伝えたい! 歯の疑問:歯周病

GTR法(歯周組織再生療法)
の適応症、手順と費用

皆様の健康をトータルサポート。

歯周病で破壊された歯槽骨や歯根膜を再生する治療法にGTR法(歯周組織再生療法)があります。

GTR法の治療手順、リグロス法やエムドゲイン法など、他の歯周組織再生療法との違いについて解説。GTR法は保険適用にはなりません。

GTR法(歯周組織再生療法)なら江戸川区篠崎町の歯科医院。

GTR法(歯周組織再生療法)

GTR法(歯周組織再生療法)とは

歯周病・歯槽膿漏が中等度以上に進行すると基本治療(スケーリングルートプレーニング)だけでは破壊された歯槽骨は元には戻りません。


そこで、歯茎を切開し、破壊された歯槽骨を露出させるフラップ手術(歯肉剥離剥離掻把術)を行い、骨欠損部に吸収性膜を設置します。この治療法のことを歯周組織再生療法「GTR法」と言います。


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GTR法(歯周組織再生療法)の適応症とリスク

GTR法は垂直性骨吸収部が適応症
GTR法は垂直性骨吸収部が適応症
垂直性骨吸収部や大臼歯の分岐部病変が適応症

すべての歯周組織再生療法(リグロス法エムドゲイン法など)に共通して言えることですが、GTR法は垂直性骨吸収と大臼歯の根分岐部の骨欠損に有効です。

全体的に水平に骨が下がった場合には適応とはなりません。

GTR法のリスク

吸収性膜を適切に設置することは高い技能を必要とします。上手く設置出来なければ吸収性膜が露出するなど感染のリスクを伴います。

GTR法(歯周組織再生療法)の手順

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GTR法で歯槽骨や歯根膜が再生される理由

垂直性骨吸収に吸収性膜を設置
垂直性骨吸収部に吸収性膜を設置

GTR法のメカニズム

歯周病で溶かされた歯槽骨(歯を支えている骨)は、歯周病の基本治療を行っても元には戻りません。

歯周病の治療(歯石取りなど)をした後に何もせずそのまま治癒を待つと、歯槽骨や歯根膜が再生する前に約1週間で歯肉の一部の上皮が歯周ポケット底部まで延び込み歯周組織(歯槽骨、歯根膜)ができるスペース埋めてしまいます。

そこで、歯周ポケット内部を清掃(スケーリング、ルートプレーニング)した後にメンブレンと呼ばれる膜を設置すると、歯肉から発生する上皮が入り込まないよう防御することが出来ます。

これにより、メンブレン(吸収性膜)の下には歯周組織(歯槽骨、歯根膜)が1ヶ月に約1mmの速さで再生していきます。



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吸収性膜(メンブレン)の試適とトリミング

様々なサイズや形のGTR法用試適膜
GTR用試適膜

適応部位に合わせて様々なサイズや形の試適膜が用意されています。

前もって、試適膜を手術部位にあてがいながら適切な形にトリミングします。

トリミングされた試適膜に合わせて吸収性膜(メンブレン)をカット
トリミングされた試適膜に合わせて吸収性膜(メンブレン)をカット

適切にトリミングされた試適膜に合わせて吸収性膜(メンブレン)を鋏でカットします。

吸収性膜は血液を吸収してしまい、形が直ぐに変形してしまいます。そのため、吸収性膜を直接、適応部位に試適しカットすることは出来ません。



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吸収性膜と非吸収性膜のメリット・デメリット

2回手術が必要な非吸収性膜

GTR法には非吸収性膜と吸収性膜の2種類があります。非吸収性膜を使うと2回の手術が必要で、患者さんにとっては余りうれしくありませんが、膜を除去する2回目の手術時に骨が期待通り出来たか確認することが出来るメリットがあります。

