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歯茎に腫れができたとき、「このまま放置して自然に治るのだろうか?」「歯医者に行く必要があるのか?」などと、原因がわかれば安心できるのにと思うことはよくありますよね。

もし、自分で治すことができるのであれば、その方法や使用する薬について知りたいと考える方も多いでしょう。ここでは、歯茎が腫れる主な原因を頻度の高い順に挙げ、それぞれの対処法や効果的な薬について詳しく解説します。

突然歯茎が腫れた時の急患対応について

急に歯茎が腫れ、痛みを感じると我慢するのが辛いものです。当院では、緊急性の高い患者様には、できる限りその日のうちに対応できるよう努めております。まずは、お電話で現在の症状と、その症状がいつから続いているのかをお知らせください。

以下に、歯茎の腫れと痛みの原因、自分でできる対処法、そして歯科医院での治療法について記載しております。ぜひご参考ください。

歯茎が腫れる原因と治療法やセルフケア

歯茎が腫れる歯科の病気を大別すると7種類くらいになります。その中で自分で歯茎の腫れをひくことができるのは歯周病・歯肉炎・智歯周囲炎など食べカスや磨き残しによるプラークの増殖が原因の腫れに限られます。

1. 虫歯による影響:フィステル

フィステルとは

被せ物をしている歯の歯根先端に相当する歯茎に、小さな水ぶくれのような腫れができることがあります。これは「フィステル」と呼ばれるもので、この頂点から膿が排出されています。

フィステルは、火山の噴火口にたとえられるもので、内部にあるマグマだまりが歯根嚢胞に相当します。フィステルができるのは、歯根が感染し、骨の中に溜まった膿を外へ排出するための防御反応と考えられます。

フィステルがある間は内圧が下がるため、痛みは起こりません。ただし、フィステルが自然に消え、一見治ったように見えても、歯根嚢胞自体が治ったわけではないため、再発する可能性があります。

写真は、虫歯が神経にまで進行し、歯髄炎を起こしたために根管治療を受けた歯の状態を示しています。このようなケースでは、根管治療が十分に成功しなかったことが原因と考えられます。そのため、多くの場合、治療後に被せ物がされています。

セルフケア

自分でできる対処法はないため、速やかに歯科医院を受診しましょう。

水ぶくれのようなフィステルを針などで刺して潰しても、一時的に小さくなることはあるかもしれませんが、感染を悪化させるだけで、根本的に治ることはありません。

また、腫れた歯茎を丁寧に磨いたり、薬を塗ったりしても改善することはありません。フィステルは膿の出口であり、原因となる問題が歯根の内部にあるためです。

治療法

歯科医院では、被せ物を外し、歯根内部の細菌感染を除去するための根管治療が必要となります。急性症状が現れている場合には、抗生物質の投与を行うこともあります。

急性期には、歯茎に溜まった膿を切開して排出する処置を行うこともあります。

また、歯根嚢胞が大きくなりすぎた場合には、歯根嚢胞摘出手術や歯根端切除術を実施することがあります。

2. 歯周病が引き起こす歯茎の腫れ

歯周病の急性発作(P急発)

歯周病とは、歯周病菌が原因で歯茎に炎症が発生する病気です。歯周病が進行し、急性炎症が起こると、歯茎が大きく腫れ、膿が排出されることがあります。この状態では、歯茎に触れると強い痛みを感じることが多く、日常生活にも支障をきたす場合があります。

さらに、中等度から重度に進行した歯周病では、歯茎から膿が頻繁に出るようになります。この膿が細菌や炎症による分泌物を含んでいるため、歯周病特有の不快な口臭が発生します。この口臭は本人だけでなく、周囲にも気付かれる場合があり、社会生活にも影響を及ぼすことがあります。歯周病が進行する前に適切な治療を受けることが重要です。

女性ホルモンバランスの変化

女性は妊娠すると、ホルモンバランスの変化により歯周病が悪化し、歯茎が腫れることがあります。この症状は「妊娠性歯肉炎」と呼ばれ、妊娠中に特有の歯肉炎として知られています。特に妊娠中期から後期にかけて症状が現れることが多く、歯茎の腫れや出血が主な特徴です。

