

伝えたい! 歯の疑問:歯周病
【歯周病はキスでうつる!】
歯周病原因菌の種類で異なる感染経路と時期
皆様の健康をトータルサポート。
生まれたての赤ちゃんのお口の中には歯周病原因菌はいません。歯周病原因菌は、両親、配偶者や恋人、犬などのペットを介して感染します。
当然、キスすることによっても感染します。歯周病原因菌を移さないようにするには口腔内を徹底的に清潔に保つことです。…
伝えたい! 歯の疑問:歯周病
皆様の健康をトータルサポート。
生まれたての赤ちゃんのお口の中には歯周病原因菌はいません。歯周病原因菌は、両親、配偶者や恋人、犬などのペットを介して感染します。
当然、キスすることによっても感染します。歯周病原因菌を移さないようにするには口腔内を徹底的に清潔に保つことです。…
800種類以上存在すると言われている口腔内細菌ですが、その殆どは歯周病と関連性の無い常在菌です。
口腔内細菌の中で歯周病の原因菌となるものを毒性の強い順から低い順へとピラミッド状の3段階に分類します。(Socranskyの分類)
最上位に位置するものがRed complex(レッドコンプレックス)、次の階層がOrange complex(オレンジコンプレックス)、 最下層がBiue、Purple、Green、 Yellow complexの三層に分類されています。
【高リスクの歯周病原因菌】
ピラミッドの頂点に君臨する最も毒性が高く破壊的な歯周病原因菌は、Red complex(レッドコンプレックス)と呼ばれる次の3菌種です。
•P.g菌-Porphyromonas gingivalis (ポルフィロモナス・ジンジバリス)
•T.d菌-Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコーラ)
•T.f菌-Tannerella forsythia(タンネレラ・ファーサイシア)
上記3菌種に加えて侵襲性歯周炎の発症に関係が深いA.a菌-Aggregatibacter actinomycetemcomitans(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス-Green complexに分類)も高リスクの歯周病原因菌の中に分類されることもあります。
【中リスクの歯周病原因菌】
中リスクの歯周病原因菌はOrange complex(オレンジコンプレックス)と呼ばれ全部で10種類ほどあり、その代表的なものが次の6つです。
•P.i菌-P. intermedia(プレボテラ・インターメディア)
•P.n菌- P. nigrescens
•C.r菌- C. rectus
•F.n菌- F. nucleatum
•E.n菌- E. nodatum
•P.m菌- P. micros
【低リスクの歯周病原因菌】
Biue complex(ブルー コンプレックス)- Actinomyces 属
Purple complex(パープル コンプレックス)- V. parvula A. odontolyticus
Green complex(グリーン コンプレックス)- Capnocytophaga species、 A. actinomycetemcomitans、 E. corrodens
yellow complex(イエロー コンプレックス)-Streptococcus 属
初期のコロニー形成をする歯周病リスクの低い細菌群(Biue、Purple、Green、 Yellow complex)は、小学校低学年頃から感染が始まります。
