伝えたい! 歯の疑問:歯周病

【大人と子供で違う歯がグラグラする原因】
歯が動き痛い時の治療法に暫間固定

皆様の健康をトータルサポート。

大人の歯がグラグラして痛む原因に重度歯周病、咬合性外傷、歯根破折、差し歯の接着が切れる、歯をぶつける、悪い歯並びなどが挙げられます。

また、子供では乳歯根の吸収、転んで乳歯をぶつけるなどです。

治療法には動揺した歯を一時的に固定する暫間固定法があります。

大人の歯がグラグラして痛む原因

1

重度歯周病

重度歯周病が原因で歯のグラグラが起こる
歯がグラグラする原因1

重度歯周病による歯槽骨の吸収

歯周病が進行し歯根を支えている歯槽骨が溶けると、歯のグラグラが始まります。

初期症状として歯は左右に動くようになり、歯周病の重症化で上下にプカプカ動くようになります。

ここまで症状が進行すると歯茎が腫れる(P急発)が起こったり、上下の歯が触れただけでも痛みが出るようになります。

健康な歯は指で押してもグラグラしない
健康な歯は指で押してもグラグラしない

健康な歯周組織は、歯根の周りにがっちりとした歯槽骨があり、歯に強い咬合力が加わっても揺れる事はありません。

さらに、歯根膜内にセメント質と歯槽骨を結ぶシャーピー繊維というクションの存在のおかげで、強い力から歯や歯槽骨が破壊されるのを守ってくれています。

歯周病で歯槽骨が破壊され指で押すとグラグラする
歯周病で歯槽骨が破壊され指で押すとグラグラする

歯石や歯垢(プラーク)を付けたままにすると歯茎に炎症が起き、歯周病が重症化します。

概ね、歯槽骨が3分の2以上溶け出すと歯のぐらぐらが始まります。

歯のぐらぐらを検査する動揺度チェックは、歯周病の進行度合いを判定する一つの指標になっています。


歯周病の原因は?

歯周病はプラークの中に含まれる歯周病菌によって発症する病気ですが、生体の免疫応答力との関係も歯周病を悪化させる要因になっています。

2

咬合性外傷

重度歯周病が原因で歯のグラグラが起こる
歯がグラグラする原因2

歯ぎしりや食いしばり

咬合性外傷とは上下の歯が強すぎる力で噛むことによって起こる歯周組織の障害です。外傷という文字から怪我をするというイメージを持つ方も少なくありませんが、歯周組織(歯根膜、歯槽骨など)に外傷性の病変が起こることを指します。

具体的には歯ぎしりや食いしばりが原因で歯根膜腔(写真)の拡大が起こり、歯がグラグラします。歯の動揺が強まると、噛んだ時の痛みも起こります。

一般的に歯槽骨の吸収を伴わないことが多く、歯ぎしりや食いしばりの治療により強い力がかからなくなれば、歯根膜腔の拡大は正常な状態に戻り、歯のグラグラや痛みも改善します。

歯根膜の拡大とは

歯根膜は歯根の表面にあるセメント質と歯槽骨間をシャーピー繊維で結ぶ厚さ0.2mm〜0.3mmの組織です。

歯根と歯槽骨の間のクッションの役割をする歯根膜ですが、咬合性外傷の不正な力が加わり続けるとシャーピー繊維が引っ張られて歯根膜の厚さが1ミリ程になり、レントゲン検査で明瞭に確認出来るほどに拡大します。

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歯根破折

差し歯の歯根が折れて歯がグラグラする2日目辺りから歯のグラグラが増し、歯茎の腫れと咬合痛が起こります。
歯がグラグラする原因3

差し歯の歯根が折れる

歯根破折が起きやすいのは、前歯、犬歯、小臼歯などの単根管の歯が差し歯になった時です。

神経を取った歯根に土台を差し込み、差し歯が外れないように接着剤で止めます。

差し歯に強い力が加わると、神経を取った歯は脆くなっているため、歯根が縦方向に割れる事があります。

歯根が割れた時にピシットとした音を感じることもあります。割れた直後は少し歯が揺れる程度ですが、3日目辺りから歯のグラグラが増し、歯茎の腫れや咬合痛が起こってきます。