また、生理前に歯茎が腫れることもあります。これも女性ホルモンの分泌増加が密接に関係しています。女性ホルモン、特にエストロゲンやプロゲステロンの増加を餌とする歯周病菌であるプレボテラ・インターメディア(Pi菌)が増殖することで、歯茎に炎症が起きやすくなるのです。これらの症状は、適切な口腔ケアや歯科検診を通じて予防・管理することが重要です。

高血圧薬の服用

血圧を下げるために使用される治療薬の一種であるカルシウム拮抗薬(商品名:ニフェジピン、アダラート、アムロジンなど)を服用すると、副作用として歯茎が腫れることがあります。この症状は「薬物性歯肉増殖症」と呼ばれています。

薬物性歯肉増殖症では、歯茎が異常に肥厚し、腫れた状態になることがあります。特に歯と歯茎の間(歯周ポケット)に炎症がある場合、その影響がより顕著に現れることがあります。これにより、見た目が気になるだけでなく、歯磨きがしづらくなることで歯垢がたまりやすくなり、歯周病や虫歯のリスクが高まる可能性もあります。

このような症状が現れた場合は、主治医または歯科医に相談し、適切な対処を行うことが重要です。また、歯科医院での定期的なクリーニングや丁寧なブラッシングが症状の悪化を防ぐ助けとなります。薬の変更が必要な場合は、医師との相談が欠かせません。

セルフケア 

歯と歯茎の境目が大きく腫れている場合、歯周病が原因である可能性が高いと考えられます。このような場合、歯磨きをすると出血することがあるかもしれません。

まず、一番柔らかい歯ブラシを選び、歯周ポケットに優しく差し込むように(バス法)ブラッシングを行ってください。この際、痛みが起こらない程度の力で優しく磨くことが重要です。

1回のブラッシングの目安時間は5分程度とし、出血を最小限に抑えるように優しく行いましょう。優しく磨いている限り、1日のブラッシング回数に特に制限はありません。

もし歯茎が腫れていて隅々まで磨けないと感じる場合は、電動歯ブラシの使用をおすすめします。最初は最も弱いモードでブラッシングを始め、出血がほとんどなくなれば、徐々に強いモードに切り替えて使用しても問題ありません。

また、生理前に歯茎が腫れやすい方は、上記の方法で丁寧にプラークコントロールを行い、歯周病予防に努めてください。

なお、「歯周病に効く」とうたって販売されている歯磨き粉や薬は、多くの場合、期待されるほどの効果がないと考えられます。歯周病対策の基本は、自分で行うプラークコントロールです。日々の丁寧なブラッシングが最も効果的な予防方法です。

治療法

歯周病治療の基本は、歯石の除去(スケーリングやルートプレーニング)です。これにより、歯と歯茎の境目に蓄積した歯垢や歯石を取り除き、歯周病の進行を防ぎます。しかし、歯周病の進行度や症状に応じて、さまざまな治療法が適用されることがあります。

例えば、以下のような治療法があります:

  • 歯周組織再生療法(リグロス)
    歯周病で失われた歯周組織を再生させるための薬剤を使用する治療法です。歯周ポケット内に塗布することで、歯槽骨や歯肉の再生を促します。
  • 抗生物質療法(ジスロマックなど)
    歯周病菌の感染を抑えるために使用されます。飲み薬として処方されることが多く、特に炎症が強い場合に有効です。
  • 抗真菌薬療法(ハリゾンシロップなど)
    口腔内で真菌感染が疑われる場合に使用されます。歯周内科治療の一環として、歯周病の原因菌や真菌の増殖を抑える効果があります。

急性症状として歯茎に膿が溜まっている場合は、「切開排膿」という処置が行われることがあります。この方法では、歯茎を切開して膿を排出し、炎症や痛みを緩和します。膿が排出されることで圧力が軽減され、症状が一時的に改善することが期待されますが、根本的な治療としては歯周病菌を除去する必要があります。