子供の時期に感染する低リスクの歯周病原因菌では歯周病まで発展することは殆ど無く、歯肉に限局して発症する歯肉炎で止まることが一般的です。
ただし、この時期にA.a菌(Green complex)の感染が起こると歯周組織を急速に破壊する侵襲性歯周炎を発症するとも言われています。
しかし、感染率(1%以下)は低いもののRed complexのなかでも最も悪性度の高いP.g菌の感染が小学生でも起きているという報告がされています。
コップやペットボトルの回し飲み、家族みんなで鍋や大皿料理を箸でつついたり、くしゃみや咳などでも感染します。
基本的に歯周病原因菌の感染は唾液を介しての接触感染です。
また、犬などのペットを介して感染する事もあります。
Prevotella intermedia(プレボテラ・インターメディア)に代表されるOrange complex(オレンジコンプレックス)は、中学生から高校生頃に感染し、毒性は中リスクで、中間コロニー形成病原体として知られています。
主に家族間での感染ですが、学校の部活などでペットボトルの回し飲みを友人と行うなど接触頻度が高い場合、感染リスクが高まります。
また、ペットの犬は飼い主の口をペロペロと舐め回すので、家族A→ペットの犬⇒家族Bといった感染経路が考えられます。
Red complex(レッドコンプレックス)は、大学生(18歳)の頃に感染、毒性は高リスクで、後期コロニー形成病原体と呼ばれています。
そして、20歳代前半から30歳代前半にかけて成熟した歯周病原因菌による細菌叢が形成されます。
主に夫婦・恋人間の感染です。キスをすることで唾液を介して歯周病原因菌(Red complex)が感染します。
一旦感染するとその歯周病原因菌を駆逐出来ないのが難点です。
歯周病原因菌は小学生の頃にローリスクのものが感染し、徐々にハイリスクリスクのものが感染し、長い年月をかけて歯周病菌によるバイオフィルムが完成します。
しかし、この様に歯周病菌が感染したとしても歯周病の発症は1年や2年で急激に発症するものではありません。
イラストの様に歯槽骨が吸収し、出血して歯茎が腫れるような重度歯周病まで進行するには10年、20年、30年という長い年月がかかります。
従って、患者さん自身の口腔内の清掃管理が行き届いていれば、歯周病菌の増殖は起こりにくく、歯周病の発症はないといえます。
歯周病の初期症状は歯肉が腫れる、発赤するという歯肉炎の状態から始まり、殆ど痛むことはありません。
一旦歯周病が発症してしまった方は、定期的に歯石除去や歯周ポケット内の歯周病原因菌のコントロールを歯科医院で行うことをお薦めします。
歯周病原因菌の遺伝子を調べるリアルタイムPCR検査で原因菌を同定出来ます。対象となる菌種は以下の6種類(P.g. 菌、T.d. 菌、T.f. 菌、A.a菌、F.n菌、P.i.菌)です。
以下の3菌種は感染経路に特徴があるので掲載しています。
詳しくはリアルタイムPCR検査の対象となる原因菌の種類と特徴をご覧下さい。
P.g菌は重度歯周病の口腔内に多く生存しています。主に成人になってから恋人同士や夫婦間でのキスなどによって感染するので、水平感染を起こす菌と言えます。
一旦感染してしまうと口腔内から完全に排除することが難しいのが特徴です。
A.a菌は若年性歯周炎(侵襲性歯周炎)の原因菌と考えられ、比較的若い歯周病患者から検出されるので、親子間の感染が強く疑われます。ただし、日本での頻度は高くありません。
この菌に感染するとは10代、20代の若い年代で発症し、歯周病が短期に重症化するのが特徴です。
キスをすると歯周病菌は移るのでしょうか?
