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【フラップ手術】歯肉剥離掻爬術の
デメリットと保険適用の費用

皆様の健康をトータルサポート。

歯周外科治療のフラップ手術の目的は、歯肉を切開剥離し不良肉芽組織や歯石を除去し、歯根面を滑沢にすること。

しかし、フラップ手術では歯周組織は再生されず、歯茎が下がるデメリットがあります。そこで、歯周組織再生療法との併用が有効です。フラップ手術は江戸川区篠崎の歯科医院で。

目次


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【フラップ手術】歯肉剥離掻爬術

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歯周外科治療の4種類

歯周外科治療の4種類
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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)

歯茎を切開剥離して歯根に付着した歯石を目視下で除去する手術。

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歯周組織再生療法(バイオ・リジェネレーション法)

歯周病によって破壊された歯周組織(歯槽骨・歯根膜・セメント質)を再生する手術。リグロス法、エムドゲイン法、GTR法などがあります。

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歯肉切除手術

腫れた歯茎をメスで切除して正しい形態にする手術。

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歯肉歯槽粘膜形成手術

歯茎の見た目を改善することを主な目的とする手術。歯根露出した部分に口蓋粘膜を薄く切除して移植する遊離歯肉移植術、歯肉弁(根先側・歯冠側・側方)移動術など。

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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の目的とデメリット

フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の手順
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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の目的とは

フラップ手術は歯周外科治療の代表的な手術法です。

イラストの様に深い歯周ポケットの底部まで歯石が付着している場合、スケーリングルートプレーニング( SRP )を行う際、術野を直視出来ないため、歯石の取り残しが起こりやすい欠点があります。


そこで、フラップ手術では炎症の起こっている歯茎をイラストの様にメスで切除し、骨膜剥離子という器具で歯茎を開きます。


術野が完全に直視することが出来るようになっているので、歯周ポケットの深い部分に付着した歯石でもハンドスケーラーや超音波スケーラーなどを用い、不良肉芽組織も含めて完全に除去することが可能になります。


つまり、フラップ手術は、歯周病の基本治療であるスケーリング(歯石除去)の欠点を補った治療法ということが出来ます。


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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)のデメリット

フラップ手術では歯周組織の再生は起こらない

フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)は、歯肉を剥離することで、直視下で不良芽組織の除去とルートプレーニングが可能ということがメリットと考えられます。

しかし、「ルートプレーニング(SRP)の問題点」の所でも言及したよう、歯根表面の汚染されたセメント質もすべて掻き取ってしまうため、そこには、歯槽骨や歯根膜、セメント質など失われた歯周組織の再生は起こりません。


歯茎が下がる

フラップ手術を行った多くの症例で歯茎が下がるという問題が起き後悔される患者さんもいるようです。歯茎が下がることで知覚過敏が誘発されたり、ブラックトライアングルが出来ることで審美性が低下するなどのデメリットがあります。

そこで最近では、フラップ手術と併用して下記の歯周組織再生療法(歯周組織再生誘導手術)が行われるようになりつつあります。

      

歯周病の原因や症状、治療法、予防法などについては、こちらの記事に分かりやすくまとめています♪

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歯周組織再生療法(バイオ・リジェネレーション法)

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GTR法(歯周組織再生誘導法)

GTR法(歯周組織再生誘導法)の治療の流れ

GTR法(歯周組織再生誘導法)の特徴

GTR法は前述のフラップ手術を行い綺麗に歯石除去した後、歯周病で破壊された垂直性骨欠損部に特殊な膜(メンブレン)を設置して歯周組織の再生を図るバイオ リジェネレーション法の一種です。


後述のリグロスやエムドゲインゲルなどを膜の内側に填入することでさらに治療成績が上がります。


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バイオ・リジェネレーション法の主役となるリグロス法

リグロス法での歯周組織再生治療の手順

リグロス法の特徴

フラット手術を行い、歯石除去するところまではGTR法と全く同じです。吸収性膜の代わりにリグロスという特殊な薬液を垂直性骨欠損部に注入します。

リグロスの成分により歯槽骨や歯根膜が誘導再生されるのでバイオ・リジェネレーション法の一種ということが出来ます。

※ フラップ手術とともにリグロス法は保険適用されています。


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エムドゲイン法

リグロス法と原理は同じですが、薬剤が異なるエムドゲイン法があります。これは保険適用外です。

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歯周組織再生療法の適応症

歯周組織再生療法の適応症-垂直性骨欠損と根分岐部病変があるレントゲン写真
垂直性骨欠損と根分岐部病変

レントゲン写真の様に第1小臼歯と第1大臼歯にそれぞれ垂直性骨欠損と根分岐部病変が認められます。

3壁性の垂直性骨欠損

前歯や奥歯を問わず、歯槽骨の吸収がポケット状に垂直に起こっている場合が適応になります。

通常、歯根の周りに残っている壁数が3つの3壁性骨欠損であれば治療の成功率が上がります。


大臼歯の歯根の分かれ目の治療

奥歯の根分岐部に骨欠損がある場合でも適応になります。ただし、頬舌的にトンネルが出来ている状態では成功しません。

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歯肉切除手術(歯茎を下げる手術)