これらの治療法は、歯周病の進行状況や患者様の全身状態に応じて選択されます。早期の受診と適切な治療が、歯周病の進行を食い止める鍵となります。

3. 歯根破折による歯茎の腫れ

歯根破折とは

歯根が割れる主な原因の一つは、神経を失った歯に差し歯を装着した場合です。神経を取った歯は、歯髄がなくなることで血液や栄養が通わなくなり、弾力性や柔軟性が失われます。その結果、外部からの力に対する耐久性が低下し、割れやすくなります。

初期段階では、小さなヒビが生じ、そこから細菌が侵入して感染が起こることがあります。この感染により歯茎が腫れます。ヒビがさらに大きくなると、感染が広がり、歯茎の腫れが悪化します。これに伴い、歯が動揺しやすくなり、噛んだ時に痛みを感じるようになります。この痛みは、歯根や周囲の骨にまで炎症が及ぶことで強くなる傾向があります。

さらに、外部からの外傷も歯が割れる原因となります。例えば、事故や転倒によって強い衝撃を受けたり、硬い食べ物を無理に噛んだりすることで、歯や歯根にヒビや亀裂が生じる場合があります。

このような状況を防ぐためには、歯科医院で定期的な検診を受け、歯の健康状態を確認することが、歯根の割れを予防するために有効です。割れた歯に対する治療は、早期発見が治療の選択肢を広げる鍵となります。

セルフケア 

歯根破折が原因で歯茎が腫れた場合、自分で治すことはできません。腫れが大きくなる前に、速やかに歯科医院を受診しましょう。腫れがまだ小さい段階であれば、以下の口腔外接着再植法が適応となる場合があります。

治療法

差し歯の歯根が真っ二つに割れてしまった場合、抜歯が必要となる可能性が高いですが、条件が良ければ口腔外接着再植法を用いて保存することが可能なケースもあります。

一方で、外傷によって歯が割れた場合には、割れた部位やその大きさによって適切な治療法が異なります。例えば、歯冠の一部が欠けただけであれば詰め物やクラウンで対応できる場合もありますが、歯根まで割れている場合は、より高度な治療や場合によっては抜歯が必要となることもあります。

4. 智歯周囲炎による歯茎の腫れ

智歯周囲炎が起こる原因

レントゲン写真に示されている症例では、下顎の親知らずが斜めに埋まっており、手前の歯にぶつかることで萌出が途中で止まっています。

この状態では、親知らずの上の歯茎がめくれ、浮いたような状態になります。また、親知らずと手前の歯の間に隙間が生じるため、歯磨きがうまくできず、歯茎に炎症を起こすことがよくあります。炎症が悪化すると膿が出る場合もあり、この状態を智歯周囲炎と呼びます。

さらに、手前の歯の根元に虫歯が発生することもあり、親知らずが周囲の歯に悪影響を及ぼすことがあります。

下顎の智歯周囲炎の症状としては、顎全体が腫れて顔の形が変わるほどになる場合や、強い痛みを伴うことがあります。

智歯周囲炎を繰り返す場合は、早めに親知らずの抜歯をおすすめします。抜歯を行うことで、再発のリスクを減らし、周囲の健康な歯を守ることができます。

セルフケア

親知らずと手前の歯の間に隙間ができると、そこに食べカスが入り込み、細菌が増殖して歯茎が腫れることがあります。そのため、食べカスをきれいに除去することが重要です。ただし、歯茎が腫れて痛みがある場合は、柔らかい歯ブラシを使い、優しく時間をかけてブラッシングしてください。

また、市販のうがい薬では効果が期待できることはほとんどないと言えます。うまくブラッシングできない場合には、ウォーターピックを使用するのも良い方法です。

治療法

親知らずの周囲に炎症や腫れが見られる場合、まずはその部分のクリーニングを行い、溜まった汚れや細菌を取り除きます。その後、必要に応じて抗生物質を投与し、炎症や痛みなどの急性症状を緩和します。この段階では、親知らず周辺の状態を安定させることが最優先となります。