一方、吸収性膜は膜を除去する必要が無いので、1回の手術で終わるメリットがありますが、歯茎を開いて骨の出来具合を確認することが出来ないデメリットがあります。

当院では、これらのメリット・デメリットを考慮し、吸収性膜を使用しています。

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歯周組織再生療法「GTR法」の術式

中等度歯周病;歯石が付着し歯茎が炎症を起こした状態
ステップ1

中等度歯周病で垂直性骨吸収が認められる

歯周ポケット内に黒い歯石や歯垢(プラーク)が沈着し、歯槽骨の垂直的吸収が起こっています。同時に歯周ポケット底部まで歯根膜も破壊された状態です。

歯茎は発赤腫脹し、僅かに出血も認められます。

この様な症例の歯槽骨や歯根膜の再生を行うのが歯周組織再生誘導法「GTR法」です。

フラップ手術で歯石と不良肉芽の除去
ステップ2

フラップ手術(歯周外科)で歯石と不良肉芽の除去

歯茎を切開剥離(フラップ手術)し、術野が明示出来たらスケーリング・ルートトレーニングにより患部の隅々まで歯石除去と不良肉芽の除去を行い清潔な状態にします。同時に、歯周病菌に侵された歯槽骨の表面も取り除きます。

吸収性膜(メンブレン)を骨欠損部に設置する
ステップ3

吸収性膜(メンブレン)を骨欠損部に設置

歯槽骨や歯根膜が喪失している部分を専用の人工膜メンブレン(吸収性膜)で覆います。

膜の上から歯肉をかぶせるようにして戻し縫合します。約1週間後に抜糸し治療は完了です。設置した膜は自然吸収されるので、そのままにしておきます。

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新付着-歯槽骨と歯根膜が再生

新付着として歯槽骨と歯根膜が再生

吸収性膜を設置する目的

吸収性膜を骨欠損部に設置すると歯肉上部の上皮が吸収性膜の上面に沿って伸びてきます。

もし、膜の設置がなければ、上皮は歯根面に沿って歯周ポケット底部まで降りてきます。そして、上皮と歯根面は上皮性付着という結合様式で治癒します。これでは歯槽骨や歯根膜は再生されません。

つまり、吸収性膜を設置する目的は、歯槽骨や歯根膜が出来るためのスペースを確保し、上皮に邪魔されないようにすることです。

新付着-歯槽骨と歯根膜が出来る

吸収性膜の中で確保されたスペース内で歯槽骨や歯根膜は徐々に再生されてきます。

この結合仕様を新付着(結合性付着)と言います。個人差がありますが、大体、数ヶ月で新しい歯槽骨と歯根膜が再生します。

確実にスペースを確保する事と骨の誘導をスムーズに行うために、メンブレンの内側に人工骨を入れる応用例もあります。

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リグロス法、エムドゲイン法、GTR法のどれを選べばいいの?

3種類の歯周組織再生療法でベストチョイスは?

歯周病によって破壊された歯槽骨や歯根膜を再生する方法の歯周組織再生療法には、 GTR 法、リグロス法エムドゲイン法などがあり、それぞれの臨床成績は殆ど差がありません。

GTR法は、吸収性膜を適切に切ったり、所定の位置に設置し縫合する手術としての技量が要求されます。そのため、手術の難易度は他の二つの方法よりも遥かに高く、結果が術者の熟練度に左右されます。

一方、リグロス法とエムドゲイン法の治療術式は基本的に同じで、歯周組織再生剤を塗布するだけのいたってシンプルな方法です。

これらを勘案すれば、保険適用になったリグロス法を選択するのが治療費を最も安く抑えることが出来ることからもベストチョイスと考えられます。


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GTR法とリグロス、骨移植の併用

GTR法とリグロスの併用でさらに高い効果を期待

リグロスは、ゲル状の製剤です。従って、術後填入した部位からある程度のリグロスが自然流出するものと考えられます。

そこで、GTR法を併用することで、十分な量のリグロスを骨欠損部に留めておくことが可能と考えられます。また、同様の理由でリグロスと骨補填材(Bio-Oss)を混ぜて骨移植を行う感覚で使うのも有効と考えられます。

ただし、この治療法を選択すると自費診療となります。

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GTR法の費用

GTR法は保険適用外です。

手術 費用(税抜き)
GTR法 1歯 52,000円(※ GTR法と同時に行うフラップオペレーション(フラップ手術)の費用は治療費に含まれます。また、レントゲン撮影、投薬費用なども含まれます。)
GTR法+リグロス 1歯 82,000円
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ふかさわ歯科クリニック篠崎院長 歯科医師の深沢一

執筆者 院長 深沢一

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エムドゲイン法は、歯周病で破壊された歯槽骨や歯根膜を再生する最新医療です。副作用の報告はなく安全です。適応症は垂直的骨吸収に限られ、効果は約3mmの歯周組織が再生すると言われています。保険適用は無く、1歯に付き52,000円です。

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