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朝起きたときや、ふとした瞬間に「口の中がネバネバする…」と感じたことはありませんか?
その不快感、放っておくと虫歯や歯周病、口臭などのトラブルに発展することもあります。
口のネバつきは、唾液の分泌量の低下や細菌の増殖、生活習慣の乱れなどが関係しており、軽視できないお口からのサインです。

この記事では、口のネバネバの原因から改善に役立つ食べ物・セルフケア・受診の目安までを、歯科医の視点からわかりやすく解説します。
「最近口の中が乾く」「口臭が気になる」とお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

「口の中がネバネバする」「朝起きると口の中が気持ち悪い」──そんな不快な症状、経験はありませんか?
これは唾液の分泌が減少しているサインかもしれません。口の中は常に唾液によって潤され、細菌や食べかすを洗い流す役割を担っています。
しかし、何らかの理由で唾液の量が減ると、ネバつきや口臭、さらには虫歯や歯周病の原因にもつながるのです。
特に中高年層やストレスを多く抱える方、薬を常用している方に多く見られる傾向があります。

🦷 朝や空腹時に感じるネバつきの正体

寝ている間は唾液の分泌が少なくなるため、朝起きたときに口の中が乾燥し、ネバネバした感じが強くなります。
また、空腹時にも唾液が減ることで同じような不快感を覚えることがあります。
これは一時的なものであれば心配はありませんが、慢性的に続く場合はドライマウス(口腔乾燥症)や歯周病の兆候かもしれません。
早めのケアが、快適なお口の環境を保つ鍵になります。

🤢 放置するとどうなる?ネバネバが招くリスク

ネバネバ感を放っておくと、さまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。
唾液の量が減ることで、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯・歯周病・口臭のリスクが高まります。
さらに、舌痛症や口角炎・口唇炎といった粘膜の炎症、味覚障害、さらには誤嚥性肺炎や認知症との関連も指摘されています。
「ちょっと不快だな」で終わらせず、早めに対策をとることが重要です。

ネバネバの原因はこれ!|5つの主な要因
ネバネバの原因はこれ!|5つの主な要因

口のネバつきは「たまたま」ではなく、いくつかの原因が重なって起こります。
以下の5つは特に注意したい代表的な要因です。

🦠 口内の細菌の繁殖

口の中には常に多くの細菌が存在していますが、唾液の流れが少ないと細菌が増殖しやすくなります。
特に寝ている間や口呼吸が多い方は、細菌が舌や歯ぐきに蓄積しやすく、朝起きたときのネバネバ感が強くなります。
口腔内を清潔に保つことで、細菌の増加を防ぎましょう。

💦 唾液の分泌量の減少(ドライマウス)

ネバつきの一番の原因とも言えるのが「唾液不足」です。
加齢、薬の副作用、脱水、口呼吸などが原因で唾液の分泌が減ると、潤滑作用や洗浄効果が低下し、粘つきが発生します。
「ドライマウス(口腔乾燥症)」と呼ばれるこの状態は、軽度でも不快感が強く、進行するとさまざまな病気の引き金になります。

🦷 歯周病や舌苔の影響

歯ぐきの炎症や舌にこびりついた舌苔(ぜったい)もネバネバの原因になります。
歯周病では、歯周ポケットに溜まった細菌が粘性の強い物質を出し、口の中が不快になります。
また、舌苔は唾液の循環が悪いと溜まりやすく、口臭の原因にも。
定期的な舌のクリーニングも大切です。

🍷 アルコール・香辛料などの外的要因

アルコールや刺激の強い香辛料は、口腔内を一時的に乾燥させ、唾液の分泌を抑えてしまいます。
特に寝る前のお酒や辛い食事は、朝のネバネバを悪化させる要因になります。
控えめにするか、摂取後はしっかりと水分を補給しましょう。

🧠 ストレスや自律神経の乱れ

唾液の分泌は「副交感神経」が司っています。
ストレスや緊張状態が続くと「交感神経」が優位になり、唾液の分泌が減少。
その結果、口の中が乾きやすくなり、ネバつきや不快感を感じやすくなります。
リラックスできる環境を整えることも、予防・改善の一歩です。

「少し気になるけどそのうち治るだろう」と放置してしまいがちな口のネバネバ。
しかし、これにはお口だけでなく全身の健康にも影響を与える重大なリスクが潜んでいます。
以下にその代表的な5つのリスクをご紹介します。

🦷 虫歯・歯周病・口臭の増加

唾液には、口の中の汚れを洗い流し、細菌の繁殖を防ぐ「自浄作用」や「殺菌作用」があります。
その唾液が不足すると、虫歯菌や歯周病菌が増殖しやすくなり、虫歯や歯ぐきの炎症が進行。
さらに、舌苔が洗い流されずに蓄積すると、強い口臭の原因にもなります。
ネバネバは見逃してはいけない「サイン」なのです。