症状が改善し、炎症が収まった後には、親知らずの抜歯を検討するのが適切です。特に、親知らずが歯茎や骨の奥深くに埋まっている場合には、抜歯手術が複雑になることがあり、1時間以上かかるケースもあります。こうした手術では、事前に詳細な診断と計画が重要です。また、術後の痛みや腫れを最小限に抑えるために、術後のケアや注意点についても十分な説明が行われます。

5. 下顎隆起(外骨症)による歯茎の腫れ

下顎隆起(外骨症)とは

下顎隆起は「骨隆起」とも呼ばれ、骨が隆起した状態を指します。下顎骨の犬歯から小臼歯にかけて、内側の歯茎が腫れるように隆起します。

これは炎症によるものではないため、痛みが起こることはなく、膿が出ることもありません。

下顎隆起が生じる原因としては、歯ぎしりや食いしばり、さらにはTCH(歯列接触癖)などにより、歯に強い力が長時間加わった場合の防御反応と考えられています。この際、歯根を支える骨が強化されることで隆起が形成されます。そのため、該当する歯の咬合面を見ると、かなりすり減っていることが多いです。

下顎隆起が非常に大きくなると、入れ歯を装着する際に粘膜に潰瘍ができるなど、不都合が生じることがあります。

セルフケア

下顎隆起(外骨症)は、骨が隆起して大きくなった場合でも痛みが生じることはほとんどないため、当面は日常生活に大きな支障をきたさないと考えられます。ただし、放置してさらに大きくなると、入れ歯の装着が必要になった時に影響を及ぼす可能性があります。

下顎隆起をこれ以上大きくしないためには、上下の歯の過剰な接触を減らすことが重要です。特に、歯ぎしりや食いしばり、さらにはTCH(歯列接触癖)など、歯に継続的に強い力が加わることを防ぐ必要があります。

具体的な予防策や対応方法については、「歯ぎしり」や「TCH」に関するページを参照し、適切なケアを行うことをおすすめします。また、必要に応じて歯科医師に相談し、マウスピースの使用や生活習慣の見直しを検討するのも効果的です。

治療法

下顎隆起が小さいうちは、特に症状がない場合や日常生活に支障が出ない場合には、経過観察を行います。しかし、下顎隆起が大きくなりすぎると、入れ歯の新規作成が困難になる場合があります。このような場合には、治療が必要となります。

具体的には、局所麻酔下で手術を行い、隆起した骨を削る処置を行います。この手術は、入れ歯を快適に使用できるようにするためや、粘膜への圧迫や潰瘍の発生を防ぐ目的で行われます。手術後は、傷口が治癒するまで一定期間の経過観察と適切なケアが必要です。

6. エプーリスによる歯茎の腫れ

エプーリスとは

エプーリスは、歯茎にできる良性腫瘍のようなもので、「腫瘍類似疾患」に分類されます。その発生原因は、局所への何らかの刺激が関与していると考えられています。

見た目は、キノコのような茎を持ち、球状に膨らんだ赤っぽい腫れ物として現れることが特徴です。特に、上顎前歯部の歯茎に発生しやすい傾向がありますが、痛みが起こることはありません。

しかし、エプーリスは歯肉癌と似た外観を示すことがあるため、正確な診断を行うためには専門的な鑑別が必要です。

妊娠性エプーリス

妊娠性エプーリスは、妊娠中にホルモンの変化によって発生する良性の腫瘍様病変です。これは、歯茎にできる赤っぽく膨らんだ腫れ物で、特に歯と歯の間や前歯の歯茎に発生しやすいのが特徴です。妊娠中の女性の体内で増加するエストロゲンやプロゲステロンが主な原因と考えられています。