歯根破折して直ぐだと、一旦抜歯をして口腔外で割れた歯根を接着剤で付け、植え戻す方法がありますが、歯根破折してからの時間経過が長いと抜歯を余儀なくされます。

4

差し歯の接着が切れる

差し歯の接着が切れ、歯がぐらぐらする
歯がグラグラする原因4

差し歯のセメント劣化

差し歯は歯にセメント(接着剤)で固定されています。長年使っていると接着が切れることがあります。

例えば、3本ブリッジの一本だけが接着が切れた場合、もう1本の歯で留まっているので、少し歯がグラグラしますが脱離はしません。この様な状態を長く続けると接着が切れた歯は、隙間からバイ菌が入り、虫歯になってしまいます。

また、1本の差し歯は脱離する前に少しグラグラする場合があります。少し動き始めたと感じたら、早めに歯科医院で再装着することをお薦めします。

ぐらぐらしたまま放置すると差し歯の中が深い虫歯になってしまい、使えなくなってしまうかもしれません。

5

歯をぶつける

外傷による歯の脱臼でぐらぐらする
歯がグラグラする原因5

外傷による歯の脱臼

前歯をぶつけるとその強さにより歯槽骨内で脱臼する不完歯全脱臼と歯列の外に飛び出してしまう完全脱臼に分れます。この時、歯根が破折してしまうと、抜歯を余儀なくされるケースがありますが、破折部位により歯を保存することが出来る場合もあります。

軽度の不完全脱臼の場合、歯が少しグラグラするくらいで1週間ほどすると正常の状態に治ります。

中等度から重度の不完全脱臼の場合には、両隣在歯に接着剤で固定し、歯根膜の回復(約1ヶ月)を待ちます。

完全脱臼しても、植え戻すことで通常に使えるようになることがあります。

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歯列不正-悪い歯並び

歯列不正-悪い歯並びが歯のぐらぐらの原因になる
歯がグラグラする原因6

歯並びの悪さ

歯周病を悪化させる要因として持って生まれた歯並びの悪さも関係しています。歯並びが悪いと歯と歯の間にプラーク(歯垢)が蓄積しやすく歯周病の発症につながりやすくなります。

また、前述した咬合性外傷を誘発しやすく、歯を支えている歯周組織はダメージを受け、歯周病がさらに悪化するという悪循環に陥ることになります。

矯正治療は見た目の改善だけを目的としたものではなく、機能的な問題の解決に繋がるということです。

子供の歯がグラグラして痛む原因

1

乳歯の歯根の吸収

乳歯がグラグラしてから抜けるまでの期間
子供の歯がグラグラする原因1

歯がグラグラしてから抜けるまでの期間

乳歯は大人の歯に交換しますが、その時期は各乳歯によって異なります。乳歯が自然脱落する条件は、その下から永久歯の萌出が始まることです。

乳歯の歯根部分に永久歯の歯冠が接触し始めると、その刺激により破歯細胞が出現し、乳歯の歯根は徐々に吸収(溶け出す)が始まります。

歯根吸収が3分の2以上進むと歯のぐらぐらが始まります。多くの場合、歯がグラグラしてから1ヶ月ほどで、自然に抜け落ちますが、歯根吸収が正常に行われない場合には、抜けそうで抜けない状態が2ヶ月以上続くこともあります。この様な時には食事中、噛んだ時に痛みが起こるかもしれません。