🦠 舌痛症・口角炎・口唇炎などの感染リスク

口腔が乾燥しネバついた状態が続くと、カンジダ菌などの日和見感染(免疫が落ちた時に発症する感染症)にかかりやすくなります。
その結果、舌がヒリヒリ痛む舌痛症、唇の端が切れる口角炎、唇全体の炎症である口唇炎が起こることも。
食事や会話に支障が出るほど痛みを伴うケースもあります。

🧠 唾液成分の減少と認知症リスクの関係

認知症のリスク
認知症のリスク

唾液には「NGF(神経成長因子)」や「EGF(上皮成長因子)」といった、神経や細胞の修復を促す成分が含まれています。
これらが減少すると、脳の認知機能に悪影響を及ぼす可能性があるとされ、近年では認知症との関係性も注目されています。
お口の健康は、脳の健康にも深くつながっているのです。

🍚 食べづらさ・誤嚥性肺炎の危険性

唾液が減ると、食べ物がうまく飲み込めず、誤って気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなります。
高齢者の場合は特に、これが原因で肺に炎症を起こす「誤嚥性肺炎」に発展することもあり、命に関わるケースも少なくありません。
また、味覚の異常や食欲の低下にもつながるため、栄養不足も懸念されます。

🗣 会話がしづらくなり社会的なストレスに

口の中がネバついていると、うまく言葉が出なかったり、舌が回らなかったりと、会話がしにくくなります。
これにより人とのコミュニケーションが億劫になり、引きこもりがちになる人も。
人とのつながりが減ることは、心の健康にも悪影響を及ぼします。
快適なお口の環境は、社会生活の質を保つためにも重要です。

ネバネバの主な原因である「唾液の減少」は、日常の食べ物や飲み物で改善が期待できます。
ここでは、唾液の分泌を促すおすすめの食品と、逆に避けたいものについてご紹介します。

🍋 酸味のある食品(梅干・酢など)で唾液分泌を促進

酸味のあるもの
酸味のあるもの

酸っぱいものを食べた時に「つばがじゅわっと出る」感覚、ありますよね。
これは唾液腺が刺激されて唾液が活発に出ている証拠です。
梅干し、レモン、黒酢、ポン酢などの酸味のある食品は、自然と唾液を引き出してくれる優れたアイテム。
ただし、重度のドライマウスの方には刺激が強すぎる場合があるため、症状に応じて量を調整しましょう。

🍬 キシリトール100%ガムの咀嚼効果

キシリトールガム100%
キシリトールガム100%

ガムを噛むという行為自体が唾液腺を刺激し、分泌を促進します。
中でも「キシリトール100%」のガムは虫歯予防効果も期待できて一石二鳥。
噛む時間は1回あたり10分以上が理想的で、毎食後に取り入れることで継続的な効果が得られます。
無糖のものを選びましょう。

🦑 おしゃぶり昆布などの硬いおつまみで咀嚼促進

おしゃぶり昆布
おしゃぶり昆布

固めでよく噛む必要のある食品も、唾液を増やすのにぴったりです。
おしゃぶり昆布、するめ、ナッツ類などは咀嚼回数が自然と増えるため、唾液腺が活性化されます。
ただし塩分の摂りすぎにならないよう、食べすぎには注意してください。
口が乾いてきたと感じたときのおやつ代わりにもおすすめです。

⚠️ 避けたい飲食物(アルコール・香辛料)に注意

要注意
要注意

一方で、ネバネバを悪化させる要因となる飲食物もあります。
代表的なのが、アルコールや刺激の強い香辛料です。
これらは唾液の分泌を一時的に抑え、さらに口腔内を乾燥させてしまいます。
お酒やビール、辛い料理を摂取する際は、こまめに水分を摂るなど、乾燥対策を意識しましょう。
特に寝る前の摂取は控えるのがベストです。

お口のネバネバは、日々のちょっとした習慣を見直すだけでも改善が期待できます。
ここでは、今日からできる簡単なケア方法を3つご紹介します。

💧 こまめな水分補給と保湿スプレー・ジェルの活用

水

体内の水分が不足すると、唾液の分泌も自然と減ってしまいます。
こまめに水やお茶を飲み、口の中を潤す習慣をつけましょう。
外出時はペットボトルやマイボトルを持ち歩くのがおすすめです。
また、ドライマウス専用の保湿ジェルやスプレーも市販されており、寝る前や乾燥しやすい季節に使うと快適です。