妊娠性エプーリスは、多くの場合、出産後に自然に消失するか小さくなります。そのため、妊娠中は基本的に経過観察が行われ、積極的な治療は避けられることが一般的です。

セルフケア

エプーリスが歯茎にできた場合、自分で治すことはできません。歯磨きをしっかり行い、プラークコントロールに努めても、小さくなることはありません。早めに歯科医院を受診しましょう。

治療法

治療は、エプーリスの切除術が原則となります。ただし、エプーリスの発生源は歯根膜、骨膜、歯槽骨など多岐にわたるため、腫瘍部分だけでなく、これらの発生部位も同時に摘出しなければ、再発のリスクが高まる可能性があります。

そのため、エプーリスが隣接する歯や歯根膜に深く関与している場合には、該当する歯の抜歯が必要になることがあります。

手術後は、患部の安静を保ちつつ、口腔内を清潔に保つための徹底したケアが推奨されます。早期治療と適切な術後管理によって、再発のリスクを最小限に抑えることができます。

7. 歯肉癌による歯茎の腫れ

歯肉癌の特徴

歯肉癌は、歯茎に発生する口腔癌の一種です。初期症状としては、歯茎の腫れや潰瘍、歯の動揺などが見られることが多く、これらの症状は歯周病と非常に似ているため、鑑別が難しい場合があります。そのため、専門的な診断が重要となります。

口腔癌の中では、歯肉癌は舌癌に次いで多く報告されており、比較的頻度の高い癌です。他の部位の癌と同様、歯肉癌も早期発見と早期治療が極めて重要です。早い段階で適切な治療を行うことで、再発や転移のリスクを大幅に低減することが可能です。

そのため、定期的な口腔がん検診を受けることが推奨されます。特に、歯肉癌のリスクが高いとされる喫煙者や飲酒量が多い方、あるいは歯周病の既往がある方は注意が必要です。江戸川区では、無料で口腔がん検診を実施しており、地域住民が気軽に検診を受けられる環境を提供しています。

口腔がん検診では、歯科医師が口腔内を詳細にチェックし、必要に応じて精密検査を行います。早期発見によって、治療の選択肢が広がり、予後の改善が期待できます。症状が気になる場合や予防のために、一度検診を受けてみることをおすすめします。

セルフケア

発生してしまった口腔癌を自分で治すことは当然できませんが、早期発見することで治療の選択肢が広がり、予後の改善につながります。特に、大きくなる前に自分で異変に気づくことは可能です。

予防の一環として、1ヶ月に1回は鏡を使って口腔内の状態を観察しましょう。歯茎の腫れや変色がないか確認し、普段と異なる状態に気づいた場合は注意が必要です。特に、しっかりと歯磨きをしても腫れが収まらない、または痛みや違和感が続く場合には、早めに歯科医院を受診してください。早期の診察が、深刻な状態を防ぐ第一歩となります。

また、舌癌は舌の側面や裏側に発生することが多いとされています。鏡で舌の表面だけでなく側面や裏側も観察し、赤色、白色、あるいは赤と白が混在した異常な斑点や腫れがないかチェックしてください。舌を動かした際に痛みを感じる、違和感がある、または表面がザラザラしているように感じる場合も、注意が必要です。

日常的なセルフチェックに加え、定期的に歯科医師による専門的な検診を受けることをおすすめします。早期発見は治療の成否を大きく左右するため、気になる症状があれば迷わず相談しましょう。

歯科大学病院での診断と治療法

口腔癌の治療法には、外科的切除、放射線療法、化学療法、免疫療法などが挙げられます。それぞれの治療法には特有の利点と課題があり、患者の状態や癌の進行度に応じて最適な治療が選択されます。

再発防止の観点から、外科的切除の範囲を大きくすることがしばしば検討されます。しかし、切除範囲が広がることで、噛む、話す、飲み込むといった口腔の基本的な機能に障害が生じるリスクが高まります。また、放射線療法は腫瘍の縮小や再発防止に有効ですが、副作用として唾液腺にダメージを与え、唾液分泌が低下することでドライマウス(口腔乾燥症)を引き起こす可能性があります。これにより、口腔内の感染リスクが増加したり、食事や会話に支障をきたすことがあります。