2ヶ月以上抜けるまでの期間が掛かるようなら永久歯が変な所から放出してしまう危険性が高まりますから歯医者で抜いてもらいましょう。

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子供が転んで乳歯をぶつける

子供が転んで乳歯をぶつけ、歯がグラグラで痛い
子供の歯がグラグラする原因2

外傷

子供はよく転ぶので前歯をぶつけ歯がグラグラになることがあります。痛みは転んだ直後にあるくらいで長続きはしません。

乳歯の場合、歯根吸収の度合いによって処置の方法が異なります。

レントゲンを撮り、歯根の吸収度合いを判断します。レントゲン診断の結果、もうすぐ永久歯が生え変わるようなら抜歯が選択肢になります。

一方、転んだ時の衝撃が弱く、歯のグラグラの程度が僅かの場合には、そのまま経過観察となることもあります。

永久歯への交換が半年以上あると判断した場合には、歯のぐらぐらを止めるために暫間固定を行います。強く衝撃を受けたと判断される場合には根管治療(神経を取る治療)を行うこともあります。

その後、永久歯への適切な交換がなされるように定期的な管理が必要となります。

乳歯を強く打つと後続永久歯(乳歯の次に生えてくる永久歯)にホワイトスポットが現れるリスクがあります。

  

歯がぐらぐらした時の治療法

1

グラグラの歯を一時的に固定する暫間固定

暫間固定の方法

暫間固定とはグラグラになった歯を一時的に治す方法です。ワイヤー(金属線)、接着性レジン、ワイヤーと接着性レジン、プラスティック製の仮歯を連結するなど様々な方法がありますが、文字通りあくまでも暫定的な仮の処置です。


暫間固定の問題点

暫間固定は、見た目や舌触りなどが悪いばかりか、装置が邪魔をして口腔清掃が上手く出来ません。いつも以上に入念に歯磨きをする必要があります。


また、接着強度があまり強くないため、しばしば外れてしまうことがあります。

この様に不都合なこともありますが、一時的な処置なので治療の一環として受け止めていただければと思います。

接着性レジンによる暫定固定
接着性レジンによる暫定固定
  • ・歯周病で歯がグラグラした時の暫間固定です。
    審美的に治療する必要がある前歯では歯と同じ色の接着性レジンで固定します。
歯周病でグラグラした歯の暫間固定。ワイヤーと接着性レジンによる暫定固定
ワイヤーと接着性レジンで暫定固定
  • ・奥歯では審美的要求が低いことと咬合力が強いため、ワイヤーで補強し外れにくくします。
前写真のX線画像 歯周病で遠心根周辺の歯槽骨の吸収が激しく起っています。
前写真のX線画像
  • ・重度歯周病で歯槽骨が破壊されたエックス線写真。
    矢印で示した所が全体的に黒くなっています。これは遠心根周辺の骨がほとんど溶けているからです。

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暫間固定はどんなタイミングで行う?

暫間固定は、重度歯周病や咬合性外傷、歯に強い衝撃が加わった外傷時などに歯のグラグラを一時的に止めるために行います。

歯周外科や歯槽骨の再生治療の後に暫間固定
歯周外科や歯槽骨の再生治療の後

、歯と歯を何本か一緒に固定する『暫間固定』は歯がグラグラと動揺している時や歯周外科手術(GTR法リグロス等)の後などに行います。歯周外科は一時的に歯周組織の炎症が起こるため、暫間固定によって安定化が図れます。

暫間固定はあくまでも暫く(しばらく)の間の処置です。状態が安定したら、歯が本来の機能を果たせるよう最終的な治療(冠を連結した補綴治療など)を行います。

歯周病により急性発作が起こり歯の動揺が強くなった時に行う直暫間固定
歯周病により急性発作が起こり歯の動揺が強くなった時

重度歯周病になると、いきなり歯茎が腫れることがあります。これを歯周病によるP急性発作と言います。こうなると上下の歯を少し噛み合わせだだけでも痛みが起こります。

そこで、歯周病の基本治療である歯石取りルートプレーニングなどの処置の前に暫間固定を行うことで、組織の安定化を図ります。

暫間固定の効果で炎症も次第に治まり腫れも引いてきます。同時に抗生物質の投与も行われる場合もあります。

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暫間固定の治療費

歯がグラグラした時の治療費 暫間固定は保険適用

内容 保険点数
暫間固定-簡単なもの エナメルボンドシステムによるもの 200点
暫間固定-困難なもの エナメルボンドシステムによるもの 500点
暫間固定除去 1装置につき 30点

※ 初診料、再診料、処方箋料、レントゲン撮影料などがかかります。薬は投薬内容により費用が異なりますが、薬局に支払う必要があります。

歯周病の治療を行う場合には、歯周病の治療費、検査料、指導料などがかかります。

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暫間固定を除去した後はどうするの?