🪥 アルコールフリーの歯磨き粉とマウスウォッシュを使う

歯磨き粉とマウスウォッシュ
歯磨き粉とマウスウォッシュ

市販の歯磨き粉やうがい薬にはアルコールが含まれているものがありますが、これが口腔内を乾燥させる原因になることも。
「アルコールフリー」「ドライマウス用」と記載された製品を選ぶことで、必要なうるおいを保ちながら、虫歯や口臭も予防できます。
歯磨き後の刺激感が苦手な方にもおすすめです。

🧪 次亜塩素酸水を活用した洗口ケア(医院推奨)

当院では、口腔内の洗浄と保湿を兼ね備えた「次亜塩素酸水」での洗口を推奨しています。
細菌の増殖を抑えながら、刺激が少なく唾液環境をサポートできるのが特徴です。
市販品とは異なり、医院で安全性と効果が確認されたものを使用していますので、気になる方はお気軽にご相談ください。

唾液の分泌は「自律神経」に大きく関係しています。
副交感神経が優位になると唾液が出やすくなるため、心と体のバランスを整えることが大切です。

🏃‍♂️ 適度な運動・歌を歌うことで副交感神経を刺激

適度な運動や歌を歌う
適度な運動や歌を歌う

軽いウォーキングやラジオ体操、または好きな音楽を口ずさむだけでも、唾液腺が刺激されます。
特に歌うことは、表情筋と舌の運動にもなり、唾液の分泌アップに効果的です。
テレビの前で数分のストレッチをするだけでもOK。気軽に取り入れてみましょう。

😌 リラックス習慣で唾液腺を活性化

ストレスがたまると交感神経が活発になり、唾液の分泌は抑制されてしまいます。
ぬるめのお風呂に浸かる、アロマを使う、深呼吸する──そんな「ほっとする時間」を意識的に持つことで、唾液腺の働きが高まります。
1日5分でも自分のためのリラックスタイムを作りましょう。

「口の中がネバネバするけど、病気なの?」「歯医者に行くべき?」といった不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
ここでは、患者様からよくいただく質問にお答えします。

❓ ネバネバは病気のサイン?

口のネバネバは、必ずしも病気とは限りません。
一時的な唾液分泌の減少や、水分不足、就寝中の口呼吸などで起こることもあります。
しかし、毎日続く、悪化している、口臭や歯ぐきの腫れなど他の症状もある場合は、歯周病やドライマウスの可能性が考えられます。
放置せずに早めに専門家に相談することが大切です。

❓ 市販品で改善できる?

軽度のネバつきであれば、市販のドライマウス用保湿スプレー保湿ジェルキシリトール100%ガムなどで緩和できることがあります。
また、アルコールフリーのうがい薬や歯磨き粉を選ぶことも効果的です。
ただし、症状が慢性的または悪化している場合は、市販品だけでの対処では限界があるため、歯科医院での診断とケアをおすすめします。

❓ どのタイミングで歯科医院に相談すべき?

以下のような場合は、歯科医院での診察を受けるタイミングです:

  • ネバネバ感が数日~数週間続いている
  • 口臭、歯ぐきの腫れ、舌の痛みなど他の症状もある
  • 食べにくい、しゃべりにくいなど日常生活に支障がある
  • 市販品を使っても改善しない

違和感があれば、早めの受診が安心です。悪化する前にケアすることで、口腔内の健康を保てます。

🏥 江戸川区篠崎で口のネバネバが気になる方へ

「口の中がネバネバして不快」「朝の口臭が気になる」「最近、唾液が少ない気がする」──そんなお悩みはありませんか?
江戸川区篠崎にある当院では、ドライマウス(口腔乾燥症)や歯周病、舌苔のケアなど、ネバネバの原因を総合的に診断・治療いたします。

唾液の分泌を促すケアから、生活習慣の見直し、口腔内のクリーニング、保湿ケアまで、患者さま一人ひとりに合わせた対応を大切にしています。
症状が軽いうちにご相談いただければ、治療もスムーズに進み、悪化を防ぐことができます。

「歯医者に行くほどではないかも…」と迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。
地域密着の身近な歯科医院として、あなたのお口の健康を全力でサポートいたします。

【動画】なかなか取れない舌苔の完全除去方法

筆者・院長

篠崎ふかさわ歯科クリニック院長

深沢 一


Hajime FUKASAWA

  • 登山
  • ヨガ

メッセージ

日々進化する歯科医療に対応するため、毎月必ず各種セミナーへの受講を心がけております。

私達は、日々刻々と進歩する医学を、より良い形で患者様に御提供したいと考え、「各種 歯科学会」に所属すると共に、定期的に「院内勉強会」を行う等、常に現状に甘んずる事のないよう精進致しております。 又、医療で一番大切な事は、”心のある診療”と考え、スタッフと共に「患者様の立場に立った診療」を、心がけております。

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