このように、治療の選択においては、癌の再発防止と機能の維持という相反する課題の間で難しい判断を迫られることが多いのが現状です。そのため、治療計画を立てる際には、患者の生活の質(QOL)を最大限考慮しながら、専門医や多職種の医療チームが協力して慎重に進める必要があります。

さらに、治療後のリハビリテーションや定期的なフォローアップも重要です。これにより、機能の回復を支援するとともに、再発や新たな問題の早期発見につなげることが可能です。

歯茎の腫れのセルフチェック方法

鏡で確認する際のポイント

歯茎の腫れをセルフチェックする際には、鏡を使って以下のポイントを確認しましょう:

  • 歯茎の色:健康な歯茎は淡いピンク色ですが、炎症がある場合は赤く腫れたり紫がかかったりすることがあります。
  • 歯茎の形:腫れがあると、歯茎のラインが膨らみ、正常な形状から変化している場合があります。
  • 歯と歯の間の三角形部分: この部分(歯間乳頭)が膨張していたり​​、出血している場合は異常のサインです。
  • 歯周ポケットの確認: 歯と歯茎の境目に食べカスや歯垢がたまっているかどうかを確認してください。

腫れ以外に見られる症状(出血・痛みなど)

歯茎の腫れに伴って見られる症状には、以下のようなものがあります:

  • 出血:歯磨きや食事中に歯茎から出血することがあります。これが頻繁に起こる場合は、歯周病の可能性があります。
  • 痛みや違和感:噛むときの痛み歯茎見たときの違和感がある場合は、炎症が進行している可能性があります。
  • 膿の排出:歯周ポケットから膿が出ている場合は、感染症のサインです。
  • 口臭:歯茎の炎症や感染により、口臭が発生することがあります。
  • 歯の動き揺れ:腫れに加えて歯が揺れる感覚がある場合、歯周組織が深刻なダメージを受けている可能性があります。

どの段階で歯科医院を受診するべきか

以下のような症状が見られた場合は、お早めに歯科医院を受診してください:

  • 腫れが3日以上続く:自然に改善しない場合は、歯周病や歯根の感染が原因である可能性があります。
  • 出血や痛みが頻繁に起こる: 日常的な出血や痛みは、炎症が進行しているサインです。
  • 膿が出る、または腫れが広がる: 膿が出る場合は細菌感染が疑われます。
  • 顔や顎まで腫れが広がる: 顎全体が腫れる場合は、早急な治療が必要です。
  • 繰り返し同じ場所が盛り上がる: 智歯周囲炎や慢性炎症が疑われるため、専門的な検査を受ける必要があります。

セルフチェックをして異常が見られた場合は、早めに歯科医院で相談することができ、症状の悪化を防ぐための方法です。

痛み止め・ロキソニンS

ロキソニンS
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対象疾患

  • 歯根先端の膿による痛みや腫れ(歯根嚢胞)。
  • 歯周病や智歯周囲炎の歯茎の痛みや腫れ。
  • 虫歯による歯の神経の痛みや腫れ。

ロキソニンSの注意

第一三共ヘルスケアのロキソニンSの詳細をご確認の上、服用してください。

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冷えピタ

冷えピタ
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使い方

親知らずに痛みや腫れが出てきた時には冷えピタなどの冷湿布を頬に貼ると痛みや腫れが軽減します。

冷やすことで親知らず周囲の歯茎の炎症が抑えられます。

歯茎が腫れて24時間以内なら「冷えピタ」のような湿布薬や水で濡らしたタオルで冷やす程度が良いでしょう。

ただし、24時間を超えてからは行わないようにしてください。血液循環を阻害する可能性があり、治癒を遅らせることになる可能性があります。

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毎日歯磨きをしていても歯茎が腫れて痛む原因や考えられる病気について、以下に詳しく解説します。