永久補綴のために行うセラミックの連続した人工歯冠
セラミックの連続した人工歯冠

最終的な固定のために行うセラミックの連続した人工歯冠です。欠点は天然歯を削らなければならないことと歯と歯の間に歯間ブラシを通してしっかりと歯磨きの必要があることです。

歯の動揺が収まった場合

歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)や歯周外科などの治療で歯のグラグラが止まり固いものでも噛めるようになった場合には、暫間固定を除去して治療は終了します。


歯の動揺が収まら無い場合

重度歯周病で歯槽骨の吸収が激しい場合には、歯周治療行っても十分な咀嚼力が獲得出来ない場合があります。そんな時は写真のような連続した人工歯を被せ、動揺歯の固定を行うことがあります。

歯がグラグラする夢を見るなどの質問

Q1

歯がグラグラする夢をしょっちゅう見ます。最近では歯が抜ける夢まで見ます。何かの暗示なのでしょうか?

A

歯がぐらぐらして抜けてしまいそうな夢は、生活環境に大きな変化がある時や生活の不安がある時によく見ると言われています。例えば、妊娠時、初めての就職、進学などが挙げられます。


もし、歯が抜けそうになる夢をみてしまった時は、お金の使い方(収入面の不安)や問題の先送りなど、気になっていることを早めに解決することをお薦めします。


夜間低血糖症も恐怖の夢を見ることが多いと言われています。夜寝る前の糖質の摂取を控えると改善するかもしれません。


Q2

19歳ですが歯肉が腫れたり、歯がグラグラします。治りますか?

私は19歳の大学生です。 歯並びが悪いのも関係しているのかもしれませんが、中学生のときに、一度歯茎が腫れて膿が出たことがありました。そのときに歯医者に行ったのですが、特にこれといった治療はされませんでした。(歯茎をマッサージするといいよと言われたくらいです。)


その後は気にしていなかったんですが、マッサージをしても歯茎が引き締まらないし、歯茎が退化しているように思うんです。関係ないかもしれませんが、上顎口蓋の肉も薄くなった気がするし、口蓋垂も位置が上に上がってきてる気がするんです。(気のせいでしょうか。)


また歯もほんの少しですがグラグラします。これも歯医者で言ったのですが、取り合ってくれませんでした。


今もたまに歯茎が腫れたりします。文章で書くと伝わりにくいんですが、このような状態でも治るんでしょうか?

A

まだ19歳で若いので、歯周病の進行はそれほど起こっていいないものと思われます。膿みが出て歯肉が腫れるのは明らかに歯周病の初期の状態でしょう。 歯周病と口蓋垂との関係はありません。


歯がグラグラするのは歯を支えている歯槽骨が破壊されたときに初めて起こりますが、正常の場合でもほんのわずかに歯は動くものです。例えば、指で前歯を前後に揺らすと少し動きます。この現象は歯根膜という根っこの部分に50ミクロンほどの薄い膜があり、これが歯槽骨と結合しています。歯根膜は、歯にかる強い力を受け止めるクッションの役割があります。さらに、若い時は歯槽骨自体が柔らかく、歯の動きも高齢者に比べると、やや多めに動くと言えます。ですから、歯がぐらぐらする事に関しては生理的動揺の範囲と考え、心配はいらないでしょう。


もし心配であれば、レントゲンを撮って骨の破壊状態を確認するとよいでしょう。


マッサージをしても歯茎が引き締まらないとのことですが、マッサージをするより、しっかりとした歯磨きをする事が重要です。歯茎が腫れたり、出血したりするのは歯肉に炎症があるからです。炎症が起こる原因は歯の周りや歯周ポケット内に存在する細菌が原因です。従って、日頃から適確なブラッシングが実行出来ていれば症状は改善していくはずです。

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執筆者 院長 深沢一

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