薬(カルシウム拮抗薬)や免疫抑制剤などの副作用で、歯茎がブヨブヨと腫れたり、出血しやすくなったりすることがあります。

薬の影響が疑われる場合は、主治医や歯科医に相談し、薬の調整や口腔ケアの強化が必要です。

👶 ⑥ ホルモンの変化による腫れ

女性は、妊娠中や生理前など、ホルモンバランスの変化で歯茎が腫れやすくなることがあります。特に妊娠中は「妊娠性歯肉炎」と呼ばれ、出血を伴うことも。

この時期は、歯周病菌が活性化しやすいため、日頃から丁寧なブラッシングや歯科検診を心がけましょう。

⚠️ ⑦ 良性腫瘍や口腔がん(エプーリス・歯肉癌)

エプーリス
エプーリス
歯肉癌
歯肉癌

エプーリスは良性腫瘍のような膨らみで、刺激やホルモン変化が原因とされます。赤く膨れた歯茎が特徴です。

一方、歯肉がんは歯茎の腫れや潰瘍、歯の動揺などがあり、見た目では歯周病との判別が難しいことも。定期的な口腔がん検診が早期発見につながります。

歯茎の腫れに気づいたら、まずはお口の中を清潔に保つことが基本です。ただし、間違ったケアや市販薬の使い方には注意が必要です。ここでは、自宅でできる正しいケア方法を紹介します。

自分でできる!歯茎の腫れへのセルフケア
自分でできる!歯茎の腫れへのセルフケア

🪥 正しい歯磨きとブラッシング法

腫れていると「触るのが怖い」「磨いたら悪化しそう」と思うかもしれませんが、やさしく丁寧なブラッシングが何より大切です。

  • 柔らかい歯ブラシを選ぶ
     → 歯茎に優しい「やわらかめ」タイプを使いましょう。
  • バス法を実践
     → 歯と歯茎の境目に斜め45度でブラシをあて、細かく振動させるように磨く方法です。歯周ポケットに届きやすく、炎症予防に効果的です。
  • 電動歯ブラシやウォーターピックの併用も◎
     → 磨き残しが気になる方や手磨きが難しい方には、**電動歯ブラシ(最弱モード推奨)口腔洗浄器(ウォーターピック)**の使用もおすすめです。
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🌿 市販薬・うがい薬の選び方

市販薬やうがい薬を上手に使うことで、一時的な痛みや腫れを和らげることができますが、あくまでも応急処置と考えましょう。

  • 痛みが強いときはロキソニンなどの解熱鎮痛剤
     → 使用する際は用法用量を守り、長期間の自己判断による服用は避けてください。
  • 抗菌うがい薬の注意点
     → 殺菌効果のあるうがい薬(クロルヘキシジンなど)は補助的に役立ちますが、根本的な治療にはなりません。濃度や使用頻度にも注意が必要です。
  • 当院では次亜塩素酸水の使用を推奨
     → マイルドで粘膜に優しく、日常の洗口にも適しています。

💊痛み止め・ロキソニンS

ロキソニンS
ロキソニンS

対象疾患

  • 歯根先端の膿による痛みや腫れ(歯根嚢胞)。
  • 歯周病や智歯周囲炎の歯茎の痛みや腫れ。
  • 虫歯による歯の神経の痛みや腫れ。

ロキソニンSの注意

第一三共ヘルスケアのロキソニンSの詳細をご確認の上、服用してください。

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❄️ 冷やす or 温める?タイミング別の対処法

腫れの状態に応じて、「冷やす」か「温める」かを選ぶことも大切です。

  • 発症24時間以内は冷やすのが効果的
     → 冷えピタや濡れタオルで頬の外側から優しく冷やすことで、炎症と痛みが緩和されます。
  • 膿がたまってきた場合は温湿布で排膿を促す
     → ぬるま湯に浸したタオルを当てて患部を温めることで、血流を良くし、膿が自然に出やすくなることがあります。

⛔ ただし、温める時期を間違えると逆効果になることも。迷ったら歯科医に相談を。

❄️冷えピタ

冷えピタ
冷えピタ

使い方

親知らずに痛みや腫れが出てきた時には冷えピタなどの冷湿布を頬に貼ると痛みや腫れが軽減します。

冷やすことで親知らず周囲の歯茎の炎症が抑えられます。

歯茎が腫れて24時間以内なら「冷えピタ」のような湿布薬や水で濡らしたタオルで冷やす程度が良いでしょう。

ただし、24時間を超えてからは行わないようにしてください。血液循環を阻害する可能性があり、治癒を遅らせることになる可能性があります。

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歯茎の腫れは、見た目には似ていても原因や必要な治療がまったく異なることがあります。自己判断での対処に限界を感じたら、歯科医院での専門的な診断と治療が必要です。

ここでは、来院後の基本的な流れと、症状に応じた主な治療法について解説します。

🧪 検査(レントゲン・歯周ポケット検査)

まずは、原因を特定するための検査を行います。

  • レントゲン検査(デンタル・パノラマ)
     → 歯の根や骨の状態、親知らずの位置、膿の有無などを確認します。
  • 歯周ポケット検査
     → 歯と歯茎の隙間の深さを専用の器具で測定し、歯周病の進行度を評価します。
  • 視診・触診・問診
     → 痛みの場所・腫れ方・経過などを確認し、総合的に診断します。