歯茎が腫れる・痛む主な原因となる病気

  1. 歯周病
    歯周病は、歯と歯茎の間に歯垢や歯石がたまることで炎症が起こる病気です。初期段階では歯茎が赤く腫れる程度ですが、進行すると膿が出たり、歯が揺れるようになります。
  2. 智歯周囲炎(親知らずの炎症)
    親知らずが斜めに生えたり、半分埋まった状態のままだと、その周囲に汚れがたまり、歯茎が腫れて痛むことがあります。膿が出たり、口を開けにくくなる場合もあります。
  3. 歯根の感染(根尖性歯周炎)
    虫歯が進行し、歯の根の先に細菌が感染すると、歯茎が腫れて痛みを感じることがあります。この場合、歯茎の一部が膿で膨らむこともあります。
  4. 薬の副作用
    血圧降下薬や免疫抑制剤の一部は、歯茎が腫れる副作用を引き起こすことがあります。
  5. 外傷や口内炎
    歯ブラシで傷つけたり、硬い食べ物で歯茎を傷めた場合にも、一時的に腫れや痛みが生じることがあります。

家で治すためにできること

ウォーターピックの使用
歯間にたまった汚れや食べカスを除去するために、口腔洗浄器を使うのも効果的です。

正しい歯磨き
柔らかい歯ブラシを使い、歯茎に優しく当てながら磨きましょう。歯周ポケットに歯ブラシを差し込む「バス法」が効果的です。

うがい薬の使用
抗菌作用のあるうがい薬を使うと、炎症を抑えるのに役立つ場合があります。当院では次亜塩素酸水の洗口液をお勧めしています。ただし、強い効果を期待するのは難しいため、補助的なケアとして活用してください。

冷湿布または温湿布
痛みが強い場合は、冷湿布で炎症を抑えることが効果的です。一方で、膿が出やすくなるよう温湿布を行う場合もありますが、状況に応じて選ぶ必要があります。

十分な休息と水分補給
体の免疫力を高めることで、症状の改善を促します。栄養バランスの取れた食事と十分な水分補給を心がけましょう。

はい、風邪をひいたり体調を崩して免疫力が低下すると、歯茎が腫れることがあります。以下にその理由を詳しく説明します。


免疫力低下と歯茎の腫れの関係

  1. 免疫力の低下が歯周病菌を増殖させる
    口腔内には常にさまざまな細菌が存在していますが、免疫力が正常に働いている場合は、これらの細菌の増殖が抑えられています。しかし、体調不良や免疫力の低下により細菌が増殖しやすくなり、歯茎に炎症を引き起こすことがあります。これが歯周炎や歯茎の腫れの原因になることがあります。
  2. 炎症反応が悪化しやすい
    免疫力が低下すると、体の炎症反応を抑える力が弱まります。その結果、普段は軽度で済む歯茎の腫れが悪化し、痛みや膿の排出を伴うことがあります。
  3. 体調不良によるケア不足
    風邪をひいて体調が悪いときは、普段の歯磨きや口腔ケアが十分に行えないことがあります。その結果、歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯茎の腫れを引き起こす要因となります。
  4. 全身的な炎症の影響
    風邪やウイルス感染症は、体内で炎症を引き起こします。この全身的な炎症が口腔内にも影響を及ぼし、歯茎が敏感になり腫れることがあります。

対処法と予防策

  1. 丁寧な口腔ケアを心がける
    体調が悪い時でも、歯磨きを怠らず、柔らかい歯ブラシで優しく歯茎を磨くようにしましょう。デンタルフロスやウォーターピックで歯間の汚れも取り除きます。
  2. うがい薬を活用する
    抗菌作用のあるうがい薬を使用することで、口腔内の細菌を減らし、炎症を軽減する効果がある程度期待できます。
  3. 栄養補給と水分補給
    ビタミンCやビタミンDを含む食品を摂取することで免疫力を高め、炎症の予防につながります。また、十分な水分補給で口腔内を潤すことも重要です。
  4. 安静と休養を取る
    免疫力を回復させるためには、十分な睡眠と休養を取ることが必要です。
  5. 歯科医院でのチェック
    歯茎の腫れが治らない場合や痛みが強い場合は、早めに歯科医院を受診してください。必要に応じてスケーリングや抗生物質の処方を受けることができます。