歯肉切除術(歯茎を下げる手術)
歯肉切除手術

歯石除去の後で仮性ポケットが残った場合などに歯肉を切除し歯茎を下げます。


術式

クレン-カプランのピンセット等で歯周ポケット底部を印記し、 カークランドメスなどの器具を使い、斜め下方からポケット底部に向けて、歯肉切開を加えます。

適応症

歯肉切除術は下記の様なケースに実施します。


仮性ポケット

極めて稀なケースですがスケーリングやルートプレーニングといった歯周基本治療を行っても仮性ポケット(歯周病の進行とともに真性ポケットが形成)が残ってしまう場合。


薬剤性歯肉増殖症

高血圧、狭心症などの薬を服用している場合で、歯周基本治療やプラークコントロールを十分に行っても歯肉が増殖してしまう薬剤性歯肉増殖症

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歯周外科手術の費用

フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)、歯肉切除術は保険適用(自己負担3割の場合の治療費)です。

手術名 費用
フラップ手術

1歯あたり 約2,000円

※ 保険診療で行うには、この他に投薬料、歯周組織基本検査、歯周組織精密検査、各種指導料、再診療などが加算されます。

また、保険適用のルールとして、フラップ手術の実施前にスケーリングやルートプレーニングが完了したにもかかわらず治癒しない場合に適用出来るとされています。

歯肉切除術

1歯 960円

※ その他、加算項目はフラップ手術に準ずる。

生命保険による手術給付金

フラップ手術は給付金の対象外となっている生命保険会社が殆どの様です。また、歯周組織再生療法(バイオ・リジェネレーション法)は保険給付対象であったものが2020年4月1日から支払対象外となったようです。

詳細は各自加入の保険会社に問い合わせて下さい。


リグロスの保険費用

詳細は下記をご覧ください。

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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の術式

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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の治療手順

フラップ手術前のフィステル形成時のデンタルX線診断
ステップ1

フィステル形成時のデンタルX線診断

写真は、上顎2番(側切歯)の歯肉にフィステル(膿が出る場所)が形成されたので、問題の部位を特定する為に、フィステルからガッタパーチーポイントを入れてデンタルレントゲンを撮影したものです。

フィステル形成の原因が根尖病巣か歯周病かの鑑別は、ガッタパーチーポイントの先端が赤丸で示されたところで止まっている為、歯周病が原因と特定されます。

麻酔をかけてフラップ手術-歯肉の切開剥離
ステップ2

フラップ手術-歯肉の切開剥離

写真は表面麻酔後、浸潤麻酔をして上顎1番中央部から3番の遠心部にかけてメスで歯肉を切開し、骨膜剥離子で歯肉剥離して骨面を露出させた所です。

上顎2番(側切歯)の近心及び遠心に大量の不良肉芽(ふりょうにくげ)組織が認められます。

フラップ手術は重度歯周病で歯がグラグラして今にも抜けそうな症例には適応出来ません。

フラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)の術中写真。不良肉芽組織の除去と歯根面の滑沢化
ステップ3

不良肉芽組織の除去と歯根面の滑沢化

不良肉芽組織の除去と同時に、超音波スケーラーとハンドスケーラー(グレーシー・キュレット)などの器具を用い、歯根面の滑沢化を行った所です。この一連の手術のことをフラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)と言います。

レントゲン写真で確認したように、上顎2番の近心側に深い垂直性の歯周ポケットが存在している事が分ります。

しかし、このフラップ手術では歯槽骨や歯根膜、セメント質などの歯周組織は再生されません。現在では、2016年に保険適用されたリグロス(歯周組織再生剤)やCGFと人工骨を混ぜたものなどを垂直性骨吸収部位に適用しています。この治療では破壊された歯周組織が再生され、歯の動揺や咬合力の改善を促すことが出来ます。

フラップ手術が完了し、剥離した歯肉を縫合している写真
ステップ4

歯肉の縫合

剥離した歯肉を元に戻し、縫合します。症例によりコーパックなどの歯周包帯剤の使用も行います。

抗生物質と痛み止めの投与を行い、翌日に口腔内洗浄を行います。

約1週間後に縫合した糸を抜きます。

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フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の痛み

フラップ手術では術前に麻酔を掛ける

歯肉を切開し行う治療なので当然のことながら、術前に麻酔をかけます。従って術中の痛みはありませんが、術後の痛みや生活歯の場合には知覚過敏などが起こるリスクがあります。

観血的な処置になるので抗生剤や痛み止めの投与がなされます。

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ふかさわ歯科クリニック篠崎院長 歯科医師の深沢一

執筆者 院長 深沢一

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