これらの検査結果をもとに、最適な治療方針を立てていきます。

💉 治療の種類と症状別のアプローチ

症状や原因に応じて、次のような治療法が選択されます。

🪥 歯周病が原因の場合

  • スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
     → 歯石やバイオフィルムを丁寧に除去し、炎症を引き起こしている細菌を取り除きます。
     → 深い歯周ポケットがある場合は、麻酔を併用して処置を行うこともあります。

🧬 歯の根の病気(フィステル・根尖病変など)の場合

  • 根管治療(歯の根の中の清掃)
     → 感染した神経や細菌を除去し、内部を洗浄・消毒します。
     → 根の先に膿がたまっている場合には、抗菌薬の処方や切開排膿を併用することも。

🦷 腫瘍や外科的な対応が必要な場合

  • エプーリス切除術
     → 良性腫瘍(エプーリス)を切除し、必要に応じて原因部位も処置します。
  • 歯根端切除術
     → 根管治療で改善が見られない場合、歯根の先端と膿の袋(嚢胞)を外科的に取り除く処置です。
  • 親知らずの抜歯
     → 智歯周囲炎を繰り返す場合には、抜歯によって炎症の元を取り除きます。

どの治療も「原因の除去」と「再発予防」が目的です。腫れが引いたからといって自己判断で通院を中断せず、最後まで治療を継続しましょう。

❓ Q:腫れていても歯を磨くべき?

A:はい、優しく磨くことが大切です。

歯茎が腫れていても、歯磨きを怠ると炎症が悪化する原因になります。
ただし、強くこすると逆効果なので、柔らかい毛の歯ブラシを使い、「バス法」でやさしく丁寧に磨きましょう。電動歯ブラシを使う場合は、最も弱いモードから始めるのが安心です。

❓ Q:腫れが引いたら治ったの?

A:見た目が落ち着いても、治っていないことがあります。

歯茎の腫れが引くのは、膿が一時的に外に出て炎症が軽減しただけかもしれません。根本的な原因(歯周病や根の感染など)が残っていると、再発する可能性が高いため、腫れが引いても必ず歯科で検査・治療を受けましょう。

❓ Q:歯茎の腫れを繰り返すのはなぜ?

A:細菌の残存や根本治療が不十分な場合が多いです。

特に親知らずの炎症歯周病は、しばしば慢性化・再発します。また、**根の中の感染(フィステルなど)**が再燃することもあります。
繰り返す場合は、口腔内の環境改善や外科的処置が必要になることもあるため、定期的な通院で経過をみていくことが大切です。

❓ Q:妊娠中でも治療は可能?

A:安定期(妊娠5〜8ヶ月)であれば多くの治療が可能です。

妊娠中はホルモンの変化により、歯周病や歯肉炎が悪化しやすくなります。当院では、妊婦さんの体調や週数を確認した上で、応急処置やクリーニング、必要に応じた投薬にも安全に対応しています。

また、江戸川区では妊婦さん向けの無料歯科検診も行っているため、お気軽にご相談ください。

❓ Q:腫れに効く歯磨き粉ってあるの?

A:補助的な効果はありますが、過信は禁物です。

市販されている「歯周病予防用」の歯磨き粉には、殺菌成分や抗炎症成分が含まれているものがあります。症状の軽減に役立つ場合もありますが、それだけで腫れが治ることはほとんどありません。

最も大切なのは、毎日の正しいブラッシングと定期的なプロケアです。腫れがあるときは歯科医院で診てもらった上で、適したケア用品を選びましょう。

歯茎の腫れは、体からの大切な警告サインです。疲れやストレス、磨き残しなどの軽い原因から、歯周病や根の感染、さらには腫瘍・がんといった重篤な疾患まで、さまざまな可能性が隠れています。

✅ 放置せず、まずは状態を見極めましょう

「そのうち治るだろう」と様子を見ているうちに、症状が進行してしまうケースも少なくありません。出血・膿・口臭・痛み・腫れの広がりなどが見られる場合は、特に注意が必要です。

✅ セルフケア+早期受診が改善のカギ

正しいブラッシングや生活習慣の見直しといった日々のセルフケアはとても大切です。
しかし、セルフケアだけでは限界があるため、原因を特定し、根本的な治療を受けることが、再発防止への近道です。

✅ 繰り返す腫れや異常は、歯科医に相談を

同じ場所が何度も腫れる、治ったと思ったらまた腫れる――そんな場合は、歯の根の病気や慢性炎症、親知らずの問題などが背景にあるかもしれません。
「なんとなく気になる」段階でも、早めの相談・受診が歯を守る第一歩になります。

📍江戸川区篠崎で「歯茎の腫れ」にお悩みの方へ

当院では、歯周病や根の感染、親知らずの炎症、薬の副作用など、歯茎が腫れる多様な原因に対して、精密な診査と一人ひとりに合わせた治療を行っています。
「急に腫れて痛い」「繰り返し腫れる」「妊娠中だけど大丈夫?」そんなお悩みにも、地域密着・丁寧な対応でお応えします。

必要に応じて即日の応急処置も可能です。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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