まとめ

風邪や体調不良が引き金となり、免疫力の低下によって歯茎が腫れることは珍しくありません。免疫力を高める生活習慣を心がけるとともに、口腔ケアを怠らないようにすることが重要です。もし腫れが頻繁に起こる場合や症状がひどい場合は、歯周病などの他の原因が関与している可能性があるため、当院にご相談ください。

生理前に歯茎が腫れるのは、女性ホルモンの変動が主な原因です。以下に詳しく説明します。


生理前に歯茎が腫れる原因

  1. ホルモンバランスの変化
    生理前には、プロゲステロンエストロゲンといった女性ホルモンの分泌量が増加します。このホルモンの増加が歯茎の血管を拡張させ、血流が増えることで、歯茎が腫れやすくなります。また、歯茎の組織が敏感になり、細菌に対する抵抗力が一時的に低下するため、炎症が起こりやすくなります。
  2. 歯周病菌の増殖
    女性ホルモンを餌とするプレボテラ・インターメディア(Pi菌)という歯周病菌が、生理前になると増殖します。この菌の活動が活発になることで、歯茎の炎症や腫れが引き起こされる可能性があります。
  3. 免疫力の低下
    生理前は、体内の免疫力が低下することがあります。そのため、歯茎が細菌感染を受けやすくなり、腫れや出血などの症状が現れることがあります。

対策とケア方法

  1. 丁寧な口腔ケア
    • 柔らかい歯ブラシを使い、優しく歯茎を磨きましょう。
    • デンタルフロスやウォーターピックを使用して歯間の汚れをしっかり取り除きます。
    • 毎食後のブラッシングを徹底することで、炎症の原因となる歯垢の蓄積を防ぎます。
  2. 抗菌効果のある歯磨き粉やうがい薬の使用
    • 抗菌作用のある歯磨き粉を使うことで、細菌の増殖をある程度抑えられます。
    • 口腔内の細菌を減らすために、殺菌作用のあるうがい薬を使用するのも効果的です。当院では次亜塩素酸水の洗口液をお勧めしています。
  3. 栄養バランスの取れた食事
    • ビタミンCやビタミンDを豊富に含む食品を摂取することで、歯茎の健康を保つ助けになります。
    • 炎症を抑える効果のあるオメガ3脂肪酸(魚やナッツ類に含まれる)を取り入れるのもおすすめです。
  4. ストレスを軽減する
    • ストレスはホルモンバランスを乱す原因となるため、リラックスできる時間を意識的に作ることが大切です。
  5. 定期的な歯科検診
    • 歯茎の腫れが生理前に繰り返し起こる場合、歯周病が進行している可能性があります。歯科医院で専門的なチェックを受け、必要に応じて治療を受けることをおすすめします。

まとめ

生理前に歯茎が腫れるのは、女性ホルモンの影響によるものが大きいですが、適切な口腔ケアや生活習慣の改善で予防・緩和することが可能です。もし症状がひどい場合や腫れが頻繁に起こる場合は、ご相談ください。

基本的には、ご予約の患者さま優先で治療を行っている関係上、急患の患者様は予約の患者様の空き状況等を考慮して、治療が開始できる時間までお待ちいただく場合がございます。

どうしても予約の患者様が一杯の場合には鎮痛剤・抗生剤の投与だけということもあることをご了承ください。

また、腫れが極度にあると口が開けられなかったり、麻酔が効かなかったりします。すぐに治療して痛みを取って欲しい、という患者様の気持ちは良く分かるのですが、当日は、痛みと腫れを抑える薬などを飲んでいただき、翌日等に治療を開始します。

江戸川区篠崎にて、急に歯茎が腫れ痛くなった方はふかさわ歯科クリニック篠崎までお気軽にご相談ください。

【動画】歯周病の手遅れの症状

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FULASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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