私は40代男性です。妻とは10年ほど前に結婚したのですが、当時から妻の口臭が気になっていました。歯医者さんに行くように勧めたのですが、歯医者嫌いの妻は現在に至るまで歯医者に行っていません。
しかし、最近になって歯茎が腫れ痛み出しているようです。最近では口臭もさらにきつくなりドブのような臭いがします。
私も歯医者さんにはここ数年行っていないのですが、歯周病になっているとは思われません。しかし、妻とキスをする事によって歯周病が移るのではないかと不安になるようになってきました。
また、口臭のきつい妻とキスをするのも苦痛になり、キスをしたくないという感情が伝わって、夫婦関係も良好とは言えないような状態です。
歯周病はキスをすることによって移ります。原因は、唾液を介して歯周病原因菌が感染することによって起こります。
生まれたての赤ちゃんの口の中にはいかなる細菌も存在していません。母親や保護者によって子供の口の中に細菌が感染していきます。例えば、口移し、同じスプーンを使い回すことなどにより感染します。これは、歯周病原因菌に限らず虫歯菌でもいえることです。
成人になるとキスによって異性から歯周病原因菌が感染します。 しかし、子供の頃に歯周病が発症することはまれで、歯周病と診断できるレベルになるには、18歳以上の方がほとんどです。
なぜ子供の頃に歯周病は発症しないのでしょうか。 原因になる細菌は、数多く存在し、その中でも特に「P.g菌(Porphyromonas gingivalis)」と呼ばれている細菌が最も危険度が高いとされています。
子供の頃、保護者から感染するのは危険度の低い歯周病原因菌がほとんどで、成長に伴い、次第に強い感染力のある歯周病原因菌が感染すると言われています。
また、数多くの歯周病原因菌によりバイオフィルムという集合体を作っていきます。このバイオフィルムが形成されることによって、強い毒素を作り出します。そして歯周組織を破壊していくことになるんです。
もし、配偶者に危険度の高い歯周病原因菌が感染している場合には、キスによって感染するリスクも高まります。また、一度キスをしたくらいでは簡単には感染しませんが、その接触する頻度が高ければ高いほど感染するリスクは高まります。
異性などとのキスによりP.g菌が一旦感染すると、なかなか口腔内から排除することが出来ません。そのため、歯周病が発生しやすくなり、同時に(F.n菌)-フソバクテリウム・ヌクレアタムの感染が起これば臭いも強くなるものと思われます。
歯周病の治療をすれば歯周病は移りにくくなるのでしょうか?
歯周病は移ると聞いたのですが、私の夫は重度の歯周病です。私は現在大丈夫なのですが、このまま夫と生活を続けると歯周病になってしまうか心配です。
歯医者さんで治療受け、歯周病が治れば感染しにくくなるのでしょうか。
配偶者や恋人には、歯科クリニックで歯石を取るなど歯周病の治療を行ってもらいます。
また、ジスロマックという抗生剤や抗真菌剤を使うことで歯周病原因菌の除菌が出来ます。ただし保険適用外。
自宅ではプラークコントロールを徹底して実践し、口腔内を清潔に保つ様にします。
また、定期的に歯科医院においてメンテナンス( PMTC/エアーフロー )を行うことで歯周病原因菌の増殖を抑え、再発を防ぎます。
この様なことを実践すれば、配偶者や恋人からのキスによる歯周病原因菌の感染リスクは極めて低下します。
歯周病原因菌の感染予防にお薦めの市販の歯磨き粉は販売されていません。当院でおすすめしているものは口腔専用の次亜塩素酸水(ポイックウォーター)です。
執筆者 院長 深沢一
東京都江戸川区、千葉県から来院多数、
都営新宿線篠崎駅から徒歩1分のふかさわ歯科クリニック
診療時間
月〜金曜日 | 土曜日 | 日曜日 |
9:00〜20:00 | 8:00〜18:00 | 8:00〜17:30 |
歯周病(歯槽膿漏)・歯肉炎の原因は、単なる歯周病原因菌による感染ではなく歯周組織の細胞環境の問題であり、それを全身的な視点(ストレス、糖質の過剰摂取、ブラキシズム/歯ぎしり、マグネシウムの摂取不足、オメガ3系脂肪酸(αリノレン酸)の摂取不足、カルシウムの過剰摂取)で捉え、それぞれの対処法を詳しく解説。…
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ふかさわ歯科クリニックでは、納得いくまでのカウンセリング、安心してお子様を預けられるキッズスペースと保育士、
可能な限り痛くない無痛治療、拡大鏡・セファロ・血液の遠心分離機・拡大鏡・レーザー・ポイックウォーター・画像解析システムなどの
最新機器を利用した総合治療を実施しております。
また、診療室は個室・半個室・防音個室があり、ベビーカーや車いすでも入って頂けるスペースを確保しています。
地域に密着した歯科医院をこれからも目指して行きます。